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「本のことども」by聖月

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2005年 05月 22日

〇「名探偵症候群(シンドローム)」 船越百恵 光文社カッパノベルス 940円 2005/3

〇「名探偵症候群(シンドローム)」 船越百恵 光文社カッパノベルス 940円 2005/3_b0037682_1747189.jpg 多分、本書を既に読んでおられる方、もしくはこの書評を見て読まれた方は、こういう風に思われるんじゃないかな?えっ!聖月さんは、こんな本も読まれるのですか?って。

 はっきり言って馬鹿馬鹿しい、けど、面白い。ベタ、だけど、笑っちゃう。評者は火曜ワイドスペシャルなんてものを自らの手でチャンネル選択などしないのだが、鹿児島の自宅のお茶の間で晩酌しているときなどは、チャンネル権を主張することもないので(観たい番組があれば自分の書斎で観ればいい)、2時間スペシャルドラマの大好きな嫁さんの選択で、結構番組自体は眺めてしまうことがある。ミステリーでサスペンスでシリアスなドラマが大抵なんだけど、たまにドタバタでコメディででもミステリーみたいなドラマがあったりして、どうせくだらないのであれば、評者はこちらのほうが好みなのである。いかにも臭い芝居ながら、どこか可笑しくて楽しいみたいな。本書もそういうタイプのライトな、いや軽すぎる小説である。

 とにかく、一言でいうなら、寄り道妄想小説である。主人公の30歳負け犬女の妄想がうるさいくらいゴチャゴチャした寄り道小説である。男物のボクサーパンツを見て穴がないのを発見し、横から出して用を足すと聞き、横チンを想像し、ついでに横田君とか横井君とか横山君とか、かつて横チンという渾名だった同級生たちを思い出し、横チンと呼ばれてどう思っていたんだろう?なんてアホなことを考えてばかりいる愉快な、評者のような主人公である。趣味は電子工作。ラジコンロボに改造を加え、テリオス23号と名付け、そのテリオス23号はポットみたいに湯は沸かせるし、目覚ましにもなるし、カレンダー機能もあるしい、みたいな(笑)。

 そんな彼女が、幼馴染の結婚パーティーに誘われ、連れていく同伴者がいないのでエスコートサービスの男性を同伴し、行った先は陸の孤島となり(笑)、後に《嵐の結婚式場四重殺人事件》と呼ばれるようになる事件に遭遇し、名探偵として“超絶推理”(って、一体なに?みたいな(笑)を披露しようと頑張る冒険推理物語なのである。おまけに帯に“わたしの彼は、殺人鬼なのでしょうか!?”って書いてあるけど、読者は全然そうは思わない、なんともドタバタ風情のある物語なのである。

 多分ね、2時間ドラマのドタバタ物が好きな、特に女性の読者には評者以上に面白いかもね。馬鹿馬鹿しいんだけどね。でもね、こんな本を2冊続けて読むにはアホらしいんだけどね。まあ、試してご覧なさい。(20050522)

※さて、次はハードな感じのやつを読もうっと(書評No522)

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by kotodomo | 2005-05-22 17:50 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 読書飛行 at 2005-11-10 21:16
タイトル : 船越百恵『名探偵症候群』
船越百恵『名探偵症候群』いやいや、面白かった。何度も笑った。主人公は32歳の女性。編集者。彼女の一人称で物語は語られる。しかし、彼女の語り口調が時折凄くハイテンション。感情ありユーモアあり脱線あり。冒頭で恋人に別れを告げられるシーンの描写からして笑わせて...... more


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