2005年 07月 01日
本好きの方は、読書の敵というのを考えたことがあるかもしれないし、考えたことがなくても色々挙げることができるだろう。煩い家族に家事、近所の騒音、評者の場合の飲酒癖、遅くまでの仕事、オリンピックテレビ観戦(評者はニュースのみ)、新作のゲーム(評者は8年くらい前に卒業)、資格試験の勉強などなど。 鹿児島の家族の元を離れ、東京で一人暮らししている評者の場合、その多くをシャットアウトできる環境にある。だから、今、図書館から予約した本が怒涛のように到着している現状も、読書の敵を排除することにより、なんとかやり過ごしている。一番の敵は、これはどうしても排除できない、休みの日の半日が潰れる書評という作業だが。 ところがである。これまでになかった読書の敵が、評者の部屋に現れたのである。ある程度無視することもできるのだが、やはり邪魔者である。結局、無視できないものとは・・・虫である。ショウジョウバエである。どこから湧き出してきてるのか、探索しても不明。ならばと、殺虫剤を噴霧しても意外に効かない。これが普通の蝿とかゴキブリだったら、殺虫剤で効果覿面なのだが、どうもこのショウジョウバエという生物、下等な生物なんだろう、息をあまりしてないんだろう、弱りこそすれ、結局復活してしまう。結果、五月蝿いなあと思いながらも読書を続け、机にとまったとこなどをタイミングよく叩き潰す毎日なのである。 昔よくあった蝿とりリボンでもあればいいのになあ。もうあんなの売ってないだろうなあ。そう思っていたら、近くのスーパーにありましたがな。いや、蝿とりリボンはなかったのだけど、その名も「アース ハエ取り棒」。台座に穴があいていて、そこに4本の棒を立てるの。その棒が甘い匂いを出すの。そいでもって、その棒、ベットベットのネッチョネッチョなの。だから、ショウジョウバエのやつもこれにとまったら身動きとれなくなるの。飢え死になの。ちょっとハエのかかった棒なんて、見た目不潔な気がしないでもないけど、これで退治しちゃうんだもんねえ、なのである。買って、設置して、ワクワクの評者。もうかかったんじゃないか?もうかかったんじゃないか?と、しきりにハエ取り棒を見遣り、もう読書どころではない。って、本末転倒。 ところが・・・ショウジョウバエの下等さをどうやら甘くみていたらしい。殺虫剤を吸収しないくらい下等な生物は、甘い匂いにも反応しないのである。全然、よりつかないのである。だから仕掛けて一週間経ったのだけど、今のとこの収獲は、犬も歩けば棒に当たる的に、ただ運悪くぶつかってしまった蚊が一匹だけなのである。グスン。で、ショウジョウバエはどうなったかって?全部、手で潰した。壊滅した。多分、気候も穏やかになりつつあるので、もう沈静化するんじゃないのかな。 さてと、そろそろ本題に入らなければいけないのだが。本書の題名の『狗』これを読めない方のために、今までの文章に読みも意味も一緒の単語を埋め込んでおいたのだ。さて、どれでしょう?答えは、犬も歩けばのイヌ。本書の背表紙にも意味が書いてある。"狗=①犬。家畜の一種。②卑しい者のたとえ。③小川勝己が描く美女" 本書には5つの短編が収められているが、③の意味にあるように、空恐ろしい女たちが題材になっている短編集なのである。ところがである。面白くないのである。どのくらい面白くないのかというと、電車の網棚で拾った、普段読んだこともない週間ナントカコミックの読み切り漫画だけ読んでみたけど、どこが面白いの?この漫画?ってえなあくらいに面白くないのである。 自分の結婚式を台無しにしてくれた悪女な元カノの結婚式に復讐を企む話。初めて行ったキャバクラの女に、滅茶苦茶しつこくされる話。生徒の親と関係を持ってしまう教師の話などなど。そしてそれがそれだけの話なのである。 実は、評者はこの作家好きなのである。特に既評の『撓田村事件 iの遠近法的倒錯』なんか、めっちゃ完成された小説だと評価している。だから読んだのだが・・・時間の無駄だった。こういう本の存在自体も、読書の敵に他ならない。でも、小川勝己殿。次は期待してまっせ。連載で金稼ぐのではなく、渾身の作品をみせてちょ。(20040825) ※図書館予約本の中のハズレ本である。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-07-01 13:56
| 書評
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