可笑しかったのが、読んでいる途中、何故にこの題名になったのかが皆目わからず、最後の最後になって、物語の終りの日が風が強かった、結末がちょっと切ない、そんな感じで終幕・・・なんか題名がいい加減だったことである。ははは。
樋口流ハードボイルド会話全開の本書『風の日にララバイ』。中学生の娘と二人暮らしの主人公中年男性。もう、この設定だけでハードボイルドの香り漂う。5年前に別れた妻が刺殺されたところから物語は始まる。絡んでくる女性陣は全員美人・・・これも樋口流。探偵の真似事を始めた主人公に、いつのまにか探偵助手の若い女性ができてしまい・・・これも樋口流。いたるところでなされる会話も、軽妙なワイズクラックが小気味よく・・・これも樋口流。
そして、ミステリーとしての真相部分は、結局、ああそうですか、そうだったんですかとしか言いようのないどうでもいい結果・・・これも樋口流、ははは。この人、ミステリーにこだわっているけど、ミステリーを書かなきゃいいのにと思わせる、ちょっと風変わりな逸品ですなあ。(20070325)
※次は、ちょっと樋口有介は休んで、正統派ハードボイルドの誉れ高い『冬の砦』香納諒一に行きましょうかな。(書評No707)
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