2010年 01月 05日

総括2009年に読んだ本のことども№1(1月~3月)

『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』愛川晶に、『船に乗れ!Ⅰ合奏と協奏』藤谷治、『三国志男』さくら剛が、とっても良かったのことども。

三国志男 (SANCTUARYBOOKS)三国志男 (SANCTUARYBOOKS)
◎◎大爆笑、お気楽冒険記である。評者は、数多くの本を読んで大笑いしてきたが、本書ほど笑いが爆発した記憶がない。最初は、何ベタな笑いを誘う文章を書いてんの、くらいの感じで読み始めたが、途中から、こいつの文章やっぱ面白れえ!!!グハハってな感じで、箇所によっては20秒くらい笑いを押さえきれず、腹捩れ読書体験となったのである。とにかく事実に即しては書いているのだが、甚だしい誇張、妄想、自分に都合の良い解釈、そんなののオンパレードなのである。とにかく、この面白さを理解してもらうには、読めとしかいいようがない。読む
読了日:03月22日 著者:さくら 剛
オケ老人!オケ老人!
○本書で肝心なのは面白いかどうかもそうなのだけど、あの荒木源の作品だということが肝心なのである。あの荒木源とは、あの『骨ん中』という中々骨太のミステリーを書いた荒木源のことで、今度はどんなミステリーなの?なんて思って読み始めると、あらら、ということになるからである。つまり、本書『オケ老人!』は全然骨太でなく、お気楽物語なのである。どちらかというと軽薄なのである。あの『骨ん中』の作者が、ふ~ん、こんなの書くんだなあなのである。
読了日:03月21日 著者:荒木 源
チェーン・ポイズンチェーン・ポイズン
▲多分このミスランクインでしょう
読了日:03月16日 著者:本多 孝好
神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件
◎ミステリー風味に加え、SF風味、形而上風味、ハードボイルド風味、怪奇風味、男色風味他、色々なものが混ざり合った風味なんだけど、結局は、この作家、芥川賞受賞作家なわけで、なんだかんだいっても文学風味なのである。
読了日:03月16日 著者:奥泉 光
神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件
◎やはり、平成の夏目漱石と評者が勝手に呼んでいる奥泉光という作家は、高踏的に余裕的に巧い。知的なユーモアを内包した文章に、既存の文体に固執しない自由な筆遣いが心地良いのである。何箇所か、評者もウププと笑ったくらいである。
読了日:03月07日 著者:奥泉 光
希望ヶ丘の人びと希望ヶ丘の人びと
◎◎本書『希望ヶ丘の人びと』は、母親が小学校、中学校時代を過ごした団地に、主人公である父親と、中学の娘、小学生の息子が移り住んでくる物語である。母親は既に亡くなっているのだが、母親の思い出が残る団地に、残された家族が思い出を偲ぶ意味も含めて移り住むわけである。でも、随分と様変わりしているようなのだが。で、これが面白い。久々に、重松清を楽しんだ評者なのである。元々、重松清読みじゃない評者なので、この面白さは『いとしのヒナゴン』以来である。肩の凝らないコミカルで人情溢れる重松節である。
読了日:02月25日 著者:重松 清
一回こっくり一回こっくり
◎◎内容も何も知らず、なんとなく図書の棚から借りて、なんとなく読み出し、1章から5章まであることに気付き、第1章の「弟」を読んで噺家の書いた人情話(しんみり哀しいほうの人情話)の連作短編集だと決め付け、4章まで読み進んでいたとこまではまだ人情話短編集だと思ったままだったのだが、4章の終わりにかけて鳥肌が立ってきた。そして、鳥肌の予告通りの第5章が始まる・・・。
読了日:02月23日 著者:立川 談四楼
老検死官シリ先生がゆく (ヴィレッジブックス F コ 4-1)老検死官シリ先生がゆく (ヴィレッジブックス F コ 4-1)
○テイストは、ほのぼのハードボイルドであり、構造は、色んな事件が最後にはピタリと収斂するモジュラータイプのミステリーであり、舞台は、共産国家ラオスの1970年代を紹介した珍しい小説でもある。ただねえ・・・気の利いた会話が、共産国家ラオスという読み慣れない舞台ということもあって、時々ピンと来なかったりするのがタマにキズなのかなあ。それでも面白い文庫本の拾い物である。このミス2009年版海外編でも、結構支持票が入っているので、興味ある方は読み逃しなく。
読了日:02月22日 著者:コリン コッテリル
暗闇のヒミコと暗闇のヒミコと
○事件の裁判事例を通して、作者が読者に問いかけるものは、『死亡推定時刻』と同じで、捜査や裁判を通じての日本司法における自白の偏重性にある。だから、くれぐれも、これを読んでいる皆様方におかれましては、たとえ不在証明ができなくても、たとえ罪を犯していたとしても、たとえ取調べがいかにきついからといっても、ユメユメ自白などなさらぬように。
読了日:02月20日 著者:朔 立木
蜘蛛の糸蜘蛛の糸
○黒川博行が最近こんな話を書いていたんだと思ったら大間違い。一番古い作品の「尾けた女」が1992年の作品で、多くの作品が1990年代もしくは2000年代初頭に書かれたものであり、“この15年くらいの間にこんなものも書いていました作品集”みたいな位置づけである。
読了日:02月17日 著者:黒川博行
船に乗れ! 1 (1)船に乗れ! 1 (1)
◎◎本書の中で、作者は音楽とかオーケストラというものに真剣に向かい合っている。多分、元々そちら方面に造詣は深いと思うのだが、それを作中に取り入れて、一般読者に読んでもらうためには、作家としての相当な技量が要求されるわけだが、本書ではそれを見事にやってのけている。そして・・・傑作である。
読了日:02月16日 著者:藤谷 治
真説・外道の潮騒真説・外道の潮騒
◎◎とにかく、どうでもいいようなことがダラダラダラダラ書かれていて、それでいて手垢のついていないような表現で思弁を手玉に取る、町田康という作家は凄いとしかいいようがない。ハマる人には大いにハマり、ハマらない人には、何これ?駄作?ってな感じなんだけど、評者的には聖月様的には大ハマりの久々のマーチダ爆笑節である。
読了日:02月15日 著者:町田 康
ダイイング・アイダイイング・アイ
◎悪くない。完成度の高い東野作品として読むと綻びだらけなのだが、読んでいて面白い。何が面白いかって、何を読まされているかわからないところが面白いのである。多分、このミス国内20位ランクインの作品たちとリーダビリティーでは遜色ないと思うわけで、そういう意味で東野作品としては完成度は低いけど、今の国内ミステリーの中では、まあまあの出来というのが評者の個人的印象のことども。
読了日:02月12日 著者:東野 圭吾
サーカス象に水をサーカス象に水を
◎◎そして何より、最後の最後がいいのである。サーカスを観に行った93歳の主人公と、サーカスの責任者との会話・・・さりげないやりとりなんだけど、泣くところではないのだけど、映画のクライマックスシーンのように心に沁みてくるのである。良書読みを自負する方、押さえ本であるのことども。読むべし、であるのことども
読了日:02月08日 著者:サラ グルーエン
傍聞き傍聞き
◎本書には、表題作「傍聞き」を含め、4編の短編が収められている。それぞれに共通するのが、まずこの傍聞きのようなひとつのお題が与えられており、そのお題に沿ってミステリー部分が構築されているところである。そして、もうひとつ共通する要素に二段オチになっていることがあげられる。賢い読者は、お題から考えて、ああこういうオチなんだと一旦は気付く。だが、その先に、読者が気付かないオチがあるという妙味があるのである
読了日:02月04日 著者:長岡 弘樹
荒野のホームズ〔ハヤカワ・ミステリ1814〕 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1814)) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)荒野のホームズ〔ハヤカワ・ミステリ1814〕 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1814)) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

読了日:02月01日 著者:スティーヴ・ホッケンスミス
おっさんは世界の奴隷か―テースト・オブ・苦虫〈6〉おっさんは世界の奴隷か―テースト・オブ・苦虫〈6〉
○馬鹿話にお付き合いしたい人にお薦めの一冊、っていうか、もうシリーズ6作目。評者は、全部お付き合いしてきたのことども。おっさんで世界の奴隷なので、そのくらいの息抜きがなきゃ、人生は因果かも、うくく。
読了日:01月31日 著者:町田 康
シートン(探偵)動物記シートン(探偵)動物記
○中身は連作短編集であり、その一つ一つにメインとなる動物たちが登場する。表紙からもわかるように、カラスだったり、クマだったり、オオカミだったり。その動物と謎がうまく絡み合い、その謎をシートンが明かして、新聞記者の主人公が綴る、そんな構成になっている。謎も深くなく、ミステリー色もそこまで強くないが、作者の構成が上手で、お手軽な読書にはもってこいというところかな。
読了日:01月25日 著者:柳 広司
草祭草祭
◎◎それぞれの短編は、いつもの恒川ワールド。どこか隣に存在しそうなパラレル空間と日常、そういったものを組み合わせた不思議な物語たちなのである。こういう作品に直木賞や本屋大賞やランキング1位を飾ってもらって、多くの人に読んで欲しいなあと思うのは、多分評者だけじゃないんじゃないかな。そういう良書なのです
読了日:01月25日 著者:恒川 光太郎
退出ゲーム退出ゲーム
▲全体に悪くはないと思う。悪くはないと思うが、このミス投票直前の2008/10に発行されて、うんこりゃオモロイと慌てて投票するほどの作品でもない
読了日:01月20日 著者:初野 晴
のぼうの城のぼうの城

読了日:01月19日 著者:和田 竜
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)
◎◎ 前作がすこぶる面白かったので、本作にも期待したが、期待通り、もしくは期待以上。中でも、表題作の『芝浜謎噺』が感涙物と聞いていたので、感涙、感涙、感涙したいな♪と思っていたら、やはり感涙したのでこれも期待通り。読むべし、読むべし、べし、べしべし!!!の落語薀蓄ミステリーなり。
読了日:01月15日 著者:愛川 晶
道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ] (ミステリー・リーグ)道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ] (ミステリー・リーグ)
◎◎ ネット書評を始めて8年以上経つが、こんなに完璧なミステリー、好奇心を満たしてくれる作品は初めてである。要するに、8年間読んだ本の中で、ミステリー+好奇心という切り口でいえば№1の本である。
読了日:01月06日 著者:愛川 晶
1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)
◎まず、序盤だが、とにかく読んでいて気持ちがいい。これまでの初野作品は、どんよりとしたどこか地下の暗闇あたりにそのテイストが置かれていたが、今回は青空に置かれているようなそんな感じである。主人公はアーチェリー部の主将を務める女子高生。その彼女が、サファイアという騎士に学内で出会うまでの序章なのだが、ハードボイルドでコミカルな語り口が微妙によろしいのである。ニヤリとする箇所もチラホラ。実は図書館に予約した本書であったのだが、表紙が余りにも乙女チックなので、読まずに返したろかい、薩摩男児としては、なんて思って
読了日:01月03日 著者:初野 晴

読書メーター

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by kotodomo | 2010-01-05 16:56 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
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