2008年 03月 03日
先日までの単身赴任の間、読みたいなあ、借りたいなあ、買いたくはないなあ高いし、でも最寄りの図書館にはないなあ、と指をくわえてネットで書名を眺めるだけだった本書『プリーストリー氏の問題』、勿論、60万都市鹿児島なので、図書館にないわけがない、で借りてきたのである。なぜ読みたいのかって?一応コンプリを目標にしている作家アントニー・バークリーの別名義の作品だからである。まあ、別名義っていっても、このABCみたいな名前A・B・コックスのほうが、本名らしいのだけど。 しかし、古き良き英国のミステリーは、先般読んだウッドハウスのジーヴスものも、バークリー書くところの作品も、古き良き米国のミステリーと大いに趣が違うところがある。米国物だと、登場人物たちはみな職業を持っていて、主人公も一応探偵という職業を持っていたりして、そういう中で物語は進んでいくのだが、ウッドハウスやバークリー書くところの英国物はというと、登場人物たちが、みな無職であるところが素敵であり、評者の憧れるところである(笑)。 何ゆえに無職かというと、貴族や貴族の末裔だからであり、どうやって食えているのかというと不労所得があるからである。じゃあ、何ゆえに不労所得があるのかというと、そこらへんの階級システムは、評者は知らん(笑)。今度、そこらへんをゆっくり調べることが、評者の課題かもしらん。ジーヴスに出てきたビンゴという青年は、叔父からのお小遣いで生計を立てていたし、とにかく働かないことを悪と見做さない環境と階級があったことは間違いないのである。ああ、羨ましい。 だから、英国物の登場人物たちは、暇を持て余し、パーティーに集ったり、よからぬ計画を立てることによって時間を潰し、バークリーの場合には、暇の果て、探偵を気取って余暇を過ごす人物が登場したりするわけである。 本書『プリーストリー氏の問題』の場合も、暇探偵こそ登場しないが、よからぬ計画から物語が進んでいくのである。犯罪学に興味のある青年が二人登場。イマイチ社会性に欠けるプリーストリー氏を使って、殺人を犯した者の深層心理の実験を試すというのが、そのよからぬ計画なのである。それが二転三転というのが本書の魅力であり、そういう意味ではミステリー性は薄く、純然たるユーモア小説と捉えたほうがいいだろう。 しかしなあ、いいなあ、不労所得♪憧れるなあ、不労所得♪先日、有楽町で買ったグリーンジャンボで2億当ったら、アパート経営でもして不労所得をかっぱぎ、そのかっぱいだ不労所得で次の不労所得をかっぱぎ・・・いやいや、娘たちを芸能界に送り出して、左団扇あたりが評者にはお似合いかもしらん。嫁さんには、マネージャーとして働いてもらうが、評者は・・・そうだ!暇探偵でもしようかな。(20080301) ※おお、書評の数が776・・・ということは、次回は777、フィーバーじゃないか。当りじゃないか。不労所得は、つまるところパチンコだなと思い、昨日冬ソナを打ったがダメだった。で、記念すべき777冊目は『治療島』なり。外国物なり。(書評No776) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-03-03 11:08
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