2008年 07月 29日

◎◎「戸村飯店青春100連発」 瀬尾まいこ 理論社 1575円 2008/3

b0037682_1326189.jpg 久々の青春物、溌剌読書(^.^)いつ以来だろう?最近で思い出せるのは三羽省吾『厭世フレーバー』くらい・・・ということで、過去の記録を調べてみると、2005/9/3に読了しているので、3年ぶりくらいということになる。本当に久々だなあ。まあ、その間、伊集院静の『海峡』や、佐藤正午の『童貞物語』なんかの青春物は読んではいるのだが、ここまで突き抜けた屈託のない青春物は、本当に久々の感じなのである。

 でも、なんで評者は読んだのだろう?自分でもよくわからないのである。県立図書館で発見。借りる冊数には余裕あり。瀬尾まいこは『幸福な食卓』と『図書館の神様』を既読だが、どちらも程ほどの印象。奥付を見ると、割と最近の本。そういえば、この題名、地元紙の日曜読書欄に書評が載っていたなあの記憶。まっ、いいか、借りるだけ借りてみよう、そんな感じで借りてきたのである。で、書斎の棚に放っといて・・・返すまで余裕のあるときに、とりあえず読んで、オモロなかったら読みやめて返しちまおう、なんて読み始めたら、青春物の傑作、ケッサク、大傑作だったのである。こういうのって、嬉しいのことどもなのだ。

 題名に100連発なんて付いているので、ちょっと手に取りにくい気もしなくもないが、実は本書は大阪のコテコテの人々が集う戸村飯店の息子、ヘイスケ、コウスケが主人公。吉本新喜劇も小説内の材料に登場しているので、吉本お笑い100連発くらいの景気付けの言葉と受け止めるのが正しそうだ。しかし、評者からすると、100連発くらいの青春の材料が盛り込まれているような気もする。卒業時のラブレター、バイト、恋、兄弟の若い思惑、そんな青春だからのひとコマを拾い上げていったら100連発っていうか、テンコ盛りではあるのだなあ。

 この小説の一番いいところは、気持ちのいい人ばかりが登場することである。ヘイスケ、コウスケも癖があるのかと思えば、素直なことこの上なく、周りを囲む人たちも気持ちのいい人ばかりなのである。コウスケの恋は実るのか、ヘイスケはこれからどう生きるのか、色んなことが最終的には置いてきぼりにされる話なんだけど、それはそれで許される屈託のない物語世界なのである。

 今年の青春小説の押さえ本だろう。屈託のない小説を読みたい方は、読むべし、読むべし、べし、べし、べし。(20080718)

※瀬尾まいこ=女三羽省吾、今のところ当らずとも遠からず。(書評No819)

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by kotodomo | 2008-07-29 13:26 | 書評 | Trackback(2) | Comments(0)
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