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「本のことども」by聖月

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2006年 09月 17日

◎◎「絲的メイソウ」 絲山秋子 講談社 1365円 2006/7


「ことども的迷走」 聖月 エキサイトブログ 0円 2006/09/17


 鹿児島で生れ育った聖月様。中学までは、まあ鹿児島市内の人がお友だちなのだが、高校に入ると県内色んなところの出身者とも出逢ったりしたわけで、その中に種子島出身の男が居た。なんの気なしに“種子島なんて信号機ないだろう”と言うと、“今はあるが、小さいときは町に1個しかなかったのは事実だ”と答える。加えてそいつは“その1個も町中じゃなくて、町外れにあった”という。“何それ?”と問うと、“本土に渡ったときに、信号機を見てビックリしたり意味がわからなかったりしないように、練習用にあったのさ”という。

 あれ?冗談で言ったのに意外な発見。オモロイ。変。どういう予算がついて、そういう公共物が設置されたのか考えたら、尚更にオカシイ。その彼に“じゃあ、本土に来て、何か発見があった?”と問うと、“発見じゃなくて、本物の汽車を見たのが嬉しかった”と言う。まあそうかもね。島には汽車はないもんね・・・ところが、種子島男の話を珍しそうに聞く聖月様自体も、鹿児島という田舎育ちなので、高校を卒業して東京に行くときに“これだけは気をつけなさい。間違うとえらい目にあうよ”と先人に教えを受けた幾つかの田舎者がばれない注意義務に、やはり“汽車”というアイテムがあったのも事実である。

 高校時代、通学環境調査みたいのがあって、徒歩通学、自転車通学、バス通学、電車通学、汽車通学の5種に分けられている。評者の場合は自転車通学。問題は汽車通学なのだが、簡単に言うと、鹿児島市の人間が“電車”と呼ぶ場合、それは100%路面電車、いわゆるチンチン電車のことを指す。それ以外の軌道を走る乗り物は、すべて“汽車”と呼ぶのである。要するに、国鉄=JRの乗り物は、鹿児島人にとってはすべて“汽車”なのである。もしくは“列車”。だから、東京に出たら、国鉄の乗り物は電車と呼ばなくてはいけない!という注意義務には、それは大変だあ、気をつけないといかんでごわす西郷どんと思った当時の評者なのである。

 で、東京に出て、4畳半の生活・・・まあ、学生時代の話は端折るとしてだ、最近まで2年間、また東京生活、独り身生活を経験した評者。20年前とは、違うなあと思ったことがある。学生時代は、部屋の中で喉が渇いたら、水道の水を飲んでいた。まあ、お金があれば、冷蔵庫のパックジュースなんてこともあったけど。だけど、最近の2年間の東京生活では、水道の水を飲まなかったなあ。20年前はペットボトルもないし、ましてや水がコンビニで売っているなんてこともなかったし、将来、水をお金を出して買う自分なんて、学生時代は想像できなかったなあなんてさ。ガソリンが高くなったから、安いスタンド捜しに興じる似非倹約家たちの行動がわからん評者でもある。ガソリンはリッター150円。水は自販機で500ミリが100円ってことは、リッター200円。ガソリンが高くて困るっていうなら、水道の水を飲みなさいと主張してやまない、どこか論点がずれている気もするが、そういう風に声高に叫びたくなる最近の聖月様なのである。兎に角結論は、水はガソリンより高いことに早く気づきたまえ!諸君!なのである。

 そんなことを絲山秋子が本書『絲的メイソウ』で書いているかどうかは知らんが、少なくとも瞑想というよりは迷走している。評者と卒業大学が一緒で、4年ばかし評者より若いだけの著者なので、彼女の人生の迷走と自分の瞑想はどこかシンクロナイズドスイミングである。罪のない独り語りである。読むべしなのである。評者は2時間で読んでしまった。(20060917)

※書評ナンバーが不吉に揃ってしまった。記念して、もしくは邪気払いで、今夜も飲めという神のお告げかもしれん→(書評No666)

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by kotodomo | 2006-09-17 15:26 | 書評 | Trackback(2) | Comments(0)
Tracked from 水が危ない at 2006-09-20 07:02
タイトル : 良い水をたくさん飲んでどんどん健康になりましょう。
良い水は人体の中で、血液の流れを良くし、新陳代謝を促進し、老廃物や体内毒素を排出し、腸内細菌やエンザイムの活性化を促す。ダイオキシンや様々な環境汚染物質、食品添加物や発ガン物質もきちんと体外に排出する... more
Tracked from ぱんどら日記 at 2006-11-08 10:21
タイトル : 絲山秋子【絲的メイソウ】
世の中には、内容が面白いのに文章のリズムが合わない本がある。 とくに 句読点の位置 は、ものすごく気になる。本を読むときは黙読だが、頭の中では音読の状態になっている。だから予想外の位置で句読点を打たれると... more


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