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2005年 11月 30日

朽ちぬらん 姉歯の橋も あさなあさな 浦かぜ吹きて 寒き浜辺に


マンション他建築物の構造設計のニュースに接して

どうも、この話他人事じゃない部分があって、
以前鹿児島から東京に出張したとき宿泊したのがプレッソイン東銀座。
この建物自体問題は今のとこないようだが、プレッソイン茅場町とか営業停止。

今のお仕事の本拠地がスカイコートというマンションタイプ。
これ自体も大丈夫のようだが、別のスカイコート早稲田は問題にあがっている。

先日は、群馬県伊勢崎市に出張。そのとき泊まったのが、伊勢崎サンホテル。
最近「姉歯系」という言葉が定着しつつあるが、このホテルはまさしく姉歯系の建物。
先日の新聞で、営業停止のニュースが・・・なんと評者は姉歯系の建物で一夜を過ごしたのだ。

ところで、このニュースが報じられた初日、評者も含め、多くの人はまだその深刻さに気付かず、
全然別のところの二つの疑問のほうが頭を過ぎったんじゃないだろうか?
①この建築士さん、かぶっていない?
②この名前って珍しいん、ちゃう?

ここのところのニュース続報で問題の本質はわかってきた評者なのだが、
上の二つの素朴な疑問はっていうと・・・

①はわかりました。はい、週間文春見出しに“髪型も偽造姉歯一級建築士「ゴミ屋敷に愛車はベンツ」”の記事があったので、はい、みんながやはり評者と同じ思いを抱いていたことよくわかりました、はい。

で、問題は②。
これが皇室にどなたかが嫁ぐ、もしくは皇室よりどなたかが嫁がれる御問題でございますれば、色んな人が出てきて、お家柄、お名前の珍しさによる由来の説明等もされあそばすのでしょうが・・・誰も語らん。

例えば、評者が中学生のときに理科の教師にユゲという姓の教師がいたが、
当時は薬缶から出てくる湯気(ユゲ)くらいのイメージしか持ち合わせていなかったアホな自分がいた。

漢字では実際、弓削(ユゲ)と書くわけで、近年北森鴻の冬狐シリーズなどを読むことにより、大昔、朝鮮半島から職人たちが渡ってきて、鉄を鋳る人々とか多くの職業の中で弓を作る職人に由来していることを知り、おお、名前に歴史や背景あり、オモロイなあと感じたりしたわけである。

まあ、評者の苗字は森で、多分、出処近辺に森があったんだろう。ツマラン。
嫁さんの旧姓は山下で、多分、出処近辺が山の下にあったんだろう。ツマラン。

で、もう一度・・・姉歯である。姉の歯である。
姉の歯がどうしたの?と言いたくなる、このお名前の由来は誰もニュースしてくれん。
だから、ほんの少しだけ調べてみたアカデミック評者。

宮城にはある程度ある名前らしい。
すると地名か?と思い、もう少しだけ調べてみると、件名の歌、
“朽ちぬらん 姉歯の橋も あさなあさな 浦かぜ吹きて 寒き浜辺に”に行き当たる。
岩手の湘南、陸前高田市で広田湾に注いでいる気仙沼に架かっている橋の名前である。
宮城県栗原郡金成町にも姉歯の橋(弱小橋で、姉歯の松のほうが有名)があり、そういうことから宮城に散見される名前らしい。
高田市史によれば
「姉妹高田より出たりと言う。能因の歌海浜近き橋を詠せる時は疑らくは今の今泉川に渡せる橋ならんか。今泉川昔より寛永の頃までは高田村の中を流れて海に注ぎけると言へり。人の旅立ちをば橋辺りまで送る事なれば 彼の姉が都への首途彼の橋まで送て柳條を綰ねたりしを後に姉歯の名に因みて其の橋をも斯く称せしや」とある・・・意味がようわからんが、そういうことらしい。
多分、少し惜別のこもったお名前?
マンションを立ち退かざるを得ない人々の内心にも、憤怒や苛立ち以外に、惜別の思いを抱く人もいるのかもしれない。
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by kotodomo | 2005-11-30 07:21 | メモる | Trackback | Comments(6)
2005年 11月 29日

今年をまたしても振り返る・・・合わなかった本のことども

評者の評価記号はいい加減なものだが・・・
読みながら、読み終わっても記号をどれにするか揺らぐこともしばしば・・・
しかし、△と×は、はっきり言って個人的には合わなかった印である。
さて、昨日に引続き、昨年12月から今年11月まで読了の本の中から
合わんかった大賞でも選んでみようかね。相変わらず読書は進んでないしい、みたいな。

  △「血液魚雷」 町井登志夫
  △「LOVE」 古川日出男
  ×「探偵ガリレオ」 東野圭吾
  △「ギブソン」 藤岡真
  △「ロマンティスト狂い咲き」 小川勝己
  △「カーテンの陰の死」 ポール・アルテ
  △「半島を出よ」上下 村上龍
  △「再生巨流」 楡周平
  △「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」 山田真哉
  ×「ナラタージュ」 島本理生

  △「雨恋」 松尾由美
  △「ニッポン泥棒」 大沢在昌
  ×「生首に聞いてみろ」 法月綸太郎
  ×「真夜中の神話」 真保裕一
  ×「孤独な鳥がうたうとき」 トマス・H・クック 
  ×「なぎさの媚薬」 重松清

16作品/155作品だから、中々よい読書をしたようだ(^.^)

さて一番合わんかったあの本屋大賞候補の本は?
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by kotodomo | 2005-11-29 20:01 | メモる | Trackback | Comments(0)
2005年 11月 28日

一年間の読書を振り返る・・・のは、まだ早いんちゃう?


でも、振り返る。
どうせ最近、読書でけてないし(^^ゞ

ということで、まずは年間読書冊数(タイトル数で勘定)なのだが、
これまでの最高記録は一昨年の144冊。
大酒飲みの読書家なので、記録更新とかにはこだわっていない。
140冊くらい読めて、質のいい読書ができればというのが理想。
一応、明日は11月末日。今んとこ140タイトル読んでいるので、
多分今年は記録更新するんだろうな。

で、こんなこと12月末日にすればいい話なんだろうけど、
大晦日なんてやはり飲んだくれているので、そんなことしなさそうなので、
昨年12月から今年11月までに読んだ本を数えてみると・・・
155冊。意外に読んでいるなあ。
そのうち質のよい読書の印◎◎はいくつかなと数えてみた。

◎◎「容疑者Xの献身」 東野圭吾
◎◎「ストリート・キッズ」 ドン・ウィンズロウ
◎◎「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」 藤谷治
◎◎「退屈姫君 恋に燃える」 米村圭伍
◎◎「柳生薔薇剣」 荒山徹
◎◎「獣たちの庭園」 ジェフリー・ディーヴァー
◎◎「さくら」 西加奈子
◎◎「姫君」 山田詠美
◎◎「退廃姉妹」 島田雅彦
◎◎「恋するたなだ君」 藤谷治

◎◎「PAY DAY!!!【ペイ・デイ!!!】」 山田詠美
◎◎「バースト・ゾーン -爆裂地区-」 吉村萬壱
◎◎「厭世フレーバー」 三羽省吾
◎◎「灰色の北壁」 真保裕一
◎◎「犬はどこだ」 米澤穂信
◎◎「モーダルな事象」 奥泉光
◎◎「サウスバウンド」 奥田英朗
◎◎「国家の罠」 佐藤優
◎◎「シリウスの道」 藤原伊織
◎◎「私という運命について」 白石一文

◎◎「バトル・ロワイアル」 高見広春
◎◎「彼女はたぶん魔法を使う」 樋口有介
◎◎「大人の保健体育」 野口哲典
◎◎「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男
◎◎「中国行きのスロウ・ボート RMX」 古川日出男
◎◎「告白」 町田康
◎◎「死を招く料理店」 ベルンハルト・ヤウマン
◎◎「ホミニッド」 ロバート・J・ソウヤー
◎◎「我輩はカモである」 ドナルド・E・ウェストレイク
◎◎「笑酔亭梅寿謎解噺」 田中啓文

◎◎「逃亡くそたわけ」 絲山秋子
◎◎「果てしなき渇き」 深町秋生
◎◎「愚か者死すべし」 原りょう
◎◎「私が殺した少女」 原りょう
◎◎「神はサイコロを振らない」 大石英司
◎◎「袋小路の男」 絲山秋子
◎◎「となり町戦争」 三崎亜記
◎◎「さまよう刃」 東野圭吾
◎◎「アイム ソーリー、ママ」 桐野夏生
◎◎「無情の世界」 阿部和重

◎◎「追憶のかけら」 貫井徳郎
◎◎「公爵夫人邸の午後のパーティー」 阿部和重
◎◎「いとしのヒナゴン」 重松清
◎◎「墓石の伝説」 逢坂剛
◎◎「みんな元気。」 舞城王太郎
◎◎「そのときは彼によろしく」 市川拓司
◎◎「魔術師」 ジェフリー・ディーヴァー

47作品/155作品・・・まあまあいい読書ができた一年間なのかな。

中でも、ほとんどのサイトでお薦めのない『我輩はカモである』ウェストレイクは掘出し物。大笑い。
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by kotodomo | 2005-11-28 23:27 | メモる | Trackback | Comments(2)
2005年 11月 27日

このミステリーがすごい!!2006年版 勝手に予測


なんて、件名だけ先に立てちゃって、何がミステリーなのか、
候補リストもまったく知らないまま勝手に予測しちゃうわけだ。

まずは国内編
1位は『容疑者Xの献身』東野圭吾ね。
あと「最後の願い」光原百合が5位ね。
『さまよう刃』は・・・やはり欄外かな。
「ハイ・ドゥナン」藤崎慎吾が10位ね。
「天使のナイフ」薬丸岳が6位と。
『ユージニア』恩田陸が3位ね。
『愚か者死すべし!死すべし!べし、べし、べし』が2位ね。
桐野作品は・・・知らん。どれもミステリーじゃないけど・・・知らん。
ああ、伊坂だった、伊坂。
『魔王』が同点3位と(←順位付けいい加減)『死神の精度』が18位と・・・
石持浅海も入れる?みんな入れたんだろうなあ・・・じゃあ『扉は閉ざされたまま』9位な。
18位あたりに『犬はどこだ』米澤穂信をと。
希望的観測で『笑酔亭梅寿謎解噺』田中啓文17位くらいにこないかね。
横山秀夫・・・『ルパンの消息』同点20位に入れてあげましょう。
なんか忘れて・・・おお藤原イオリン・・・『シリウスの道』4位だ。

まあ、そんなとこでいい加減で(^^ゞ本格系は知らない。


続きまして海外編・・・知らんがな・・・まあ知っている範囲で。
ロバート・J・ソウヤー『ホミニッド』からの三部作が11位と。
『カーテンの陰の死』ポール・アルテが10位。
『オルタード・カーボン』リチャード・モーガン16位。
ジェフリー・ディーヴァーの『獣たちの庭園』はと・・・8位でいいやいいやいいや。
トマス・H・クックは来るか?『蜘蛛の巣のなかへ』19位にしときましょう。
『カジノを罠にかけろ』ジェイムズ・スウェインはと・・・3位。
ランクインもしそうにないが、勝手に1位を決めてしまおう・・・『死を招く料理店』ベルンハルト・ヤウマン!!!
『無頼の掟』ジェイムズ・カルロス・ブレイクは、だから2位ね。
『タイムトラベラーズ・ワイフ』オードリー・ニッフェネガーもあったね、15位と。
『シシリーは消えた』アントニイ・バークリーは・・・14位と。
このミスのことだから『七悪魔の旅』マヌエル・ムヒカ=ライネスもきちゃうのかしら
『カリフォルニア・ガール』T.ジェファーソン・パーカーあたりが、本当の1位かな?

・・・ああ、予想って難しいねえ。
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by kotodomo | 2005-11-27 11:15 | メモる | Trackback | Comments(0)
2005年 11月 26日

書評サイトを始めた発端のことども


またしてもにほんブログ村 本ブログへの話題から。

「まっしろな気持ち」byましろさんが立てたアンケートスレ「本ブログ。あなたは何故続けていますか?」に答えたのだけど・・・

自分が答えた内容は・・・

“一応リハビリに一票。

自分の吐露。
最初のうちは(旧サイトの頃は)誰かに影響を与えたい、そんな気持ちもありました。

最終的には、あまり理由もなくライフワークです。
毎回読んでくれているリアル友人がいます。
だから近況も含めたないようで、通信の意味もあります(^^ゞ”


ご存知の方も多いのだけど、自分が書評もどきのサイトを始めたのが4年半前。
そのとき、高校卒業20周年目ということで同窓会BBSができて(このBBSは今でも生きている)、
その時に近況や色んな話で盛り上がる中、本の話題なんかも出たりして、
そこでいやこの本を読むべし!なんて自分がわめいていて、
その延長線上で始めたのが「本のことども」

ということで、当初の読者には同級生が多数。
多分、今でも読者として残っているのは、メールのやり取りのある数人くらいかもしれんが。

だから、自分が書評と称して、近況を入れているのには通信的な役割もあるの。
たま~に会ったときに、そういえばこの前ブログに書いてあったけど・・・
そんな話を友人たちがしてくるの。メールとかでもね。

以前の会社の同僚も、帰省の話なんか書くと、おお、週末帰ってくるんだ!飲もうよ♪
なんて連絡がくるの。

だからねえ、ちょっとねえ、文章の持っている意味が一般的な書評ブログとは微妙に違うの。
違ったりするの。

でもね、まだ見ぬ聖月っち1万人のファン読者のためにもわかるように文章も書いてんの。
そういうことそういうことそういうこと・・・で、ライフワーク(^.^)

例えば、一日に3回は「本のことども」をクリックする、高校、大学と同級の
弱小ブログ運営『ヾ(=ΘΘ=)ノ日記』のヾ(=ΘΘ=)ノのために書いているのさ。
わかったか?タマさん?キミは聖月っちのリファレンス読者なのだよ。
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by kotodomo | 2005-11-26 18:43 | メモる | Trackback | Comments(4)
2005年 11月 26日

スーパーサラリーマン スーパーに酔うて候


昨日、電話あり。
昨年4月まで勤務していた鹿児島のゼネコンの会社の社長から。
夜、空けといてくれと。
この方、大学の5年先輩にあたる。
いやあ、面倒見ていただいて・・・辞めるときはどうやって言ったらいいもんか、悩んだなあ。
でも、こうやって飲むわけで、結果としては◎◎。

再度電話あり。
同じ大学のF先輩(社長と同級)も一緒に飲む、
ついては武蔵浦和の駅の改札で19時・・・

待ち合わせ、合流。
駅まで車で迎えにきていたF先輩の車に乗り込む。
武蔵浦和なんて初めて来る場所。
車はどこに向かっているの?
先輩は車あるのに飲んで・・・代行で帰るの?
そんなことを考えていたら、どこかのガードした駐車場へ到着。

コートやスーツの上着は車の中に置いておいたほうがいいよ、とF先輩。
コートはわかるが、寒風のもと、いくらなんでもスーツは????

もしや、この先輩の自宅で飲むとか?
だから、いらないものは置いていけ、みたいな?

もしや、狭いカウンターのお店で飲むの?
コートなんて置場のないような。

そんなこと考えて先輩二人のあとをついていくと・・・

なんとそこはスーパーな!!!(続きを読む?)
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by kotodomo | 2005-11-26 08:49 | メモる | Trackback | Comments(0)
2005年 11月 25日

『告白』も『告白』も買わなかったという告白


仕事の相棒の誕生日に『告白』町田康をプレゼントすると言っていた聖月っち。
誕生日はもう過ぎているのだが、ご本人、今山に籠もっているので不在。
日曜日に、久々顔を会せるので、その時に渡そうと本日本屋に行った次第。

なんと『告白』町田康、あの大傑作が書棚にないではないか。
店員に訊こうかと思ったけど、
あの蘇我入鹿か馬子の旦那様が書いた逃亡米兵日記の『告白』
あれが大々的にディスプレイされているのを見ると、
店員に“ああ、あれですね”と大きく勘違いされることを想像してしまい・・・
結局、『告白』をプレするとのコミットメントは反古に。

だから別の本を買ったのであるのことよ私は・・・
色々と読んで欲しい本候補作はたくさんあるからさ。

さて何買ったのかなあ?聖月っちは?

知りたい方はクリック 書評再掲
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by kotodomo | 2005-11-25 17:51 | メモる | Trackback | Comments(2)
2005年 11月 25日

結局 週末の図書館本は


『花まんま』  朱川湊人
『その日のまえに』 重松清
『魔王』 伊坂幸太郎
『荊の城』上下 サラ・ウォーターズ
『奇術師』 クリストファー・プリースト
『透明人間の告白』上下 H.F.セイント
計8冊

で、手持ちの図書館本が
『サルバドールの復活』上下 ジェレミー・ドロンフィールド
『彼岸先生』 島田雅彦
『本の雑誌 2005年9月号』
『仏陀の鏡への道』 ドン・ウィンズロウ
『最悪』 奥田英朗
『弱気な死人』 ドナルド・E・ウェストレイク
『天使のナイフ』 薬丸岳
『聖少年』 壇上りく
『カリフォルニア・ガール』 T.ジェファーソン・パーカー
『紅無威おとめ組-かるわざ小蝶-』 米村圭伍
雑誌を除き計9冊

・・・読めるんかいな?
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by kotodomo | 2005-11-25 07:52 | メモる | Trackback | Comments(2)
2005年 11月 24日

本のことども・・・フォー!!!


評者はテレビをあまり観ない。朝のみ適当にニュース見学。
でも、晩酌のときはつけている。
観ていたり、観ていなかったり。

お笑い芸人が多いなあ・・・
名前も全然知らん。
唯一レーザーラモン?彼だけ気になる。
全然面白くないのだが、真似したくなるのだ。

寝る前に、お休み・・・フォー!!!と言ってみる。
おきたら、お目覚め・・・フォー!!!と言ってみる。

そんなことで毎日が楽しくなることども(^^)v

※写真は・・・ドラゴンクエスト・・・フォー!!!公式ガイドブック(^^)v
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by kotodomo | 2005-11-24 22:50 | メモる | Trackback | Comments(0)
2005年 11月 23日

〇「悪党たちは千里を走る」 貫井徳郎 光文社 1785円 2005/9


 評者にはヴィオラニストの知り合いがいる。交響楽団に所属する傍ら、奥様と音楽教室を開いているのだが・・・ある日、極上の焼肉をご馳走してくれるというので(評者の周囲の人間はご馳走してくれる奇特な方々が多い)、その方の車で極上焼肉屋へ向かう。車の中には奥様も同乗。二人の会話が色々聞こえてくる。“教室にもう一台ピアノがいるんだけど・・・”と奥様。その後色んなやりとりがあって、結局結論は旦那のほうから“じゃあ、俺の弓を売って買うしかないな”・・・???・・・“もしもし”と割って入る評者。そのヴィオラの弓なんてものは中古品でも売れるのでせうか?ナンボのものなんでせうか?楽器類というものは、安いものは使えば値が下がるが、いい物は使うほど音が上がり値があがるということらしい。弓を売れば、ピアノ一台買えるくらいの値段になるらしい。それも買ったときの値段より高く売れるらしい。名器を名人が使っていればだ。ちなみに、ヴィオラ本体はナンボでせうか?と下世話な話を続ける評者。高めの外車よりは高いとのこと。ただし、800万で買って、何年か使って売りに出せば、1000万くらいにはなるとのこと・・・うひゃひゃ~、評者の住む世界とレベルが違うわ。そりゃあ、極上焼肉を庶民に食わせる義務があるわ。富の再配分だわ。税金の主旨みたいだわ。評者からすればお金持ちだわ。でも、ピアノ買うのに現金なくて、弓を売るということは・・・レベルや世界が違うだけで、やはり庶民といえば庶民。トップレベルの庶民。では、本当の金持ちは?っていうと。

 評者がまだ学生時代。友人の姉貴が大金持ちとお付き合いしていた。大金持ちといっても、20歳過ぎてまだ私大医学部に入学できない浪人生だったんだけど。よくある話で、車買うなんていうと、親がわかった200万なんてポイと振り込んでくれる話なんかだと、現実感なくともよくありそうな話。評者が言いたいのは、そういうエピソードじゃないんだ。この方、沖縄から東京に出てきて浪人中。親が仕送りしてたんだけどさ。一年間仕送りしてもらったお金を全部は遣わずに、ある程度貯めて・・・マンション買ったの!!!一体、月いくら仕送りしてもらってたんだか。ちなみに当時の評者の仕送られ額が8万。塾のバイトを始めて6万稼ぐようになったら2万になったという話は先日紹介した話だけど・・・いやあ、こういうエピソード聞くと、本当の金持ちって凄えなあ。

 本書『悪党たちは千里を走る』は、そういう金持ちからお金を騙し取ろうという主人公たち小悪党のお話。クライムコメディ。結局は誘拐物に話が発展していくわけで、そういう意味では荻原浩『誘拐ラプソディー』とか、五十嵐貴久あたりが描くベタコメディータッチの物語と似たようなテイスト。出版社の紹介にも“『慟哭』の著者がユーモアとスピードたっぷりに贈る、誘拐ミステリの新境地”とあるように、貫井作品らしい緻密な描写から一歩踏み出したお気楽娯楽小説である。最初は、ちょっとベタ過ぎない?と思ったが、小悪党のトリオが結成されたあたりからは、中々の面白さ。

 でも、この出版社の紹介文も実は正確ではなくて、そこが本書の瑕かな。序盤は確かに“スピード”はあるのだが、中盤からその“スピード”が失速、ちょっと読んでいて飽きがくるのである。もっと、パッパと展開しなさいみたいな。そういう意味で、400頁超の本書は冗長感が否めないのが難点かな。無駄な描写も散見、ミステリとしてのパズルのピースの嵌まり具合にギクシャク勘もあるし。

 それでも、ユーモア小説としては楽しめる一冊。ただし、悪党たちは千里走らない。4000キロも移動しないという意味ではない。限定された地域をウロウロするだけ。少なくとも題名から受ける印象、ロードノベルではないのでジャンルをお間違いなく(^.^)(20051123)

※結局、未だに◎『慟哭』の作家と出版社から紹介されるのは可哀想。あの名作◎◎『追憶のかけら』が、大いにヒットしていればなあ。あれこそ、このミス1位作品に相応しい傑作だったのに。(書評No595)

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by kotodomo | 2005-11-23 14:24 | 書評 | Trackback(7) | Comments(4)