2013年 07月 13日

2013年6月に読んだ本のことども

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2686ページ
ナイス数:97ナイス

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想
▲後出しジャンケン承知で言えば、本書を絶賛する人、否定する人、否定する人を否定する人がいて、それじゃあ自分はと問われれば、卑怯だけど絶賛も否定もせず、自分の中の村上春樹書棚論に沿っていえば、再読しない書棚に入れる。先日、ダンスや羊を再読、堪能したが、本書は一回こっきり。ノルウェイやスプートニクと同じ扱い。ノルウェイは自分の中で高評価だったけど、再読はそそられない。結局、わかるように表現すれば、どこかもどかしい物語は再読しようとは思わない。世界の終りが著者の最高傑作だと思っているが、もどかしさ内包で再読なし
読了日:6月23日 著者:村上 春樹
国境のインテリジェンス国境のインテリジェンス感想
〇ある面で、知の巨人でもある著者だが、ふざけた(くだけた)文章も多く(アサヒ芸能連載)、そういった文章たちが、著者の姿勢を歪ませて見せるのが瑕の一冊。外務省→鈴木宗男事件で逮捕→獄中→評論活動の現在、本書の中身は、中、韓、露を主な題材にした、国境の知的戦略の見方を示したもの。あとは、古巣の外務省批判。いただけないのは、どうしてもムネリンのことになると、完全肯定なので、他の論拠にもご都合が入ってんじゃないの?と思わせることかな。「国家の罠」「自壊する帝国」が名著だっただけに、こういう迷著は、評判落とすかも。
読了日:6月22日 著者:佐藤 優
時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)感想
◎やはりSFではなかった、というより島田荘司だった(笑)島田作品に、巨人が出現しようが透明人間が出てこようが、最後はその大風呂敷を丁寧に畳んで収斂させてしまう、あの手管の物語であった。上巻では、単純な展開から物語が始まっていったのだが、下巻では伏線が絡まりあい、だまし絵をなし、最後には、そのだまし絵の見方を解き明かすような、そんなあざとさがこの物語にはある。上巻の感想にH・G・ウェルズを準脇役と書いてしまったが、結果的にはウェルズ主役のタイムトラベル考察冒険物といったほうがいいか。特有のカタルシスはないが
読了日:6月22日 著者:フェリクス J.パルマ
時の地図 上 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1)時の地図 上 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1)感想
〇ネタバレしない程度に表現すれば、コテコテのSFを読むつもりで構えていたのだが、随分とリアルな物語である。でも、時は1800年代終わりで、H・G・ウェルズや切り裂きジャックなんて、誰でも知っている歴史的人物たちが登場するのは楽しいし、ウェルズ自体、準主役級ってのもワクワクするね。ただ、宮部みゆきのダラダラ節じゃないけど、肝心のタイムスリップまで280/400頁というのは、本筋以外に紡がれる物語が多い証拠。中々にロジックが納得いくもので、この作者、それなりに紡ぎの巧い作家なり。さて、下巻の展開や如何に?
読了日:6月15日 著者:フェリクス J.パルマ
快挙快挙感想
◎◎もう一度、直木賞をあげてもいいかもと思わせる佳作。白石作品にしては、陰がさしてもあくまで前向きな展開で、お得意の白石哲学の注入も、性的描写の加減も、どちらも程よい感じの、男と女の連れ添い物語。1993年に結婚した自分が読むと、物語の背景に阪神大震災や村山総理退陣などのニュースが描かれ、懐かしさも含め面白かったのだが、若い読み手には、どう映るのかな?「草にすわる」のような幸福の黄色いハンカチエンディングを期待したが、それはなく、でもこういう平凡な幸せのエンディングもリアルでいいのだなあ。前向きな物語。
読了日:6月14日 著者:白石 一文
ジヴェルニーの食卓ジヴェルニーの食卓感想
〇モネやドガという教科書にも出てくる卑近な、それでいて大昔の画家たちの風景を切り取った4つの短編が収められた良書。出てくる作品名を頭の記憶庫から引っ張り出して楽しむ人、出てくる作品を片っ端からネットで引いて参照しながら読み進める人、作品も知らないまま、ただ想像だけで読み進める人。色んな読み方ができると思うが、多分ネット参照がベターなんだろうな。自分は、3番目の想像だけの読み方に終始したが(少し時間が割けなかったので)。このご時世だからできる、ネット検索あってこそ生きてくる良書である。著者の得意とする分野。
読了日:6月9日 著者:原田 マハ
追撃の森 (文春文庫)追撃の森 (文春文庫)感想
◎女二人が逃げて、殺し屋二人が追う話。それだけ書くと陳腐な感じがするが、序盤はお互いの知恵比べが中々に面白い。裏をかくのか、裏の裏をかくのかみたいな。舞台は人気のないシーズンオフの山林。2対2の戦いが進行していくのだが、そのうち、なんだか山の中の人数が多くなってしまう(笑)この4人は死なないのに、別の巻き添え死者が本筋とは関係なく、積み上げられていくのである。まあ、やっぱディーヴァーなわけで、一筋縄ではいかないストーリー展開はさすが。ただ、動機や背景が少しわかりにくく、主人公の家族の事情もも少し活きてない
読了日:6月2日 著者:ジェフリー ディーヴァー
なんらかの事情なんらかの事情感想
〇軽いノリの思弁的なエッセイかと思いきや、途中でSFになったりするので、丸呑みして読み込まないように(笑)『ねにもつタイプ』の後に、書きたまった連載を本にしたわけで、テイストは丸っきり前作と同じ。人は夢をみれば、自分らしくもなく幻想的であったり唐突であったりするわけで、そんなお話がこの本の中に詰まっていると思えばわかりやすいか。同様のタイプの話が多く、少し飽きも来ないではないが、脱力的なわかりやすい文章は、あまり本を読まない、特に作者と同姓の女性には案外面白く読めるかも。自分にとっては息抜きの読書でした。
読了日:6月1日 著者:岸本 佐知子

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by kotodomo | 2013-07-13 14:03 | 読書メーター


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