時空トラベル物は、結局のところ主人公の視点からはデュアルワールドだし、その他大勢からしたらパラレルワールドなわけで、その主人公が時空の異なる人物のどちらの意識にも同化できるとなると、最終的にデュアルもパラレルも成り立たず、パラドックスが生じて、本書のような着地になり、読者は、その読後の立ち位置に違和感を感じざるを得ないのである。そういう意味で、作者ももう少し構成を練るべきだったかな。朝目覚めると、既婚子持ちの裕美か、独身貴族の由巳のどちらかの意識下にある主人公。二つのデュアルパラレルワールドで起こるお話。