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「本のことども」by聖月

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2007年 08月 09日

〇「ビザール・ラヴ・トライアングル」 浅倉卓弥 文藝春秋 1500円 2007/6

〇「ビザール・ラヴ・トライアングル」 浅倉卓弥 文藝春秋 1500円 2007/6_b0037682_10575244.jpg 先日、随分前に買った「本の雑誌」を読んでいたら、“いつだって小説”という言葉を遣っている文章に出会って少しおかしかった。

 例えば『世界の中心で愛を叫ぶ』片山恭一や『冷静と情熱のあいだ』江國香織なんかが、その類の本らしく、“いつだって僕たちは心に闇を抱えて生きてきた”みたいな文章が挿入されているらしい。“いつだって僕たちは・・・”が似合う小説=“いつだって小説”。

 実は、評者はどちらの本も未読なのだが、こういう小説には、もうひとつ特徴があるらしい。それは、小説内でプチオカルトが登場することである。そうなると、評者が既読の『そのときは彼によろしく』『いま、会いにゆきます』市川拓司なんかも“いつだって小説”に入るのかなあと思うわけで、“いつだって”なんて文章があったかどうかは憶えていないが、似合うっちゃあ似合うし、プチオカルトが物語の構成に大きな影響を与えていたことは間違いのないところである。

 本書『ビザール・ラヴ・トライアングル』は、短編集である。浅倉卓弥の文体が“いつだって小説”だとは言わないが、評者が読んできた浅倉卓弥の紡ぐ物語は、すべてプチオカルト小説だったし、本書の短編たちもすべてプチオカルトな小説たちなのである。で、決め付けると、浅倉卓弥はプチオカルティックメーカーなのである。

 本書の初版には、もっとオカルトな誤植があって・・・写真を載せておこう↓。『雪の夜話』は既読だが、『雪の世話』とはなんざんしょ。雪下ろしのことかな?根雪が融けないように世話するのかな?ちょっとした誤植だが、意味合い的には大笑いである。(20070802)

※最初の一編を読んだとき、夏にあわせて出版した怪談物と勘違いした評者である。(書評No735)
〇「ビザール・ラヴ・トライアングル」 浅倉卓弥 文藝春秋 1500円 2007/6_b0037682_7565372.jpg


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by kotodomo | 2007-08-09 07:57 | 書評 | Trackback | Comments(0)


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