2005年 09月 24日
例えば、評者はテレビという機械にもう何年も親しんできているのだけど、結局画面になぜ画像が映るのか、そういう仕組みはまったくわかっていない。放送局が電波を飛ばして、それを受信して映像と音声に変換するわけなんだけど、どういう仕組みで空気中の電波が番組として目の前に出現するのか、技術的なことは全然わかっていない。ビデオも然り。あのブヨブヨした磁気テープで再生されるということが理屈ではわかるのだが、技術的にはわかっていないのである。だから、トリックに技術を持ち出されても、ああそうですか、そうだったんですか、そう言うしかないのである。 例えば、何故彼らは離れた場所で、犯人たちのアジトでの会話を知りえたのかなんていう謎があった場合、普通でいう盗聴とか、犯人の中にスパイが混じっていたとか、初歩的なトリックの解明というレベルではなく、いやFBIは離れた場所から照準を合わせ盗聴するハイテク機械を持っていたからですと言われても、ああそうですか、そうだったんですかとしか、言いようがないのと同じなのである。 本書は、天才物理学者湯川と警視庁の草薙が事件解明に挑む連作短編集なのだが、常識的には不思議な謎が、科学的には不思議でもないよという落ちのパターンで、そこに出てくる人々がステレオタイプの人間ときたひにゃあ、まったくもって評者のような読み手には面白くもなんともないのである。 まだ『バケツのできるまで』とかいう題名で、謎なんかそこにはなくとも、そのために男の意地をかけた人間模様とか、バケツがなければ世の中こんなに不便になるみたいなシュミレーション物語で想像力をかきたてるような、そんな物語のほうが評者は好みなのである。以上。(20050924) ※それでも同じシリーズの『予知夢』読むんだけどさ、ははは。(書評No571) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-09-24 11:45
| 書評
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Comments(6)
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from でこぽんの読書日記
at 2005-09-24 17:03
タイトル : [読書]探偵ガリレオ/東野圭吾
ISBN:4163177205:detail ★★★ まあ、こんなもんでしょう。 面白くないとは言いませんが、期待していたようなカタルシスは得られなかったです。お暇なときに読む、軽めの読み物としては最適なんじゃないでしょうか。 先日読んだ『容疑者Xの献身』(id:yookoo:20050910)が素晴らしかったので、やはりこれはシリーズものとして、湯川助教授と草薙刑事の関係をより一層知っておきたいと思ったのですが。 ……別に読まなくてよかったです。 ミステリの短編連作集としては、物理や化学を駆使したト...... more
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from 日々のちょろいも
at 2005-09-28 22:31
タイトル : 『探偵ガリレオ』読了。
東野圭吾『探偵ガリレオ』の感想をこちらに。ええ、もちろんこれは最近発売された話題作、『容疑者Xの献身』に向けての予習なのだ♪ 個人的にはあんまり好みの作品ではなかったかも…(苦笑)。非常に読みやすくって読んでいる間はそれなりに愉しい作品ではあるのだけれ....... more
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from 本を読む女。改訂版
at 2005-09-29 01:15
タイトル : 「探偵ガリレオ」東野圭吾
探偵ガリレオposted with 簡単リンクくん at 2005. 9.27東野 圭吾著文芸春秋 (2002.2)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 自分で言うのもなんですが、私って高校に入るまではまあまあいい成績を とってたんですよね。理系文系問わず。 その私を文系の方向に否応なく導いたのが高校2年の物理の中間テスト。 勉強は熱心じゃなかったけど、一応試験前だけはしていて、 そして、とった点数は12点。100点満点中12点。・・・・。 赤点は30点...... more
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from K's Labo
at 2007-05-16 22:28
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from しんちゃんの買い物帳
at 2007-10-25 18:27
タイトル : 「探偵ガリレオ」東野圭吾
探偵ガリレオ (文春文庫)東野 圭吾 (2002/02)文藝春秋 この商品の詳細を見る 旬やからねえ。 警視庁捜査一課の草薙俊平は、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる大学時代からの友人がいる。帝都大学理工学部物理... more
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from 粋な提案
at 2007-10-29 04:13
タイトル : 探偵ガリレオ 東野圭吾
装画は塩谷博明。装丁は鶴丈二。初出オール讀物。連作短編集。再読。 警視庁捜査一課の草薙俊平は大学時代の友人で物理学科助教授の湯川学に、手詰まりな事件の解決協力を依頼。 燃える―もえる:突然燃え上がる頭/転写る―う... more
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でこぽん
at 2005-09-24 17:05
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やっぱり面白くなかったですよね。
安心しました。 私は『予知夢』は読みません。 では~。
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東野圭吾のこのスタイル小説は、あわない。というのが結論でしょうか。
多分『予知夢』もスタイルは変わらないのでしょうが、ことどもを作っている作家ですから、機会を見つけて未読のものを読んでいきたいのです。 たまには、この人の作品で泣いてみたい気もします。
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ゆま
at 2006-04-29 13:16
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私は面白かったです。面白くないって方がたくさんいるんだな〜と。知人にこのシリーズを勧めてしまったので、チョット心配になりました。
ゆまさん こんばんび(^^)v
なんだか、こんなことライフワークにしてると、素直じゃないかもしれませんね。 面白いって薦めたら、面白くないって言われないように、辛口みたいな。 でも、人それぞれで、やはりお薦めは勧めてコミュが成り立つ世界かと(^.^) |
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