「本のことども」by聖月

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2006年 06月 24日

読めていないのに、またamazotta(あまぞった)



全然読めていないんだども・・・
三羽省吾『イレギュラー』は自分用。
白石一文『草にすわる』、大崎善生『パイロットフィッシュ』は職場の女性たちの回し読みにプレゼント。

これで、職場での聖月様の好感度が大幅アップという算段だ。
文庫2冊で1040円、これで聖月様って素敵ってなるなら安い投資である。
かんらかんらかんら(高笑い)

それにしても、三羽省吾の作品が気になる気になる。

ついでに前作『厭世フレーバー』の書評も載せておこう(^O^)/

◎◎「厭世フレーバー」 三羽省吾 文藝春秋 1680円 2005/8


 期せずして傑作を読んでしまった。本書『厭世フレーバー』は、ユーモア風味溢れる家族小説の傑作である。

 デビュー作であり第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した◎『太陽がイッパイいっぱい』も、オカシミ&ユーモア溢れる青春小説として中々楽しかったのだが、いかんせん青春のフレーバー(風味)を表現せんがためのベタな描写が目立ち、そういう欠点をオブラートに包むというような著者の力量がまだ足りなかったのが、評価◎止まりという結果であった。

 本書を読み始めての数ページでは、前作に引き続き、そういうタイプの文章できたかと早合点してしまった評者なのだが、読み進めるにつれ、著者の力量と推敲の結実に、いいぞいいぞとページを繰る手が止まらずの一気読みの快哉読書タイムであったことを、まずは報告しておこう。一見ベタに見える表現も、今回は文章の中に溶け込んで一体化しているし、何しろ新しい文章作法として、読み手にその表現の存在自体が欠かせないものと映ってしまうあたりが見事であり、手法としても新鮮なのである。

 14歳、中学生の須藤圭一。学校の三者面談で、進学しない中坊で自分はいい、今やっている陸上も今日でやめる!そんな宣言を母親と担任の前でするところからこの物語は始まる。14歳の視点で描かれているので、先述のベタな胸中表現も多用されているのだが、これが中々14歳らしい共感の持てる表現で楽しい。このまま、こういう青春小説で突っ走ってもいい小説に仕上がったであろうに、2章目以降では圭一の視点は一切出てこない。

 目次を見たときには、章題が「14歳」「17歳」「27歳」「42歳」「73歳」となっていたので、この物語は14歳の少年の成長小説で最後にはジジイになってしまう少年ジジイ小説?なんて、わけのわからんことを考えた評者だったのが、やはりそれは違ったのである。

 実は、この須藤家。リストラされた父親がフラッと行方不明中の家族なのである。そしてそれぞれの家族の視点、次男、長女、長男、母親、ジジイの視点が章立てとして使われているのである。こういう設定ならよくある話。しかし、この小説、そういう設定を見事に生かしきった傑作なのである。

 まず、最後まで父親が現れるなんてことはないのだが、各章で語られる父親の断片だけで、いかなる父親であったのか、そこらへんが浮き彫りにされるところが面白い。いや、普通だったら断片だけで人物像なんてさほどわからないものなのだが、異質の父親だっただけに(何が異質かはだんだんに明らかになるぞ)、その断片だけで大概のことが想像されるほどなのである。簡単に言ってしまえばハチャメチャな親父であり、あの◎◎『サウスバウンド』奥田英朗の中に出てきた父親一郎の兄弟か!と思うような破天荒な人物なのである。面白いぞ、この父親。読むべし!

 あと多視点で語られるということは、それぞれの視点からでは見えなかったものが見えてくる・・・と、これも常道の手法ではあるのだが、そこに見えてくるものが“素敵の宝箱”なので、これも読んでいて楽しい。え!そうだったの!プチ感動(^.^)そんな素敵の配置が読んでいてたまらないのだなあ。以前読んだ名作◎◎『青い湖水に黄色い筏』マイケル・ドリスなんかも、母娘3代にわたる視点の妙で読ませてくれたが、こういうのって、結局ある意味ミステリーマインドも充足されるわけなのよね。『青い湖水に黄色い筏』のほうは、多分作者は文芸として書いているだろうし、本書『厭世フレーバー』も家族小説として書かれたと思うのだが、結局サプライズがあるってことは、広義のミステリーなんじゃないかな。

 配役も妙。家族以外の脇役たちも、いつの間にか章を跨いで表現されており、その企みに気付いたときに読者はニヤリなのである。特に最終章で出てくるジジイの会話相手である若い娘と、話に割り込んでくる中年男なんてグッド(^.^)こういう企みみたいのは伊坂幸太郎あたりが得意なんだけど、この作者の似ているようでまた違った企みも上手く生きていてグッドでニヤリなのである。

 読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!最初は“ふ~ん”と思って読み始めた小説も、読み終えたときに“傑作じゃん・・・”と呟いてしまう・・・そんな小説が本書である。そんな小説が存在することを知ったあなたは幸せ者である。聖月様のお蔭である。お礼はいらない。ただ、読むべし!(20050903)

※高校生や大学生にも読んでほしい一冊。あと、イマドキの若者どもにも。◎『蹴りたい背中』綿矢りさ姫◎『蛇にピアス』金原ひとみ嬢を読んで“よくわからなかったけど、面白かったしい、みたいな♪”という、わけのわからん感想持つくらいなら、本書を読んで“チョー面白い♪”とか“面白すぎ!ヤバイ♪”なんて言いなさい。
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by kotodomo | 2006-06-24 10:20 | メモる | Trackback | Comments(2)
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Commented by まみみっくす at 2006-06-24 17:14 x
イレギュラー,よかったですよ。今までで一番わけのわからんイキオイがありました。それでいていつもの三羽さんらしさもありますんで,おもしろかったです。聖月さんの感想を楽しみにしています!
Commented by 聖月 at 2006-06-25 08:46 x
まみみっくすさん おはござです(^.^)
そうですか、勢いがあるんですか、それはいい。
勢いがあるということは、頁を繰る手が止まらんかもですね。
楽しみ(^.^)
今日か、明日到着予定。


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