2009年 05月 27日
書痴という言葉を、本書の紹介記事で初めて目にしたが、本書『ミスター・ミー』は、本狂い(書痴)の80歳代の好々爺物語である。だけではなく、作中作と言える二人のお馬鹿な転書屋(翻訳屋)の物語と、もうひとつジャン・ジャック・ルソーに傾倒する大学教授の物語の、3つの要素からなっている。 好々爺物語の部分の評価は◎◎。転書屋物語の部分は◎。でも、大学教授の物語の部分が多分に知性的過ぎて、評者にはついていけない部分もあり、評価は△といったところかな。読む前は、本狂いの爺さんの話だけだと思っていたので、そこだけで全編通してほしかったと思わなくもない読後感である。 この爺様、本狂いというよりは、生活全般が本なのである。寝食以外は、本に時間を費やすのをただ当たり前と思って生きている爺様なのである。ついでに言うと童貞でもある(笑)。そんな爺様に、あるとき家政婦が“調べものなら、最近はネットちゅうもんが主流だがや”とアドバイスしたところから、この物語は転がりだす。確かにネットを覗いてみると、本屋では捜しきれなかったロジェという人物の記述が記載されている書名〇〇を発見。早速PCショップに足を運びパソコンを買い求める主人公爺様。店員に言う“パソコンはパソコンでも、ちゃんと中に〇〇という書籍が入ったパソコンを売ってくれ”・・・旧型の爺様には、ネット検索で出てきたものは、そのパソコン自体に内蔵されているものと映ったのである(笑)。 家に帰って、いざパソコンに挑戦。裸で読書する女性のライブ映像が・・・。まあ、あとは読んでのお楽しみということで。(20090519) ※豊崎由美氏推薦ということで、手にとってみましたのことども。(書評No886) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2009-05-27 08:57
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