2005年 06月 30日
『陰の季節』や『動機』などの初期の横山警察小説を評して、横山秀夫の作品は体力と気力が半分の高村薫みたいと揶揄されている記事に笑いながらも大いに頷いた記憶のある評者なのだが、本書を読んでいたら今度は向田邦子を思い出してしまった。向田邦子書くところの、落し話的ミステリー、主人公は盆栽好きな老人、その老人の日常を描きながら、日常に潜む意外性を書く短編集みたいな。要するに、なんか古臭いのだ、本書『真相』。加えて、読んでいて読みやすいのだが、心にあまり残らない。 税理士、選挙、リストラ、犯罪など広い題材を集めながら、結局小道具に著者の古巣である新聞社の事情が絡んでくるあたりは興味深いのだが、各作品がそこまで興味深くないので、心にあまり残らないのかな。まあ、読みたい人はどうぞ。(20040104) ※鹿児島市立図書館で借りる。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-30 16:21
| 書評
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Comments(4)
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from 本を読む女。改訂版
at 2005-09-18 04:44
タイトル : 「真相」横山秀夫
真相posted with 簡単リンクくん at 2005. 9.14横山 秀夫著双葉社 (2003.6)通常2??3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 「クライマーズ・ハイ」を読んですぐにこれを読みました。 長編も読み応えありますが、横山氏の短編はやっぱり凄い。 なんていうか無駄もなく、技術的にかなり計算されてる感じがするのに、 人情味厚いし読後感も豊か。まさに職人芸、な短編集です。 主役は世間でいうオヤジ層?30代以上の、ちょっと負けちゃってる人々。 昔...... more
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from 三匹の迷える羊たち
at 2006-01-23 00:06
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from たこの感想文
at 2006-10-26 12:22
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from 仙丈亭日乘
at 2007-03-27 18:39
おはようございます。ただいま高村薫「レディ・ジョーカー」を読み終えたばかりで、この「横山秀夫の作品は体力と気力が半分の高村薫みたい」との記述には私もかなり笑わせてもらいました。ほんまそうですね・・・疲れました。レディ・ジョーカー。傑作でしたが。
私もこれ、横山氏の初期の作品かと思ってましたが、案外最近だったのが意外でした。
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おはようございます。私も本日は4時から起きて読書(^.^)一冊読み終えたとこでした。
この作品はキレがない唯一の短編集かと。気力と体力も(笑) 高村薫。出逢いは『リヴィエラを撃て』。未だにこの作品を超える作品は私的にはないようで・・・いや『レディ・ジョーカー』も『マークすの山』もそれなりにだったんですが。 短編では『地を這う虫』これがよい。この短編集と横山短編集比べたら、まったく気力と体力が2倍。 脱ミステリーの『晴子情歌』、これは久々にがっしりした小説の堪能でしたね。 高村薫、好きな作家の一人ですね。
こんばんは。「リヴィエラを撃て」は私もかなり前に読みましたが、CIAとか出てきたやつでしたっけ(・・あほ丸出し)圧倒されたのを覚えてます。
職場の人が高村薫の大ファンで、『晴子情歌』もすぐに貸してもらえるのですが、図書館で文体を一瞬読んで「無理」と思ってしまったので、気力体力とも復活してから手にとってみます・・。でも完読の自信ないなあ。 しかしそのファンの人、高村氏の作品を読みすぎて、分厚くて濃い本しか読めない人になったみたいで。今よく読んでるのは福井晴敏らしく、「工作員とか好きなんですが」と聞いたら複雑な顔してました。(笑)
リヴィエラ買ったときは、本なんか読んでいない時期で、中身も知らぬまま、読んでいても一体なんの話?なんて感じで読む進め、途中から衝撃が・・・
『晴子情歌』静かに厳かに読む本かも。一昔前のNHK朝の連続ドラマを難しくしたような・・・なんやそれ。 いや、よかったですよ。 |
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