2005年 06月 30日
しばらくの間、評者の思い込み、勘違いにお付き合いいただこう。実は最近、とんと翻訳作品の最新情報がわからないのである。今年もこのミスの海外編ランキングを眺めながら、全然知らんやないけ!あらためて思った一年である。で、最近海外物著者借りを始めたのである。既評コナリー『チェイシング・リリー』グレシャム『ペインテッドハウス』などがそれである。鹿児島市立図書館には分室代わりの公民館がいくつかあって、最寄りの公民館には新作コーナーが作られている。そこの海外物の新作を著者名を頼りに借りている次第なのである。 今回借りたのが本書『七つの丘のある街』。勿論、トマス・H・クックという著者名だけで借りてきたのである。かつては『緋色の記憶』などの記憶シリーズで、最近でも『闇に問いかける男』等で、ミステリーランキングの常連作家、こりゃ新作が早くも借りれた、シメシメなのである。 男女二人組。たまたまの通行人に車の上から声をかけ、乗ったが最期(って普通乗らないんじゃないの)、少なくとも解放することなく連れまわす。そんな犯罪を淡々と順を追って描写していくこの筆は『緋色の記憶』などでみせた作者のカットバック手法などとはちょっと違う。中盤、意外に簡単に警察に御用となった犯人二人組。そこからは、警察での取り調べを経て、裁判へと場面が展開していく。なるほど、これは犯罪小説であり、法廷小説でもあるのだなと思う評者。でも終盤にさしかかっても、いわゆるヤマがないことに気付く。もしかして、こ、こ、これは!!と思い始めたのが、ラスト30ページ。そして読み終えても半信半疑で、訳者あとがきで確認。そう、この本は史上最年少の18歳での女性死刑囚の犯罪と裁判を書いたノンフィクションなのである。 今から20年前の犯罪を、1990年に書いた作品で、そうなると米国人以外にはちょっと説明不足で終わってしまう内容と言えよう。想像してみたまえ。例の和歌山カレー事件。この事件の記録を誰かが10年後に書いて、それが20年後に翻訳されてみたまえ。読んだ米国人はチンプンカンプン。事件のあらましはわかっても、それで?どうしたの?だから何?ってな感じかな。今の評者がそうである。クックが例の史上最年少の女性死刑囚の犯罪について書いた本なのだが、例のといわれてみても、それに思い当たらない評者にとっては、どうも説明不足の小説を読まされた感じであった。 とういうことで、これ書き終わったら、例のとこに行ってこようっと。(20031230) ※クックの新作ミステリーと間違えて買ったなら、ガックシくること間違いない。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-30 16:09
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