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2008年 11月 26日
◎◎「忍びの国」 和田竜 新潮社 1575円 2008/5
 噂に違わぬ(っていうか、実は評者、8月頃に旬の作家と知ったのだが)面白エンタメ忍者時代劇である。

 前々から書評内でも書いてきたのだが、評者は時代劇というジャンル自体は好きではない。一つの理由に、歴史は苦手、習ったはずなのにもう忘れてしまったということがある。だから、評者が評判を聞きつけて読む時代物は、荒山徹、飯島和一、翔田寛、米村圭伍といった史実に頼らない作風の小説群になる。もっというと、その中でも、妖術、忍術が出てくるものは好みで、そういう意味で、本書『忍びの国』は文字通り忍びの話であり、評者好みであったのことよ。

 著者和田竜は、脚本『忍ぶの城』で城戸賞を受賞、その小説化作品『のぼうの城』で第139回直木賞の候補にあがり、本書が二作目にあたる。題名から察する通り、忍びの活躍する物語である。その忍法も本書の面白さの一つなのだが、巷での人気の理由として察せられるのが、等身大の人間としての忍者の描き方にあるのかもしれない。

 “ねえ、ねえ、あのさあ・・・”というふうに、普通の人が会話してもおかしくないが、忍者が自分の連れ合いに“ねえ、ねえ、あのさあ・・・”と語りかけるような場面が本書には頻出するわけで、つまり普通はおかしくない会話が、忍者の口から出ると可笑しいわけで、要するに本書の忍者たちは人間味がありすぎて可笑しかったりするわけである。

 忍び=請負仕事=カネ=いかにすればもうかるか?なんて構図も素敵で可笑しい、そんな忍者ワールドを是非お試しあれ。(20081106)

※『のぼうの城』のほうは、現在、図書館で予約待ちである。(書評No840)

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by kotodomo | 2008-11-26 14:11 | 書評 | Trackback(3) | Comments(2)
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Tracked from 粋な提案 at 2008-12-03 02:02
タイトル : 忍びの国 和田竜
装画は村田涼平。装幀は新潮社装幀室。書き下ろし。 伊勢国を収めた織田信長の次男信雄は隣国、伊賀攻めを決断。 史実「天正伊賀の乱」に基づく壮大なドラマ。 忍びの国=伊賀国で、その腕絶人の域と評されぎ.....more
Tracked from piece of lif.. at 2011-03-11 18:54
タイトル : 忍びの国 著:和田竜
忍びの国 著:和田竜 内容は、 伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、 お国の尻に敷かれ、忍び働きを怠けていた。 主から示された百文の小銭欲しさに二年ぶりに敵の伊賀者を殺める。 そこには「天正伊賀の乱」に導く謀略が張り巡らされていた。 (Amazon参照) のぼうの城以来の和田竜さんの作品です。 今回の舞台は伊賀、伊賀と言えば忍者ですよね! 本作ではそんな伊賀で実際に起きた「天正伊賀の乱」を史実を基に エンターテイメント小説に仕上げた作品です。 ......more
Tracked from 【徒然なるままに・・・】 at 2012-01-16 20:50
タイトル : 『忍びの国』 和田竜
天正伊賀の乱に材を取った忍者、忍法小説で、作者は『のぼうの城』でブレイクした和田竜。 これも元は映画用の脚本だったという話で、オープニングからして非常に映画的。朝霧の中から四騎の騎馬武者が現れるシーンから始まるなんて、想像するだけでワクワクしてくる。といってもこれをそのまんま映画に置き換えると詰まらないんだろうな、と思う。もし映像化されるならば、更に捻って欲しいもの。一応映画化の企画は動いてはいるようだが。 で、この冒頭から出てくる四人が主人公なのだろうなと思って読み進めていくと、第二章に......more
Commented by 八方美人男 at 2008-11-28 08:48 x
『忍びの国』は私も最近読了したのですが、「人間味」というよりは、むしろ「人でなし」ぶりのほうがインパクトが強かった読後感がありました。でも言われてみれば、たとえば「えっ、裏切っちゃうの?」とかいう、妙に現代的な会話を追ってみると、たしかに人間味あふれているなあ、とあらためて思わされました。

伊賀忍者の「人でなし」ぶりと、彼らの会話のおかしみ、そのなかにある「人間味」とのバランス感覚が、著者の作品の面白さになっているのかもしれません。
Commented by 聖月 at 2008-12-01 08:59 x
八方美人男さん おはようございます。

『忍びの国』面白かったですね。
元々脚本家のようですから、人を動かし喋らせるときに、小説とは違った観点から操れるのかもしれませんね。

うんうん、人でなしでしたね。面白いくらいに。
ただ、命の値段もないような時代ですから、今の我々からすると、察しようのない世界でもありますね。
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