2008年 05月 22日
表題作「日本語の乱れ」も、想像通りに面白いのだが、「宮事記」という文章は噴飯物である。ということで、本書もいつもの清水義範、11編からなる駄文集、思いつき小説集である。 まずは「宮事記」。古事記へのパスティーシュ(作風の模倣、広い意味でのパロディ)に位置すると思うのだが、古事記の作風の模倣なんて面白くなくて出来ないわけで、そういう意味でパロディになるのかと思う。 須佐之男命(スサノオノミコト)みたいな造語の羅列で構成され、最初のうちは何が書いてあるのかわからないのだが、よくよく読み進めていくと、パフィーの歌詞が出てきたり、都はるみのことが書いてあったり、スターウォーズに対する疑問が書いてあったり、とにかく何を言いたいのかわからないのだけど飯が噴出してしまうようなことが書いてあるのである。一度、皆さんも是非、腰を落ち着けて立ち読みしてみたらいい、っていう表現自体が日本語的に乱れているのであって、腰を落ち着けて本を読める書店も多くなってきているが、立ち読みというのは適切ではないなあ。 で、表題作の「日本語の乱れ」。ラジオ番組に寄せられた、日本語の乱れに対するお便り紹介という小説の形式をとっているが、色んな乱れが紹介されていて、うんうん、なるほどのオンパレードである。ひとつ考えさせられたのが“繋ぐ”という言葉の活用。よく「次の試合に“繋げる”には、このへんでヒット1本でも」なんて使われ方をするが、それがおかしいという投書の紹介。“繋ぐ”の活用は“繋がる”であり、「今のヒットは、次の打席に“繋がる”・・・」そんな使い方をすべし!というものである。詳細は省く。読むべし。 それにしても、今の世の中、日本語が乱れているよなあ。上の娘は、スクールバスを勝手にスクバって縮めて言うし・・・この前は、会社の青年が“ホワボは?”っていうし。“?”って訊きなおしたら、“だからホワボがですねえ・・・”って言うので、また“?”って訊きなおしたら“あのホワイトボードのことなんですが、あれが・・・”オジサンも怒るよ!最初に訊きなおしたときに、略語は元に戻せっちゅーの!略語がわかないだらさあ!それとさあ、最近は目上、目下に関係なく“ご苦労様でしたあ”なんて、どこでも使っているしぃ。 まあ、なんだかんだ言って、自分がTKになった証拠なんだろうなあ。TK・・・年寄り臭く。(20080518) ※というふうに、文章なのに口語体を使う評者も評者であるし、使うと遣うの違いがわかっていないのも確かである。(書評No797) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-05-22 16:15
| 書評
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