「本のことども」by聖月

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カテゴリ:読書メーター( 100 )


2013年 07月 13日

2013年6月に読んだ本のことども

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2686ページ
ナイス数:97ナイス

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想
▲後出しジャンケン承知で言えば、本書を絶賛する人、否定する人、否定する人を否定する人がいて、それじゃあ自分はと問われれば、卑怯だけど絶賛も否定もせず、自分の中の村上春樹書棚論に沿っていえば、再読しない書棚に入れる。先日、ダンスや羊を再読、堪能したが、本書は一回こっきり。ノルウェイやスプートニクと同じ扱い。ノルウェイは自分の中で高評価だったけど、再読はそそられない。結局、わかるように表現すれば、どこかもどかしい物語は再読しようとは思わない。世界の終りが著者の最高傑作だと思っているが、もどかしさ内包で再読なし
読了日:6月23日 著者:村上 春樹
国境のインテリジェンス国境のインテリジェンス感想
〇ある面で、知の巨人でもある著者だが、ふざけた(くだけた)文章も多く(アサヒ芸能連載)、そういった文章たちが、著者の姿勢を歪ませて見せるのが瑕の一冊。外務省→鈴木宗男事件で逮捕→獄中→評論活動の現在、本書の中身は、中、韓、露を主な題材にした、国境の知的戦略の見方を示したもの。あとは、古巣の外務省批判。いただけないのは、どうしてもムネリンのことになると、完全肯定なので、他の論拠にもご都合が入ってんじゃないの?と思わせることかな。「国家の罠」「自壊する帝国」が名著だっただけに、こういう迷著は、評判落とすかも。
読了日:6月22日 著者:佐藤 優
時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)感想
◎やはりSFではなかった、というより島田荘司だった(笑)島田作品に、巨人が出現しようが透明人間が出てこようが、最後はその大風呂敷を丁寧に畳んで収斂させてしまう、あの手管の物語であった。上巻では、単純な展開から物語が始まっていったのだが、下巻では伏線が絡まりあい、だまし絵をなし、最後には、そのだまし絵の見方を解き明かすような、そんなあざとさがこの物語にはある。上巻の感想にH・G・ウェルズを準脇役と書いてしまったが、結果的にはウェルズ主役のタイムトラベル考察冒険物といったほうがいいか。特有のカタルシスはないが
読了日:6月22日 著者:フェリクス J.パルマ
時の地図 上 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1)時の地図 上 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1)感想
〇ネタバレしない程度に表現すれば、コテコテのSFを読むつもりで構えていたのだが、随分とリアルな物語である。でも、時は1800年代終わりで、H・G・ウェルズや切り裂きジャックなんて、誰でも知っている歴史的人物たちが登場するのは楽しいし、ウェルズ自体、準主役級ってのもワクワクするね。ただ、宮部みゆきのダラダラ節じゃないけど、肝心のタイムスリップまで280/400頁というのは、本筋以外に紡がれる物語が多い証拠。中々にロジックが納得いくもので、この作者、それなりに紡ぎの巧い作家なり。さて、下巻の展開や如何に?
読了日:6月15日 著者:フェリクス J.パルマ
快挙快挙感想
◎◎もう一度、直木賞をあげてもいいかもと思わせる佳作。白石作品にしては、陰がさしてもあくまで前向きな展開で、お得意の白石哲学の注入も、性的描写の加減も、どちらも程よい感じの、男と女の連れ添い物語。1993年に結婚した自分が読むと、物語の背景に阪神大震災や村山総理退陣などのニュースが描かれ、懐かしさも含め面白かったのだが、若い読み手には、どう映るのかな?「草にすわる」のような幸福の黄色いハンカチエンディングを期待したが、それはなく、でもこういう平凡な幸せのエンディングもリアルでいいのだなあ。前向きな物語。
読了日:6月14日 著者:白石 一文
ジヴェルニーの食卓ジヴェルニーの食卓感想
〇モネやドガという教科書にも出てくる卑近な、それでいて大昔の画家たちの風景を切り取った4つの短編が収められた良書。出てくる作品名を頭の記憶庫から引っ張り出して楽しむ人、出てくる作品を片っ端からネットで引いて参照しながら読み進める人、作品も知らないまま、ただ想像だけで読み進める人。色んな読み方ができると思うが、多分ネット参照がベターなんだろうな。自分は、3番目の想像だけの読み方に終始したが(少し時間が割けなかったので)。このご時世だからできる、ネット検索あってこそ生きてくる良書である。著者の得意とする分野。
読了日:6月9日 著者:原田 マハ
追撃の森 (文春文庫)追撃の森 (文春文庫)感想
◎女二人が逃げて、殺し屋二人が追う話。それだけ書くと陳腐な感じがするが、序盤はお互いの知恵比べが中々に面白い。裏をかくのか、裏の裏をかくのかみたいな。舞台は人気のないシーズンオフの山林。2対2の戦いが進行していくのだが、そのうち、なんだか山の中の人数が多くなってしまう(笑)この4人は死なないのに、別の巻き添え死者が本筋とは関係なく、積み上げられていくのである。まあ、やっぱディーヴァーなわけで、一筋縄ではいかないストーリー展開はさすが。ただ、動機や背景が少しわかりにくく、主人公の家族の事情もも少し活きてない
読了日:6月2日 著者:ジェフリー ディーヴァー
なんらかの事情なんらかの事情感想
〇軽いノリの思弁的なエッセイかと思いきや、途中でSFになったりするので、丸呑みして読み込まないように(笑)『ねにもつタイプ』の後に、書きたまった連載を本にしたわけで、テイストは丸っきり前作と同じ。人は夢をみれば、自分らしくもなく幻想的であったり唐突であったりするわけで、そんなお話がこの本の中に詰まっていると思えばわかりやすいか。同様のタイプの話が多く、少し飽きも来ないではないが、脱力的なわかりやすい文章は、あまり本を読まない、特に作者と同姓の女性には案外面白く読めるかも。自分にとっては息抜きの読書でした。
読了日:6月1日 著者:岸本 佐知子

読書メーター

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by kotodomo | 2013-07-13 14:03 | 読書メーター
2013年 06月 01日

2013年5月に読んだ本のことども

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3296ページ
ナイス数:144ナイス

あの日、パナマホテルで (集英社文庫)あの日、パナマホテルで (集英社文庫)感想
〇ほとんど話題にもならず、ただ読んだ人のみが拾い物と感じるそんな情報を入手し読んでみたが、自分的にはそこまで拾い物感はなかったなあ。ただし、良書。素直な物語。第二次大戦が始まったその後のアメリカの内側の物語を読んだのは初めて。戦争が始まり、中国系二世の主人公ヘンリーと、日経二世のケイコの周りでは、アジア系に対する、日本を憎む動きがじわじわと。結果的にケイコの家族は強制的に収容されるのだが。読後、なんとなく思ったことは、そういえば、日本には基地の街意外に、リトルアメリカみたいなところはないな。関係ないけど。
読了日:5月28日 著者:ジェイミー・フォード
四次元温泉日記四次元温泉日記感想
〇アトラクションや迷路には興味があるが、温泉なんて家風呂とどこが違うのという温泉音痴の作者が、温泉旅館の迷路探求を主目的とした、旅エッセー集である。文章は脱力系。基本的には、温泉行きました。迷路的でした。温泉はよくわかりませんでしたという話の連続なので、この作者に馴染みのない読者は飽きがくるかも。よく、温泉に寝湯っていうのがあるが、自分も家風呂では寝湯なんだよなあ。嫁さんが勿体ないって、湯を浅く張るもんで、狭い湯船に寝転ぶようにしないと身体が浸からないんだよね。で、温泉に行ったら寝湯入る自分が居るのだ。
読了日:5月26日 著者:宮田 珠己
米朝快談米朝快談感想
◎◎嶽本野ばら、天才ですな。最近読んだ文章の中で別格。ただし、野ばら作品をかじり、落語をかじり、前衛的な表現の面白みがわかっていないと、そこまでは楽しめないかもしれない。米朝の落語を語りながら、自分の身辺的エッセーを織り交ぜ、そこに文学を加味した、まさしく天賦の才のなせる快談ここにあり。あと、本書の文章には所々毒もあって、この毒を上手く飲みこめるかが、肝要かな。これは、作者と読者の距離感が関係してくるので、野ばら初読みじゃ、ちと困難かな。しかし、簡単な解説のついた、噛み砕かれた落語の世界は楽しいなあ。
読了日:5月26日 著者:嶽本 野ばら
日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか―グローバル時代を生きるための新・日本人論日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか―グローバル時代を生きるための新・日本人論感想
〇良書だが題名に惑わされるなかれ。東日本大震災に触れていないわけではないが、触れてないのと同じこと。多分、出版社が震災関連本として、少しでも売れるよう「大災害」を強調したのだと思う。実際の内容は、他国と比べ、特異な国土、特異な歴史を歩んできた日本人の本質の、良い部分も悪い部分も構築してきた閉ざされた人間社会の考察本。確かに日本には建国の歴史がない。欧米や、中国や韓国も、近代における建国という概念があるわけで、歴史を水に流すとか、それは過去のお話でしょ、とか、一言で片づけられない背景があるわけなのだな。納得
読了日:5月24日 著者:大石 久和
ガソリン生活ガソリン生活感想
「吾輩は猫である」の主人公は猫ではなく人間社会なわけで、猫の視点を利用しているだけの話で、本書も望月家族が主人公であって、僕=車は語り部なのである。ただ、猫の場合だと、物語を語らせるためにいくらでも移動させられるのだが、車の視点だと、車中もしくは社外の見える範囲でしか語ることができない。のに、ユーモア的ミステリーが完成されているのは、伊坂お見事でござる。でも前半で見せた巧妙な語り口が、後半はやや物語の収斂のために冗長になるのは、少し物足りないかな。あと貨物車の話したこと、帽子の謎が今一つ腑に落ちないかな。
読了日:5月19日 著者:伊坂幸太郎
国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)感想
◎落としどころありきじゃない良書。英独仏なんかでは、地震は想定されていないし、台風は来ないし、豪雪地帯のことは考えなくていいし、氾濫するような日本型の川はないし、高速造るのに日本みたいに長大なトンネルや迂回は必要ないし、そんな国土とは違う日本は、この高度成長の中で、もっともっと手をかけないと、災害は減らせないよというお話をデータを基に諭すお話。著者はそこまで言及していないが「コンクリートから人へ」そんな甘言で、国土に手をかけない政策を打ち出したら、津波をコンクリートでは守れず「コンクリートで人を」なお話。
読了日:5月16日 著者:大石 久和
夜明けのパトロール (角川文庫)夜明けのパトロール (角川文庫)感想
◎◎さすが、ドン・ウィンズロウって感じの軽妙な面白さ。サーフ仲間っていっても、それぞれに職業があるわけで、それぞれの立場を上手く生かし切った、冒頭は軽妙洒脱、後半はノワールな暗き重き罪を暴く展開の物語。本書の味付けの一番はなんといっても、生真面目で「ですます調」で話す美女ペトラ。美人で生真面目ってだけでも面白いのだけど、粗暴な主人公に付かず離れずして、気丈に振る舞うのがどこか可愛い。主人公探偵とは、依頼してきた弁護士事務所の担当者って関係で、責任感ゆえに付いて回る健気さが、付かず離れずの理由なんだけどね。
読了日:5月12日 著者:ドン・ウィンズロウ
最後の証人最後の証人感想
▲「検事の本懐」を先に読み、そして本書を読んだためイマイチ。作家として一作分、稚拙な感じ。いや全体としては、それなりの構成だと思うのだが、日本語の過ちや(編集者が見過ごすのいけないが)、蓋然性のなさがその要因。登場人物たちが実際の場面で、果たしてそのような行動をするだろうか。また、裁判の終盤の展開も、裁判長はそういう判断をするだろうか。そして一番大事なのは、計画を立てた夫婦は、果たして7年前の事件との関連性を疑われることはないと考えうるだろうか?そういうことばかり気になる自分は天邪鬼だろうか(笑)わからん
読了日:5月5日 著者:柚月 裕子
ふるふる感想
▲この作家は、直木賞よりの作品と芥川賞よりの作品と、テイストが分かれる作品を描くのだが、本書は後者。何気ない風景を文章にしたためる的作風なのだが、こういう作品では、作者の素っ頓狂な持ち味が封印されてしまうわけで、結果、面白くはないのである。悪くないが、面白くはないのである。主人公女性、花しすのOL的今と、過去のお話との入れ子構造なのだが、特に入れ子にする必然性はなく、作者の描きたいものが時系列に並べられなかった結果なのかな。活き活きした会話部分も、リアルさより軽さが際立ってイマイチ。男性読者初読には不向き
読了日:5月4日 著者:西加奈子
ふくわらいふくわらい感想
◎◎いつか、直木賞を獲りますね。そんなことを思わせる作品。出だしは、どうなんだろう、面白くなるのかと感じたのも杞憂で、結局、この作者は変な人を描かせたらピカイチで、変な人が出てきた時点で物語は流れるように進んでいく。それも今回は変な人が一人だけじゃなく複数なので尚更なのである。編集者の主人公女性が、実直で変。プロレスラー作家も変。日本人外人の男も変。それぞれの変なところが微妙に重なっていき、全体はとっても優しい物語。難点はカバー絵。もう少し暖かい感じのカバーだったら、物語の温度がひと肌なのがわかるのだが。
読了日:5月3日 著者:西 加奈子

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by kotodomo | 2013-06-01 12:06 | 読書メーター
2013年 05月 01日

2013年4月に読んだ本のことども

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1563ページ
ナイス数:93ナイス

検事の本懐検事の本懐感想
◎◎拾い物、その面白さに一気読み。佐方という検事が、全編脇役で登場する連作短編集。最後のお話なんて、ほとんど脇役的通行人みたいなのだが、その関与は浅くなく、全編を通じての収斂の章。見事。作者のオリジナリティに対して失礼な表現をすれば、横山秀夫的でもあり、最初の2編なんかは刑事コロンボ的でもあり、とにかく面白いのである。多少、作家としては若い表現もあるが(作家自身は若手ではないが、作品数として)、まあ全体がこんなに素晴らしい出来だと、そこは置いときましょう。多くの人に読んでほしい作品。読むべし!読むべし!
読了日:4月29日 著者:柚月 裕子
談志が死んだ談志が死んだ感想
◎◎巧い。談志の死を書きながらも、それのみに頼らない筆の運び。流石、落語もできる作家である(笑)落語にまつわる笑いも散りばめながら、どこか静謐な文章がハードボイルドと表現しては語弊があるか。題名の「ダンシガシンダ」は談志本人も口にしてきた使い古しの回文。上から読んでも、である。小和田雅子さまだ、わお!そんな回文もあったのか(笑)本書を堪能するには、作者の「師匠!」や「一回こっくり」、談春の「赤めだか」あたりを読んでおけば、より深く味わえるかな。自分は落語を聴く趣味はないのだが、全盛期の談志、聴いてみたい。
読了日:4月28日 著者:立川 談四楼
64(ロクヨン)64(ロクヨン)感想
◎◎完璧な小説。面白さ200%。これまで短編ではこれでもかという冴えを見せながら、長編では冴えを見せなかった横山秀夫。650頁という大長編ながら、短編のような冴えが細部に行きわたり、いやあ凄いのなんのって。で、細かい冴えもありながら、壮大な物語の構成に脱帽。拍手です。最後の最後まで話のオチが読めない(読める人もいるかもしれないが)のは、ミステリーとしても完璧。途中、心が揺さぶられるのは、人間物語としても完璧。なんかこれを超える作品は、もう作者さえ描けないんじゃないかと思うほど、超絶な面白さ。読むべし!!!
読了日:4月20日 著者:横山 秀夫
この世のメドレーこの世のメドレー感想
〇いつもの町田康なのだが、いつもより冗長。若輩者を懲らしめんがために、意味のわからん問答、寄る辺ない散策、そこまでは何も始まらずどこにもいかないいつもの世界なのだが、それが一転、沖縄へ飛び、ロックに飛び、そして結局元の世界に戻ってくるわけで、やはり町田節ではあるが、いつもは軽快で無意味な言葉の操りも、どこか独りよがり独り相撲的な勇み足が長文に及ぶと、読んでいてところどころ欠伸が出るのである。「東京飄然」とは趣が違った前回の「超然」。今回の「メドレー」はその流れにあるが、どこかキレに欠けるのであった、うくく
読了日:4月6日 著者:町田 康

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by kotodomo | 2013-05-01 19:58 | 読書メーター
2013年 04月 20日

2013年3月に読んだ本のことども

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2498ページ
ナイス数:129ナイス

化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)感想
▲総じて斜め読み。文章が秀逸ときいて手に取ったのだが、それほどもなし。各章、出だしは読みやすいのだが、どうしても算数的足し算割り算的ロジックが出てきて、ただ単に筆の運びを楽しもうと思って読んでいたので、斜め読み。世界観は面白く、化石=DNAいっぱい、じゃないよ!というのはよくわかったのだが。
読了日:3月30日 著者:更科 功
握る男握る男感想
◎いやあ、思わず面白い。東野「白夜行」桂「嫌な女」奥田「噂の女」の男バージョンと言えばいいのか。ただ先の3作品だと主人公が悪女と呼ばれるが、男性主人公だと一味違うわけで、野望、策謀の男が主人公。これもまた少し違うが貴志「悪の教典」と似ているような。鮨を握ることで、少しずつ大きくなり、日本の食を牛耳るために、次々と裏と表の手を尽くし、のし上がっていく主人公(を補佐する男の視点で描かれている)。中々にその見えない謀略が飽きさせない。終盤までしっかりと読ませる。ただなあ、落としどころであの手では、少し乱暴な終盤
読了日:3月20日 著者:原 宏一
終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)感想
〇なんというか、知らなければ一過性の過去も、知らない部分に複雑さがあれば、全然違った様相を見せるなんて話なのだけど、知らないですむなら知らないほうがいい、知ったばかりにいらない罪の意識を感じるなんて話の裏返しでもある物語。よくよく考えたとき、元カノはやはり鼻持ちならない女だし、友人は不可思議さに包まれたままだし、主人公本人には悪意はないし、たとえあったとしても因果な結果を知らなければそれでよかっただけの物語。広義の意味のミステリーだが、いやこれはブンガクだというには芯がない。元カノの家族も描かれてないし。
読了日:3月19日 著者:ジュリアン バーンズ
ねにもつタイプ (ちくま文庫)ねにもつタイプ (ちくま文庫)感想
〇人にもよると思うが、例えば自分はヘンなこと考える奴だとたまに言われ、言われるのはたまにだが、考えるのはいつものことで、「もし我が家が逆さまになったら天井が床になるわけで、隣の部屋には桟を越えなきゃいけないし、トイレは入るの難しい・」とか「桜島と錦江湾、この湾の水が干上がったら、島まで徒歩で行けるだろうが、湾底の起伏は激しく・」そんなことを結構考えているわけで、そんなお仲間が発見できて嬉しく、中には「それ俺も思っていた!」なんて話もあって、この著者に大共感。まあ年代がアラウンド50でないとわからない話も。
読了日:3月19日 著者:岸本 佐知子
破産破産感想
◎最近の嶽本野ばらの小説の中ではナカナカのノリで一気読み。浪費癖のある宵越しの金を持たない著者の私小説的なところもあるが、とにかく登場人物たちがキャラ立ちまくりで面白い。主人公の元カノ、巫女の恰好をした魔術師、業界人の編集者たち、そして忘れてならないのが古書店の男。結局、本書は破産直前の書かなくなった作家と、稀覯本だら、幻本だら、少し本好きの香り漂う味付けと、あとは乗りにノッタ、嶽本野ばらの絶妙な筆の反射神経の面白さ。こりゃいいわ。面白い(^.^)ただし、野ばらワールドに慣れない人にはナニコレ的な一面も。
読了日:3月17日 著者:嶽本 野ばら
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)感想
〇シリーズ3作目。大した盛り上がりはなく流した感じだが、それでもこのシリーズはそこそこ面白く、読んでいて苦にならない(いや、読めない体質とどもり巨乳という設定は、毎回ひっかかるが)。1作目と比べて、母親のこととか背景の謎っていうのがベースにしっかり食い込んできている。果たしてどのような解決に向かうのか。しかし、この作者、このシリーズ書くのに勉強を重ねているところがエライ。古書の来歴って、結構多面的で奥深いところがあるのがよくわかります。電子書籍化の時代。こういうことが、段々となくなってくるのでしょうね。
読了日:3月13日 著者:三上 延
本にだって雄と雌があります本にだって雄と雌があります感想
◎◎表題で気を惹くが、気を惹いても面白いの?って思うに留まるところが残念なところか。雄とか雌とかいうより、本って増殖したり、飛んだりするんでっせ、大阪弁的加えて思弁的物語。奥泉光、森見、そんな感じの軽妙文体。とにかく巧い。ただ、後半ボルネオ行軍記録がちょっと冗長で軽妙さに欠けるかな?舐めて文体を楽しみ、物語の展開の果ての連環に唸るべし。なんとなく読むのを避けてきた本書。いや読んで良かった(^.^)この作家は読み続けよう。ただデビュー作はイマイチ不評のようなので、遡っては読まないつもり。いやあ、面白かった。
読了日:3月10日 著者:小田 雅久仁
キミトピアキミトピア感想
◎◎やっぱ自分と舞城の波長は合うみたい。長編でないのを舞城が書くと、どうだらこうだら言う人があるが、自分から言わせると凄み満載。結局、粗筋も知らないまま手に取り、粗筋も落ち着かないまま終わってしまうのだけど、ビビビビくる感性に痺れっぱなし、圧倒されっぱなしの読書タイム。なかには、なんで話がそっち行っちゃうの?行っちゃうの凄過ぎだけど、みたいのもあって楽しさ満載。娘の受験の随行で携行した本書。この天性の感性は隣にいた娘には電波していないけど、お蔭様の幸あらんことを、舞城頼むで。
読了日:3月9日 著者:舞城 王太郎
しょうがの味は熱いしょうがの味は熱い感想
〇綿矢りさ姫らしい、現代的な手垢のついていない感性は不在。ただただ普通の恋愛小説。同じ男女を主人公にした中編が2つ収められているが、最初のお話は、お互いにすれ違いを感じている二人の夜の物語。もう一つは、そんな二人が離れて暮らし、お互いを思うお話。多分、自分がこの男性主人公の立場なら、掃除や色んな手際があわないこの女性との復縁はないのかな?まあ、主人公たちの行動や考えが自分にあわなくてもいいのだけど、これは誰の作品?と問われたときに、綿矢りさ姫と見破れないような平坦な文章の物語なのだなあ。直近の2作は不発。
読了日:3月3日 著者:綿矢 りさ

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by kotodomo | 2013-04-20 07:15 | 読書メーター
2013年 03月 10日

2013年2月に読んだ本のことども

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2560ページ
ナイス数:110ナイス

空白を満たしなさい空白を満たしなさい感想
〇さすが、平野啓一郎。死んだ人が再び蘇るというSF的な設定ながら、どこまでも現実的で哲学的で、意味深く、考えさせられる。ケン・グリムウッド「リプレイ」と同じ系譜で、なぜ蘇るのかというところには力点を置かず、何が起きるのかという作用点を描くのである。大きな設定とは別に、隙間を埋める展開や人物たちも唸るほどに秀逸に描かれていて、特に警備員佐伯の独りよがりの論法に、こちらも頷きそうになるくらいである(笑)死んだはずの人々が、ある日戻ってきたら・・・別々の場所で、それぞれの現れ方で。設定は簡単だが、中身は重量級。
読了日:2月25日 著者:平野 啓一郎
残り全部バケーション残り全部バケーション感想
◎◎伊坂流伊坂節全開、といっても、伊坂節には種類があるわけで、ユーモアなおとぼけな軽妙さが満載と言ったらわかりやすいかな。連作短編集なんだけど、伏線が丁寧に刈り取られ、最後は希望が持てるような映画のラストシーンで伊坂ファンにはたまらない。当たり屋的裏稼業を中心にして、でもほのぼのとした感じで進んでいく、なんというか途中のズレた会話も楽しく、そういうことだったのかという箇所も満載で、いやはや、やってくれましたな。この作品なら伊坂が直木賞獲っても、再度本屋大賞とっても誰も文句は言わないでしょう。読むべし!!!
読了日:2月20日 著者:伊坂 幸太郎
墓場への切符―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)墓場への切符―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
〇1991年の作品を今頃読んだのは、このシリーズの最新作が昨年好評を得たからで、その昔、古本を買うのが趣味だった自分の場合、倒錯三部作だけは蔵書していたからである。何が倒錯?なんて思って読み始める。全体に普通の探偵ハードボイルドなのだが、なるほで悪敵が倒錯的。自分の本名はモリユウスケなのだが、自分を殺してやりたいと考える敵が、ユースケサンタマリアを殺して、森進一を殺して、どうだ!お前は最後に殺してやる!というような考えをするのは、かなり倒錯しているわけで、好きだから殺して食べた的に猟奇的で倒錯的なのである
読了日:2月19日 著者:ローレンス ブロック
噂の女噂の女感想
◎◎連作短編集の体裁を借りた長編と呼ぶのが正解なのかも知れない。確かに雑誌で連載されていたものだが、最初の短編を読んだ時の中途半端さに驚き、読み進めるうちに、なるほど全体構成がわかってきて、最後の2頁の挿絵で、なるほど食虫花と餌食になる憐れな虫の物語、悪女とその周辺の物語だと腑に落ちる次第なのである。東野「白夜行」や桂「嫌な女」みたいな物語の流れなのだが、なんだか悪女たる女性が魅力的で憎めないのは、その二作品とは異なる。別の見方をすれば、中古車販売店の事務員の出世成長物語。その転身ぶりに潔さを感じるのだ。
読了日:2月17日 著者:奥田 英朗
湿地 (Reykjavik Thriller)湿地 (Reykjavik Thriller)感想
〇アイスランドミステリー。コルブルンやエーリンボルグが女性の名前っていうのが肌に合わずいちいち引っかかるが、全体的にはサクサク読める面白小説。章立てというか、短い場面が程よく切り替わり、読み込む必要もなく物語は展開していく。ただ、可笑しいのは、なんだかんだ言っても主人公の当てずっぽう推理で物語が進行し、その当て推量が当たってしまうところ。決してユーモア小説ではなく、どんよりとした灰色小説なんだけど、そういう展開のベースがユニーク。主人公の息子が一度も出てこないが、シリーズ三作目ということで、何処かに登場?
読了日:2月17日 著者:アーナルデュル・インドリダソン
ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)感想
〇なるほど、世間に疎いような青年実業家が、ワインを耽溺、倒錯的愛情を注ぐ男にどうしてなっていったかに筆を重ねるのは至難の業だが、ワインで身を滅ぼすようになった男の過去の出来事を、時系列を遡りながら積み重ねていくと、行間を埋めるような構成になるわけですね。「イエメンで鮭釣りを」と同様に、ギクシャクした夫婦間の描写っていうのがあまり好きではないが、結局、あちらも本書も不器用な男の物語なので、どうしてもそういうことになってしまうのであろう。財をなし、ワインに傾倒し、倒錯し、耽溺し、アル中合併症、そんな男の物語。
読了日:2月11日 著者:ポール トーディ
雪と珊瑚と雪と珊瑚と感想
△うーむ、若い母親と赤ちゃんと、それを預かる優しい女性の機微を丁寧に描きだす滑り出しに、この作家巧いと思ったものの、序盤を過ぎると一気に登場人物が多くなり、結局朝ドラ的、素人のカフェ開店奮闘記に転じて、物事の運びもラノベになってしまって非常に残念無念。途中からは読み飛ばしながらの読了。メニューの名付けに何ページも費やす部分も欠伸が出るし、てんやわんやすったもんだで、予定調和的ゴールに向かうだけのお話になってしまったのは、やはり連載物だからでしょうか?母子小説かと思ったら、赤ちゃんは成行きのための脇役でした
読了日:2月3日 著者:梨木 香歩

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by kotodomo | 2013-03-10 07:40 | 読書メーター
2013年 02月 03日

2013年1月に読んだ本のことども

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3432ページ
ナイス数:112ナイス

ある男ある男感想
明治初期、実際に日本で起こった7つの史実を材料に、それぞれその時代に居合わせた7人のある男の視点で語られる物語。木内昇、女性作家だというのを今回初めて知る(読書中ネットで調べた)。いい意味で女流らしくない。骨太な筆致で登場人物たちのキャラをこれでもかと浮き彫りにし、最後は物語全体をうっちゃり、何の話だったのと読者を惑わせる。勿論、時代の話なんだけど。主人公は時代で、キャラの立つ登場人物たちが脇役、盛り立て役と言ったら言い過ぎだろうか。「女の面」のお光と瀬喜のキャラの描き方なんて凄いのに脇役でしかないのだ。
読了日:1月30日 著者:木内 昇
恋愛写真―もうひとつの物語恋愛写真―もうひとつの物語感想
◎日曜の朝9時に読了with涙、もう自分も50歳だというのに、若い恋愛に涙とは、やれやれ、たしかに。もう恋なんて昔の話だと思っても、やはりこういう小説を読むと心は揺れ動いたり踊ったりするわけです。基本は、男性主人公の大学ライフのお話と、二人の女性の間にある機微。よく思うんですけど、どちらも気立てのいい女性なのに、なぜか小説の主人公は、結局高嶺の花は選ばずに、野に咲く花を選んでしまって、その花の哀しみまで共有しちゃうので、やっぱそういうとこがモドカシイかな。少し不思議な設定を含めて、この作者らしい作品かと。
読了日:1月27日 著者:市川 拓司
生きるぼくら生きるぼくら感想
×カフーや一分間だけや楽園を面白く楽しく読んだ自分には、同じ著者でも本書は合わずダメでした。ラノベで連載小説、結局朝の連続ドラマ「コメを作るぞ!もう引きこもらない!生きるぼくら!」みたいな感じで、いかにもの設定と、ドラマでしかありえない人間ドラマと、早く気付けよ、勘違いやすれ違いに!みたいなことでダラダラと引き伸ばされる展開に、こんな話を読むつもりはなかったんだけど、と思いながら、中盤からはパラパラ漫画読み。他の作家なんかでもそうなんだけど、連載物ってやっぱ売文的な側面は避けられないわけで仕方ないんだけど
読了日:1月20日 著者:原田マハ
海の見える街海の見える街感想
◎◎デビュー作から三作読んできたけど、この作家はずっと追いかけます。どの作品も、設定は自分の年齢よりずっと下の人たちの話なのだけど、気持ちが入れ込めるのは、やはり作者の巧さですかね。今回は図書館で働く、どこかオタクな複数男女の物語。4章からなって、それぞれ視点が違うのだけど、時が重複することなく物語が進んでいく、一年間の物語。人情、友情、恋愛、色々あり。で、初っ端、主人公の母親がインド人と結婚!この先どう展開するの?と思ったら、その話は置き去り(笑)窓やカーテンを開けたくない女!その心情は?解説なし(笑)
読了日:1月20日 著者:畑野 智美
バーニング・ワイヤーバーニング・ワイヤー感想
〇リンカーン・ライムシリーズは、予想も出来ない終盤のサプライズ、どんでん返しのそのまたどんでん返しの裏返しみたいなのが、持ち味なのだが、本書の結末はなんというか予定調和的。サプライズはあるのだが、ああそういうことですか、みたいな、なんだか予定されていたようなプチサプライズ。見抜いていたわけではないのだが、イマイチ。出だしこそ、電気って怖いじゃん、見えないじゃん、一瞬にして死ぬじゃんと思って読んでいたけど、中盤から意外にハラハラシーンが少ないし。このシリーズにして初めて、終盤にハヨ終ワレと思った退屈読書だす
読了日:1月15日 著者:ジェフリー ディーヴァー
花の鎖花の鎖感想
〇まあ、悪くはないと言っておきましょう。並行して進む、三人の女性の視点のお話。その着地点は、本を読みなれた人は多分途中で気付くはず。ただ、その着地点に気付いても、面倒なので点と点を結ばず、読み進めた読書中。だって、点と点が結べても、そこには作者の理屈があるでしょうし、そこが肝心だから。だから、終章の蓋然性には疑問もある。ただね、物語の構造としては、まあ悪くないのかな。結局、色んなことに論理づけしてくれる著者なのだが、出だしの設定は無意味かな。つぶれた英会話スクールとか、婆ちゃんへの頼みの軽さのラノベ加減。
読了日:1月12日 著者:湊 かなえ
転落少女と36の必読書(下)転落少女と36の必読書(下)感想
◎◎青春物語がわかった上巻。後半は、いやはやミステリーではないか。その昔マキャモンの「少年時代」を普通の小説と思っていたら、普通に描かれていたことが全部伏線になって収斂されていくミステリーであったことを思い出した。ただ、本書の場合、謎が想像でしか解決されないわけで、途中の素晴らしい描写を考えたときに、ちょっと着地に失敗したかな?感は否めない。だが傑作!ちょっと変わった修辞的な文章作法だが、これが自分には合う。括弧が多くて、前後の文章を繋ぎ合せなきゃいけなかったりという作業が、結果、文章を舐めて楽しめたのだ
読了日:1月8日 著者:マリーシャ・ペスル
転落少女と36の必読書(上)転落少女と36の必読書(上)感想
◎◎上巻436pを読了。傑作である。既にして名作の感。表紙絵と邦題が残念。中身は、綿矢りさの感性に、村上春樹も顔負けの修辞的な文章と展開といったところの。教養ある大学教授の娘ブルーという女学生が主人公。ブルーとパパの、ブルーとちょっとはみ出た学校仲間の、ちょいわるで知性溢れる冒険が楽しい。どんな話か知らずに読み始め、テイストはわかったが、どんな話になっていくのかは、下巻の楽しみ。上下巻で約4000円とお高いので、未読の方は是非図書館へ。最近読んだ本の中で、一文も漏らさず味わいたい傑作中の傑作。舐めて読め!
読了日:1月6日 著者:マリーシャ・ペスル
アルカトラズ幻想アルカトラズ幻想感想
△無理して読んで、重力の話は字面だけ追っかけて、アルカトラズの部分はまあ普通に読んで、最後のパンプキンは10分で読み散らかしたので、本当の因果は最終的にはチンプンカンプンなのだが、それはそれでそのままにしよう。意味のわからない長い話だったが、長いものには巻かれてしまおう。読んだことも忘れてしまおう。なんで、このミスで伊坂が褒めちぎっていたのか。それもヨシとしよう。騙したのが伊坂ならそれもいい。ただ、個人的な感想を簡単に述べると、時間の無駄を感じた読書タイムでした。まだ、一生懸命読まなかっただけでも救いか。
読了日:1月2日 著者:島田 荘司

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by kotodomo | 2013-02-03 09:47 | 読書メーター
2013年 01月 01日

2012年12月に読んだ本のことども

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2485ページ
ナイス数:89ナイス

あと少し、もう少しあと少し、もう少し感想
◎◎いやあ実によい。6区間の中学駅伝を走るそれぞれのキャラもいいし、それぞれの視点で語られる章立てで浮き上がってくる、素人顧問上原先生や、家庭の事情なども実に鮮やかに爽やかに映ってくる。単純に6回熱い涙を流せる良書(笑)だって、それぞれ6人の視点で語られる章の最後は、どうしてもウルウルなるんだもの(笑)カバー絵も素晴らしくて(普段カバーにここまで心惹かれることのない自分です)、装画の亀澤裕也氏のサイトまで覗きにいったら、このカバー絵も紹介されていて嬉しくなった。最初見たときは、なんで2番目少年頭が黄色?と
読了日:12月31日 著者:瀬尾 まいこ
このミステリーがすごい! 2013年版このミステリーがすごい! 2013年版感想
年末年始の年越し本で島田荘司「アルカトラズ幻想」を借りてきたが、ちょっとだけ読んで、読みたいタイプの話じゃないと思いそのまま返却することに決めたが、本書内の私の隠し玉コーナーの2012年の№1という企画で、伊坂幸太郎がすっげえ面白れえみたいなことを書いているので、やっぱり読んでみることにした、今日は2012年大晦日である。今現在は瀬尾まいこ「あと少し、もう少し」を読んでいるのだが、2012年もあと少しもう少しである。
読了日:12月31日 著者:
繚乱繚乱感想
〇二宮君のシリーズと勘違いして読み始め、「悪果」のシリーズとネットで知り、自分は読んだっけ?と思い、過去の記録を見たら読んではいるのだが内容は忘れている。悪徳警官二人の物語であったことは、本書を読みながらうっすらと思い出しはしたが・・・今回は二人とも元警官になってはいるが、前回同様、悪事だろうが正義だろうがイケイケドンドンの活躍である。ただやはり、二宮シリーズほどの面白さは感じない。主役の二人のキャラに差がないので、どっちが何をしようが結果オーライ。やっぱへたれ二宮と経済やくざのドタバタ劇のほうが好み。
読了日:12月30日 著者:黒川 博行
国道沿いのファミレス国道沿いのファミレス感想
◎◎ドロドロ感あり、サッパリ感あり。言い換えると、イタイ感あり、希望感ありといったところか。本部で問題を起こした(ことになってしまっている)ファミレス社員の男子主人公の物語。どうしても読み間違えてしまうのは、主人公の友人が読み手にはぶよぶよ太ったオタクに読めてしまうのだけど、実際にはハーフウェンツ的な部分かな。結局は、登場人物複数の恋愛物語なんだけど、それに留まらない人間物語。これがデビュー作、男子視点なんだけど、とにかくこの作家は些末まで巧い。この視点、この筆致、決して女流作家ではなく、小説作家である。
読了日:12月27日 著者:畑野 智美
黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2感想
◎◎二編の中編が収録されたクワコー准教授のトホホ爆笑物語。シリーズとしては、3作目にあたるのだが、これだけ読んでも全然構わない。クールな自分も24回くらい、ウププと噴出した、遊び文章満載の滑稽本。女子大の先生なので、そこの文芸部員たちの会話シーンが多いのだが、これがまた見事。いかにもギャルたちが、いかにもギャル言葉で喋りまくるので、オジサン読者にはわかるようなわからないような面白さ。「彼はそんなことはしない。だって太宰を読んでいるから。」って意味わかんねえし(笑)二作目、三作目を通して、ジンジン探偵完成!
読了日:12月24日 著者:奥泉 光
無罪 INNOCENT無罪 INNOCENT感想
◎う~む、面白いのだけどイマイチ。前作にあたる『推定無罪』ほどのカタルシスは得られない。やはり、この手の本は法廷部分が一番楽しいわけで、法廷が開始されるまで、その前提となる物語を読まされ、法廷部分も予想より早く終わってしまい、その後の物語を読まされると、どこか退屈な気がしないでもないのだな。このミス海外編でも上位にランクイン。多くの人が支持する良書であることには間違いのないところ。あとは、読者が人間物語を好むか、法廷部分を重視するかで、好みの深みが違ってくるんじゃないかな。リーガル物には間違いないんだけど
読了日:12月23日 著者:スコット トゥロー
そのときは彼によろしくそのときは彼によろしく感想
◎◎8年ぶりの再読。傑作は今読んでも傑作。冴えない人生を送る水草ショップの経営者の主人公。ショップのアルバイトがこち亀の麗子に中川ってな設定が、今読むと新鮮。文体小説としても、恋愛小説としても素晴らしい。ただ展開が中盤までは百点満点なんだけど、再読してみると、終盤はちょっと散漫な感じがしないのでもないのだけど。とにかく傑作。42歳のときに初読、今回50歳にして再読なんだけど、面白さは変わらないが、再びの出逢いの年齢に、家庭を築くのであれば、もっと早くないとなんて思いながらも、やはりこんな恋にあこがれるのだ
読了日:12月19日 著者:市川 拓司
本の雑誌353号本の雑誌353号感想
うーむ、神保町の食い物の話、魅力的だが鹿児島人が読んでもなあ。
読了日:12月7日 著者:

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by kotodomo | 2013-01-01 05:10 | 読書メーター
2012年 12月 07日

2012年11月に読んだ本のことども

2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1944ページ
ナイス数:101ナイス

羊をめぐる冒険羊をめぐる冒険感想
◎◎ダンスを再読したあと、風→ピンボール→本書と再読。本書は会話部分が素晴らしい。運転手との会話、黒服との会話、彼女との会話、その手抜きのない会話がいい。ただ、羊や鼠との会話になると、全二作のテンションを継がざるをえないので、そこはちょっと冴えないのだけど。本書「羊をめぐる冒険」と次作「ダンス~」は、やはり初期作品の代表作だし、最近の「1Q84」より、遥かに自分の好みなのだなあ。最高傑作「世界の終り~」も再読したいのだけど、二つの交互するパートの世界の終りのほうが軽快じゃないのがわかっているので少し躊躇。
読了日:11月26日 著者:村上 春樹
九月の四分の一九月の四分の一感想
◎◎9年ぶりの再読。著者は自ら村上春樹チルドレンと言っているだけあって、冒頭の「報われざるエリシオのために」には確かに村上春樹と静謐な大崎善生節が内包されて旋律を奏でているのだな。「ケンジントンに捧げる花束」では、9年前同様泣いちゃったし、収められた4編ともに素敵な作品なのである。最近はアタリとハズレを繰り返している大崎善生作品だが、たまにはまたこんな短編集(中編集)出してほしいのだなあ。ケンジントン・・・イギリスで頑張ってきた80歳老人の無邪気な姿に涙に、理屈にならない涙があふれてくるのだなぁ。
読了日:11月25日 著者:大崎 善生
残穢残穢感想
△何年振りかのホラー小説。怖さがヒタヒタと伝わってくるのを、恐れ期待半々で読み始めたのだが・・・退屈であった。途中からは、なんだか京極夏彦が書く因果とはみたいな薀蓄を読まされているような・・・もう中盤からは飛ばし読みでした。でも中々に評判はいいようで、個人的には合わなかったとだけ付け加えておきます。
読了日:11月23日 著者:小野 不由美
白ゆき姫殺人事件白ゆき姫殺人事件感想
◎◎素直に面白い。構造的にもある意味傑作かもしれない。美貌のOLが殺され、その同僚OLが失踪し犯人と目されて進んでいくだけの物語なのだが・・・色んな人間の視点と語りだけで構成されていて、こういう構造はあまり好きじゃない評者なのだが、本書に関しては興味深く引き摺り込まれて一気読みであったのだ。で、面白いのが、小説自体の巻末に、長々と付録部分がある。事件に関するツイッターログや、週刊誌記事など。蛇足ともとれるのだが、そういえば何で社内で盗みがあったのか、犯人の動機はなんだっけ?そんなことを埋めてくれる蛇足。
読了日:11月18日 著者:湊 かなえ
5つのコツで もっと伸びる カラダが変わる ストレッチ・メソッド5つのコツで もっと伸びる カラダが変わる ストレッチ・メソッド感想
◎一回目の流し読み終了。丁寧で、理屈もわかりやすく、難しいものもない(自分の場合、足を90度開いて座ったかたちで・・・なんて言われたら、もうそこから動けないので(笑)あと、こういう本で大事なのはモデル。美人もいけないし、ぺったんこもいけないし、どこぞのおっさん?(いわゆる中高年もできますよのアピールのためのシルバーモデル)もいけないし、男性モデルも女性モデルも、ちょっといい感じ感のチョイスが大事なのだが、本書はバッチシ。気にならない程度にいい感じの男女モデル。こういのが、スマホに入れて持ち歩けたらなあ。
読了日:11月11日 著者:谷本 道哉,石井 直方
1973年のピンボール1973年のピンボール感想
〇8年ぶりの再読・・・今、読んでみると、ここには村上春樹らしさが希薄。冒険がないし、描写が文学小説みたく細かい部分が多くて、中々情景がすんなりと入ってこないのである。「風の歌を聴け」「ダンス・ダンス・ダンス」も最近再読したが、この二作品に関しては特に感じなかったのだけど。なんか、未完の小説を読まされたような、そんな読後感。まあいいや。このまま「羊をめぐる冒険」の再読に入りましょう。ダンス→風の歌→1973年と読んできて、ダンスで出てきた僕と、本書の僕の流れが埋まっていくことでしょう。ゆっくりと読みましょう
読了日:11月9日 著者:村上 春樹
アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)感想
〇ウェストレイクという著者名で手に取ったが、実際には純粋な小説ではなく、氏主催のミステリーイベント(参加者がホテルに集まって、大まかな筋と容疑者たちへのインタビューで犯人を当てる)を小説の形式にしたものである。イベントの特別ゲストも容疑者役を割り振られたりするわけで、そういう意味で本書の中にスティーヴン・キングが出演しており、まあ文章も寄せているので、キングも参加してるよと解釈できる。つまり、読者は参加者になって容疑者たちの言葉を吟味しながら犯人を当てる、そういう作りなのである。果たしてキングは犯人か?
読了日:11月3日 著者:ドナルド&アビー・ウェストレイク
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)感想
◎9年ぶりの再読。そうか、こういう話だったか、っていうのが素直な印象。テイストは覚えていてもストーリーは忘却の川をって感じなんだけど、ストーリー自体がないし、すべては収斂していかない。最新作「1Q84」のほうが、よっぽど謎のピースは回収されているわけで、デビュー作の本書は、大学生の主人公の夏休みの風景を描いただけの作品である。描写して描写して、ただ終わるだけ。散文的な風景ながらすこぶる面白いのだけど。ただ、主人公が学生なだけに、生き方の自己責任のありどころが不在なのが少し不安気かな。再びの村上初期は新鮮!
読了日:11月2日 著者:村上 春樹

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by kotodomo | 2012-12-07 19:21 | 読書メーター
2012年 11月 01日

2012年10月に読んだ本のことども

2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1741ページ
ナイス数:120ナイス

パンドラの匣 (新潮文庫)パンドラの匣 (新潮文庫)感想
◎◎18歳で傑作だと感じた本を、50歳で再読。太宰には珍しい青春小説である。「正義と微笑」「パンドラの函」の中編2編収録。まずは美文である。そして18歳のときにには気付かなかったが「正義と微笑」の主人公青年は相当のヘタレである。あまりのヘタレ具合に、思わず笑った箇所もあり、太宰で笑うとはである。「ライ麦畑・」の主人公も敵わない大ヘタレ。読むべし。そして、こちらの方が明るい青春傑作と印象に残っていたパンドラ。あとがきを読むと、そうかこの主人公青年のモデルとなった人物は結核を克服できずに死んだわけか。寂しい。
読了日:10月26日 著者:太宰 治
夏のバスプール夏のバスプール感想
◎◎高校一年男子の、夏休み前1週間の青春生活のお話。結局、最後の頁まで、何のお話を読んでいるのかわからず、人によっては何の話?オチは?と思うかもしれないが、個人的にこのまとめ方は好みである。最終盤での西澤との会話、青野との戯れ、色んなものが会話の中で恢復していくような筆の運びが。こりゃあ「国道沿いのファミレス」も読まないと。無駄なキャラたち、つまり不登校の男子、久野ちゃんの弟のつまるところ、本屋のバイト君などが、無駄なまま全体の溝をうまく埋めていて、この今までにない計算された構成を読まされると唸るしかない
読了日:10月20日 著者:畑野 智美
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)感想
◎1作目より、本にまつわる薀蓄と物語が滑らかでよろしい。これで、「巨乳」と「体質」への言及と、栞子さんのどもり過ぎの描写が少なければ、もっと素直に評価できるんだけどね。前作に引き続き図書館に予約したのだけれども、自分の中では優先順位が低く、ラノベだし読まずに返しても、と思っていたが、いやいや読んで正解。優先順位は相変わらず低いが、続巻も読みますよ(^.^)多くの人が知らない本にまつわる章立てで、果たしてそれでも面白いのは作者のお勉強の賜物と構成力のおかげでしょう。あれだね、男性読者として栞子さん会いたい!
読了日:10月18日 著者:三上 延
フリント船長がまだいい人だったころ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)フリント船長がまだいい人だったころ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
〇題名から冒険物かと思っていたら、ノワールな雰囲気の小説であったのことよ。町の漁船団を牛耳るドンが死んで、その息子が資産や権利を売っぱらうと宣言したことから起こる顛末、ただそれだけのお話を文学性を孕んだ描写で読まされるのは、そこまで苦にならないが、冒険物だと思っていたので、その落差は大きい(笑)結局、この作者は物語の中で音楽をプレイヤーに載せたかったのかな。レコードアルバムを奏でたかったのかな。登場人物たちに、好人物が不在なので、物語を楽しみたい読み手なら、本書は避けておいたほうがいいだろう。曇天の小説。
読了日:10月14日 著者:ニック ダイベック
金星を追いかけて金星を追いかけて感想
▲ハレーが、50年後に金星の日面通過が8年セットで2回起きるよ、自分はもう生きていないから、みんな全世界で観測して宇宙の距離を測りなさいねと言って、それが行われるのも凄いが、当時の先進国も大航海を経ないと観測地に行けないのも苛酷だし、全世界のデータを集めるのも大変だし、科学って凄いね。1760年代なんて、仏革命より前の話。飛行機でFAXで電話でネットで、そんなのないんで、船に乗っていても本国とのやりとりは手紙だし、そんな時代に凄い。ちなみに我々は、2004年、2012年の2セットを経験済み。この前あったね
読了日:10月8日 著者:アンドレア・ウルフ
僕らのご飯は明日で待ってる僕らのご飯は明日で待ってる感想
◎◎最高に爽やかな傑作恋愛小説。内に籠った青年の日常からの描きだしに、再生の物語?と思いきや、それ以上の物語。連作短編集のような章立てをとりながら、二人の男女の高校生活描写から、少しずつ物語は未来へと進んでいく。とにかく、読むべし!理屈などいらないお薦め小説。実に中身が健康的なのである。ただなあ、途中で縁があったえみりという名の女の子が可哀そう。可愛くて育ちもよくて素直な彼女が、なぜにフラれてしまうのか。なぜにフラれなければならないのか。ああ、可哀そうで仕方ないというのが中年男性読者からの唯一の欠点かな。
読了日:10月7日 著者:瀬尾まいこ

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by kotodomo | 2012-11-01 19:19 | 読書メーター
2012年 10月 03日

2012年9月に読んだ本のことども

2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1971ページ
ナイス数:86ナイス

小野寺の弟・小野寺の姉 (リンダブックス)小野寺の弟・小野寺の姉 (リンダブックス)感想
〇小説はもうすっげー沢山読んできたが、身近なものながら、今回小説内で初めて出逢ったものがあり・・ボンタン飴。鹿児島生まれの自分は、地元企業のセイカ食品のボンタン飴は、鹿児島だけのローカルな商品だと思っていたわけで、2年前、その会社の社長様とお話したときに、滅茶苦茶全国区な商品だということを初めて教わったのである。本書129頁で、小野寺姉が婆ちゃんにボンタン飴をわけてあげるだけのシーンなのだが、長いこと小説を読んできた歴史の中で、この単語に出くわしたのは初めてである。鹿児島県人としてなぜか嬉しいのであった。
読了日:9月30日 著者:西田征史
はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸があるはるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある感想
◎人文書や写真付き本、絵画付き本、地図付き本なんて、普段読まないような本の、どこか珍妙なセレクションというかコレクションというか、そんなのにまつわる本紹介本。人文なんて読まないと思いながら、そういえばその昔藤田紘一郎の寄生虫本を好んで読んでいた自分を思い出し、それなら石本や植物本なんかも読んだら面白いだろうなあと共感。しかし、この著者の脱力感溢れる興味のあり方、文章のつづり方には独特のものがあるなあ。自分は好きなんだけど、何これ?どこがいいの?と思う読者も少なくないはず。でも自分さえ愉快であればいいのだ。
読了日:9月30日 著者:宮田 珠己
本の雑誌351号本の雑誌351号感想
本書を読んで読みたくなった本は「わたしがいなかった街で」柴崎有香、「夏のバスプール」畑野智美
読了日:9月30日 著者:
本の雑誌352号本の雑誌352号感想
本書読んで読みたくなった本。「フリント船長がまだいい人だったころ」ニック・ダイベック、「無分別」オラシオ・カステジャーノス・モヤ、「ワイルド・ピッチ」蓮見恭子、「金星を追いかけて」アンドレア・ウルフ、「球界消滅」本城雅人、「春はそこまで」「手のひら、ひらひら」志川節子
読了日:9月30日 著者:
鍵のない夢を見る鍵のない夢を見る感想
〇直木賞受賞作品というのは、人に薦めたくなる物語であってほしいのだが、本書の場合、他人には特に薦めない。「ゼロハチ・・」を読んだときも感じたのだが、この作家、紡げる作家である。己から物語が出てくる作家である。ただ、お話の紡ぎ方はいいのに、文章の紡ぎ方に平凡さがある。オジサン読者には、少し温いのである。加えて本書のキャラクターたちが抱えているのは悪意だったり、自意識過剰であったりで、キャラ自体がお薦めでないのである。5つの短編が収められた作品集。表題と同じ題名の短編はない。共通するものは、「自分のせい?」。
読了日:9月23日 著者:辻村 深月
ブルックリン・フォリーズブルックリン・フォリーズ感想
◎◎いやあ、よかった。今年読んだ海外物では一番かな。この作家の小説には、大きな粗筋などなく、それでいていつも読ませてくれる。初老の引退し離婚した男が、単身ブルックリンに移り住む。少し友人らしきものもできる。あとは題名通り、そういった登場人物たちの楽しく哀しい愚行録でも読まされるのかなあ、なんて思っていたら、p138で物語が動き出す。9歳の愛嬌満点の少女がブルックリンの転がり込んできたところから、物語に光が射す。簡単に言えば、すべての人の再生の物語。孤独だった人たちが仲間をなす物語。素晴らしく紡がれた物語。
読了日:9月22日 著者:ポール オースター
武曲武曲感想
◎◎完全無欠のエンタメ小説。著者は芥川賞受賞作家だが、この作品には個人的に直木賞を授けたい。簡単に言えば、高校2年で剣道に出逢ったラッパーな青年の物語なのだが、美意識というのか感性というのか稚気というのか、そんな諸々と剣の道をどんぶりに入れて、青春を謳歌し煩悩に苦慮するような清々しい小説なのである。もう一人の酔っ払い主人公もいて、こっちのパートは苦悩だけなのであるが、とにかく全体、すこぶるいい小説なのである。しばらくは、人に面白い本はない?って訊かれたら、本書を推し続ける。読む人を選ばない極上小説である。
読了日:9月16日 著者:藤沢 周
心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)感想
〇図書館で本を探すときに、係員に尋ねるのはあまり好きではなく、自分で探すほうなのだが「Y933ネ」・・・Yなんとかって番号の書棚が見つからず、結局尋ねるはめに。なるほどね、ヤングアダルトコーナーってあるのね。ヤングアダルトを調べてみれば、一応定義は12~19歳とのこと。ふむ。本書の物語は、ファンタジーと冒険紀行とSF風味の少年主人公の物語。ある疫病で、女性が死に絶えた町、少年はそこで最後に生まれたから、いつまで経っても最年少という設定から、いきなり町を出て地図のない旅をすることに。やはり少女の登場は大事。
読了日:9月5日 著者:パトリック・ネス

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by kotodomo | 2012-10-03 19:52 | 読書メーター