「本のことども」by聖月

kotodomo.exblog.jp
ブログトップ
2005年 07月 02日

◎「浄土」 町田康 講談社 1680円 2005/6


 久々に読む町田康の短編集である。読み始めて、うひょひょひょ。ええやないか。こんなんええやん。最初の短編「犬死」でいつもの町田節を堪能。ぐふふ、ぐうとか奇妙な音声を微かに発しながら、読み進める評者なのであった。いつもの奇想、いつもの馬鹿主人公、いつもの巧みで新しい日本語の操り。やっぱ康ちゃんしかおらん!ビバ!とベッドの上でビバった評者なのである。

 今回やっとわかったことも・・・これまで、町田康の作品を読みながら、どこが本質的に好きなのか言葉になっていなかった評者だったのが、今回やっとわかりました。町田康の作品には、大体において一人称視点の馬鹿主人公が登場し、馬鹿をし、馬鹿をグダグダし、馬鹿をニュルニュルと奇想し、それでも俺ってイケてる?なんて感じなのだが、こういう主人公と評者は友だちになりたい、お友だちになりたいけど周りにいないから擬似お友達?似非お友だち?お友だちもどき?空想お友だち?って言い方はどうでもいいのだけれど、読書しながらお友だちやん、おい主人公!って感覚で読むのが好きなのだなあ。

 そりゃあ、評者の周りにも、評者の過去にも馬鹿はたくさんいたけれど、これだけの語彙を持ってこれだけの奇想をニュルニュルさせて言語に表せる馬鹿な友だちっておらんもん、モランボン。手垢のついていない新しい日本語で、馬鹿くさる友だちはおらんもんなあ。いたら愉快なのになあ。などと、思いながら町田節に踊る主人公が本質的に好きなのが、今回よくわかった。やっぱ康ちゃんしかおらん!ビバ!ビバ!ビー。「どぶさらえ」アホや、「あぱぱ踊り」なんど?「本音街」うきゃきゃ。ビバ!ビバ!ビーバー(^O^)/あれっ?

 あれっ?後半の3編「ギャオスの神話」「一言主の神」「自分の群像」は、あれっ?いつもの康ちゃん、ちゃう。そんなん、康ちゃんじゃないやいと泣き出す洟垂れ小僧。おほん。どっちかいうとですなあ、◎『アマチャ・ズルチャ』深堀骨とか、◎○『熱帯』佐藤哲也の世界ですねえ。バカミスっていうか、バカボンパパっていうか、バカSFっていうか、グフフなんだけど、一本粗筋が通り過ぎっていうか・・・例えば「ギャオスの神話」なんて、怪獣ギャオスが東京の中野に突然現れたという設定で、あとは面白おかしくハチャメチャにお話が進んでいくわけで、こんなことは他の作家たちも色々書いてきたわけで、康ちゃんらしくないのである。っていうか、こんなんも書くんやね、康ちゃんは、ふ~ん。

 でも、なんだかんだ言いながらも、町田康は評者の文章の師匠であり、本書も特に前半部分は、評者にとっての文章教本なんだよねえ。だから、読むべしなんだよねえ。じょうどをどうじょ、ってか!(20050629)

※最近とんと話題にのぼらなくなった◎『アマチャ・ズルチャ』深堀骨もビバお薦め(^.^)(書評No536)

書評一覧
↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
[PR]

by kotodomo | 2005-07-02 10:48 | 書評 | Trackback(3) | Comments(8)
トラックバックURL : http://kotodomo.exblog.jp/tb/3036773
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from まっしろな気持ち at 2005-09-08 09:19
タイトル : 浄土
 まず、先に言っておこう。私は、町田康の作品に何度も挫折している。著者の作り出す言葉の意味が、正直よくわからない。慣れない言葉を読むのに、どうしても時間がかかる…そんな理由から、避けていた。けれど、誰かが面白いというたびに、いつでも気にしていた。タイトルだけな... more
Tracked from 本のある生活 at 2005-09-21 12:42
タイトル : 浄土
浄土 町田康 初町田さんです。以前町田さんの書く新聞のコラムを何度か読んだ事があったのですが、おもしろいのだけれど読んでいてひたすら疲れる!とにかく疲れるので、コラムくらいならともかく小説なんてとんでもない!と、敬遠していたのです。でも、読んでみたらこ....... more
Tracked from 読んだモノの感想をぶっき.. at 2006-01-24 12:37
タイトル : 浄土 (町田康)
『パンク侍、斬られて候』に続いて2つ目の町田作品。短編集(7編収録)。 壮大な新喜劇のようだった『パンク侍、斬られて候』は面白かったけど、この作家の息遣いを生々しく感じ取れた、という意味ではこちら、というか、作品集としての出来栄え云々より、この作家は類稀な短篇~中篇の書き手かも。 たいていの作家はキャラとプロットの力で読者を牽引していく。「この二人はどうなってしまうんだろう!」「この対立の結末は如何に!?」みたいに。文章が上手いとか文体が魅力的な作家はたくさんいるけれど、キャラとプロットの魅力...... more
Commented by 美結 at 2005-07-01 09:48 x
おはようございます
先日、お願いに参じましたReading Baton受け渡しに参りました。
ネットを走り抜けてくださいませ。
TBはしていないので
http://greenfields.269g.net/article/454558.html
でリンクしてくださいね。
Commented by 聖月 at 2005-07-01 10:22 x
美結さん おはござです(^.^)
今まで何回か答えてきましたが、一度もロクな答え方していない私(^.^)
今回も多分・・・自分のやり方でネット走り抜けるはずですので、回答方法が期待に添わずとも・・・悪しからずなのです。一両日中に(^.^)
Commented by ましろ at 2005-09-08 09:15 x
聖月さん、おはようございます。
最後まで読むことが出来た、町田作品。
記念すべき1冊目がこの本となりました。
聖月さんのように、うひょひょひょぐふふビバ!ビバ!ビー…と、
そこまで浮かれることが出来なかったのが悔しいので、
今後はもっと町田作品を読もうと思います!

こちらからも、トラックバックさせてくださいませ。

Commented by 聖月 at 2005-09-08 09:25 x
ましろさん おはようございます。
最初の町田康が『夫婦茶碗』でこれを読んだとき、腹がグフグフでした。
私にはとっても感性の合った作家で、いつも琴線がグフグフなのです。
友人たちは“どこが?”って反応の人間も多いので、感性が合えばの作家ですね。
でも『告白』は、あれは感性とかじゃなく力作でしたね。
逆に芥川賞の『きれぎれ』は、私にとってはまあまあ。
文体作家としても、非常に好きなのです、うくく。
Commented by june at 2005-09-21 12:49 x
こんにちわ。はじめまして。
町田さんの作品には苦手意識があったのですが、
聖月さんのレビューを読んで気になっていました。
それが、読んでみたら意外にも心地よくてびっくりしています。
他にも読んでみたくなりました。
Commented by 聖月 at 2005-09-21 13:41 x
juneさん はじめまして、ようこそです。
町田康大好きなのです。でも人により反応が違うようで、琴線というものが違うんだなあと。
一応万人向けのグフフ小説は『パンク侍、斬られて候』でしょうか。
最近は、誰も否定できない永遠の力作『告白』も書きましたが。
早く新作の読みたい作家の一人です(^.^)
Commented by notaro_hinemojira at 2006-01-24 12:57
わたしの場合、『パンク侍、斬られて候』よりこっちの方が、この作家の魅力が分かりやすかったです。次は『告白』いきます。
Commented by 聖月 at 2006-01-24 13:07 x
乃太郎さん それだったら、初期の作品もかなりいきまっせ。
『東京飄然』もいいでっせえ、そういう意味で。
『告白』は・・・私的には別格かと。


<< △「再生巨流」 楡周平 新潮社...      「本のことども」書評一覧 書評... >>