「本のことども」by聖月

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カテゴリ:読書メーター( 102 )


2015年 06月 01日

2015年5月に読んだ本のことども

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:446ページ
ナイス数:50ナイス

服用量に注意のこと (ハヤカワ・ミステリ文庫)服用量に注意のこと (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
〇題名について、作者の解説がある。収められた短編の数16。一気に読み過ぎると、服用量をオーバー、読者もそんなことを考えて、少しずつ服用をとのこと。自分も、合間の読書に少しずつ服用。ラヴゼイ自体は、巧いのがわかっている作家なので、少しずつ楽しんだのでした。ちゃんと最後に落としどころのある作品ばかりで、文体にはユーモアが。そのユーモアがわかることが、この作者の読者にとって必須なんだけどね。特に最後の「クリスマスツリーの殺人」なんかは、その典型。父親を三人の子のうち誰が殺したかの結末はどうでもよく、文章が最高。
読了日:5月24日 著者:ピーターラヴゼイ

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by kotodomo | 2015-06-01 14:17 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2015年 05月 01日

2015年4月に読んだ本のことども

2015年4月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:794ページ
ナイス数:58ナイス

桜の下で待っている桜の下で待っている感想
ふむ、5編のうち、最初のワンピースのエピソードは良かったが、全体がイマイチ。どの話も東北新幹線の車中から話が始まるという共通項はいいのだが、どの話にも東北観光地案内があるのはどうなんでしょう。確かに、この作者は震災を現地で体験し、それについて触れたい気持ちはわかる。本書を上梓するために、丁寧に各地を取材したのだろうなというのも汲めるし、巻末の参考文献もなるほどである。でも、それはこの作者の持ち味ではないのだよなあ。もっと、想像と感性で描いて欲しかったかな。どれも、優しく温かい、桜のような話なんだけどね。
読了日:4月30日 著者:彩瀬まる
ラスト・ワルツラスト・ワルツ感想
〇このシリーズも、3作目にして、ちょっとキレがなくなったきたかな。中編の「ワルキューレ」なんかは、キレというより冗長。D機関という特殊スパイの話のはずが、本書に収められた3編とも、まあスパイらしい話という具合で、イマイチなあ。
読了日:4月18日 著者:柳広司

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by kotodomo | 2015-05-01 11:11 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2015年 04月 01日

2015年3月に読んだ本のことども

2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:456ページ
ナイス数:49ナイス

ガットショット・ストレートガットショット・ストレート感想
全体が映画でした。登場人物たちの心情も描くが、背景描写が凄く映画的。また、セリフ回しも非常に映画的。作者自身がシナリオライター、構成作家なので、そこらへんが巧いのだな。自動車窃盗の服役を終えたばかりの主人公の前に、仕事の依頼が。実に単純で怪しい、車を運んで、行った先で荷物を受け取るお仕事。ところが、途中で車の後ろのトランクから奇妙な音が。ありきたりなスタートながら、映画のような展開にページを繰る手は軽やか。題名の意味は、あと1枚カードがくればフラッシュが完成する、そんなポーカー用語。結局人生は賭けなのだ。
読了日:3月5日 著者:ルー・バーニー

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by kotodomo | 2015-04-01 15:00 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2015年 02月 01日

2015年1月に読んだ本のことども

2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:382ページ
ナイス数:56ナイス

もう年はとれない (創元推理文庫)もう年はとれない (創元推理文庫)感想
◎◎最高に愉快な、老いぼれハードボイルド。元刑事といっても87歳なわけで、そんな齢になれば、元、なんて意味がないようで意味がある。それは、彼が伝説だったから。愉快とは書いたが、ユダヤの金塊に絡み、人は死ぬし、謎は深まる。でも、この老いぼれの思考回路、吐き出す言葉がなんともいかすのである。あと、彼のことをじいちゃんと呼ぶ、孫との二人三脚も読ませる。最新機器を使いこなす若者と、GPSも理解できない老人とのコンビ。最後は頁数が少なくなって、そうするとあいつが意外な犯人かともわかるのだが、秀逸なミステリーなのだ。
読了日:1月31日 著者:ダニエル・フリードマン

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by kotodomo | 2015-02-01 16:52 | 読書メーター
2015年 01月 01日

2014年12月に読んだ本のことども

2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1486ページ
ナイス数:108ナイス

窓から逃げた100歳老人窓から逃げた100歳老人感想
〇軽い大人の童話かと思ったら、全然違った。するすると読めるだろうと思ったが、それも違った。窓から逃げた100歳の老人の冒険譚は、コミカルで、いったいどうなるのだろうというワクワク感も漂う。ただし、この老人が100歳を迎えるまで何をしてきたのかの冒険譚は、非常にグローバルでヒストリーで、なんせ日本の終戦にまで影響を及ぼしてきたような法螺話の展開で、また別の物語なのである。途中で、複数の悪人を死に至らしめてしまい、最後はどうなるの?と思ったのだが、この回収の仕方は面白い。決していい解決ではないが、愉快なのだ。
読了日:12月30日 著者:
ゴースト・スナイパーゴースト・スナイパー感想
〇今回も上手に話を組み立ててはいるのだが、いつもの唸るような技巧はそこまでなかったかな。あと、背景にある世界への興味、そういう惹かれるようなものもなかったしなあ。でも、正しいミステリー。どんでん返しの繰り返し。悪党も含め、最後はみんなハッピーな感じも珍しい。しかし、未詳の人物の途中の描かれ方と、実はこの人でしたのギャップは大き過ぎ。意外というより、それは小説だから出来ることみたいな。まあ、ハリウッド手法は健在。そんな遠くからよくスナイプできるなあと思ったら、合理的で先進的な手法が登場したり。流石は流石。
読了日:12月23日 著者:ジェフリーディーヴァー
あのとき始まったことのすべてあのとき始まったことのすべて感想
◎52歳の評者からすれば、25歳の男性主人公が、15歳の時以来の同級生女子と待ち合わせして、10年はどれくらい久しぶりと感慨にふけるのは、ちょっと青い感じもするのだが、その二人の再会と、中学時代の思い出が、巧みに呼応して、特に第二章の白原少女の視点が描かれる部分は、秀逸で静謐で、上滑りする恋を描きながらも、青春の日々を浮かび上がらせるのである。評判通り、この作者の文章は手垢のついていない表現、特に軽妙な会話の部分にその特徴があり、他の作品を読みたくなる。そう恋心とは、好かれている実感が大切なのだよ、東京。
読了日:12月11日 著者:中村航
アイネクライネナハトムジークアイネクライネナハトムジーク感想
◎◎連作短編集。1章2章は伊坂流伊坂節炸裂。例えば、ワールドカップで日本が決勝に進出したら彼女に告白します!なんてのは、他人本位だし、それが意中の人からでも、何か重い。そんなこんなを巧く描く伊坂。でも、全体を通しては、ボクシングに拘りすぎたのと、斉藤和義へのオマージュが少し面倒な感じもしたのだなあ。特に、書下ろしの最終章は特に必要なかったかも。でも、やはり伊坂。軽快だし軽妙。最後には時系列を並べたくなるも、別にいいやの余韻に浸れればよし。ナハトムジークの落とし方には笑ったよ。まあ、今年も伊坂は快調でした。
読了日:12月10日 著者:伊坂幸太郎

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by kotodomo | 2015-01-01 04:39 | 読書メーター
2014年 12月 01日

2014年11月に読んだ本のことども

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2082ページ
ナイス数:118ナイス

私を知らないで (集英社文庫)私を知らないで (集英社文庫)感想
◎◎「今日は楽しかった。でも、あなたのことは嫌い。これ以上私を知らないで」そんなことを言われるような恋もしてみたいものだが、主人公たちは中学生なのに、そんな恋をやってのける。文章はライトな感じでも、芯はハードボイルド。軽い論理の裏側には、作者が周到に咀嚼した物事の理が垣間見えて、とにかく読んでいて楽しいのである。転校の多い主人公少年は、転入先の学校の空気を読みながら、馴染まないように馴染んでいく。そこへ、空気を読めない新たな転校生が登場。そして、クラスで浮いている少女の謎。チープな設定ながら読ませるのだ。
読了日:11月21日 著者:白河三兎
沈むフランシス沈むフランシス感想
ただの恋愛小説でした。前作「火山のふもとで」を読んだとき、こんな小説を描けるのは凄いと感じたが、本作は、こんな小説なら自分も書けそうな(実際は書けませんが)そんな感じであった。最新作に期待しましょう。
読了日:11月13日 著者:松家仁之
火山のふもとで火山のふもとで感想
◎◎気品が漂う静かな小説。普通デビュー作というのは素人が書いたプロ一歩手前の作品と位置付けられるのだが、編集者だった作者の経歴から考えると、最初から手練れの作品。建築家としての自分を作った最初の一年を描き、書かれなかった後の30年後と呼応する。家具、音楽、乗り物、食事、どれを取っても洗練された、避暑地での出来事。設計事務所ごと、夏は避暑地に移動するのである。この作家。村上春樹読者かな?とも思うが、編集者なので多くの作風を吸収してきた結果なのでしょう。遅咲きのデビューながら、追うべき作家が一人増えました。
読了日:11月13日 著者:松家仁之
エヴリシング・フロウズエヴリシング・フロウズ感想
◎◎いやあ、巧くて読ませる。350頁足らずの物語なのだが、操られる日本語を細かく読んでしまうので、頁を繰る手がいい意味で遅くなる。この作家の作品は全部読まねばである。中三の主人公少年の、一年間、交友関係を通しての普通の風景を描いたものだが、中三と言ってもそこは逆に細やかな心の動きがあるわけで、そこの微妙な揺れの描き方が抜群なのである。こう言った方がいいかと思いながら言葉を飲みこむ思春期。反面、ユーモア小説でもある。知りたいことはすべて学校新聞に書いてあったり、イケアが面白い使われ方をしていたり。出会い本。
読了日:11月9日 著者:津村記久子
ハリー・クバート事件 下ハリー・クバート事件 下感想
◎◎最後まで飽きさせない面白さ。でも、最終盤は少しごちゃごちゃしたかな。上巻で、描写の薄い謎の人物の正体は、薄々気づいてはいたのだが、それが事件とどう絡むのか、真犯人は誰なのか。結局、被害にあった少女は純心かそうでなかったのか。しかしなあ、上巻の感想でも書いたが、主人公の電話向こうのママの会話が快調。あと、2回くらい主人公とのやりとりを盛り込んでほしかったかな。今年の本で一番面白い海外物はこれで決まり。色んなジャンルで1位にふさわしい本なんだけど、読者数はAmazonでもメーターでも多くないのが残念です。
読了日:11月3日 著者:ジョエル・ディケール
ハリー・クバート事件 上ハリー・クバート事件 上感想
◎◎読んでいて滅茶苦茶楽しい。ミステリーとしての面白さ以外にも、人物たちのキャラが紡がれ、話の展開が進まなくても楽しくて仕方ない。特に、主人公のおせっかいな母親。電話の向こう側にしか存在しないのだが、こうるさくても憎めない、ワハハは母親である。刑事も嫌な奴なんだけど、この人も憎めない。話としては、失踪少女の死体が、作家の恩師の庭で掘り返され、その身の潔白を主人公が晴らそうという、単純な構造なんだけど。いやはや、傑作。作家が作家を描く作品は、数多く読んできたが、これが一番面白い。題名が、少しイマイチだけど。
読了日:11月2日 著者:ジョエル・ディケール

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by kotodomo | 2014-12-01 12:06 | 読書メーター
2014年 11月 26日

2014年10月に読んだ本のことども

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1728ページ
ナイス数:77ナイス

スタープレイヤー (単行本)スタープレイヤー (単行本)感想
◎◎この本を作者名を知らされずに読んだら、自分は「嶽本野ばら」と答えるかもしれない。ロリータ抜きの野ばら。決して、恒川恒太郎とは答えない。考えてみれば、いつもと同じように、ここではない何処か、ここと隣り合わせの世界を描いているのは、この作者の得意とするところだが、語り口がユーモアたっぷり、笑わせてくれるのである。地球と似たどこかに飛ばされて、10の願いが叶うようになった女性主人公。最初のうちは、チンケな願いばかりだったのが、地図が広がり交流が広がり願いは崇高なものへ。ロジックもしっかり、キャラ立ちまくり。
読了日:10月18日 著者:恒川光太郎
君を憶えてる君を憶えてる感想
▲ふむ、いい中年になってからチョイスする本ではなかったかな。この物語で触れられている「リプレイ」も「夏への扉」も既読で傑作で、では本書とどこが大いに違うかというと、わかりやすく言えば、余韻であり、作者の込めた哲学である。タイムループもの。その設定自体がリアルではない中で、いかにリアルに蓋然性を持って物語を進めていくかという作者の熟考なのである。前向きに評価するなら、この作者も、オールタイム傑作の二作をしっかり消化した上で本書に挑み、オリジナルなループは完成させたということか。キャラでは千鶴叔母が、いい味。
読了日:10月12日 著者:牧村一人
低地 (Shinchosha CREST BOOKS)低地 (Shinchosha CREST BOOKS)感想
〇紙面で「傑作である」という書き出しの書評に出会い本書を手にとったのだが、傑作ではなかった。ラヒリは好きな作家で「その名にちなんで」は自分にとっての傑作ではあったが、本書は「さすがにラヒリ」とは思っても、それ以上のものではなかったのである。途中のエピソードが、100頁以上あとで収斂をみせたり、果たして物語全体をどこから見下ろして書き進めているのか、そんな手腕はノーベル文学賞もの。ただ、なんだか指し示すような展開がないところが物足らない。殺された弟には、お腹に子を持つ妻が。その女性と結婚してのちの人生の話。
読了日:10月12日 著者:ジュンパラヒリ
愛なんて嘘愛なんて嘘感想
◎短編集。相変わらず巧い。作品には「愛なんて嘘」という題名はなく、全作品に通底する、愛の底に潜んでいる本当を描きだした作品集。この作家の作品には、黒いものと白いものとあるが、題名に反して、実際のドロドロ感に反して、本質的には白だろう。特に最初の作品なんて、形而上的な生き方を描きながら「颯爽」とした終わり方が余韻を持たせる。結局は「恋愛」ではなく、「結婚」を重点に、各々の心の裡を詳らかに描き出しているのだな。久々の短編集。やはりこの作家は巧いし、成長し続けている。直木賞受賞後、裏切らない作家のひとりである。
読了日:10月1日 著者:白石一文
虚ろな十字架虚ろな十字架感想
〇まあまあ。白夜行のような、シリアスでミステリーでない物語を期待して読み始めたのだが、完全なミステリーで、そのための物語は風呂敷を畳むための構造になっているのが残念。死刑制度の問題も、どこか中途半端な提議をしたまままのだが、普段考えることのない読者には、新鮮に映った面もあるのかも知れない。娘を殺された夫婦。圧倒的な事件のようだが、読む進めるうちに、なんだか風化してしまって、結局、娘を殺され、元妻も殺されることになった男の感情というものが、探偵の目でしかなくなって、深みが損なわれているのが残念。大衆小説。
読了日:10月1日 著者:東野圭吾

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by kotodomo | 2014-11-26 13:22 | 読書メーター
2014年 10月 06日

2014年9月に読んだ本のことども

カッコウの呼び声(下) 私立探偵コーモラン・ストライクカッコウの呼び声(下) 私立探偵コーモラン・ストライク感想
◎◎上下巻あわせて極上のミステリー。ただし、最後のまとめ方に異論のある読者も居ようが、読んでいて楽しければ少しの辻褄合わせは、特に気にならないのだ。藤原イオリンの作品なんかもそうだけど、中年男と気の利いた女の子の組合せが堪らない。また、その女の子の婚約者が直接には登場しないのもミソ。流石の紡ぎ手、ローリングに脱帽。これのシリーズ化も望むが、どんどん色んなジャンルの話を紡いでほしいなあ。あえて、別名義で出版、単独勝負のハズがネタばらしがあって怒ったという。でも、日本人読者からすれば、それがあっての安心印だ。
読了日:9月23日 著者:ロバート・ガルブレイス
カッコウの呼び声(上) 私立探偵コーモラン・ストライクカッコウの呼び声(上) 私立探偵コーモラン・ストライク感想
◎◎別名義を使っているが、J.K.ローリングのお話上手は流石。ハリポタでもそうだが、ありきたりの設定が、話の行方をわくわくさせる。冴えない探偵と、新米しっかり者秘書、そんな組合せだけでも、興味を沸かせてくれるのだな。2013年は、キングの本にグイグイやられたが、今年はこれだな。途中でやめるわけにはいかない本だな。下巻を読んで結末まで行かないと、これは死ねないな。内容は、自殺したスーパーモデルの兄に、真相解明を依頼される探偵主人公。真相はどうでもいいんだけど、とにかく軽いタッチの人間模様で、読ませるのだよ。
読了日:9月23日 著者:ロバート・ガルブレイス
ゴーストマン 時限紙幣ゴーストマン 時限紙幣感想
▲書き出しは、随分と面白そうだったのだが、途中から意外に話が進まず、結局、慎重に読むような重要な展開はないと判断し、最後の50頁は飛ばし読み。結末さえわかればいいかと。一人称のハードボイルド、大好きなタイプなんだけど、どこか入り込めず。カジノから盗まれた札束。盗んだほうも、そこには連邦銀行のインク爆弾が仕掛けられていることをわかった上での強奪。そして、実行犯は行方知れず。主人公がその捜索へ。これが、出だしの粗筋なんだけど、読み終わってみたら、内容全体そういうことで、出だしの粗筋以上のものはなかったのです。
読了日:9月15日 著者:ロジャーホッブズ
悟浄出立悟浄出立感想
△直木賞狙い?風太郎をとても面白く読み、その他の作品に手を出したがあわず、本作は風太郎の系譜となると聞き及び読んでみたのだが、新しい作風が作者の手に余るものと映った。古い中国を舞台にした短編集である。孫悟空の頃、四面楚歌の頃。wikiで調べると、項羽の項に、確かに虞美人が愛妾で愛馬が騅とある。なら、これらの話はノンフィクションの色付け的度合いが高いのだろうか。結局、この著者の本は「とっぴんぱらりの風太郎」とエッセー集しか、自分には合わないようだ。本書は、鴨川の系譜でないのは確かだが、風太郎のそれでもない。
読了日:9月14日 著者:万城目学

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by kotodomo | 2014-10-06 16:14 | 読書メーター
2014年 09月 06日

2014年8月に読んだ本のことども

金脈 The OILSHOCK! (小学館文庫)金脈 The OILSHOCK! (小学館文庫)感想
▲最初は面白そうな書き出しも、中盤から不調。結局、野ばらファンもしくは野ばら読者にしか通読できなそうな馬鹿馬鹿しさ。で、自分は野ばら読者なので最後まで。ロリータファッションの主人公女子高生が、デートに誘われて「行くます」。ここは、野ばら氏の笑いのツボ文章。あとは、ヒッピーな爺さんの手伝いで、油田を掘り当てるけど、意味のわからない理論などに筆が割かれていて、飛ばし読みも多々。で、この爺さんが不利な立場に追い込まれると話言葉は女子高生「っていうか、超カワでぇ」みたいな。ここらへんも野ばらツボ。ファンのみ必読。
読了日:8月31日 著者:嶽本野ばら
たまものたまもの感想
〇いやあ、最初の読み始め十数頁では、文章がきらきらしていて、こりゃあ面白い感性の文章に浸れるぞ!と思ったのだが、物語、もしくは物語と思われるものが進行しだすと、文芸性は高いのだが、最初で感じた感性が続くわけでは、少しがっかり。川上弘美がいたり、奥泉光がいたり、そんな既読の作家の作品も読書中彷彿されるが、この作者の文芸性はオリジナル。もう少し、全体が山尾とのやりとりばかりであったなら、今さらながら芥川賞、そんな雰囲気を持つ、変わってないけど、風味は変わった物語である。
読了日:8月20日 著者:小池昌代
マスカレード・ホテル (集英社文庫)マスカレード・ホテル (集英社文庫)感想
〇巧いんだけど、下手というかベタ。巧いのは、犯行の連綿性とか意外な犯人像とか、ホテル的なエピソードの盛り込み方とか。ベタなのは、やはり2時間ドラマ的な会話での進行や、トリック的なものを支える人物たちが本当にそういう行動をとるのかという蓋然性の希薄さ。まあ、でも東野圭吾、まだまだ頑張る所存です!って感じで、攻めの一冊かと。あと、読了後、マスカレードの意味を調べたのである。
読了日:8月20日 著者:東野圭吾
神様のケーキを頬ばるまで神様のケーキを頬ばるまで感想
◎◎この作者の本は3冊目だが、どれも巧い。手垢のついていないピュアな表現が、心をツンツンする。新しい音楽に触れたような気持ちになってくる。本作は連作短編集といっても、あるビルのテナント入居者もしくは関係者、それとある芸術家の絵画や映画といった作品と、小道具が共通するだけ。時も同じくするわけではない。また、それぞれの作品も、温度が若干違う。全体的に言えば、全部温めの温度ではあるのだが。粗筋の紹介もしようがない、さりげない物語たち。いつか凄い賞を獲るだろう。これまでの作品を読めばそう思う。天性の瑞々しい筆致。
読了日:8月16日 著者:彩瀬まる
ポーカー・レッスン (文春文庫)ポーカー・レッスン (文春文庫)感想
〇。それぞれの短編が少し長めで、おおよそ終盤に視座が変わるという構造で、ある意味飽きてくる。いや、ひとつひとつは、さすがディーヴァー、丁寧に作られ面白いのだが、それをいくつも並べられると、お腹一杯なのである。まあ、自分が通しで読み切ったのも間違いで、一日一編くらい読んでいくのがいいのかもしれない。原題と一緒で、ツイストの効いた話ばかり。普通に話は進んでいくのだが、終盤、今まで語られてきたものの様相が一変する。簡単に言えば、被害者が加害者かと思ったら、加害者が被害者みたいな(笑)誰が読んでも楽しめる一冊。
読了日:8月15日 著者:ジェフリーディーヴァー
ボラード病ボラード病感想
▲序盤はアゴタ・クリストフ「悪童日記」のようなシュールな物語である。「悪童日記」の向こうには戦争が見えたが、この本の向こうには「フクシマ」が見える。逆にいうと、震災がなければ、ただシュールなだけで意味が汲めないだろう。もっと言えば、今、福島で頑張っている人たちが読んだら、怒りを覚える本なのかもしれないし、頷きながらも慌てて首を振る内容なのかもしれない。福島の文字も、原発の文字も、地震の文字も一切ない。行政によって、絆によって、信じることこそが正しさ、幸せ。そんな地域に暮らす少女の目を通して描かれる問題作。
読了日:8月3日 著者:吉村萬壱
神秘神秘感想
◎◎この作品は、今日本における小説の最高峰に立っている。誰が読んでも面白い、誰もが唸る、誰も書けない大傑作。物語のキーワードのひとつ双子。著者自身も双子で、弟の文郎も小説家。父も直木賞作家の白石一郎。血統が書かせるものなのか、著者自身の思慮が書かせるものなのか、紛れもない名作である。転落的な物語も多い著者ながら、この物語は、ずっと天使がつきまとう。癌を宣告された壮年男の物語なのだが、話はずっと前向きで、どこか一条の光が射し、中年男の冒険的な部分も読者の心をくすぐる。二つの震災を扱いながら、どこまでも神秘。
読了日:8月2日 著者:白石一文
暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出感想
▲3月11日午後2時46分の自分は、羽田空港で故郷鹿児島行の搭乗アナウンスを待っていた。6脚カーブ型の椅子に座り本を読み、隣の女性の貧乏揺すりが気になり、それが地面からの揺れとわかり、地震直面。翌日の夕方まで28時間、空港という離れ小島に幽閉。福岡に帰る予定の男性とタッグを組んで、荷物を見てもらったり、弁当配布状況を教えてもらったり。他の幽閉先と比べると空港はラッキーな場所で、テレビ報道で何が起こっているのかわかり、トイレも自由、一人あたりの床面積は広い。仮眠はウツラ3時間程度。だから、こういう本は解る。
読了日:8月2日 著者:彩瀬まる

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by kotodomo | 2014-09-06 16:11 | 読書メーター
2014年 08月 06日

2014年7月に読んだ本のことども

2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1877ページ
ナイス数:129ナイス

あのひとは蜘蛛を潰せないあのひとは蜘蛛を潰せない感想
◎◎この作者の紡ぐ物語は静かで巧い。恋愛小説で家族小説で、職場小説、それらが作者の哲学によって色づけされるのだが、その哲学が柔らかい。気を抜けばすぐに傷ついてしまうような登場人物たちを、壊れないように、どこまでも柔らかい哲学で包み込んでいく。物語の展開も、単純なようで、精緻。昔から馴染む兄嫁の雪ちゃん、バファリン依存の来店女性客、蜘蛛を触れない性格、蜘蛛を逃がす性格、潰せる性格、色んな些細なものを巻き込みながら、物語は優しさへ向かっていく。主人公がずっと苦手にしていた母親。結局のところ、優しいのだなあ。
読了日:7月27日 著者:彩瀬まる
東京自叙伝東京自叙伝感想
◎時代を超えた興味深い自叙伝が、色んな人物達から語られるが、その人物達が、基本東京に居るわけで、そういうことで、東京が自らを語ることになり、奇妙なことに、各々の人物達も同じ人物である。奥泉光という著者は、賢い脳みそが入ったような額をして、毎回、面白い小説が書けたと豪語する。面白いときもあれば、そうでないことも。ただし、ジャンルにこだわらず、ただ小説たらんとする。本書も小説。中々に面白い小説。侍小説、戦争小説、バブル小説、原発小説、そして著者の得意な鼠視点小説。そんなジャンルミックスができるのはこの作家だけ
読了日:7月26日 著者:奥泉光
ザ・万遊記 (集英社文庫)ザ・万遊記 (集英社文庫)感想
〇「とっぴんぱらりの風太郎」で、凄いと思い、その後「プリンセストヨトミ」を読み始めたが、途中で飽きて放り投げ、でもエッセイは面白いらしいと知り、2冊読んだら面白く、でも本作3冊目は、まあまあ。連載誌の縛りで、温泉やサッカー、渡辺篤史と建物なんて限られたテーマで書くわけで、そうなると題材が枠にはまってしまって、ユーモアも涸れてくるんだろうな。たまたま、W杯が終わったばかりだったので、この前までは知らなかった、今は知っているサッカー選手の名前もチラホラ。そういえば、アンリやカカ、もう昔の人になったのね。
読了日:7月24日 著者:万城目学
闇の中の男闇の中の男感想
◎訳者柴田元幸のあとがきが秀逸。これを読めば、物語全体が一層腑に落ちる。確かに、正しい選挙の結果、ゴア氏が勝利していたら9.11のない歴史の可能性はゼロではなかったかも知れないし、もし起こっていたとしても、アメリカは今自分たちは何を問われているのか、気付くべき機会になったのかもしれない。その機会はあったのだけど、猿ブッシュが結果と結論を単純にして、父親を真似て戦争に踏み切りたがったために、それを逸したのかも知れない。少なくともイラクのない世界というチョイスは存在した。そういう暗喩を含む社会性と家族の物語。
読了日:7月18日 著者:ポールオースター
巨大訴訟(下) (新潮文庫 ク 23-32)巨大訴訟(下) (新潮文庫 ク 23-32)感想
◎◎愉快なリーガル物語&ひよこ弁護士の成長譚。法廷ゲームには、そう多くの頁を割いていないが、その部分も面白く愉快で興味深い。堅物判事の存在の妙もあり、主人公弁護士が唯一大活躍する部分でもある。あとねえ、主人公のワイフがいいなあ。大事務所を辞めても怒らないし、主人公と一緒にか弱き人々の面倒を見るし、前向きだし。そして、本書を読んでの一番の収穫は・・・「法律事務所」は読んだが、以降ほとんど未読だった過去の著者の作品を、大いに読みたくなったのだよ。「法律事務所」は面白かったが一発屋だと思っていたら、大小説家。
読了日:7月13日 著者:J・グリシャム
枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記感想
◎◎脱力系、思弁エッセイ。こりゃいいわ。自分も無駄なことを考えるタイプだが、この作家の無駄な思弁には笑わずにはおれない。こうなりゃ、全著作読むしかないな。中年男が読んでこれだけ面白いのだから、女性読者が読んだら尚更ファンになっちゃうだろうなあ。ただし、5編だけ、創作小説があって、それは頭だけ読んで、エッセイじゃないことに気付いて読み飛ばしたけどね。求めているのは、グダグダなエッセイだからね。この著者と一緒に飲んでみたいとは思ったりするが、多分、散々話を聞かされて圧倒されて疲れるかもしれない。肩をバシとか。
読了日:7月6日 著者:北大路公子

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by kotodomo | 2014-08-06 13:44 | 読書メーター