2005年 04月 03日
副題は「原人」&「ネアンデルタール・パララックス(parallax)1」ということで、6月と10月には2や3が出るらしい。まことに待ち遠しいことであるが・・・題名『ホミニッド』の意味は意訳的には「原人」だとしても、「パララックス」とはなんぞや?で、調べてみた。どうやら“視差:観察位置による対象物の変位”という英単語のようである。そいでもって、そこらへんをわかりやすく説明するのが、作り話の得意な評者の役目なんだろうなあ? 場所は鹿児島。繁華街天文館でたらふく飲んだ評者は、友人が乗ってきていた自転車を取り上げ、キミは相当に酔っている、自転車に乗って帰るのは危ない、だからこの自転車ワシが乗って帰る♪今夜は僕の♪とわけのわからん理屈を反吐と一緒に吐き出し、自宅へ向かって自転車を漕ぎ出す。どうもおかしい。地面が揺れる。カトチャンのスンズレイシマシタの酔っ払い駐在のような千鳥足自転車。で、とにかく疲れてしまって・・・おう、ここで寝てしまえ!の夜・・・ 次の日の朝の恥ずかしい目覚め。どうやら公園のベンチに寝ていたらしい。だって、目の前で夏休みの小学生たちが50人位、ラジオに合わせて引率者と一緒に、1、2、3、4、ラジオ体操中。おいおい、いくらここが毎朝の体操の定位置だからといっても、酔っ払い明け宿酔い者の前でラジオ体操すなー!!!と怒鳴らずに、自転車にまたがりヨイショ、ヨイショ。で、家がない。自宅がない。道路もなんか違う。でも、いつもの自宅近辺の丘の地形に間違いない・・・。どうやら、自転車を漕いでいて、ドブに嵌まった記憶はあったのだが、あれは時空の溝だったらしい。 そして、ここはやはり日本。最初地図見たときはどこの星かと思ったが、ここは日本。でも日本国じゃなく、日本自治区。実は、蒙古襲来の際にカミカゼなど吹かず、そのまま蒙古群に占領されたパラドックス世界の今にいるらしい。なるほど、この天気予報衛星地図、本国を中心に写されており、日本自治区はその本国の先の堤防みたいなところに位置した自治領区なのである。樺太、日本列島、奄美、沖縄、台湾と、堤防みたいな位置取りの自治区。結局、蒙古は赤ん坊のとき蒙古斑のできる民族は全部手中に収めて今があるらしい。地図の見え方がおかしい以外にも、色んなところに微妙な違いが見られる。いわゆる視差でありパララックスである。車はあるが、女性専用。男の移動手段は馬。おまけに、アメリカはアメリカではなく、インディアンが作った文明国であるらしいし・・・。ここで、評者のアイディアは涸れてしまいましたm(__)m。要するにある人にとっては当たり前の世界。それを視差のある観察者がみると、という話なのである。 ということで、本書『ホミニッド』の内容も、似て非なる世界、SFな物語なのである。今の人類はクロマニヨンの末裔(これは科学者的には事実)。実は並行世界には、ネアンデルタール人が繁栄した地球が存在し、そこの境界からネアンデルタール種物理学者が今の世に迷い込むお話。別々の経緯を辿って同じように発達してきた文明なのだが、色んなところに違いがあるようで、お互いの視差を読みながら楽しむというのが本書の妙味である。おっと、忘れちゃいけない冒険部分。恋はあるのか?友情は?元の世界に戻れるの?色んなことがテンコ盛りの、エンタメ小説なのである。 中学生くらいから読めるエンタメ小説なので、家族で買って親子回し読みなんかにも最適。1000円握り締めて、家族で買いに行くべし。読むべし。楽しむべし。語るべし。(20050403) ※図書館から借りたが、こりゃあ次作が出たら買って読み直すのかもね(^.^)。そうそう、蒙古斑で思い出した。上の娘が赤ん坊のとき、当時友人だったアメリカ人マックが娘のケツを見て、その後評者に“何か病気なのか?”と深刻そうに訊ねたことがあった。蒙古斑のできない種族からみたら、赤ちゃんのケツが青いのは驚きのパララックスなのである。(書評No505) ※◎「ヒューマン」 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-04-03 17:08
| 書評
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Comments(6)
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from でこぽんの読書日記
at 2005-04-03 21:48
タイトル : [日常]『ホミニッド』買ってきました。
聖月さんが、読むべし、読むべし、買うべし、買うべし、な〜んて(?)おっしゃってたので、速攻で買ってきました。 このままだと芸がないので、うちのモモちゃんに持ってもらいました。 可愛いでしょ? モモちゃんが敷いているのは、作りかけのパッチワークです。 春のバッグになる予定ですの。 ... more
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from でこぽんの読書日記
at 2005-04-05 23:42
タイトル : [読書]ホミニッド―原人―/ロバート・J・ソウヤー
ISBN:4150115001:detail★★★★★ 面白かったなあ〜。私は『イリーガル・エイリアン』よりこちらの方が好きです。ISBN:4150114188:image 三部作の一巻目ということで、終わり方があっさりとなっているのは仕様がないでしょう。 とにかく読みやすいです。 SFというと、わけわからん設定やら、そんなのアリ?みたいな物理学やら、読んでいて退屈な説明が多いのだけど、今回のソウヤーは生物学的な疑問から、もう一つの地球があるという平行世界を考え、全く別の観点から人類を観察してみたらど...... more
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from 仙台インターネットマガジ..
at 2005-05-30 16:31
え!?これ、図書館の予約してるんだけど、やっぱり買ったほうがいいですか?すっごく面白そうですね。今から買ってこようかな~。
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でこぽんさんだったら、多分図書館から借りても面白かったら買いますから、多分買うことに。
だから面白さ確認してから買ってもいいのかもですね。 家族全員用に(^.^) でも今買いに行くってのも速攻で素敵♪
「1000円握り締めて、家族で買いに行くべし。読むべし。楽しむべし。語るべし。」な~んて、おっしゃるものだから、ほんとに買ってきちゃいましたよ。それにしても地図まであって、なんとも分かり易い書評です(笑)。
さあ、読むぞー! あ、買うまでのいきさつを書いてくださって、どうも有難うございました。 ふふふ。あんなふうに載せると、よくわかって楽しいですね。では~。
なんか、鳴り物入りのゲットのようで(笑)
面白くなかったら買った勢いは捨て去り、正直に書いてくださいませ(^.^)面白いけど。 はい、またしても地図を盗むなどという所作をはたらいてしまいました。 でも地図も逆さまに見ると、視点が変わり視差出現ってやつで。
勝手に買ってきて良かったです。もう夢中で読みました。めちゃ面白かったです。どうもありがとう~。。。
まあ、止めようとしても止められないわけですから・・・(笑)。
少ししたら『イリーガル・エイリアン』も読もうと思っていますよ(^.^) |
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