2005年 12月 29日
まずはカバー表(おもて)の話から。題名の読み方・・・ずっとゼッケイだと思っていたら、使われていた漢字も違うし、小さくアルファベット表記があるのも読み取れるだろう。そう『ふうみぜっか』である。絶佳って言葉を知らなかった評者。ちゃんと今ワードで変換しても普通に出てくるし。風景が優れている様なんかに使う言葉らしいけどね。知っていました?ついでに、このカバー絵を大きくしたのには、もう一つ理由があって、色合いも森永ミルクキャラメルのようだが、あの四角いのも、そうキャラメルなのだよ。この本はキャラメルの箱をデザインしているのである。 ということで、カバー裏(うら)も携帯でデジってみた評者。表のやつはネットからなんだけど、裏の写真はないから自分で撮ってみたの。接写機能を使ってみたけど、なかなかいいね、うんうん(クリックすると大きくなるよ)。 ということで、ということで、ということで、本書は安心印、滋養豊富、風味絶佳の良品集。残念ながらグリコじゃなくて森永なので、一粒で二度美味しいとは謳えないが、滋養豊富、風味絶佳なのである。多分、美容や健康に気を遣う女性読者には受けがいいでしょう。表題作の「風味絶佳」なんて読めば、心と気力の滋養になるでしょう。 あと評者が気に入ったのが「夕餉」。女性が手の込んだ夕食を作るだけの表描写。そこに回想が挟まれて物語が構成されるのだけど、その挿入の仕方が上手いし、挿話のこちら側にある女性の作る夕餉が出来上がっていく様の描写も素敵なのである。是非、彼女の手料理を食べてみたい、そんな気にさせてくれる一篇である。 男性読者として、今ひとつ心から入り込めない部分もあったかもしれないが(「春眠」の父親やその奥様は自分勝手な悪人としか思えなかったり)、全体としてはまさしく風味絶佳なり。是非ご堪能を。(20051229) ※今年2005年は山田詠美の作品を読むようになった素敵な年でした(^.^)(書評No611) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-12-29 16:59
| 書評
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Comments(2)
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from 本を読む女。改訂版
at 2005-12-29 21:53
タイトル : 「風味絶佳」山田詠美
風味絶佳発売元: 文藝春秋価格: ¥ 1,290発売日: 2005/05/15売上ランキング: 3,854おすすめ度 posted with Socialtunes at 2005/11/10 友達の誕生日に贈るべく購入。先に読んでいいというので、 カバーをはずして汚さないように読み始める。 (ちなみにカバーをはずしてもこの本はかわいい) 読むのは5年ぶりくらいになるかもしれない、山田詠美。 これから「PAY DAY!!!」を読む予定でいるから、2冊連続だなこりゃ、と たいした感慨...... more
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from ぱんどら日記
at 2006-04-11 13:13
タイトル : 山田詠美【風味絶佳】
同級生で、カッコいい男の子がいた。 背が高くて肩幅があり(まるで吉川晃司だ)、先輩に受けがよく、友達として楽しく、後輩に慕われ、どこかでケンカを売られても負けやしない。そういうやつ。 女の子にはモテた。というか、 狙った女の子を確実にとらえる技 ...... more
そうそう、背表紙。私もにやりにやりと読みました。気がきいてますよねえ。聖月さん図書館で借りられましたか?だったら表紙はめくれないんでしょうけど、表紙めくった中表紙(っていうのかな)もとってもかわいいですよ。よかったら本屋でご堪能ください。
山田詠美の凄みを感じたすごい本でした。装丁は可愛いんだけどオトナの一冊でしたね。
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ざれこさん はい図書館本なのです。
そうですか、表紙カバーをはずすと・・・こういうときに図書館本はいかんですねえ(^.^) 長嶋有の『泣かない女はいない』とか、本屋で確認しないといけない本はたくさんあるのですが、いっつも忘れてしまって(^^ゞ 今度行ったら、色々確かめなきゃ。 ハリポタ4観たら子供たちと本屋に行こうかなあ。 |
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