「本のことども」by聖月

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2006年 03月 31日

◎「試行錯誤」 アントニイ・バークリー 創元推理文庫 882円 1972/1


 「姫川みかげの しゃんぶろう通信」のみかげさんに戴いた本である。いや、戴いたというと、みかげさんがチョイスした本かと誤解されるので、評者のチョイスで買って戴いた本である。何ゆえ買って戴いたのかというと、みかげんさんが前サイト開設からブログに移った期間を合わせて5周年という記念に、現役東大生の誰にも答えられないような超難問クイズを出して、それに評者が解答を寄せたというご褒美の品なのである。クイズとは“開設当初のサイト名はなんだったでしょう?”答えは“本だーらんど通信”。こんな答え、現役東大生の誰も知らんだろうなあ(笑)。

 確か、3000円以内で一冊プレゼントという豪華枠だったのであるが、奥ゆかしい評者は882円の本をチョイス。だって、図書館に置いてなかったから。新刊書店で本を買っていない時期でもあったし。そんなものなのである。もしなければ別の本といって頼んだのも『七回死んだ男』西澤保彦という文庫本。だって、図書館に置いてなかったから。新刊書店で本を買っていない時期でもあったし・・・で、やっと読めました(^.^)みかげさんのサイン入り書店カバーのついた本書『試行錯誤』。

 まずは出版年にご注目を。1972年とはなんと34年前。でも実際、本国イギリスで刊行されたのが1937年であるから、出版された年は、そこから35年後であり、結局評者は、自分が10歳のときに刊行された、そして今から69年前の作品を読んだわけである(ちなみに今でも本書は創元推理文庫の現役ラインナップである)。しかし、バークリーの作品は読む都度に思うのだが、時代背景は勿論当時を反映しているにしても、そこに書かれている物語はまったく色褪せていない。というか、今の国内ミステリーの大半よりは、新しく冒険心に満ちているし、当時の時点で、ありきたりのミステリーにアンチ感覚を持っていたバークリーの筆は非常に高踏的であり、余裕的である。昔でいうと夏目漱石。今でいうところの、町田康や奥泉光といったところか。言い換えれば『パンク侍、斬られて候』や『モーダルな事象』といったところか。帯に書いてある文言も正しいだろう。“奇想天外な設定、従来の推理小説を皮肉るようなユーモア、そして意外な展開-絶妙な冴えを見せる超傑作!”

 ところで、あなたなら大動脈瘤で余命3ヶ月と宣告されたら、残りの人生をどう過ごそうと考えるだろう。評者なら、勿論、四六時中家族と過ごし、たくさんの思い出を作ることに専念するが、それも今のような環境があるからに他ならず、本書の主人公のトッドハンターのように、中年を過ぎた独身者だったら、何をしたいのか思いつかないかもしれない。トッドハンターが思いついたのは殺人。根が悪い主人公ではないので、殺人といっても世の中の役に立つ殺人である。どうせ死ぬ身である。それなら社会悪と思われる人を殺して、世の中の役に立ちたいというのが、近々最期を迎える彼の決心となるのである。

 ところが、本書の題名は『試行錯誤』。原題はトライアル&エラー。色んなことが、自分の思い通りにいかないのである。悪いやつ見っけ!と思っても、自分の手で殺すにいたらないし・・・それでも推理小説的に殺人は起きてしまう。犯人は勿論、主人公(かどうかも、どこかいまひとつ謎)。殺された人物は死ぬべき人物であり、世の中の役に立ったと思いきや、別の無実の人間(かどうかも、どこかいまひとつ謎)が捕まってしまい、こりゃ自分のために人様に迷惑がかかると警察に自首しても、警察は信じてくれない。ということで、自分が大動脈瘤で死ぬ(かどうかも、どこかいまひとつ謎)までに、この大問題を解決しようとする主人公の悪戦苦闘の物語なのである。

 国書刊行会により、探偵ロジャー・シェリンガム物で知られる著者だが、本書はノン・シリーズ。しかしながら、シリーズの登場人物たちも、実際に、もしくは名前だけでも登場するので、高踏的、余裕的世界観はそのままの、楽しく真面目で不真面目な、推理小説なのである。最期にはちゃんとサプライズは用意されているし、そのサプライズに驚かされなくて、よくよく考えたときに主人公の決心に騙されていた自分に読者は気付かされるはずである。
文庫本500頁、飽きのこない色褪せない一冊である。アントニイ・バークリーの入門書としてはうってつけかな(^.^)読んでみるべし。(20060331)

※バークリー、手元にあって未読なのが、あと『毒入りチョコレート事件』1929年の作品である。(書評No638)

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by kotodomo | 2006-03-31 22:46 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
2006年 03月 31日

下の娘の新しい習い事のことども


またしても、嫁さんからメールが・・・

実は、我が家の下の娘がサンミュージック・アーティスト・アカデミーのオーディションの面接を受けたのが2週間前。
嫁さんに訊いたら“質問にも、単語で答えていて(です、ます、をつけない)、多分ダメだよ(笑)”と言っておった。

そしたら昨日のメールで合格通知がきたとのこと。
お金がかかるので、パパがいいといえば・・・娘は大喜び中。

しかし・・・受け答えのなっていない、娘がなぜ合格したのか。
たとえば、巨乳だったら、それが売りになるかもしれんが、
娘はまだ8歳で巨乳ではないし、巨乳だったら奇人変人タレント候補だ。
多分、パパ譲りのノーブルなオーラに審査員が感銘したんだろう。

勿論OK。
だって、面接だけOKして、通ったら行かせないなんて、鬼じゃ。
子供が曲がる。
そして、いつもの言葉を添付“きつかったらいつでもやめていいよ(^.^)”

今のところの習い事は、二人の娘とも、この言葉を胸に、無計画にやめたことはない。

お金も結構かかるのだが、上の娘の学習塾よりは安い。

本人はもうデビューした気分だが、6ヶ月間は発声練習みたいのばっかしと嫁さんは笑っておった。

まあ、中々抜けない幼児性発声が矯正でもされれば、途中でやめてもいい習い事になるだろう。
あと、いい思い出に・・・ならなかったら、聖月っちは、芸能人のパパ(^^)v
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by kotodomo | 2006-03-31 07:47 | メモる | Trackback(2) | Comments(0)
2006年 03月 30日

辞任式のことども


嫁さんからメールが着た・・・

本日は辞任式。春休み登校日。

ということで、朝、娘たちと一緒に学校に。

辞任式に行ったら、保護者で来ていたのは自分だけだったそうな。

でも、子供たちが間接的にもお世話になった先生の辞任式に
娘たちとニコニコ出かけていく、そんなハートウォーミングな嫁さんは素敵である(^.^)
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by kotodomo | 2006-03-30 15:31 | メモる | Trackback | Comments(2)
2006年 03月 30日

◎「トリツカレ男」 いしいしんじ ビリケン出版 1365円 2001/10

b0037682_13483385.jpg 昔、ある雑誌の企画で"ハートウォーミングな本"の特集というのをやっていた。心温まる本の特集である。評者にとっては、ちょっと興味をひかれない企画であった。本を読んで心温まるなんて、若い女性のための企画、薩摩隼人たる評者が相手にするような企画ではないと思ったのである。当然、そのときの特集企画はあまり細部まで読まなかった記憶がある。ところが最近、いろいろな本と接するようになり、考え方、感じ方が変わってきたようである。相変わらず薩摩隼人ではあるのだが、どうも心温まる本に感じてしまうのである。ジーンとしてしまうのである。涙がチョチョギレたりするのである。

 本書「トリツカレ男」は、心温まる、大人のためのメルヘンチックな童話である。大人用の童話というのは、正確な表現ではないかもしれないが、適確な表現として使用を許してほしい。主人公ジュゼッペは、みんなからトリツカレ男というあだ名で呼ばれる。一度何かにとりつかれると、ほかのことには一切気が向かなくなり、また、そのとりつかれかたが尋常ではないのである。この場合の"とりつかれる"とは、ほぼ"のめりこむ"と同義語である。オペラにとりつかれ、一日中歌を歌いながら生活し、次に三段跳びにとりつかれ、移動するときは必ず三段跳びで移動する。この三段跳びが世界記録的な跳躍力だと専門家が気付き、地方大会でダントツの優勝を飾るジュゼッペだが、全国大会当日に会場に現れない。そう、そのときには、探偵ごっこにとりつかれ、三段跳びなどもう見向きもしなかったのである。その後も、いろんなものにとりつかれる。昆虫採集、外国語の通信教育、なぞなぞ、カメラ集め、潮干狩り、サングラス集めetc、etc。

 そんなジュゼッペが、ある日公園の風船売りの少女ペチカにとりつかれてしまう。そう、恋をしてしまう。その恋が何とも切なく、温かい。ペチカもジュゼッペを気に入ってくれるが、その瞳の奥には何か翳りがある。ジュゼッペは、その翳りを取り除こうとトリツカレ男の本領を発揮する。もう、それはそれは一生懸命に彼女のことだけを考え、自分が出来る限りのことをしていく。

 ジュゼッペは決してピエロなどではないが、話の雰囲気としては、可憐な少女に恋をしてしまった誠実なピエロの恋物語である。最初のうちは、楽しい話なのか、悲しい話なのか、おかしな話なのか見当もつかない。舞台は言及されないが、これも雰囲気としては東欧の、寒い、小さな町の風景が思い起こされる。少女に恋をした主人公の思いは叶えられるのか、少女の瞳の奥の翳りはなくなるのか。楽しい話なのか、悲しい話なのか、おかしな話なのかの判断は読む人にまかせるとして、何ともハートウォーミングなお話である。読みながら、自分の心がどんどん裸になっていくような気がする、そんな物語である。

 評者は9年前、今の嫁さんに結婚を申し込んだ。申し込んだその日に指輪を渡し、翌日に自分の親に紹介し、翌々日に嫁さんの親に申し入れをした。3週間後には結納し、結納の前には入籍し、結納から結婚披露宴まで1ヶ月も間がなかった。今思えば、よくそんなエネルギーが自分にあったなあと思う。今思えば、あの時の自分は、ひたむきだったのだなあと思う。

 本書「トリツカレ男」は、ひたむきな恋の物語である。本書を読んで、ひたむきだった頃の自分を思い出してほしい。恋を追っていた自分を思い出してほしい。この物語は、大人のための童話である。心が温まり、心が緩む童話である。

※鹿児島市立図書館で借りる。メルヘンな気持ちを持ち合わせない御仁には、面白くない書物かも知れない。まあ、あなたのメルヘン度をお試しあれ。2時間で読める本だから。




2006/3 文庫化 新潮文庫380円 読むべし、読むべし、べし、べし、べし!

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by kotodomo | 2006-03-30 08:50 | 書評 | Trackback(10) | Comments(6)
2006年 03月 28日

◎「ヒストリアン」ⅠⅡ エリザベス・コストヴァ NHK出版 各1750円 2006/2

 もう書評なんか書かなくても「NHK出版 ヒストリアン」なんて、本独自のサイトが出来ており、そこに“ヒストリアンの読み方”なんてコンテンツもあったりして、そのサイトを読んだほうが早いよと言いたくなるくらい出版社が一押ししている本書『ヒストリアンⅠ』『ヒストリアンⅡ』の全2巻である。

 それもそのはずで、全米で№1、累計部数は百万部を超えて、ハリウッドで映画化も決定、世界33カ国で翻訳出版となれば、その版権を押さえた出版社も大宣伝しないわけにはいかないだろう。新聞にもデッカイ広告載せていたし・・・でも、ブログ界では静かだなあ・・・あまり翻訳物の書評サイトないからかなあ。じゃあ、評者が大宣伝しとこう(^O^)/

 まずは帯から惹句を拾い上げてみよう。“不運なる後継者へ”“「歴史家(ヒストリアン)」は竜の暗号を解くことができるのか?”“歴史ミステリー・グランドツアー小説”“謎を解く手掛かりは、東西ヨーロッパ各地の史跡、古文書、民謡、そして伝説・・・”どう面白そうでしょう。そして、評者が勝手に付け加えるなら“失踪と追跡の物語”なのである。

 普通、帯にある文言は大袈裟だったり、読後、的外れじゃん!なんて思ったりするのも多いのだが、本書の帯の惹句は全部素直にその通りなのである。主人公の父親は、ある失踪した人物を昔追い求めていたのだが、それは父親自身が不運なる後継者であり歴史家であったからであり、その父を追い求めることになる娘主人公は同様の後継者なのである。失踪した人物を捜す手掛かりは竜の暗号、書物、伝説・・・。まだ、世界が東西にわかれていた頃のヨーロッパを舞台に、父は、娘は、フランス、イギリス、イタリア、トルコ、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア・・・の地で足跡を捜す。な~んて、久々に粗筋みたいのを書いた評者だが、これだけじゃ本書の全貌は見えない。ネタバレではないので、ハッキリ言うが、本書は全2巻1000ページに及ぶドラキュラ伝説物語なのである。

 これだけ書いても、まだ片手落ち。本書の魅力はそれだけではない。別の見地からその魅力を語れば、アカデミックな興味が尽きない物語なのである。東西ヨーロッパ事情、歴史あるヨーロッパの古きを訪ねる紀行の楽しさ、書物の歴史が紡ぐ過去と現実をタイムトラベルしてしまう途方もない物語、そういうところにあるのである。世界史、ヨーロッパ史に疎い評者でも、この新人作家の筆は、容易くその世界に誘ってくれる。

 トルコと言われて、“トルコ風呂”と“トルコ行進曲”と、そういえばワールドカップサッカーの日本の対戦国がトルコだったなあ、くらいしか思い出せない評者にも、自然とオスマントルコの歴史が入ってくるわけで、そうか、そういう勇猛果敢な国家だったのねえ、なんて思いながら、で何故そういう国家の名前がついたお風呂がエロエロなの?今はソープ嬢、昔はトルコ嬢って言ったときのトルコ嬢はトルコ人のお嬢さんじゃないよ、日本人だよ、いや金髪の外人もいたかも、なんて思う今日この頃は邪念の日々なのである。話がそれた。

 注目は、冒頭にある“読者へ”という前書きである。過去を綴った物語と思いきや・・・文末の日付に注目!未来の物語でもあるのだねえ(^.^)(20060328)

※今年の押さえ本というよりは、話題本かな。(書評No637)

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by kotodomo | 2006-03-28 15:42 | 書評 | Trackback(2) | Comments(2)
2006年 03月 27日

◎「空想自然科学入門-アシモフの科学エッセイ①」 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫 777円 1978/4

b0037682_913356.jpg 内観というものに行ってきた。2006/3/19~3/26までの7泊8日である。この期間中、本は読めないし、携帯はないし、ネットなんてとんでもないし、ニュースもわからないし、今日の天気はわかっても明日の天気はわからないし、外は寒いのかどうかもわからないし、酒は飲めないし、わずかな刺激と言えば、トイレの窓から少しだけ外が見え“おお、米子市民が自転車に乗ってらあ”とか、“おお、米子の少年少女どもが登校してらあ”とか、少しく思うのみである。そう、場所は米子、鳥取県。しかし、この鳥取県というのも困ったものである。トットリのトリは鳥かなあと思っても、取がトリで、鳥はトリじゃなくトッなのでいかん。話が逸れた。

 初日の日曜日に入山。計6名。周りはすべて女性・・・が、もう終ったのかなあという年上の婦女子の方々。最初で内観への期待を訊かれるのだが“昨年、主人と離婚しまして・・・”“家族には反対されたのですが、その反対を振り切って今回なんとか参加でき・・・”なんて動機を聴かされる。でもね、思ったのは、女性陣は参加が大変なのねってこと。だって、家事を1週間放棄しないと参加できないのだもの。だから、ここでは日常を離れられるように、三食風呂付。ひたすら考えられるように。

 通された部屋は15畳の畳の広間。一人一部屋。贅沢なようだが、内観中はその部屋の角に、襖型の折り畳み2畳の屏風を立て、半畳の空間を作り、座してひたすら黙考。1時間毎にテーマを与えられ黙考思弁。朝5時半起床で、6時から21時までひたすら黙考思弁。ただし、自由。やる気がなければ1時間は誰も部屋に訪ねてこないので、トイレに行こうが、15畳の部屋の真ん中で大の字になろうが、腕立てしようが、一人しりとりしようが、エロエロ思想に耽ろうが自由。だけど、自分も含め、多分みんな真面目に沈思、黙考、思弁。多くのことに気付かされたのだけど、一番は父親に対する自分の間違った考えだった評者。なんでそういうことになるの?聖月法師様?という声が聞こえてきそうだが、それは参加してみないとわからないので、興味のある方は是非お試しあれ。(米子内観研修所:鳥取県米子市三本松1-2-24 電話0859-22-3503)とにかくも、あっという間の一週間であったことを報告しておこう。

 しかし・・・最近、全然書評を更新できていなかった聖月法師様(あ!悟りんしたので、自分のことを聖月法師様と尊敬して呼ぶようになりました)。元々は仕事で忙しく読めなかったところに、1週間この世から姿を消すというテイタラク。これじゃあ出世も覚束ない!と、往復の飛行機の中で読み終えたのが本書『空想自然科学入門』である。再読である。確か、最初に読んだのは、あれは27歳のときだったか。

 元々評者は、星新一フリーク。その星新一がアシモフフリークだったのが、アシモフの科学エッセイを評者が読むようになったきっかけである。このハヤカワから出ている科学エッセイシリーズ全15巻はすべて揃えてあるし、『アシモフ自伝ⅠⅡ』をはじめ、全部で25巻以上の本を評者は所持しているわけで、ということは、どの作家の本を一番所持しているかというと、アシモフなのである。『われはロボット』やロボット三原則などで、SF作家としての知名度のほうが高いアシモフだが、評者が持っている本はすべて科学書。SFのほうは一冊もない。科学者がSFを書いていたわけで、評者としては、本業のほうに関する科学エッセイのみのファン。かつて読んだときには、随分と科学的所見が身についたと思った評者なのだが、中身をすっかり忘れてしまったので、本書を皮切りに、これからボチボチ再読予定なのである。科学者アシモフを知らない方に是非お薦めしたいのが、星新一編訳『アシモフの雑学コレクション』。読むべし、読むべし、べし、べし、べし!の本である。手軽な読み物として秀逸。科学的な雑学が、こんなにも面白いものだったとは!と感激すること請け合いである。

 で、本書『空想自然科学入門』に始まる科学エッセイシリーズのほうは、そちらに比べると少しだけハードルが高い。高校三年生まで理系にいて微分積分対数数列、物理学、生物学、化学を齧っている評者なのだが、本書の1/3は理解しないまま読了。しかし・・・面白い。

 物理学者や化学者は、ニュートリノとか(本書内では語源を中性(電荷のない)の小さなものと紹介しているが、ニュートラルと親戚筋の名前かな?)超電導とか自分の専門の狭い深い分野に思考を埋没させ、地質学者は地球だけを眺め、天文学者は空を見上げて地面を見ないのが普通であり、自分の専門でない科学的分野に対しては多くの場合音痴なのである。しかしながら、このアシモフという科学者は、何でも知りたがり屋の性分で、それがために専門の分野では名は残していないが、横断的な科学エッセイの書ける稀有な科学者としては有名なのである。

 地球への引力は、月からの引力より、太陽からの引力のほうがはるかに大きい。距離は離れていても大きさがまるっきり違うので、太陽のほうが影響大なのである。だが、しかし、満潮干潮は月の引力の作用によるもの。太陽は、わずかばかりその時期が重なったときのみ、大潮なんて現象を引き起こすのみ。引力は太陽のほうが強いのに、影響は太陽の引力のほうが大きいはずなのに何故?知りたい人は、アシモフ科学エッセイシリーズを読むべし。本書にはその記述がないが、確かシリーズの2巻目に書いてあったんじゃないかん?内観。(20060326)


※評者の持っている本は500円と書いてあるが、ネットで調べたら今現在777円とフィーバーな価格のようである。とにかく・・・『アシモフの雑学コレクション』新潮文庫は騙されたと思って読むべし!そして科学に興味を持つべし。(書評No636)

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by kotodomo | 2006-03-27 14:25 | 書評 | Trackback | Comments(4)
2006年 03月 27日

聖月法師 再臨


昨日、山篭りから下山。
一週間の間に、桜が(^.^)
いつのまにか、野球は日本が優勝。
総理大臣には石原の息子、ノブテルがなっているし・・・なってないって!

15畳の部屋の片隅で毎日迷走、瞑想、冥想、そして名僧に。
悟りん!

これからは、私のことを聖月様と呼ぶのはやめて、
聖月法師様と呼ぶように。

悟りん!
読書ブログ界を統一します。統一会派を目指します。
まずは、私が親で、5発TBをかましますので、
かまされた人は、子ということで千円上納するように。
子は、また5人TB孫をつくり、上納金をせしめ、半分は親に上納するように・・・
って、ネズミ講バトンじゃないか!!!


朝5時半起床、6時から21時まで一日15時間半畳のスペースで思弁。
食事の間も、風呂の間も思弁。
日曜から日曜まで、全部で105時間思弁。

悟りん!親の有難み。
悟りん!嫁さんの奉仕の心。
悟りん!目指せ読書統一会派・・・じゃないってば。

では、今後の聖月法師様をお楽しみに(^.^)
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by kotodomo | 2006-03-27 10:36 | メモる | Trackback | Comments(2)
2006年 03月 19日

山篭りに対する憂い


では、本日より山篭り修行行ってまいります(^O^)/
何処で何をするのかは、↓のほうにある記事を参照ください。

本も読めないし、ネットも携帯もないし、
とにかく外部との連絡が一切できない、刺激はゼロ。

そんなことはそんな修行なので構わないのだが・・・

浦島太郎に対する憂いは残る。
以前参加した知人と、下山したその日に数人で飲んだが、
みんなが“アネハが”とか“タイシンコウゾウが”と今の話題に盛り上がるのに、
チンプンカンプン。説明してもよくわからなかったのを憶えている。

例えば、ライブドア強制捜査みたいな事件が月曜に起こると、
1週間経ったら、そのことがニュースというよりは、既成事実となって話が動いてしまうので、
こりゃ浦島太郎ができあがるわけなのである。

亀ならぬ飛行機に乗って、いざ米子への朝の独り言のことども。
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by kotodomo | 2006-03-19 07:17 | メモる | Trackback | Comments(2)
2006年 03月 18日

◎「日曜日たち」 吉田修一 講談社 1365円 2003/8

b0037682_2083395.jpg
 『日曜日たち』、この複数形の題名が評者の好みである。"空(そら)"とか"水"というただ空や水だけを指す言葉も、"空たち""水たち"という複数形の表現にするだけで、一気に多面性、存在性を帯びてくる。"空"というと、ただ単に空を思い浮かべる評者も、"空たち"と言われれば夕焼け空や、雪が降ってきそうな空や、スカンジナビアの空のことどもを想像してしまう。だから、『日曜日たち』っていう題名だけで、"どんな日曜日たちの情景が書かれているんだべさ?"とワクワクしてくるのである。

 おまけに、短編集である本書に収められている5つの短篇の題名たちは『日曜日のエレベーター』『日曜日の被害者』『日曜日の新郎たち』『日曜日の運勢』ときて、最後に『日曜日たち』と括るような題名がきているので、何故かワクワク度が増した評者なのである。

 『日曜日のエレベーター』毎週日曜日に集合住宅のエレベーターに乗って、ゴミを出しに階下まで降りる若い男。そういえば、こうやって毎週日曜にゴミを出す習慣は、あの彼女と付き合いだしてから始まった習慣だなあと思いを馳せる。短編集の初っ端を飾る作品としてはなかなかの出来映え、というより相当に秀逸。文学としての感性も、物語としての面白さも、評者の内面に溶け込んでいく。

 『日曜日の被害者』二作目の作品に触れて初めてわかる、ああこれって主人公も違うし設定も違うし連作短編集ではないんだな、と。多分、日曜日というモチーフだけで繋がっている作品の短編集なんだな、と。

 『日曜日の新郎たち』そうそう、日曜日と言えば結婚式。当然新郎なんて材料もマッチしてるよなあ、なんて思って読み始めて、途中で気付く、アレレ。アレレのレ。三作目でやっと気付いた評者。これって連作短編集なんだ!!!一見、なんの関連性もないように見えた先の2編が一気に深味を増すこの手法を見よ!そして四作目、五作目へと興味を抱かせる、こんな材料の扱いに瞠目せよ!ってな感じ。なぜ、三作目で連作短編だと気付くのか、なぜ途中まで気付かなかったのか、その趣向については読んでのお楽しみ。是非、読んでみるべし。そして、気付いてみるべし。評者と感性が違って、これはやっぱり連作じゃないと感じた方にはゴメン。

 『日曜日の運勢』この話の完成度は高い。っていうか、この話めっちゃ面白い。つきあっている女に引きずられやすいタイプの男の物語。小説の中で情けない男が、情けない女に"一緒に逃げて"と言われて逃避行する話を、あなたは"馬鹿だなあ"と一笑に付することが出来るだろうか。若き日々のことを、よく思い出してみてほしい。なんとなく付き合っていて、肉体関係はあって、そんな彼女に"結婚"のことを何気に訊かれ、本当はそんなことあまり考えていなかったのに、もしくは全然考えていなかったのに、単に今の関係を壊さないためだけに、俺、言っちゃうんだろうなあ、でも言ったらあとでマズイよなあ、なんて心の葛藤を胸に仕舞いこみ、"うん、少しは真面目に考えているぜ"と前向きな発言をしたことが、あなたにはございませんでしょうか?は?どうだい?直接そういう設定ではなくても、なんか似たような経験をお持ちなんじゃないのかな?

 そして『日曜日たち』で、連作の幕が降ろされる。パチパチパチ。

 吉田修一は芥川受賞作品の『パークライフ』や『パレード』を借りてきたことがあるのだけれど、実際に読んだのは本書が初めて。風評から察すると、今あげた二作は多分芥川賞的な文芸よりの作風だと思うのだが、本書はどちらかというと直木賞よりの作風。短編であることは別としても、その物語性というものは多くの読者の頁を繰る手を止めさせないことだろう。趣向的な興味の部分も含め、あなたの初吉田修一に本書『日曜日たち』をお薦めする。

 いいなあ、複数形。「本のこと」っていうサイト名より、やっぱ「本のことども」だよなあ。複数形はワクワクするなあ(^o^)。(国語辞典によれば:~ども①多数であることをあらわす、相手に敬意をあらわさない表現「野郎ども、やっちまえ」②一人称代名詞に付いて、へりくだった気持ちをあらわす「手前どもでは」)
(20031130)



2006/3 文庫化470円

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by kotodomo | 2006-03-18 11:10 | 書評 | Trackback(6) | Comments(5)
2006年 03月 16日

内観に行くのであるのことども


内観に、3月19日(日)から26日(日)まで行くのでござる。
その案内文。
詳しい説明は一切なし。

米子内観研修所案内

1.内観の期間について
  原則として、第3日曜日から第4日曜日までの一週間ですが、変更になる月もありますので、
  必ず前もって集中内観実施期間をお確かめ下さい。
  研修開始日の午後1時~1時半集合 2時開始。
              一週間後の午前11時解散。
2.持ち物は、洗面用具、ねまき、一週間分の着替えです。(肌着、くつ下、Tシャツは研修所で
  洗濯します。他の衣類はできませんのでご了承下さい。)
  内観中の服は、トレーニングウェアなどの楽に過ごせるものをご用意下さい。ウォークマンや
  本や食物飲物の持ち込みはできません。
3.現在服用中の薬などがありましたら、研修所内でも服用していただけますのでご持参下さい。
4.内観期間中は原則として、外部からの連絡は緊急の時以外は受け付けませんので、あらかじ
  めご了承下さい。又、内観所から外部への連絡もご遠慮下さい。研修中は携帯電話はお預かり
  します。
5.内観についての詳しい説明は始まる前にいたします。難しいことはありませんのでご安心下さい。
6.内観費用は一週間研修費、宿泊費、食費込みで4万円です。
7.・・・・"


という文面を昨日ファックスで鹿児島の自宅に送ったら、“一番のメル友のパパと一週間も連絡できないのは淋しい(ToT)”と嫁さんから電話がきた。

ちなみに羽田-米子の航空往復で58,000円である。全部奢りだから行ってみることにした(^.^)
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by kotodomo | 2006-03-16 07:30 | メモる | Trackback | Comments(8)