2011年 10月 01日

2011年9月に読んだ本のことども(リンク:読書メーター)

9月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4586ページ
ナイス数:110ナイス

寿限無のささやき寿限無のささやき
◎著者お得意の落語エッセー。ある程度、この人の本は読んでいるので、どこかで読んだような部分も多いのだが、軽妙な筆捌きに一気読み。「暮しの手帳」に連載されていたもので、読者層は多分に主婦であり、どんな素人が読んでも読みやすいように描かれているのがミソ。ところどころに時事ネタもあり、耐震偽装、ホリエモン、ああそんなのもあったねえ、というところが、今になっては懐かしいところ。落語の小ネタ、さわりも読めて、こんなところから落語に興味を持つのもいいのかもしれないのことども。
読了日:09月30日 著者:立川 談四楼
骸骨ビルの庭(下)骸骨ビルの庭(下)
◎初宮本輝読了。ビルを解体する前に、未だそこに居住している人々を追い出すために、送り込まれたどこかのんびりとした中年主人公男性を中心に、個性的な住民を描いた丁寧な物語。結局、住民との交流を深めただけで、何もしなかった男の日記を綴った物語。面白かったのことども。ただ、難点を挙げれば、キャラの薄い登場人物もいて、誰が誰だったか、名前だけでは中々憶えられない部分と、先に送り込まれた二人の管理人が何ゆえにギブアップすることになったのか、そのことには触れられずに物語が終わってしまったことの2点かな。何気に面白いぞ。
読了日:09月28日 著者:宮本 輝
骸骨ビルの庭(上)骸骨ビルの庭(上)
◎初宮本輝・・・『螢川』で芥川受賞、きっと生真面目に紡ぐ作家なんだろうなって先入観で読み始めたら、やる気のない主人公がインフルエンザで床に伏せ、骸骨ビルの連中が続々お見舞いにきて栄養ドリンクまではまあわかるが、SM雑誌に、はてはダッチワイフを一緒の布団に添い寝させて帰るっていうのは、愉快でたまらないのだなあ。あれだね、奥泉光なんかも芥川賞受賞作家だけど、両者に共通しているのは、面白い小説を描く、そういうシンプルな志しなんだろうと思いながら下巻に入っていくのことども。
読了日:09月25日 著者:宮本 輝
白樫の樹の下で白樫の樹の下で
◎◎今年2011年の押さえ本。美しく正しい日本語に包まれた良書。無駄な描写は一片もない透き通った物語。惜しむらくは題名と表紙絵から、本書の真髄が伝わらないことだろう。背筋を伸ばした下級武士を主人公に据え、友情、愛情、出世、剣気、そんなものを比較的大きな活字で250頁に収めた傑作なのである。周囲の多くの人が幸福になりきらない中、そこにあるのは、爽やかな時代の風かなあ。話は爽やかからは、また遠い物語だんだけどね。
読了日:09月24日 著者:青山 文平
FBI美術捜査官―奪われた名画を追えFBI美術捜査官―奪われた名画を追え
◎◎一気読みの大傑作。ただし、ノンフィクションの美術ものなので、図書館での書籍分類番号は7067(鹿児島県立図書館)なんで、ゆめゆめ英米文学コーナーで探さぬよう、見つかりませんので。著者は実際のFBI美術捜査官であり、自分が扱った事件について言及するのだが、美術品の盗難も色んなパターンがあって飽きさせませんのことども。最後にはFBIの官僚組織を皮肉る部分もあり、とにかく客観性に優れ、共同執筆、役者も二人ということで、文章や構成もしっかりしていますなあ。
読了日:09月23日 著者:ロバート・K. ウィットマン,ジョン シフマン
絡新婦の理 (講談社ノベルス)絡新婦の理 (講談社ノベルス)
◎830頁二段組、三連休で読んじゃえと思ったが、完全没頭とも行かず、読了まで6日かかったじゃないか。6日も830頁もある本を持っていると、少し筋肉も鍛えられた気がするのことども。言わずと知れた京極堂シリーズの代表的作品。関口が好きくなく、京極堂の蘊蓄が好きくない評者にとって、今回の関口無断欠席は嬉しい限り。京極堂の蘊蓄はいつものようにパス。織姫彦星宗教その他パスパス。巨悪な事件の割には、邪悪ではない真犯人の映りようはなんなのかなあ。しかし、広げ過ぎた風呂敷の、終盤の収斂はお見事。もう少し、神探偵の出番が・
読了日:09月23日 著者:京極 夏彦
日本語通り日本語通り
◎【いつかつかってみたいセリフ】 「釣りはいい、取っといてくれ。多いと思ったら土地でも買って家でも建てろい」 落語家による言葉エッセイ。出だしは今一つであったが、やはり落語界の逸話も含めた話になると、この人の筆は冴えますなあ。「トイレ」の項で、「御手洗」「洗面所」「化粧室」・・・色んな言い方が出てきたが、評者の場合は、手も洗わないし化粧もしないので「ご不浄」と呼ぶのことども。
読了日:09月18日 著者:立川 談四楼
月と蟹月と蟹
◎◎「シャドウ」「ラットマン」を読んだときは、深みのないトリックに頼った作家という印象だったのだが、「光媒の花」で“うむ”と思い、本書で“うむむむむ!”と感じたわけで、やはりこの作家、トリックより物語を紡ぐべき作家なのだな。本書での直木賞受賞も頷けますな。小学校高学年の主人公を描いた作品で、禁じられた遊び、こっくりさん別バージョン、そんな感じで物語が進んでいくのことども。
読了日:09月16日 著者:道尾 秀介
ラッシュライフ (新潮文庫)ラッシュライフ (新潮文庫)
◎◎その昔、単行本で読んだのだが、今回懸賞で文庫本が当たってきたのであった。表紙にエッシャーがいなかったのが寂しい。表紙をめくるとそこにエッシャーはいるのだが、やはり大きい絵のほうが雰囲気がわかるのことども。メビウス的な時系列を丹念に読み返そうと思ったが、途中で面倒を感じやめました(^^ゞ巻末の解説が中々の読み応え。単行本では味わえない解説が、文庫の魅力かな。
読了日:09月12日 著者:伊坂 幸太郎
重力ピエロ重力ピエロ
◎◎公民館の図書館に入ったばかりのときに借りて読んだが、また同じ公民館から借りて再読・・・新しかった本が随分と古くなっていました。今読んでも最強の家族の素敵な物語。DNA姉ちゃんが謎でいいですね。
読了日:09月12日 著者:伊坂 幸太郎
音もなく少女は (文春文庫)音もなく少女は (文春文庫)
〇このミス上位ランクインという結果には疑問。ただ、もし、直木賞に外国部門があって翻訳部門直木賞受賞なんて話だったら納得の一冊。耳の聞こえない幸薄い少女という設定でここまで書き込めば立派なもの。別の言い方をすれば、何らかの賞を受賞するにはふさわしい作品だが、ランキング上位入賞にはふさわしくない作品なのだなあ・・・のことども。
読了日:09月07日 著者:ボストン テラン
ダルジール警視と四つの謎 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ダルジール警視と四つの謎 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
◎本書の発行は1997年。評者がダルジール警視もののファンになったのが、2004年頃だから、今回これを読めたのは貴重な出会い。4つの中編が収められているが、初めてダルジールとパスコーが出逢ったエピソード、2010年に二人が月に行くというシリーズの未来を語った一編などなど。。嬉しい作品群のことども。このシリーズ、適当に読みつくしているけど、っていう読者には必読の一冊。シリーズを知らない人には、あまり面白くもないだろうなあ。
読了日:09月04日 著者:レジナルド ヒル

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by kotodomo | 2011-10-01 06:26 | 読書メーター | Trackback | Comments(2)
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Commented by だてっち at 2011-10-01 08:22 x
お久しぶり~
ここのところ読書してないけど、貴方の文章を読んだら読みたい本結構あるじゃん。
さすがだね。
Commented by 聖月 at 2011-10-02 08:36 x
最近、落ち着いた話が読みたくて、宮本輝4冊目に入っているのことども。海外の骨太か国内のシックなのがいいなあ。


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