「本のことども」by聖月

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2008年 10月 06日

◎◎「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ 新潮文庫 380円 2004/6

b0037682_14325545.jpg お手頃な価格の良書である。

 冒頭で、主人公女性がある決心をする。直接的な決心の内容は数ページ後になるが、題名から多くの読者が推察する通り、自殺の決心である。何か、のんびり感のある決心、多分失敗するんだろうなあ、成功したら物語は続かないし、もし物語がそこから続くのであれば地獄行き決定、天国へ脱出冒険劇みたいなのにしかならんしなあ、と思っていると案の定失敗するのである。

 問題はここからで、この主人公女性が何度も自殺にチャレンジし、失敗を繰り返すような話であれば飽き飽きするわけで、そうしないところが瀬尾まいこなのである。他の作品でも見られるような、実にのんびりした話が、その後紡がれていくのである。

 自殺しようとした場所が、見知らぬ田舎の民宿で、その後彼女はのんびりのんびり過ごし、再生の物語かというとそういうものでもないような気がして、なんでかといえば、元々そこまで病まずに決心した自殺であって、自殺が未遂に終った時点で彼女はもう自殺なんかしたくないと決心しちゃうわけで、そういう意味で再生とは言えず、なんだかなあ、理由(わけ)あり田舎生活物語といったほうがいいのかもしれない。

 読書の秋である。普段からあまり本を読まない方で、この秋に一冊くらいはと思っている方は多いだろう。是非、お薦めしたい一冊である。そこから瀬尾まいこに入っていけば良いのである。(20081004)

※『ディスコ探偵水曜日』舞城王太郎1000頁、『宿屋めぐり』町田康600頁、そして次に読もうとしたのが『出星前夜』飯島和一(この作家の作品は、頁数の問題ではなく、重厚さある)であったため、骨休めにとった一冊である。(書評No834)

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by kotodomo | 2008-10-06 14:33 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
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タイトル : 天国はまだ遠く 読書感想文
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