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「本のことども」by聖月

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2008年 05月 01日

◎◎「蕎麦ときしめん」 清水義範 講談社文庫 470円 1986/11


 嫁さんが言うには、下の娘、小学校5年生なのだが、市立と私立の区別がイマイチわからないらしい。自分の通う小学校は市立(しりつ)、お姉ちゃんの通う中学校は私立(しりつ)、同じ“しりつ”なのに、何で違う“しりつ”なのかということらしい。評者にも昔そういうことがあったぞな。ということは、下の娘がその違いをわかってきてきても、またその下の世代が、市立と私立の壁にぶつかるということである。つまるところ、私立という言葉が悪いのである。

 評者に日本語のルールを決める権限があるならば、民立とするぞ。いや待てよ。俺立としようか。俺が作ったんだぜえみたいな主張的な組織として。俺立聖月中等部、高等部、一貫教育だぜえみたいな。ダメ?

 というように、評者は日頃から馬鹿な空想ばっかりしていて、そういう意味で馬鹿な空想、妄想、奇想だけで売文している町田康あたりの作品が大好きなのである。同好の士、同好の作家なのである。早く町田康の新作が読みたい、馬鹿な話に接したい、そう思って365日過ごしている評者なのである。

 したところが、清水義範という同好の士、同好の作家を知ってしまったから嬉しくてたまらない。本書『蕎麦ときしめん』は、お馬鹿な空想話、勝手話ばかりを収めた作品集なのであるが、結局のところ、何の身もないお話ばかり、ははは。

 そういう話ばかりなので、各作品について、ああじゃないこうじゃないと書いてもしょうがない。表題作の『蕎麦ときしめん』についてだけ、ちょっと触れてオサラバしよう。

 『蕎麦ときしめん』は、著者の勝手な名古屋人論である。名古屋人特有の行動パターン、思考パターンに嗜好パターン、そいうのを面白可笑しく揶揄した文章の、なんと大笑いのことよ。名古屋の人は反論もあるだろうが、著者自身が名古屋人なので勘弁したまま笑ってくださいといったサービス精神旺盛の名古屋論なのである。

 笑ったのが、名古屋の人は名古屋のことしか頭になく、その他の県は外国と同等だという極論。大阪はソ連(古い作品なのでまだロシアではない)といったところは、まだひとつの例示としてフ~ンなのだが、名古屋人から見たら伊豆半島はインド!というのは、地形からだけの連想か、ははは。で、四国はオーストラリアだと断言し、評者の住む九州は・・・アフリカらしい。じゃあ、鹿児島の佐多岬、枕崎あたりはケープタウンかな(^.^)

 とにかく、内容を紹介するのが面倒な馬鹿話ばっかりである。しかし、嬉しきことこの上ない清水義範という同好の士、同好の作家の発見!!!随分と作品はあるようなので、コンプリに意欲を燃やす今日この頃の評者はご機嫌なのである。(20080427)

※評者の借りたのは、文庫ではなく単行本のほう。その表紙カバーも紹介しておこう↓。次は『国語入試問題必勝法』にしようかな。(書評No791)
◎◎「蕎麦ときしめん」 清水義範 講談社文庫 470円 1986/11_b0037682_8405484.jpg


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by kotodomo | 2008-05-01 08:41 | 書評 | Trackback | Comments(0)


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