「本のことども」by聖月

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2014年 06月 02日

2014年5月に読んだ本のことども

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3610ページ
ナイス数:102ナイス

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~感想
◎◎7年ぶりに再読。やはり、良い本でした。7年前も今も、自分のオカンは元気なわけで、その間にオトンは死んだわけで、自分の齢も45が52になっちゃったわけだけど、そんな現実と何かが重なる良さではなく、でも最近の本屋大賞が面白いとか面白くないとか、そんな読書をしながら本書を未読の読者は是非読んでみてください、と、そんな面白さなのだなあ。福岡は小倉や筑豊の、風景や方言も、その良さを醸し出していてくれますな。著者の自伝的小説で、オカンとのことを描いているのだけど、副題「時々、オトン」と言いながら、結構オトンです。
読了日:5月31日 著者:リリー・フランキー
最後の紙面 (日経文芸文庫)最後の紙面 (日経文芸文庫)感想
◎主人公の異なる11の章が、それぞれに丁寧に描かれた短編映画のよう。ペーソスあり、ユーモアあり、文学風味あり。すべては、ローマで英字新聞を発行する会社の話や、その周辺のお話。結局、何の話という大きな幹はなく、オムニバス形式で、読者が連繋を埋めていくような、そんな読書中。印象に残って面白かったのが、スナイダーの強烈な押しにやられまくる若手のお話。あと、やはり新聞のことを考えましたね。自分が就職する頃の、花形が新聞社。それが、こんなにもネットに押されるとは。しかも、活字になった時点で、ネット上の記事より古い。
読了日:5月25日 著者:トム・ラックマン
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド感想
◎◎自分にとっての村上春樹最高傑作作品を、時を経て再読。読みながら、今回は傑作じゃないかもと感じたが、読了して、やはり最高傑作でした。前回はどうだったか憶えていないが、最終4章は涙が止まらず。切ない話の印象は、記憶の通り。でも、哀しくて切ないのではないんだよね。切ない村上作品は他にもあるが、他の村上作品にはないテイストがここにはある。愉快さ。愉快で切ない終盤。空は晴れているのに、二人は笑いあっているのに、切ないのである。読後直後の今の気分は、心が洗われた感じ。心を洗濯してくれる唯一の村上作品と言える傑作。
読了日:5月17日 著者:村上春樹
山背郷 (集英社文庫)山背郷 (集英社文庫)感想
〇村上春樹「ノルウェイの森」を読んだあと、その前に書かれた短編集「蛍」を読んで、ああ原型はここにと思ったのと同様、長編「邂逅の森」と本書収蔵の「旅マタギ」の呼応に嬉しくなる。細部は微妙に違うのだが、同じ話と言えば同じ話。本書に収録されている作品は、どれも長編になりそうな短編だが、ふむ、こういうのが選ばれて長い物語で紡がれていくのだなあ。短編だけど、最初から背景が描きこまれているしなあ。わからなかったのが「ひらたぶね」。ただ、船のありさまを描きたかっただけ?描きたいことと、読者が読みたいものが違うような・・
読了日:5月6日 著者:熊谷達也
シャンプーが目に沁みるシャンプーが目に沁みる感想
△ある意味、才能を持った作家が挑んだ、失敗作でしょう。一見、青春爽やか小説の出だしなんだけど、結局は悪意の充満したした物語。この作家は、爽やかさを描かせると巧いんだけど、悪意を説明させると下手なのである。全体的なバランスも悪いかな。A事件とB事件が並行して追及されているのに、途中A事件が忘れ去られたような描写が続いたり。あと、小説内で名言を書かせると巧いのだけど、それも不発。「屋上ロケット」「ガレキノシタ」が好きで、評価している好みの作家なんだけどなあ。肌に合わない作品も個人的にはあるんだよなあ。頑張れ。
読了日:5月4日 著者:山下貴光
本当にあった 奇跡のサバイバル60本当にあった 奇跡のサバイバル60感想
〇本当は読んでません。図書館から借りてきて、20分眺めただけでした。だったら図書館で立ち読みすればいいのに。想像通り、山、海、墜落、誘拐、紛争地、そんなところからのサバイバルのビジュアル記録。地図や、写真がまあまあ豊富。極論すれば、危ないところに近寄ってはいけない。日本を出ないほうがいい。水には近づかないほうがいい。飛行機には乗らないほうがいい。山の中に入らないほうがいい。ましてや、夫婦で夢のボートの旅に出るなんて言語道断。テニスしている最中に誘拐なんかされるわけで、とにかく外国の地を侮るなかれ。
読了日:5月4日 著者:タイムズ
紳士の黙約 (角川文庫)紳士の黙約 (角川文庫)感想
◎お昼休みに読んだり読まなかったりで、2か月かけて読みました。サーフシリーズ第2弾。やっぱ、この手のウィンズロウは面白いね。普段、途中こんがらがってくるので、翻訳物を細切れ読みはしないのだが、これはスッキリと頭に入ってくる展開。伝説のサーファーの死、浮気調査の依頼、色んなものが徐々に動きだし、最後は一極に収斂。上手いなあ。後半も後半で、主人公がどんどんピンチになって、果たしてどうやって解決?と思いきや、そこで伏線が一発で仕留める鮮やかさ。主人公も若くはないけど、やっぱ海と波が主人公なら、これも青春小説。
読了日:5月4日 著者:ドン・ウィンズロウ
ガレキノシタガレキノシタ感想
◎読みたい本リストには入れていたのだが、高校の校舎が崩壊して、その下に閉じ込められた生徒たちの話と大枠は知っていたので、面白くなさそうなと、今頃手に取ったら面白かった(^O^)/デビュー作で伊坂的山下節が炸裂したまま、その後の作品ではイマイチだったが、今回は山下流伊坂的山下節が、上手く効いている。もうオリジナルな語りと言ってもいいだろう。閉鎖空間での生徒たちの各々の話の大部分は、その空間での話ではなく、それまでの学校生活、家庭生活を想起するというのがミソ。だから、ベースは学園物なのである。勇気を貰えるぞ。
読了日:5月3日 著者:山下貴光
嗤う名医嗤う名医感想
△実際に医者でもあるこの作者の作品を読むのは好きなのだけど、この作品群はダメ。連載のための売文。そこらへんに居そうもない異常な部分を抱えた主人公を添えて、文章を書いたらこんなシリーズになりましたって感じ。折角、深みのある文章を描ける作家なのだから、こういう余技で文章綴っちゃうのはねえ。嘘を見抜ける男、潔癖すぎる医者、微笑を絶やさない医者、とにかくワンアイディアで主人公を立てちゃうと、話が薄くなりますね。医者としても作家としても信じて応援している人なので、しっかり頑張って文章を紡いでほしいのだが。残念。
読了日:5月3日 著者:久坂部羊

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by kotodomo | 2014-06-02 11:08 | 読書メーター


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