2005年 06月 06日
今週末は鹿児島へ。 子供の父親参観にあわせて(^^)v 本当は20日の嫁さんの誕生日にあわせようと思っていたのですが・・・ 嫁さんに“どっちにあわせて帰ろうか?”って訊いたら、 “あたしの誕生日はまだまだ何回もあるけど、父親参観に出る機会はいつかなくなるよ♪”ってさ。 ということで、一年前の参観はこんな様子だったなあ。 関連記事:あれから一年 無事に楽しくそして少し淋しく暮らしています ********************************** 5月の末に一旦、勤務地東京から鹿児島へ戻った評者。家族との約束通り、月に一度は帰省の第一回目。今回の目的は、家族サービスもあったのだが、一番の目玉は父親参観への出席。1時間目は低学年1年生の下の娘のクラス、2時間目は高学年4年生の上の娘のクラスを見学。でも、評者が他の親と違うのは1時間という授業の間、ずっとクラスにいないことにある(なんか変だな。ずっといないわけじゃないぞ。ずっとはいないってことだからね)。家での娘たちを見ている。そして教室での子供たちの発表風景、位置づけを確認したら、自分の子供のことはもうどうでもいい。そこからは観察、観察なのである。まずは気付いたのが、下の娘のクラスの、女の子の大半の筆箱がディズニーのプリンセスシリーズであったこと。白雪姫やシンデレラや眠れる森の美女などが一緒にデザインされたヒット作。中の鉛筆や消しゴム、定規までそのデザイン。大人気でメーカーはガッポガッポ儲けているんだろうけど、多分買ってもらえない、揃えられない子供たちもいるんじゃないかと思う評者。その点男の子の筆箱は各人各様。遊戯王だったり、カービィーだったり、なんとか戦士だったり。小学1年のこの時点で、男女の性格的な性差が持ち物に現れているのである。 次は、他のクラスの見学に。自分の子供の先生を見て、満足したり不満を持ったりするだけじゃあ、せっかく学校に来た意味はない。他の先生の授業も見なきゃ。そんなして歩いていると図書室を発見。並んでいる本を眺める。評者が小学校の時分は、江戸川乱歩やSFばっかり読んでいたものだが、今はそういう本が少ない。逆にファンタジーが滅茶苦茶多くなっているようだ。 2時間目、上の娘のクラスに行って、ある違いに気付く。下の娘のクラスの生徒たちっていうのはまだ一年生、表情に屈託がないし、泣き出す子も二人ほどいてまだお子様の集団であったのだが、上の娘のクラスの子供たちの表情には「分別」というものが滲み出してきている。これから、考えたり悩んだりするわけで、友情やいじめやそんな狭間の中で生きていくわけなんだなと親としても思うわけである。小学生の起こす事件なんてのが世間を騒がせているが、やはり一個人としての私はこの頃から芽生えていることを父親として学習した評者なのである。 ところで、事件があった。評者、小用を足しにトイレに入ったのである。便器は意外に大きくて、大人が使っても失敗しないくらいであった。のだが、ハラリ。なにがハラリかというと、多分新陳代謝的に評者の足の付け根にもうしがみついている力のなくなった、お毛けがハラリと男子小用便器の上に落ちたのである。駅のトイレなんかだったら気にしないのだけど、子供たちがナンゾ?こはナンゾ?と思うと困るし、狼男が現れた証拠だと言ってクラスに持ち帰る子がいたら胸が痛いし、そんなわけでちゃんと始末した評者のお茶目な事件簿なのである。 実は本書『おれは非情勤』は、そんな小学校を舞台にした非常勤務の先生を主人公にした物語なのである。主人公に名前はない。主人公は非常勤務の「俺」である。そして題名をよく見てほしい。非常勤ではなく非情勤であることを。そう俺が主人公の小学校ハードボイルドなのである。俺が勤務した学校で事件が起こる。俺はどこかおかしいと思う。非常勤の俺は知ったことじゃないが、自分のクラスのことなので、調べないわけにはいかない。やはり、俺の思ったとおり・・・。そんな連作短編集なのである。 また表題の『おれは非情勤』の連作短編は、あの学研の『学習』の5年生、6年生に掲載されたものであるし、文庫化に際し収録された「放火魔をさがせ」も「幽霊からの電話」も科学と学習の特別号に掲載されたものである。評者の評価は高くないが、決して面白くなかったというわけではない。東野圭吾が書いた小学生用の極上の小説も、結局は子供たちに興味を持って読んでもらうべく観点から書かれているわけで、それを知らずに読み始めた評価がこれなのである。図書館で借りて読んだ本なのだが、今度上の娘にプレゼントしようかと思っている。小学生の観点から読んだら、こういうミステリー仕立ての軽いハードボイルドは新鮮で面白い読み物だろう。価格も税込み500円。優しい値段なのである。(20040602) ※子供に東野作品を読ませて、ついでに自分も一緒に楽しみたい親御さんは是非。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-06 07:44
| 書評
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from ご本といえばblog
at 2005-06-17 21:44
タイトル : 東野圭吾 「おれは非情勤」
東野圭吾著 「おれは非情勤」を読む。 このフレーズにシビれた。 すぐにみんな忘れちまうさ。それなのに本人だけがくよくよ悩んでるなんて、馬鹿みたいだと思わないか。おまえたちは、もっとスケールの大きなことを考えろ。何事にも逃げちゃだめだ。逃げて解決することな... more
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from たこの感想文
at 2006-01-17 10:54
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from itchy1976の日記
at 2006-07-23 18:02
タイトル : 東野圭吾『おれは非情勤』
おれは非情勤集英社このアイテムの詳細を見る 今回は、東野圭吾『おれは非情勤』を紹介します。本書は、小学生向けの雑誌で掲載されていたものを文庫化したものである。ミステリー作家を目指しているために非常勤教師になっている「おれは非情勤」シリーズが6編と小林竜太という小学生が主人公になった「放火魔を探せ」と「幽霊からの電話」の2編が収録されている。 「おれは非情勤」シリーズの6編は以下のとおりである。全部において、簡単な謎解きに関して、主人公の非常勤教師が探偵となって事件の解決に至る。そして、犯人に当たる...... more
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from 東野圭吾さんのファンブログ
at 2011-07-25 21:51
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