このミス2003年版国内9位ランクイン作品、本格系である。
物語は、二つの話が交錯して進む。ひとつは、関西空港からの電車内で「グラン・ギニョール城の謎を探れ」と言って死んだ男の、その言葉の意味を追って動く探偵の物語。もうひとつは、作中小説の中での実際のグラン・ギニョール城を舞台にした物語である。
グラン・ギニョール城に数人の男女が集まり、不可解な連続殺人が発生する。よくある話である。ところが、この話自体が、過去に書かれた小説内のお話なので、それが現代において謎の言葉を残して死んだ男の話とどう連結していくかが本書の読みどころなのである。
読みどころなのだが、評者にはどうでもいい結末であった。ただし、文体や粗筋は非常にスムーズな運びで、二重構造の小説が好きな本格ファンには、大いに受けるところなのかもしれない。2001/11の発行で、2002/10締め切りのこのミスでベストテンにランクインした背景には、そういう理由があるのかもしれない。(20030103)
※ 図書館で借りる。
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