「本のことども」by聖月

kotodomo.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:読書メーター( 102 )


2014年 07月 04日

2014年6月に読んだ本のことども

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1835ページ
ナイス数:137ナイス

オバさんになっても抱きしめたいオバさんになっても抱きしめたい感想
著者は1953年生まれ、自分は1962年生まれで、世代の呼び名はない。本書の主人公は、未だシングルの40代後半のバブル世代OLと、同じくシングルの20代後半のさとり世代OL(正確には違うが)。確かに、自分の子供の頃は、どんどん物価が上がっていったが、自分の子供たちは、余り価格のインフレ的値上がりを経験してない。まあ、それは置いておいて、本書はOL達の結婚願望、婚活話。著者や自分が通ってきた、バブルやその後の時代を描いてあるので興味をそそられるし、男には共感し辛い女心も、著者の筆致が滑らかで巧く一気読み。
読了日:6月29日 著者:平安寿子
巨大訴訟(上) (新潮文庫 ク 23-31)巨大訴訟(上) (新潮文庫 ク 23-31)感想
◎◎おやおや。グレシャム+巨大訴訟ということで、硬質でストレートな法廷物かと思ったら、コメディーなストーリーにほっこり。巨大弁護士事務所→逃走→一日酒場→弱小事務所に辿りついた主人公。普通はそんなことしたら、妻に呆れられると思うのだが、その理解力が温かい。弱小事務所、例えれば弱小野球部が甲子園を目指すようなお話。きっと、下巻では苦労の連続、それを乗り越えながらも、何かを勝ち取る主人公がある世界かな。とにかく、この作家とは思えないユーモアたっぷりの面白物語。ある意味、今年の読書の拾い物。憎めない登場人物達。
読了日:6月29日 著者:J・グリシャム
夢幻花(むげんばな)夢幻花(むげんばな)感想
△島田荘司が壮大な大風呂敷を広げ、宮部みゆきがそれを回りくどい語りに落とし、それを赤川次郎が偶然と会話だけの展開に手直しし、最後はその風呂敷を東野圭吾が畳んだらこうなりました的な作り話。物語ではないなあ。作り話だなあ。自殺の理由、水泳をやめた理由、家族の態度、中二の恋が終わった理由、謎を解こうとする推進力、それぞれの行動、大きく広げ過ぎた風呂敷を畳むには、作り話的な動機や行動と偶然に頼るしかないのかも知れないけどね。帯が笑うよね。「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自らが語る。考え過ぎです!
読了日:6月22日 著者:東野圭吾
骨を彩る骨を彩る感想
◎◎初読みの作家で、上手いなあ、この作家巧いなあと思って読んでいたら、最後には、その凄さにガツン。泣きました。感動。連作短編集。最初は、妻を早くに亡くし、娘と暮らす中年男の、妻に関する奇妙な夢と日常の話。そこでの脇役が次の短編の主人公。そんな繰り返しで、最終章は、中年男の娘、小春が主人公。この最終章が絶妙に巧い。主人公が中学生なだけに青春の章なのだが、ひた向きながらピュアでシビアでヘビー。どの章にも共通することの答えが、ここには詰め込まれているような。人生は、しんどいけど瑞々しいみたいな。自分的本屋大賞!
読了日:6月21日 著者:彩瀬まる
春、戻る春、戻る感想
〇男性読者でも、瀬尾まいこの小説は、いつも中々に面白いのだが、これはちょっと。ハートウォーミングな話ではあるんだけど、男としての共感性には距離感があるな。結婚直前の、女性主人公。もういい歳の結婚。おだやかな結婚。そこに、顔も知らないけど、お兄さんという人物が現れて・・・幽霊なお話?それと、主人公女性の封印された記憶って?そんなことで、最後まで引っ張ってくれるんだけど、最後は、ふ~ん、そうだったの、みたいな感じで、まあ結局なんだったんでしょう、この話、みたいな。優しい良質な作家ではあるんですが、相変わらず。
読了日:6月21日 著者:瀬尾まいこ
ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)感想
△1、2、3としっかり読んで、4は途中で飽きてそのまま図書館に返却。で、今回5。手塚治虫の漫画が読みたくなった以外は、だんだん材料と味付けがイマイチになってきたような。6が出ても、もういいかなって感じでね。ブラックジャック。通しで読みたい読後感。
読了日:6月7日 著者:三上延

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-07-04 11:15 | 読書メーター
2014年 06月 02日

2014年5月に読んだ本のことども

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3610ページ
ナイス数:102ナイス

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~感想
◎◎7年ぶりに再読。やはり、良い本でした。7年前も今も、自分のオカンは元気なわけで、その間にオトンは死んだわけで、自分の齢も45が52になっちゃったわけだけど、そんな現実と何かが重なる良さではなく、でも最近の本屋大賞が面白いとか面白くないとか、そんな読書をしながら本書を未読の読者は是非読んでみてください、と、そんな面白さなのだなあ。福岡は小倉や筑豊の、風景や方言も、その良さを醸し出していてくれますな。著者の自伝的小説で、オカンとのことを描いているのだけど、副題「時々、オトン」と言いながら、結構オトンです。
読了日:5月31日 著者:リリー・フランキー
最後の紙面 (日経文芸文庫)最後の紙面 (日経文芸文庫)感想
◎主人公の異なる11の章が、それぞれに丁寧に描かれた短編映画のよう。ペーソスあり、ユーモアあり、文学風味あり。すべては、ローマで英字新聞を発行する会社の話や、その周辺のお話。結局、何の話という大きな幹はなく、オムニバス形式で、読者が連繋を埋めていくような、そんな読書中。印象に残って面白かったのが、スナイダーの強烈な押しにやられまくる若手のお話。あと、やはり新聞のことを考えましたね。自分が就職する頃の、花形が新聞社。それが、こんなにもネットに押されるとは。しかも、活字になった時点で、ネット上の記事より古い。
読了日:5月25日 著者:トム・ラックマン
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド感想
◎◎自分にとっての村上春樹最高傑作作品を、時を経て再読。読みながら、今回は傑作じゃないかもと感じたが、読了して、やはり最高傑作でした。前回はどうだったか憶えていないが、最終4章は涙が止まらず。切ない話の印象は、記憶の通り。でも、哀しくて切ないのではないんだよね。切ない村上作品は他にもあるが、他の村上作品にはないテイストがここにはある。愉快さ。愉快で切ない終盤。空は晴れているのに、二人は笑いあっているのに、切ないのである。読後直後の今の気分は、心が洗われた感じ。心を洗濯してくれる唯一の村上作品と言える傑作。
読了日:5月17日 著者:村上春樹
山背郷 (集英社文庫)山背郷 (集英社文庫)感想
〇村上春樹「ノルウェイの森」を読んだあと、その前に書かれた短編集「蛍」を読んで、ああ原型はここにと思ったのと同様、長編「邂逅の森」と本書収蔵の「旅マタギ」の呼応に嬉しくなる。細部は微妙に違うのだが、同じ話と言えば同じ話。本書に収録されている作品は、どれも長編になりそうな短編だが、ふむ、こういうのが選ばれて長い物語で紡がれていくのだなあ。短編だけど、最初から背景が描きこまれているしなあ。わからなかったのが「ひらたぶね」。ただ、船のありさまを描きたかっただけ?描きたいことと、読者が読みたいものが違うような・・
読了日:5月6日 著者:熊谷達也
シャンプーが目に沁みるシャンプーが目に沁みる感想
△ある意味、才能を持った作家が挑んだ、失敗作でしょう。一見、青春爽やか小説の出だしなんだけど、結局は悪意の充満したした物語。この作家は、爽やかさを描かせると巧いんだけど、悪意を説明させると下手なのである。全体的なバランスも悪いかな。A事件とB事件が並行して追及されているのに、途中A事件が忘れ去られたような描写が続いたり。あと、小説内で名言を書かせると巧いのだけど、それも不発。「屋上ロケット」「ガレキノシタ」が好きで、評価している好みの作家なんだけどなあ。肌に合わない作品も個人的にはあるんだよなあ。頑張れ。
読了日:5月4日 著者:山下貴光
本当にあった 奇跡のサバイバル60本当にあった 奇跡のサバイバル60感想
〇本当は読んでません。図書館から借りてきて、20分眺めただけでした。だったら図書館で立ち読みすればいいのに。想像通り、山、海、墜落、誘拐、紛争地、そんなところからのサバイバルのビジュアル記録。地図や、写真がまあまあ豊富。極論すれば、危ないところに近寄ってはいけない。日本を出ないほうがいい。水には近づかないほうがいい。飛行機には乗らないほうがいい。山の中に入らないほうがいい。ましてや、夫婦で夢のボートの旅に出るなんて言語道断。テニスしている最中に誘拐なんかされるわけで、とにかく外国の地を侮るなかれ。
読了日:5月4日 著者:タイムズ
紳士の黙約 (角川文庫)紳士の黙約 (角川文庫)感想
◎お昼休みに読んだり読まなかったりで、2か月かけて読みました。サーフシリーズ第2弾。やっぱ、この手のウィンズロウは面白いね。普段、途中こんがらがってくるので、翻訳物を細切れ読みはしないのだが、これはスッキリと頭に入ってくる展開。伝説のサーファーの死、浮気調査の依頼、色んなものが徐々に動きだし、最後は一極に収斂。上手いなあ。後半も後半で、主人公がどんどんピンチになって、果たしてどうやって解決?と思いきや、そこで伏線が一発で仕留める鮮やかさ。主人公も若くはないけど、やっぱ海と波が主人公なら、これも青春小説。
読了日:5月4日 著者:ドン・ウィンズロウ
ガレキノシタガレキノシタ感想
◎読みたい本リストには入れていたのだが、高校の校舎が崩壊して、その下に閉じ込められた生徒たちの話と大枠は知っていたので、面白くなさそうなと、今頃手に取ったら面白かった(^O^)/デビュー作で伊坂的山下節が炸裂したまま、その後の作品ではイマイチだったが、今回は山下流伊坂的山下節が、上手く効いている。もうオリジナルな語りと言ってもいいだろう。閉鎖空間での生徒たちの各々の話の大部分は、その空間での話ではなく、それまでの学校生活、家庭生活を想起するというのがミソ。だから、ベースは学園物なのである。勇気を貰えるぞ。
読了日:5月3日 著者:山下貴光
嗤う名医嗤う名医感想
△実際に医者でもあるこの作者の作品を読むのは好きなのだけど、この作品群はダメ。連載のための売文。そこらへんに居そうもない異常な部分を抱えた主人公を添えて、文章を書いたらこんなシリーズになりましたって感じ。折角、深みのある文章を描ける作家なのだから、こういう余技で文章綴っちゃうのはねえ。嘘を見抜ける男、潔癖すぎる医者、微笑を絶やさない医者、とにかくワンアイディアで主人公を立てちゃうと、話が薄くなりますね。医者としても作家としても信じて応援している人なので、しっかり頑張って文章を紡いでほしいのだが。残念。
読了日:5月3日 著者:久坂部羊

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-06-02 11:08 | 読書メーター
2014年 05月 01日

2014年4月に読んだ本のことども

2014年4月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2075ページ
ナイス数:110ナイス

ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎感想
◎◎滅茶苦茶面白かった拾い物。調べなくてもいいようなことばかり。牛丼の食べ方。自分は縦割り派。上の肉を食ったら、下のご飯を制し、次のエリア。半分平らげたときには、断面ができている。最初で混ぜて食う人、上の肉部分を食って、そこからご飯に行く人、卵を頼んで肉をそれに漬けて食べる人。他に、体育系部活で水飲み禁止から、水補給奨励へのターニングポイントも調べ、高校野球からエースで4番が減った歴史の流れを調べ(当然だが、投手で一番はほぼ皆無)、エロメールに使われる女性のランキングを調べる。脱力系の作者の文章もグッド!
読了日:4月29日 著者:堀井憲一郎
漂泊の牙漂泊の牙感想
〇「邂逅の森」で感動して、類似の作品を探して本書へ辿りついたが、結局ミステリーしてしまって、どこか収集がつかず、重い方向へ行くかと思われた序盤が、最後には松本清張的謎解き話になってしまった。気を取り直して次作は「山背郷」に挑戦。ああ、本書の内容ですか?もし、日本に日本オオカミが残っていたら・・・みたいなお話です。
読了日:4月27日 著者:熊谷達也
殺意の構図 探偵の依頼人殺意の構図 探偵の依頼人感想
△自分にはまったく合わなかったのは、作者が読者をアッと言わせたいだけの構成だったからでしょう。読み終えて、「ああ、そうだったんですか、わかりました」そう思っただけ。というのも、説明されても、それぞれの人物たちが、普通そういう行動はとらないでしょうということに尽きますな。娘の家出の作者の目的が、借金をこさえることにあったりも、なんだかなあ。元弁護士の著者、その作品が面白いとの評判で読んだがガックシ。本筋の法律の適用の件も使い古されているしなあ。最後のオチも意外性はあるが蓋然性はないし。構成が損なわれるだけ。
読了日:4月19日 著者:深木章子
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)感想
◎村上春樹の「パン屋を襲う」を読んだので、11年ぶりに再読。陽気なギャングの甥っ子の話だったのを再発見。あと、11年前はメタな手法に途中で完全に気付いていた記憶があるのだが、今回は明かされるまでサッパリ(笑)ブータンという国の記憶もなく、その後微かなブータンブームが日本で起こる前の話だもんなあと無理矢理自己納得。前の自分の感想を読むと、評価が低かったようなのだが、今回の読書は楽しかったし、この作品は今でも色褪せないことに感服。伊坂の新作を待つより、記憶の薄くなった作品を再訪するのもよろしいかなと思うのです
読了日:4月13日 著者:伊坂幸太郎
アトミック・ボックスアトミック・ボックス感想
▲芥川賞を受賞したこの作家の作品は、多くは読んでいないのだが、それでもセンスのある作家というイメージは持っていた。ところが本書はセンスがない。国家機密的情報を亡くなった父から引き継いだ娘が当局に追いかけられながらも・・・なんて壮大な話なんだけど、結局はショボイ逃避行物。小さな容器に、雑多なものを入れ込み過ぎたそんな感じ。広島、長崎、チェルノブイリから3.11まで載せこんで未消化状態。都合のいい所に、都合のいい登場人物たちを配置して、物語を進めてみただけ。この大風呂敷とショボさは、大沢在昌的であった(笑)。
読了日:4月6日 著者:池澤夏樹
パン屋を襲うパン屋を襲う感想
△1980年代のこの初期の文章は、結局芥川賞側に位置するのだけど、最近の村上春樹は、直木賞側とは言わないけれど、軸足はシュールな大衆。この作品はシュールな芥川賞側。パン屋を襲うだけの話なのだが、テーゼとかワグナーとか小賢しい。春樹長編はコンプリートな自分だが、短編や紀行やノンフィクションには手を出す気がなくて、こうやって短編2編を読んでみても、後の未読の短編集もとは思わない。この本のコンセプトは、シュールな絵を描く画家とタッグして絵本を作りたかっただけ。表紙になぜかピエロ。ピエロのパン屋。なるほどね。
読了日:4月5日 著者:村上春樹

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-05-01 14:27 | 読書メーター
2014年 04月 01日

2014年3月に読んだ本のことども

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3778ページ
ナイス数:113ナイス

首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲感想
〇確かにそこには伊坂流伊坂節はあるのだが、短編集だと自分の中ではやはり炸裂なしに終わってしまいイマイチなのである。例えば前作、前々作の長編は楽しくワクワク読み、終わってしまうのが勿体ない感じだったのだが、今回は早く読み終わらないかなぁとつい義務的な読書となってしまう。死神も一作目の短編はイマイチで、二作目の長編は楽しめたわけで、まあ個人的な相性としか言えないのだが。神も仏も、右から左へ、各編共通するものがなくはないが、連作短編集まではいかず、関連した短編集となっており、人気の黒澤、それにチラリと死神も。
読了日:3月30日 著者:伊坂幸太郎
猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)猫間地獄のわらべ歌 (講談社文庫)感想
〇時代物ながら本格ミステリーでオトボケ小説。江戸時代の主人公が自分のことを俺と呼ぶことからして、ハードボイルドタッチ?と思いきや、シーンはお国の連続殺人事件へと飛ぶ。なんとも妙な殺人事件が続いて、犯人像が明かされたかと思いきや、いきなり読者への挑戦状。密室、館物、メタ、そんなものが入っている時代物。伏線とも思っていなかったものが、最後には伏線として回収されるから、中々に大したもの。なるほど、このミスにランクインしていなければ、読み逃していたはず。いや読み逃しても構わないのだけど、これはこれで収穫なり。
読了日:3月30日 著者:幡大介
砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫)砂漠で溺れるわけにはいかない (創元推理文庫)感想
◎◎シリーズ5作が完結。中だるみしていたような感もあったが、本作で持ち直して見事なフィニッシュ。特に今回はキャラがいい。ラスベガスから帰ろうとしない、86歳の爺さんを無事帰還させるのが、今回の主人公の任務。これがうまく行かない。お金も意識も問題のない爺さん。でも、帰ろうとしない。飛行機に乗らないと我が儘。日本車やドイツ車には乗れないと我が儘。その間ずっと昔話や落とし話を喋り続け・・・って、この爺さんの延々とした会話を描ける作者が素晴らしい。あまりにもシツコイうるさい話に読みながら笑ってしまう。読むべし。
読了日:3月27日 著者:ドンウィンズロウ
ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記感想
〇現役作家であり「廃用身」や「無痛」の医学小説で知られる著者の、青春ノンビリエッセイ。学生時代の旅や、通ったお店の話などはさほど面白くなく、パラパラ読みになってしまうのは否めないが、臨床の実習等で、重い病気におかされた患者を通して感じるピュアな苦痛、医者になってわかる患者の選別(必要な意味での)、そんなところが考えさせられてしまう。手塚治虫のBJに登場した安楽死医師キリコ。当時は悪役として受け止めていたが、うむ、患者視点、医師視点のバランスを取って眺めると、満更悪役でもない。手塚氏も葛藤を感じていたのかな
読了日:3月27日 著者:久坂部羊
邂逅の森 (文春文庫)邂逅の森 (文春文庫)感想
◎◎マタギの話、別に読まなくてもいいやと史上初の直木賞&山本周五郎賞受賞作をスルーしてから10年。判断を誤っていた。一気読みの傑作。読まなかった後悔と、今読めた喜びとを感じた山の男の物語。勘違いしていたのは、少人数の男たち、ひとつの山での物語で終始するのかと思っていたら、様々な登場人物たちの配置の妙に唸らされ、場を転々とする冒険のような男の生涯にワクワクし、章ごとの山場やエピソードに心踊らされる。いいなあ、あのシーン。後半で主人公がこけしを買い求めるシーン。熱い涙が零れました。未読の方は、是非に読むべし!
読了日:3月21日 著者:熊谷達也
舞台舞台感想
〇イタイ主人公の一人称物語。道をすれ違う人は気付かないかもしれないが、俺は今日童貞を捨てたんだぜ!と胸を張って歩くと人が奇異に思うかもしれないので、今日は外を出歩くのはやめよう、そんなアホな思弁的主人公が初めての米国で本当にイタイ目に。最初はそのイタサに苦笑するが、途中から、おいおい、と感じる読書中。決して他人事ではないのである。読書メーターに感想書いたり、FBでネタをアップしていること自体、そんな自分を他人がどう評価するのかと考える自分がそこにいるのである。しかし、幽霊は本当に見えていたのかなぁ?
読了日:3月19日 著者:西加奈子
破門 (単行本)破門 (単行本)感想
◎イケイケの極道桑原とヘタレ二宮のおかしな二人シリーズ。シリーズでは「国境」が一番好きなのだが、なぜかと言えば北朝鮮という不自由な国で冒険するからで、本作も香港やマカオに二人は出向くはめになるのだが、不自由な国でもなく、大体は日本を舞台に活躍するので、携帯一本で事態は次の展開を見せる。だから、いつもの大阪弁会話も面白く、どういう収斂を見せるのか読書としては楽しいのだが、逆にリズムの良さが盛り上がりシーンを作らないのである。あのシーンが!というのがないのである。それでも面白いシリーズ。次回は是非また共産圏へ
読了日:3月16日 著者:黒川博行
ザ・万字固めザ・万字固め感想
〇イマイチ。今一つ、それぞれの文章に紡ぐ熱意が感じられず残念。ゆるくニヤリとさせるエッセイ集のはずなのだが、ただゆるいだけで、ニヤリとしないのである。少し涸れ気味。
読了日:3月15日 著者:万城目学
モーツァルトとレクター博士の医学講座モーツァルトとレクター博士の医学講座感想
◎現役の医師にして小説家である著者の医学的カラダトリセツ。わかりやすく興味深い。自分が属する医学界の常識にも納得していない部分(聴診器は使用するが未だにその重要性が著者はピンとこない)の独白、サプリへの懐疑等、自然体で話を進めていくので興味深々の読書なのだが、怖い病気にも気軽に触れてくるので、読んでる読者は、俺ってガン?私ってどこか悪い?そんな気分に陥ってしまう(笑)その著者が副作用も気にしながらも「フィナステリド」という脱毛予防増毛薬を試し、効果があるみたいと言っているのが気になり、φ(..)メモメモ。
読了日:3月9日 著者:久坂部羊
彼が通る不思議なコースを私も彼が通る不思議なコースを私も感想
◎小説というジャンルがあるなら、これこそthe小説。不思議な人生のコースを辿る彼との恋愛結婚生活の物語。物語の展開のスピードがちょっと変わっていて、ある時は同じ時点の事柄をゆっくりと書き込み、またある時はたった2頁で普通の人が議員にまで登りつめるという荒技を使う。そして最後には、その長い長い時間を圧縮してしまう。一見、それはないでしょう、という終盤ながら、著者が主人公たちに言わせている「時間」というものを、自らの筆で体現していると考えれば、これはこれでありだろう。小説の展開性は面白いが、結末はあっけない。
読了日:3月9日 著者:白石一文
長州シックス 夢をかなえた白熊長州シックス 夢をかなえた白熊感想
〇幕末の短編集。著者の得意な妖術とか忍者とかは封印。結果的に読みやすく、別の見方をすれば、誰が書いた小説か、わからないような癖のなさ。そこかしこで史実と創造を絡めながら、筆の温度は人肌、そんな感じの佳作集。表紙で誤解しそうだが、動物の白熊が出てきたり、人間のマネをしたりはないので要注意(笑)そうか、人々は和蘭語から英語へその必要性の傾きを変えていったわけか。現代も、英語は大活躍、オランダ語講座って聞いたこともないなあ。最近、色んな本でジョン万次郎に出逢うが、本書にも少し名前だけは登場。人気者ですなあ。
読了日:3月2日 著者:荒山徹
ザ・万歩計ザ・万歩計感想
◎脱力系想像力的エッセイ集。マキメ氏は工場や城が好きだが、自分は工場も城も好きではないのだが、全体の値打ちのないような想像力にいたって共感、オモロ本(^.^)若者にはわからないような昔ギャグの材料も時々ツボ。カッパドギアを見て「アッチョンブリケ」と心の中で思ってしまう著者に、思わず吹き出してしまう。惜しむらくは「とっぴんぱらりの風太郎」しか読んでいないので、他の作品に関する話題が出ても、ちょっとピンと来なかったことかな。先生に、はむかうなら、にくやにいけ・・・聞いたような、初めてのようなユーモアにニヤリ。
読了日:3月2日 著者:万城目学

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-04-01 18:48 | 読書メーター
2014年 03月 02日

2014年2月に読んだ本のことども

2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2250ページ
ナイス数:97ナイス

かにみそ (単行本)かにみそ (単行本)感想
〇2つの中編が収められているが、表題作のみ読んで読了ということで。海辺で拾ってきた蟹が、無邪気に喋り始めるまでは面白いと思ったのだが、あとのホラー的要素はありきたりで、しっかり描きこんであるのだが、後半は拾い読み。もう、この手のやつを楽しむには年齢が合わなくなってきたのか・・・多分、想像力が乏しくなってきたのだろうな。文章自体は、新人とは思えぬ、堂々とした筆捌き。
読了日:2月23日 著者:倉狩聡
世界でいちばん美しい世界でいちばん美しい感想
〇面白かったような、イマイチだったような微妙な感じ。暗い部分がなく、明るい部分でもっと進行したほうが良かったような。少年期の部分は「船に乗れ!」の焼き直しのようでもあるが、中々に面白く、青年期の部分はなんだか言葉足らずの展開かなあ。ただ、作者自身が音楽に造詣が深く、自分の土俵で勝負しているところが、全体に深みを与えているよう。
読了日:2月16日 著者:藤谷治
日本全国もっと津々うりゃうりゃ日本全国もっと津々うりゃうりゃ感想
△著者のなんとなくのファンなのだが、面白くないというより、脱力系文章のノンフィクション旅行記なんで、つまらないというのが正しいのか。この著者の持ち味は、いかにつまらないことで笑わせるかにかかっていて、一度も笑う隙がなかったのは無念至極でうりゃうりゃであった。あとがきに第3弾(本書は第2弾)も出すようなことを書いているが、出すなとは言わない、ただそれなりの文章を書いて欲しいとうりゃうりゃ思うのである。
読了日:2月7日 著者:宮田珠己
死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)感想
◎◎1部2部の上下巻、計4冊。表紙絵は大体ハリーの背景を体現している感じで、今回は上巻は刑務所の運度場、下巻は戦場となっている。が、しかし、各々の登場人物の視点で描かれる各章のハリーの部分は意外に少なく、そういう意味ではやはりハリーを中心とした一族の年代記なのである。下巻の注目は、上巻で出てきた嫌な登場人物たちが報いを受けるとこかな。誰かがあっさり殺されたりもするが、それで話の展開が早まるならOK。ただし終盤の法廷での争い事は日本人にはピンと来ず、判決を第3部に委ねているが、どうなるの?とは思わない(笑)
読了日:2月2日 著者:ジェフリーアーチャー
死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)感想
◎◎シリーズ第2弾の上巻のテイストは・・・おおシドニィー・シェルダンみたい(笑)平易な文章で、面白けりゃなんでもござれの展開。特に今回は憎むべきキャラが散見。いつかギャフンと言わせたく、読んでるこちらもムズムズ。でも一筋縄ではいかずに、主人公キャラたちを応援しまくり。刑務所物、ストレンジャーINアメリカ、戦争に脱走。こりゃあ面白くないわけがない。だが、上巻なので何も解決されず下巻へ。救いはエマがハリーの生存を確認したことのみ。舞台のほどんどは、英国を離れ展開していくが、果たして下巻では何が解決されるのか?
読了日:2月1日 著者:ジェフリーアーチャー
とっぴんぱらりの風太郎とっぴんぱらりの風太郎感想
◎◎巧緻に重層に紡がれる物語。にんにくや瓢箪や黒弓の喋りといったコミカルな材料に、読書の心地よさを置きながらも、あくまで通底するのはハードボイルな登場人物の各々の生き様。最終章も予定調和な後日談が描かれるのかと思いきや、あくまで切ない信念を貫いた男の生き様。大傑作である。筆の反射神経で紡ぐ作家と思いきや、あくまでも丹念な話の運び。この作品を上手く訳すことが出来たなら、ジャパニーズ忍者ハードボイルドとして海外でも支持を得られるのではないのかな。下手に訳すとコミカル忍者ファンタジー。本作の評価もそこが分れ目。
読了日:2月1日 著者:万城目学

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-03-02 13:35 | 読書メーター
2014年 02月 01日

2014年1月に読んだ本のことども

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2957ページ
ナイス数:124ナイス

モンスターモンスター感想
△この作者にしては芸がない。導入部分の、不細工に生まれついた少女の生い立ちもつまらないし、見事な整形を経て舞い戻った美貌の女性の謀りも、たいした工夫もない。ただ、整形に目覚めた主人公が、整形にのめり込む様は興味深い。美容整形における黄金比率、モンキーなどの分類を表す用語とか。大昔は整形などあるまじきと思っていた自分も、最近の風潮や慣れから考えたとき、今はある意味許容派かと。ただ失敗の心配や、人体への悪影響が一切ないのが前提だけど。あほな部分のピアスや、入れ墨は、今でも無意味と感じるが。前向きに頭髪の整形?
読了日:1月19日 著者:百田尚樹
金色機械金色機械感想
◎◎あれれ、恒川光太郎も文章で遊ぶことあるんだねえ。ふざけるユーモアを持ってるんだねえ、と思ったのは、後半、夜隼の正体を明かしたときの熊の反応や、あと終盤の金色様をお茶目に描き切っているところだろう。この作家の作品は、普段はどこか異界の世界を描くことが多いが、今回は割とリアル。この世のものでない技も出てくるし、月の子孫も出てくるが、それでも小説上はリアル。壮大な物語の繋ぎに出てくる金色様。最後は、繋ぎではなくやはり主役であった。あっぱれの大作(^.^)
読了日:1月18日 著者:恒川光太郎
書楼弔堂 破暁書楼弔堂 破暁感想
△水戸黄門をレンタルで6本借りてきたら、みたいな読後感。最初はそれぞれ興味深いエピソードから始まる。どうする連なんか、どうでもいいのに、何か時代を感じるし、主人公の問わず語りも中々面白い。でも中盤以降はみんな一緒。結局、最後の章なんて、途中まで読んで、それ以上は読まずに読了・・・って言っていいものか。まあ京極の薀蓄が好きな方にしても、毎日1編とかせめて2編じゃないと、水戸黄門に飽きちゃうぞ。あと著者は、当時の著名人の活き活きした姿を描きたかったんだろうなあというのは、よく理解できるが。
読了日:1月18日 著者:京極夏彦
櫛挽道守櫛挽道守感想
◎◎素晴らしい。どういう賛辞を送っていいかわからぬが、今一度本書で直木賞をというくらいに素晴らしい。木曽の山奥の櫛挽きの家に生まれた女性主人公の話って枠組みで、これだけ読ませるとは。無駄のない重厚な筆致ながら、さらさらと読めるのも、とっくに直木賞を受賞した高みの匠の巧みと言えようか。家に背を向ける妹、12歳で死んだ弟、そういう風に書くと面白くもない材料だが、う~む、読ませるなあ。図書館の新刊コーナー、中身も知らず著書借り。ある男に感服し、漂砂は途中で放り投げた自分なのだが、気になって読んで大正解。名女流。
読了日:1月13日 著者:木内昇
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)感想
〇このシリーズ、2作目までは丁寧な感じだったのが、段々と大味に。結局、1作目とかでは感情移入できた主人公なのだが、本作などでは何を考えているのやら。あと、有名人の浮気、お相手の女性が雲隠れの出だしはいいのだが、結局、最後に遊園地が舞台となるのは、なんかピンとこない感じ。これを読めとはいわないが、ぜひ1作目の「ストリートキッズ」と続く「仏陀の鏡への道」はご一読を(^.^)
読了日:1月12日 著者:ドン・ウィンズロウ
伊藤博文邸の怪事件伊藤博文邸の怪事件感想
△推理物は今さら読みたくはなかったのだが、なんとなく伊藤博文とその時代なんてのがわかるかと思って読み始めたが、そんなことはなかった(笑)ただの推理小説だった(笑)伊藤の邸に住み込むこととなった主人公青年。そこでの怪事件は少し密室、少しアリバイ、動機やトリックはなんて本当に推理小説で、最後には死体が自分で歩いてしまうあたりは興醒め。時代を代表する歴史上の人物たちの名前は紹介程度登場はしたけれど、やはり推理しても推理できない推理小説なのであった。もう、こんなタイプの本は読まないぞ!と固く誓った2014年。
読了日:1月12日 著者:岡田秀文
検事の死命 (「このミス」大賞シリーズ)検事の死命 (「このミス」大賞シリーズ)感想
〇冗長。前作「検事の本懐」のようなキレはなし。特に、主人公の親父さんの秘密を書いた章は、謎の本質はどうでもいいのだが、登場人物たちの会話や反応がまるで作り事。あと連作4編を読む間に3回出てきた、「教師に叱られた子供のような」的、陳腐な表現から是非早めに脱出してほしいものである。前作が相当によかっただけに、本作は残念。最後の章も面白い謎解き部分はあるが、裁判の構成的にはあり得ないような。クロスが決まったから良かったものの、弁護側の不意打ちがなければ逆に嫌疑を固められなかったような気がするのだが。次回は頑張れ
読了日:1月5日 著者:柚月裕子
浮世女房洒落日記浮世女房洒落日記感想
◎堅苦しい題名にわかりやすく副題をつけるなら「浮世の歳時記を洒落て綴った女房ブログ」ってな感じ。1月に日記を書き始め、12月に仕舞うのは、月々の祭事や季節を楽しみながらの生活記で全然肩の凝らない読み物。へえ、蓮見ってのは行事の名なのか。蓮の花の咲く時期に、早朝に蓮池に見にいくのね。そんな季節の楽しみ方。江戸の火消や鳶の粋なこと。当時からアンアンやるるぶみたいな指南書が流行っていたこと。それ以外にも、近所の人々との触れ合いに、事件や恋の行方と、いかにも何気ない連続ドラマを見ているよう。これぞブログ江戸版。
読了日:1月2日 著者:木内昇

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-02-01 23:26 | 読書メーター
2014年 01月 01日

2013年12月に読んだ本のことども

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:3117ページ
ナイス数:76ナイス

高く孤独な道を行け (創元推理文庫)高く孤独な道を行け (創元推理文庫)感想
◎最近読書が苦痛になってきた感があって、やっぱ読書は娯楽じゃなきゃと思い、積読であったニール・ケアリーを手に取ったら、そこには娯楽があって読書が楽しかった。ただし、中盤からは苦しい。目的のために、愛する人を裏切り、そして終盤にはウィンズロウの黒い作品によくあるような、死人ゴロゴロのヘットヘト。シリーズ3作目。あとの2作も大事に娯楽読書しなきゃね。今回の任務は、子供取戻し作戦なのだが、序盤は農場のお世話になったり牧歌的。中盤はどこか人情的。そして最後は戦闘モード。最後のエピローグにホッコリ。やはり上手いね。
読了日:12月31日 著者:ドンウィンズロウ
悪医悪医感想
◎非常に読みやすい。がん患者と向き合う医師と、がんと闘う末期の患者の視点と、交互に物語は進んでいくのだが、パートの切り替えが短くてサクサクと読める。半日で読了。手の施しようがなくなった時に、医師はどう考え、患者はどう考えるのか。ひとつのフィクションの中に、様々なノンフクションを組み入れたような構造で、色々と考えさせられる。不謹慎な言い方かもしれないが、その日のために、読んでおけば、また色んなものが違って見える本なのかもしれない。何も主張せず、医療の現場を肌で感じて、今後の考え方の構築の一助にしてほしい。
読了日:12月29日 著者:久坂部羊
有罪答弁有罪答弁感想
△なんじゃこりゃ!今度こそトゥローの法廷物と思って読んだら・・・ハードボイルド無秩序へたれ主人公物。トゥローと思って読み始めたら、途中からウェストレイク風、コメディタッチのヘトヘトハードボイルドみたいな感じで、図書館本だったので、思わず表紙カバーと中身に相違ないか確かめ、結局「有罪答弁」なんていうシリアスさは皆無。事前にわかっていなかった自分がいけないのだろう。過去のこのミスランクイン作品でもあるので、当時はこの作者の新境地と評判をとったんだろうなあ。最近の二作品を読んで、法廷物と遡った自分には、意外作!
読了日:12月17日 著者:スコットトゥロー
シャドウ・ストーカーシャドウ・ストーカー感想
◎ディーヴァーの物語の組立にももう慣れてきて、限られた時間で二転三転のスリリングな展開をするわけで、今回の章立ても、日曜日、月曜・・・金曜日まであって、水曜日で物語が一件落着すると、おお、ここから二転三転だなあとわかっていても面白いのは流石。人気カントリー女性シンガーを追うストーカー。そこに心理分析官的、女捜査官がいつもの活躍。水戸黄門的な土台なのだが、そこはディーヴァー、ハリウッド映画的に巧い。Aが犯人と思わせておいて・・・そんな先の読めない極上のミステリー・・・なのだが、主人公の恋の早とちりは蛇足。
読了日:12月16日 著者:ジェフリーディーヴァー
立証責任〈下〉 (文春文庫)立証責任〈下〉 (文春文庫)感想
◎結局、法廷物では全然なく、ミステリーとしては面白いし、主人公を中心とした群像劇としては、抜群に面白い。妻の自死、息子や娘が親に黙っていた事実、そんなこんなを合わせると、この主人公も随分と寂しい背景を持っていたことに気付く。逆に一番身近で親身だったのが、義弟じゃないのかな。結局、男は50歳を過ぎれば孤独なことに気付くべきで、いやそうじゃないと言う人は、自分の職業の殻、近親者との関係性などを今一度冷静に見つめる必要があるかも知れない。そういう意味で、本編とはなく自分はグランドゴルフに集う老後は送りたくない。
読了日:12月15日 著者:スコットトゥロー
立証責任〈上〉 (文春文庫)立証責任〈上〉 (文春文庫)感想
◎上巻では、未だ法廷物にならず。下巻ではどうなんでしょう。妻に先立たれた、50代中年弁護士が登場。息子、娘との関係性、顧問上の問題、そんなことが描かれる中、なんとメインは彼を取り巻く、第二の人生、下半身の人生、女性関係への目覚めなのである。単なる法廷物作家かと思いきや、こういう心情を伴う描写も上手いのだなあ、トゥロー。出版から20年。たまたま自分が50歳を超えてから読むわけで、30代だったら、そうかなあ?と思ったであろうことが、頷けて読めるのである。失意からすぐ立ち直り、新たな恋に落ちる?果たして自分は?
読了日:12月14日 著者:スコットトゥロー
生活安全課0係 ファイヤーボール生活安全課0係 ファイヤーボール感想
〇お気楽コミカル警察小説。普通の警察組織では、こんな言動、こんな行動とったら怒られちゃうでしょうのオンパレードだけど、面白ければそれでいいのだという、作者の開き直った筆の捌きがすべて。放火犯対お荷物0係の構図で始まる物語なのだが、脱線を繰り返し、結局は帯の惹句からはかけ離れた面白さ(笑)傑作とかではないのだが、主人公島流しキャリア君のセリフが、時々ツボにはまったように楽しい。都合も良過ぎるし、解明されないエピソード(手品のネタ仕入れも含めて(笑)も多いけど、良くも悪くも気軽に楽しく読ませます。是非図書館で
読了日:12月7日 著者:富樫倫太郎
非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヵ月で3時間13分! (ソフトバンク新書)非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヵ月で3時間13分! (ソフトバンク新書)感想
〇常識的で総体まとまった本。ある程度、知識を吸収したランナーが、全体をつかむのに適した本。ただし、副題のキャバ嬢が云々は、本筋とは関係なく、キャバ嬢に埋もれた才能が存在していた程度のお話。結局は、自分にとってあちら側の人(サブ5とか4とか)たちの話で、初ゴールを目指すこちら側の人には、何がヒントになるかが鍵。栄養補給、走行距離とか。自分が参考になったのは峠走。峠を走る体力はないが、近所の一つのコースが浮かび、あの学校坂500mをバテるまで往復して、超回復がいいかも!の発想。走後のストレッチ不要論には反対。
読了日:12月1日 著者:岩本能史

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-01-01 07:10 | 読書メーター
2013年 12月 01日

2013年11月に読んだ本のことども

2013年11月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1394ページ
ナイス数:83ナイス

島はぼくらと島はぼくらと感想
△二章までは丁寧に読んでいたのだが、焦点がぼやけ過ぎで、三章から終盤は拾い読み。兄弟の意味とか、火山であることとか、高校二年生の視点とか、そういうことの意味が不明で、結局は作者が母子を囲む風景を書きたかったのかなあ。ゼロハチなんかで、変なキャラを出していた、あんな作風がないとこの作家の筆は、個人的には面白くないようで。ちょっと期待していた分、期待外れ感の強い読後感。ごめんなさい。以上、個人的な感想です。忘れてください。他の方の感想を読むと、多くの方に支持されている作品です。
読了日:11月17日 著者:辻村深月,五十嵐大介
11/22/63 下11/22/63 下感想
◎◎結果として、物語の大枠も設定も陳腐なのだが、滅茶苦茶読ませるストーリー。上下巻読み終わった後は、もうヘトヘトながら、長い旅の達成感に浸るようなそんな気分。結局、ケネディ暗殺もベトナムも歴史の繋ぎ役でしかなく、今から100年後、果たしてそれが歴史の記憶に残るのか、単なる遺物のひとつにしか過ぎないのか。日本でも板垣、伊東は遠くなりにけり。この物語で、日本でもと思ったのが喫煙に対する過去の寛容。飛行機でホームで職場で煙草が吸えていた時代を記憶する自分。米国ならではと思ったのが、芝生とスプリンクラー。懐古的。
読了日:11月10日 著者:スティーヴンキング
11/22/63 上11/22/63 上感想
◎◎凄過ぎる面白さ。実はキングの本を読むのは初めてで、映画はいくつか観たよなあと思いwikiったら、「ショーシャンクの空に」もキングだったのか。「スタンド・バイ・ミー」もかあ。「シャイニング」「クリスティーン」「ペットセメタリー」は把握して鑑賞したけどさ。てな按配で、ホラーテラーを読まされるのかと思っていたら、めっちゃ映像系エンタメ度高し!過去に遡って歴史を改編するワンアイディアの設定から、これでもかの冒険、恋愛、人情そしてホラーというか不思議の繋がりのテンコ盛り。上巻の最後が謎の意味わからず、いざ下巻。
読了日:11月3日 著者:スティーヴンキング

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2013-12-01 06:44 | 読書メーター
2013年 11月 02日

2013年10月に読んだ本のことども

2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1382ページ
ナイス数:79ナイス

ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅感想
〇自分が65歳くらいになって、引退していて、嫁さんと二人、鹿児島に住んでいるところに、嫁さんの青森の知人から手紙が届き、嫁さんがそれに返事を書き、ポストの出してくるわと言って外出し、中々帰って来ず、電話が嫁さんから入り、やっぱり会いに行くことにしたわ、歩いて、今は串木野なんだけど・・・そんなことになったら自分はどうするのかなあ?ひとつわかったことは、宝くじで億の金が当たったらどうしましょう?と思っていたのが、ひたすらの旅に出てもいいかなということ。勿論嫁さんも連れてね。何しに?私は行かないわと言われそう。
読了日:10月14日 著者:レイチェル・ジョイス
月下上海月下上海感想
〇史実小説を読んでいるようで、少しあっさりめ過ぎ。夫とそのお相手を嵌めたことも、そんなにうまくいくのかどうかということは関係なしに、事実は事実。第二次世界大戦、中国での日本のあり方、菊池寛という文藝春秋の祖、色んな事実に挟まって、出来事自体も事実は事実的。もしや、モデルになった人がいるのではと思って検索してみたが該当なし。物語は、女流画家が戦時中の上海で、裏側の世界に取り込まれ、濁流から岸に這い上がろうとするようなお話。評判が気になって読んだのだが、兎にも角にも自分にはあっさりし過ぎた物語でした。
読了日:10月13日 著者:山口恵以子
教場教場感想
◎◎カチリとハマった警察学校を舞台にした連作短編集。柳広司「ジョーカーゲーム」や横山秀夫「第三の時効」とテイストの似た佳作。ただ、登場するキャラたちが、警察官になるべく教練を受けているのに、心がみんなスパイなのが面白い。要するに、駆け引きが面白いのである。騙し騙され、その理由と最終的な勝者はどっち?みたいな面白さなのである。最後まで人物の底が見えない教官風間の魅力かな。あと、職務質問、取り調べの妙なんかも、微妙な味付け。もう少し、そこらへんの薀蓄を入れ込んでもよかったのかもしれない。作者が化けた感の作品。
読了日:10月6日 著者:長岡弘樹
こんなにも優しい、世界の終わりかたこんなにも優しい、世界の終わりかた感想
▲「いつだって僕たちは」小説の第一人者で、プチオカルト作風が味付けの作家なんだけど、今回はウーム。自認してるにしても「いつだって」という言葉が、物語の中に20回も登場するのは、ちょっとやり過ぎ。それとオカルトがプチじゃなくてメガなので、その設定の存在が大きすぎて邪魔な感じ。少年と少女と、変てこな友人というのは、「そのときは彼によろしく」と同じで、少女との再会も同様なので、なんか焼き直し感が強いなあ。初めて読む読者には、それなりに受け入れられるかも知れないが、「その彼」や「今会い」のファンには少し乱暴かも。
読了日:10月6日 著者:市川拓司

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2013-11-02 13:00 | 読書メーター
2013年 10月 02日

2013年9月に読んだ本のことども

2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1852ページ
ナイス数:86ナイス

影法師影法師感想
◎◎2012年発行の大傑作。なぜ、今までこの作品を知らずにいたのか不思議。今回の百田ブームで作者借りして出会うまで。武士の矜持、不可思議な因縁、主人公の成長物語であり、竹馬の友の磊落物語。中盤で、これは泣いた赤鬼の百田版と気付いても、その絡まった糸の正体は最後までわからない。最後の最後になって、解き明かされると、熱い涙がほろりんこん。放送作家だけあって、その台詞回し、場の展開が絶妙。実は「海賊」は史実の狂言回しみたいで、途中で退屈になったのだが、これはいい!傑作。大傑作。永遠に読み継がれて欲しい一冊だな。
読了日:9月22日 著者:百田尚樹
骨の祭壇(下) (新潮文庫)骨の祭壇(下) (新潮文庫)感想
上巻と比べて、下巻はやや冗長に。ラブロマンスを予感させる二人の粋な会話も少しありきたりだし、謎はインディジョーンズな古代史的な謎のままだし。でも、非常にスペクタクルでハリウッドな上下巻でした。年末のランクインはさておき、今年の抑え本の一つでしょう。しかし、この男性主人公、世界中に貸しを作りまくっているのが凄い(笑)。あと、女性主人公のほうは、登場した時点とそれからの造形とは、美貌のあり方も生き方も、相当ずれが感じられるけど、それはそれで面白けりゃいいのだ。名の売れた訳者の担当作品はやはり原著が面白いせい?
読了日:9月18日 著者:フィリップカーター
骨の祭壇(上) (新潮文庫)骨の祭壇(上) (新潮文庫)感想
◎◎読書メーターで引っかかった面白本。色んな方々が「面白い」と感想を述べているので、ベタな表紙だなあなんて思いながら図書館で借りたら、これがやっぱり面白い。100頁くらいまでは、読みやすい、くらいの感想だったが、そこから先は一気読み。理由もわからず、命からがら逃げなきゃならんわけで、手に汗の読書。悪玉のキャラも中々で、やっぱ悪玉がクリアに描写されているから、尚更面白いのだな。「骨の祭壇」の謎と、「フィルム」の謎。作者は正体不明の有名作家、いわゆる覆面作家らしいが、ディーヴァーがサスペンス書いたらこんな感じ
読了日:9月16日 著者:フィリップカーター
Tarzan (ターザン) 2013年 2/28号 [雑誌]Tarzan (ターザン) 2013年 2/28号 [雑誌]感想
◎ジョギングはするけれど、走ることで何かをなしとげる、何かを追及する気持ちがない自分は、これまで一度もランニング雑誌を読んだこともなく、今回バックナンバーを取り寄せ、読んでみれば目から鱗。タイツ買わなきゃ!今回、何気に買ったランニングシューズも参考商品に挙がっていたので、何となく一安心。ストレッチ、筋トレの多彩さ、それの目的とする結果、そんなものに唸る。これまでの自分は何も考えずに(血圧と体重のことは考えていたが)走っていたが、距離を走ることと、楽に走ることを考えようと考えた。要するにまだ考え中(^.^)
読了日:9月16日 著者:
死神の浮力死神の浮力感想
◎◎前作は短編集ということもあり、伊坂の企みは少なく、どこか物足りなかったのだが、今回の長編は、伊坂らしい企みに満ち満ちていて大満足。加えて、イマイチつかみ切れていなかった千葉のキャラが大炸裂。前作を読んだときはシリーズ希望は思わなかったが、本作で大希望なのである。ある意味、懐古も含めた家族小説でもあり、なんとなく「重力ピエロ」と重なった読中読後。狂人に与えた重罰も、怖いようでユーモラス。あと、映画じゃ陳腐なエンディングは、なるほど、こうなるのか。この前振りがあればこそ、陳腐な終焉も、光を放つのだなあ。
読了日:9月8日 著者:伊坂幸太郎
出訴期限出訴期限感想
◎これまでの作風や作者から、リーガルな法廷物と思って手に取ったらさにあらず。リーガル風味なミステリー。要するに、法廷での検事と弁護の丁々発止や、シーソーゲームとは無縁で、相手の正体がわからない謎の脅しの、カラクリや如何にというところ。その謎や動機が明らかにされたとき、読者はその真相に納得至極。さすが、トゥロー。前作「無罪」のほうが最新作で、本書のほうが作品としては古く、「無罪」の主人公にとっても、まだ「無罪」での出来事は起こっていないのだが、それを知ろうと知るまいと、読者には特に問題はなく、独立した作品。
読了日:9月1日 著者:スコットトゥロー

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2013-10-02 18:57 | 読書メーター