2005年 06月 24日

〇「権現の踊り子」 町田康 講談社 1500円 2003/3

b0037682_756478.jpg 評者は石原出版社発行の10年日記(2001~2010)というものを使っている。たま~に。すっごくたま~に。要するに日記としては使っていないのである。そりゃ、最初のうちは、きょうは床屋に行っただの、誰それと飲んだなど、覚え書きくらいのことは書いていたのだが、やめてしまった。自分はこの前いつ髪切ったっけ?とか、あいつと飲んだのいつだっけ?とかいう理由のために日記を読み返したりしないことに気付いたからである。で、当初この日記を買おうと思った動機に基づいてのみ使用している。読んだ本の記録。

 この10年日記というのは、1頁が10段に区切られていて、例えば評者の誕生日の5月7日を開くと、上の段から2001年の5月7日、2002年の5月7日…最後が2010年の5月7日となっているのである。1頁めくると、5月8日評者の誕生後夜祭の日、次が5月9日評者の誕生後々夜祭という構成になっていて、要するに正月元旦から日記を毎日つけていくと、大晦日には最終頁に行き着き、翌元旦には最初に戻って2段目から書くこととなるのである。結局、2年目以降は、ああ、去年の今日はこんなことしてたんだ、と確認しながら書けるのである。で、評者、そこの頁にも何も書き込みしていない。だって、あれだよ。10年経って、5月7日の頁開いたとき、上から下まで10行も「きょうは誕生日だった」「今日は誕生日だった」…って書いてあるのは異様じゃないかなあ?って、もっと書くことあるだろうけどさ。

 冗談はさておき、評者が使っている日記の部分はごく一部、ひと月の予記を書く部分である。本来の使い方は、その月の予めの予定を書いておく備忘録的なものなのだが、評者はそこに、その月に読んだ本の題名と作者と評価記号のみ書き込んでいる。これがすこぶるいい。この頁も10段にわかれているので、3年目に入った今年、記録をつけながら、おお去年はこの月10冊読んだのかとか、ああ、あの本読んだの2年前なんだなあと、書いていて楽しいのである。「本のことども」の過去ログを見ればいいじゃないか?いやいや、確かに列記はしてあるが、読んだ時期が一覧できないし、何より最初の頃は週2冊更新と決めてやっていたから、漏れている作品も多いのである。そう、町田康の作品群。

 評者の日記というか、日記に書きとめた記録によると、2001年9月16日に読了しているのが、町田康初読となった『夫婦茶碗』◎◎。これを書評にアップして以降は、町田康を読んでも書評にあげていないのである。以後、2001/12/3『屈辱ポンチ』〇、2001/12/22『耳そぎ饅頭』◎◎、あと列記『きれぎれ』◎、『くっすん大黒』◎、『へらへらぼっちゃん』…と読んでいるのだが、書評に取りあげずにきている。というのも、町田康作品および町田節について書くのがどうも面倒なのである。とにかく読んでくれ、それでわかってくれと言いたくなる作品群なのである。先にあげた書名のうち、『夫婦茶碗』と『耳そぎ饅頭』がそれぞれ小説と随筆ながら日本語を自在に操る町田節炸裂、『きれぎれ』『くっすん大黒』はどちらも小説で町田の奇想、形而上を味わえる作品として押さえておきたい。これら4作品を押さえても、町田康ってなんなのこの作家?と思う読者には、もう町田康は合わないと言っていいだろう。

 本書『権現の踊り子』は、これまで読んだ町田作品の中で、一番理解しづらい。というか、他の作家が書いていれば、より形而上性の高い文学ということができるのだが、町田康に日本語のパワーと奇想の融合、加えて笑かして欲しいと望む評者としては、ちょっと意外な真面目な作品群のような気がする。ああ、言い忘れていました。これって、短編集です。

 しいてあげれば『矢細君のストーン』が一番好きな作品であろうか。電話で矢細君に呼ばれた主人公が、普段履きにしているホーチミンサンダルをつっかけて出向いていくのだが、こういうホーチミンサンダルという単語との遭遇にあなたはどう反応するのか?そこが、町田節を気に入るかどうかの踏み絵なのかな?評者は“ぶわっっははは!なに?これ?なんでこいつ、ホーチミンサンダルなんか履いてやがんだ。おっけしー!”と反応したのである。(20030606)


※評者は『夫婦茶碗』をよく他人に薦めるが、実際町田康を読んでおきたい、押さえておきたいという読者のためには芥川賞作品『きれぎれ』かドゥマゴ文学賞作品『くっすん大黒』がお薦めなんだろうな、定番作品として。

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by kotodomo | 2005-06-24 07:57 | 書評 | Trackback | Comments(0)
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