「本のことども」by聖月

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2006年 12月 02日

◎「真実真正日記」 町田康 講談社 1575円 2006/10


 作者の町田康が、自分は常日頃、ありもしないウソやフィクションを並べ立てていて、なんかそういうのではいかんので、ここに真実で真正な日記を書こうみたいなことを冒頭に述べているのだが、それ自体まったくの大嘘で、本書は大いにウソやフィクションや御託やデマカセである。

 「本」という雑誌に連載されていたものを単行本化したのが本書で、日記が連載されていたということから、それぞれの日記がまったく独立したものかというと全然そういうわけではなく、バンドを始める話、飲食店を経営する話、まったくもってアホな小説を書き悩む話、そんな馬鹿げた話の進捗が記されていることを考えたとき、連載で読まされるよりは、一冊の本として、日記形式の完結された物語として、読むのがよろしいんじゃないか、キミたち、と僕は思うのだよ。というふうに、この人の書いたものを読むと、日本語がおかしくなるというか、自由になる評者なのである。

 読み始めは、出鱈目エッセイ集『テースト・オブ・苦虫』と比べて、笑えんじゃん、抱腹絶倒できんじゃん、なんて思っていた評者なのだが、馬鹿話が馬鹿なくらい続いていくと、なんというかウクライナの科学者が初めて狂言を見てそのオカシミに気づいたような、そんな気分になってきて、あとはそのオカシミのちょっとしたツボでグフフとなってしまうような、そんな読書中であったのだよ、キミたち。

 所詮、人に読まれることを前提とした日記なんて、それ自体がウソだし、評者だって時々ブログに日記みたいなことを書くが、大概の場合、虚飾が大いに紛れ込んでいるわけで、いや、そんなことはない、僕は毎日、真実真正な日記をブログっているぞとお怒りの人も、すべてを書かないこと、人には知られたくないことは書かないこと自体がウソであり、おしっこしたら便器の外にはみ出してしまったとか、屁を5回くらいしたら臭かったとか、パンツを三日間はき替えていないとか、そんな些細ながら真実で真正なことを書かないことは嘘つきで虚飾で嘯きで、そんなテイタラクじゃ出世も覚束ないことを自覚したまえ!キミたち!(20061201)

※次の町田本はもう手許に。先週、有楽町で年末ジャンボ宝くじの当たりくじを買ったときに一緒に買った『テースト・オブ・苦虫3』、うくく。(書評No682)

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by kotodomo | 2006-12-02 10:36 | 書評 | Trackback | Comments(0)
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