2011年 09月 04日
8月の読書メーター 読んだ本の数:22冊 読んだページ数:5709ページ ナイス数:145ナイス ウエディング・ベル △前作『年下の男の子』が滅茶苦茶よかっただけに、続編が出たら、そりゃ読むわさ。でも、ある意味、完結していたはずの物語だったわけで、あそこで終わったからよかったわけで、進展のない続編が出てきて、完結しないで、まだまだ続くかも・・・そりゃないわさな。女性38歳、男性24歳の年の差の比較も本書内では言い尽くされてなくて、男性が50歳になったときに、女性が64歳とはいかがなものかにも言及すべし、のことども。 読了日:08月29日 著者:五十嵐 貴久 失敗学のすすめ 〇失敗学初期に書かれたもので、そういう意味では教科書に近く、事例収集や噛み砕きが豊富ではない。別の言い方をすれば、多少とっつきにくいかな。後に書かれた失敗学事件簿などのほうが、身近に吸収できる題材が多い。まあ、ここから発展していくわけで、その間色んな失敗が起こって、そういう意味で失敗学の世界が広がっていくわけですな。 読了日:08月29日 著者:畑村 洋太郎 遊星ハグルマ装置 ◎◎変な大傑作。まあ朱川湊人だから、はずれはないでしょうと思って中身も知らずに借りたら・・・この短歌って何?笹公人って何者?意味のわからないぶっ飛んだ短歌に、なぜか共感してしまうようなしないような。朱川短編と、笹短歌が交互に綴られる本書なのだが、ひとつひとつはどうも大したことないのだが、全体を括ると意味もわからない大傑作。その昔、ダウンタウンの脱力ギャグになぜか魅かれたように、かったるい笑いを覚えながら、最後まで満喫したのことども。短歌と短編が妙に呼応しているところが、いとおかし。 読了日:08月29日 著者:朱川 湊人,笹 公人 あなたにあえてよかった―テースト・オブ・苦虫〈8〉 〇町田康のこのシリーズも、自分みたいな読者だから付き合い続けているわけで、初めての町田康が本書なんていう読者は、本をぶん投げてしまうかもしれない。そのくらいの駄文、堕文、唾文なんだけど、一度中毒になったらやめることはできないのことども。年の頃が一緒っていうのもポイントだと思うことを思ったり考えを考えたり・・・ 読了日:08月28日 著者:町田 康 みんなの桜島 〇図書館の新刊コーナーにあったので、何気なく借りる。気分は夏休みの自由研究状態。おお!知らなかった。大正の大噴火、南岳が噴火して溶岩が流れ出したのかと思っていたら大間違い。南岳を軸にして、北東方向から南西方向に直線を引いて、その直線上で何か所も小さい火口が開いたとは、知らなかった。後半は桜島街歩き案内。ちなみに、登山禁止になったのは1955年のことども。 読了日:08月27日 著者:福島 大輔,兒嶋 八重,大村 瑛 純平、考え直せ ◎その昔、ロシア映画かなんかで「兵士の休日」みないな題名で、今から最前線に送り込まれる兵士に実家に帰ってよし!との許可が与えられるんだけど、途中で困った人を助けたりと色んな人との出会いに時間を取られ、実家の母と顔を合わせたら、もう帰る時間、そんな映画を思い出しました。鉄砲玉を命じられた、21歳主人公の実行の日までの3日間の人との関わりを描いた奥田作品・・・巧いですなあ。考え直せ!読み進めると、題名の意味がわかってきます。昔と違って、今は神や悪魔の囁きが聞こえるのですねえ。 読了日:08月27日 著者:奥田 英朗 かんさい絵ことば辞典 〇関西語辞典としてはオモロないが、変な一こまマンガ集としては、極めてシュールでオモロイデ。なんや知らんけど、オカンのこしらえてくれたお弁当がいつもハズレの女子高生だら、ぶきっちょな馬だら、その世界観がようわからんのが、ようわからん面白さのことども・・・でんねん。ああそうそう、画鋲のことを押しピンというのは、関西より西の方言で鹿児島でも使います。東京の人に“押しピン”訊いたら、使わない言葉だけど、多分ステュエーションで理解、面白い言い方をこの人はするのだなあ、なんて思うと言っておりました。 読了日:08月27日 著者:ニシワキタダシ,コラム : 早川卓馬 愛ある追跡 ×藤田君、こんなの書いちゃダメでしょう。殺人を疑われ失踪した23歳の娘の行方を、獣医を生業とする主人公が愛ある追跡をする話が4編収められているのだが・・・毎回、目撃情報が出て、その地に赴き、ニアミスするのだが、会えない、ついでに必ず動物の治療をすることになるというアクセント付きでもワンパターンはワンパターン。「逃亡者」とか「追跡者」とかいうドラマや映画があったが、パターンだけじゃ、物語は色あせるのことども。 読了日:08月26日 著者:藤田 宜永 犯罪 ◎ミステリアスな事件簿という感じで珠玉の作品集。いいものばかり・・・深いい話・・・読み手によって、う~んもあれば、深いい!もある、そんな短編集である。著者自身が司法にかかわってきた中で、印象に残った事件の真相と顛末を、素直に描いただけの物語集と言えばそれまでだが、多くの抽斗の中からチョイスされただけあって、総じてレベルは高い高い。今年の押さえ本の一冊。読むべし! 読了日:08月26日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 ◎◎本書は抜群に面白い。今年のこのミス1位はこれでいいんじゃないの。本屋大賞もこれでいいんじゃないの。おまけに直木賞もこれでいいんじゃないのと思っても直木賞は取れない!なぜなら、本書の作家、奥泉光は既に芥川賞を受賞していて、過去に重複して、いや未来永劫、両方取る作家はいないと文藝春秋的に決まっているからである。阿部和重しかり、吉村萬一しかり、芥川賞受賞作家の描くエンターテイメントには、計り知れない面白さが内包のことども。ああ、忘れていた。町田康も。 読了日:08月21日 著者:奥泉 光 ライフ・ゴーズ・オン―La La La Life Goes On ◎◎今、筆の反射神経で、自堕落な青年主人公の物語を紡がせたら、この東山彰良の右に出るものはいないだろう。かつての舞城もこんな感じだったが『阿修羅ガール』の頃ね、その後形而上が強くなり過ぎちゃったので、現時点でこの作者が最強だろう。『さよなら的レボリューション』そして、本書。こういうのを読みだすと繰る手が止まらないし、上手いと唸るし、どんなお話?と訊かれても、答えようがないわけで、読んでみろとしかいいようがないが、評者には読むべし!なんだけど、多くの人にはこのノリ、あわないかも注意報のことども。 読了日:08月20日 著者:東山 彰良 ゴランノスポン △町田康、力を発揮できず。表題作を含む、3編を読み飛ばしました。日本語の操り師が、操り方を間違ったような短編集でした。うくく。清水義範が書いたような小説とか、なんかマチダじゃない感じ。哀しい。 読了日:08月20日 著者:町田 康 未曾有と想定外─東日本大震災に学ぶ (講談社現代新書) ◎失敗学?畑村洋太郎?って思う方は多いかもしれないが、著者はこれまで色々な事故調査委員会に名を連ねてきた「事故=失敗」の権威である。3月11日に起こったことは、未曾有でもなければ、想定外でもないという。想定外=考えることの放棄。過去の津波を全部検証して堤防を作る・・・のは大変なんで、まあ10メートルを想定しとけば・・・だから想定外になるわけで、そんなこんなを今を読み解く必読の書。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2011-09-04 12:34
| 読書メーター
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