2006年 06月 18日

◎◎「テースト・オブ・苦虫2」 町田康 中央公論新社 1785円 2006/5


 今は駿河の國でせっせと出稼いで働く評者だが、鹿児島時代は、出身地、生れ故郷ということもあり、せっせと働きながらもこれ飲み会が多く、飲み会が多いのはいいのだけど、1次会が終わると皆様すぐ2軒目行こうという話になり、評者の好きくないキャバクラなんどに行くわけで、評者もSSだからって、SSって何?って訊かれれば、そりゃスーパーサラリーマンの略だし、要するにスーサラだからお付き合いで一緒に行くわけで、なんでキャバクラが好きくないかといえば、女給と話するのが甚だ面倒だからである。

 そのキャバクラの名前が「おかえりなさい」なんていう名前で、入っていくと“お帰りなさい♪”なんて女給たちが声をかけてくるわけで、要するにアホな男どもに、仕事や家庭はあなたの仮の棲み家、あなたの帰るところはここなのよ♪などの浅墓な策謀が根底に見えているにもかかわらず、アホな男どもや評者の友人たちはまんまとその策謀にひっかかり、その店に帰っていくのである。仕方なく付き合いで入っていって、ついた女給が“お帰りなさい♪私の名前は由華よ。ユカリンて呼んでね♪”なんて言うのだが、自分が知っている女給は明美嬢にクンクンに靖子姫しかいないわけで、その3人が“お帰りなさい♪”というのならまだしも、見も知らないユカリンという女性にお帰りなんて言われるのは、知らない人の家に行ってお帰りなんて言われるのと一緒で甚だ片腹痛く、そう文句を言おうかと思ったのだが、バストが大きいので許すことにした。

 で、“お仕事は何?”とか“日銀の金融政策についてどうお思い?”なんてありきたりの質問で会話を盛り上げようというのが、評者が面倒に感じるところで、だからいつも途中で自分から切り返しの口上を述べて逆襲を図る評者なのである。少なくとも会話の早い段階で、もしくは無理矢理にでも“そんなのは、当たり前だよ”なんて返せる場面が出てくるわけで、そういう場合、東京のオヤジだと“そんなのは、あたりまえだのクラッカー”などと、鹿児島では放映されもしなかった昔のコマーシャルのギャグで笑いをとろうとして沈没するわけだが、評者の場合は“そんなのは、あたりまんこのじんじろげ、メリケン好みの毛が見える”と切り返し、“なに?それ?エッチそう?だけどわかんな~い。教えてユカリンにも♪”なんて話になってくるわけで、そこで滔々と、メリケン波止場なんて言葉を出して、鎖国中の日本、そうだなあ、長崎グラバー亭なんて、知らない?まあ、鎖国している日本にもゲエコクの人が出入りする場所なんてあって、そこでパーティーなんてあったりして、異国情緒豊かな中に日本の女性が着物姿も艶やかに女給的に随伴すんだけどさ、まあ女給もしこたま飲んでションベンしたくなるわけで、もう我慢できない、ご不浄までは持ちきれませぬわ、なんて庭園の暗がりに行ってそこでしちゃうわけで、まあそういうのを余興的に眺めている米国人ギルバート・オサリバンの図がどうたらこうたら説明して、会話を盛り上げる評者の横で、その知性にくすぐられ女給たちが目をハートの形にしたところで、“40分経ちましたけど、延長どうしましょう?”と野暮な男給が割って入り、女給どもに魅入られたまま延長せず店を去る評者の姿のなんと凛々しきことよ。

 一度などは“そういうのを小人閑居して不善をなす”なんて、彼女どもにはわからない言葉を不用意に使ってしまい、その意味するところの解説を迫られ、“例えばさ、男子高校生が、夜、勉強部屋にいるわけじゃん。そいでもって、本当は勉強しなきゃあかんのやけど、する気も起こらずなんか暇だなあなんて思うわけやんけ、やんか?この状態を、暇を持て余す閑居(かんきょ)の状態といえるわけ。そこで大人(だいじん)だったら、これはいかん、こんなことじゃ出世も覚束ないと気を取り直して蛍の光と窓の雪の明かりで勉励すんだけど、あいにくこの男子高校生は小人(しょうじん)。じゃあ、何するのかっていうと、そうだ!と思いついて、徐(おもむろ)に机の下から雑誌エロエロハメハメ天国っていうのを取り出して、眺めているだけと思ってもそこは男子高校生の性(さが)、ズボンを脱いで、結果脱力して、何にもならないっていうか、かえってティッシュは消費するやら床は汚してしまうやら、要するに小人(しょうじん)は暇を持て余すと迷惑野郎になりさがるし、これが同棲中のカップルなら暇だねえって言って、そこでボランティアにでも励めばいいのに、すぐに男女で一苦労一汗みたいな行為に走ってしまってはいかんことをいうのである”なんて解説した日には、彼女たちの目は潤み下半身も潤みご不浄に駆け込み下履きを履き替えるなんどしても、評者は延長せずに店をずらかっているのことども。

 というようなことを町田康が本書で書いているかどうかは知らないが、大体こんなレベルのことを書いていて、評者は大いに笑って屁をこいた。(20060618)

※文中(かっこ)を使って読みを書いているのは、キャバ嬢ほどの知識レベルの方へのサービスである。(書評No652)

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by kotodomo | 2006-06-18 11:06 | 書評 | Trackback | Comments(2)
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Commented by junharu_junharu at 2006-06-18 16:48
「ジュンジュン日記」から「にこにこ日記」に引っ越しました!
今後ともヨロシクです~。
Commented by 聖月 at 2006-06-18 17:44 x
「にこにこ日記」今、見てきましたあ(^O^)/

大きくなったら兄弟二人仲良くキャバクラ行って、女給の前で変なところが大きくなって・・・こりゃ!失礼な!自分!
m(__)m
健やかに育つといいですね・・・でも、男の子は元気で大変そう。


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