前作『世界の終わりという名の雑貨店』の続編という位置づけに加え、切なくもスタイリッシュな書き出しの描写があれば、自ずと本書『ツインズ』は傑作じゃなかろうかと思って読み始めるわけなんだけど、さにあらず。
中盤からの悪魔崇拝の部分の描写から、冒頭にあったスタイリッシュさも忘れさせるようなフィロソフィーが展開し、文学作品としてはそれでもいいのだが、文学作品的な主人公の最終決断まで達すると、なんで前作からの主人公がそんなんなっちゃうの?と、作者の持って行き方にうろたえる読者も多いのではなかろうか。
作品的には、ロジックも一貫しており、主人公の今は亡き彼女に対する救いの行動指針という形で、最終決断も当然のものなのだけど、前作にあった切なさはそこには存在せず、結果的にあるのは虚無感というべきものなのだろうか。
続編とはいいながら、どこかパラレルワールドな世界ですな。いいとか悪いとかではなく、作者の読者への裏切りというか、いい意味での裏切りとは言えないような、そんな技巧の純文学作品野ばら風でした。(20091030)
※で?どういう話?って部分は省略ということで。(書評No924)
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