2005年 06月 08日
書店では、ポッターものが流行ったり、チーズものが流行ったりしているが、実は陰陽道ものと安倍晴明ものも静かなブームなのである。中でも本書は、学術的、正統的なものである。と言っても副題に「謎の大陰陽師とその占術」とあるように、現代の常識からは遠いところに位置する話であり、学術的といっても相当に面白い。まるで講談を読んでいるようだ。 まず、陰陽道は「おんみょうどう」と読む。陰陽道は森羅万象を陰と陽に大別する。男が陽で女が陰。男は陽根を持ち、女は陰門を持つ。日輪は太陽、月輪は太陰。旧暦の暦を太陰歴と呼ぶのもこれで納得。黒色が陰で、白は陽。狸が陽で、狐は陰。よくわからないが納得してしまう。 安倍晴明は平安の時代、陰陽道の祖であり、また呪術の並びなき使い手とみなされていた陰陽師である。その前世から生い立ち及びエピソードが本書では語られている。圧巻は芦屋道満との術くらべである。蜜柑が15個入った器が用意される。中身とその数を言い当てる術くらべである。道満が先に中身と数を言い当てるのであるが、勝負は清明が勝つこととなる。理由は読んだときのお楽しみに。 この本、本文が200頁。用語解説が60頁。巻末付録が20頁。解説や付録は読まなくても問題ない。本文だけでも是非読んで欲しいのだが、問題があるのが出版社。学研M文庫は、書店にはあまり置いてない。図書館にも無い。インターネットが一番手っ取り早いのだが。 ※インターネットで入手。単行本にて学習研究社から発売されていたものの文庫版 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-08 08:00
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