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2010年 01月 23日

聖月様が本屋大賞2010を決めるなら

ノミネート作品は10作。

『1Q84』村上春樹(新潮社)
『神様のカルテ』夏川草介(小学館)
『神去なあなあ日常』三浦しをん(徳間書店)
『植物図鑑』有川浩(角川書店)
『新参者』東野圭吾(講談社)
『天地明察』冲方丁(角川書店)
『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子(文藝春秋)
『船に乗れ!』藤谷治(ジャイブ)
『ヘヴン』川上未映子(講談社)
『横道世之介』吉田修一(毎日新聞社)

『船に乗れ!』藤谷治しかないでしょう。

この作品、『船に乗れ!Ⅰ~Ⅲ』まで3作あって、候補の末尾に数字が付いていないので、3作でひとつの作品と見做してるんでしょうね。

『1Q84』村上春樹も捨てがたい作品なんだけど、みんなに読んでほしいというより、
もうみんな読んでいるからいいんじゃないかな。


◎◎「船に乗れ!Ⅰ 合奏と協奏」 藤谷治 ジャイブ 1680円 2008/11

b0037682_9543956.jpg ああ、これって、青春小説の傑作!音楽小説の傑作!良書読みの押さえ本!である。いや、青春とか音楽とかそんな言葉に捉われない、ジャンルを超えた傑作だと言っておこう。読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!評者が書店員だったら、ポップをこさえて本屋大賞に売り込むし、直木賞の選考委員だったら滅茶苦茶推しちゃうし、結局は書店員でも選考委員でもないんだけど、とりあえずはその昔、少しは名の売れた書評ブロガー聖月様(この際、自分でそういうが)ということで、この記事を読んだ人のさざ波から大きなうねりを呼んで欲しい作品である。

 藤谷治という作家は、元々抽斗の多い作家で、ファンタジイを書いてみたり、ドタバタ小説を書いてみたり、少女視点の静かな小説を書いてみたり、つんつるてんを主題に趣向の違う2分冊の小説を書いてみたり、なんて色んな方向から小説というものを捻り出してきていたのだが、本書を読んで評者が感じたのが“今回は本気で書いている。マジで描いている”ということである。要するにこれまでは、こんな風に小説を仕上げたら面白いかしらん?なんて商業的に娯楽小説を生み出してきた藤谷治だが、今回は真剣勝負で小説というものを紡いでいるって感じなのである。

 本書を読んで感じたのは、本を楽しむってことは姿勢として気楽であるっていうことと、楽しめる本を生み出すっていう作家の真摯な姿勢は、気楽とは対極の位置にあるんだろうなあということである。読むには技量がいらないが、生み出すには相当の技量が要求されるんだろうなあということである。

 本書の中で、作者は音楽とかオーケストラというものに真剣に向かい合っている。多分、元々そちら方面に造詣は深いと思うのだが、それを作中に取り入れて、一般読者に読んでもらうためには、作家としての相当な技量が要求されるわけだが、本書ではそれを見事にやってのけている。

 どこかの書評で本書に触れているのもがあり、簡約すると“音楽の専門用語で満ち溢れ、凄く興味を持って読んだが、果たしてこれまで音楽に触れてこなかった読者がどこまで面白いと感じるか、そこが不安である”みたいなことが書いてあったが、それは評者の読書を通して証明できる話で、まったく杞憂としか言いようがない。専門用語の意味がわかったりわからなかったりするのだが、作者の咀嚼という技量によって、言いたいこと伝えたいことが100%沁みてくるのである。100%理解できなくても、100%沁みてわかってくるのである。主人公と一緒になって難しい旋律を克服し、主人公と一緒になって冷や汗を読者はかくのである。そして、上手くいったときは、主人公と一緒になってホッと胸をなでおろすのである。

 一部の読書人にわかりやすく伝えるなら、本書は藤谷版『DIVE!!』(森絵都)である。森絵都の『DIVE!!』シリーズは、飛び込みというスポーツを描いた傑作であったが、音楽以上に読む前から親しんでいる人のいない世界である。それなのに、多くの読書人が面白かったと評価しているわけで、どんなに特異な世界も、作者に相当の技量さえあれば、その面白さ、奥深さを伝えることはできるのである。

 本書の主人公は、高校1年男子生徒である。高校に入るまでの経緯も書いてはあるが、本当の物語は高校1年生の1年間にある。女子生徒ばかりの高校の音楽科で、チェロの腕を磨く主人公。どうやら素質はあるらしい。しかし、個人的資質がいくらあっても、高校に入って初めて体験するオーケストラ、アンサンブルというのは別世界だということに気付く。音を合わせなきゃいけないのである。チェロの裏拍をとる楽器とも合わせなきゃいけないし、チェロ奏者同士も合わせなきゃいけない。ましてや、個人演奏とは違い、そこには指揮者がいるわけである。読者は読みながら、そういう苦労を主人公と一緒に乗越えていくのである。

 また、本書の魅力としては、イベントの巧みな配置にある。普通、こういう青春物だったら、甲子園の優勝を目指すとか一点にあるものだが、本書の場合は、最大のイベントの前に初体験のイベントを配置したり、最大のイベントの後に最高のイベントを配置したりと、読者の興味、緊張感を途切れさせないのである。う~む、凄いぞ、これって。

 ところで、題名にⅠという数字がついているが、果たして続きはあるのだろうか?答えは、続きは“ある”(少なくとも作者はそのつもりで本書を完結させている)。実は、本書は、今の主人公が昔の自分を語っているという書き出しから始まり、なぜ語ることになったかという問題の人物を登場させているのだが、そこの理由までは本書では触れていないからだし、主人公の今後の人生の岐路をにおわせながら、結局そこまでは辿り着かずに終っているからである。多分、2年生、3年生と、シリーズⅢくらいまでの構想ではなかろうか。

 森絵都『DIVE!!』と同じ期待感がある。今後のシリーズ出版が、今から待ち遠しい。結局、この主人公はどういう道を辿っていくのだろう?そして、昔を語る今の主人公は、どういう立場、境遇にあるのだろう?傑作のあとに、傑作は続くのだろうか?興味のつきない読書人押さえ本の本書である。最後に、もう一度・・・傑作である。(20090215)


◎◎「船に乗れ!Ⅱ 独奏」 藤谷治 ジャイブ 1680円 2009/7

b0037682_6141359.jpg 評者はこのシリーズを藤谷治版『DIVE!!』(森絵都)だ!と、前作を読んだとき言いきったわけで、そう考えるとシリーズが何作まで続くのかが気になるところである。

 『DIVE!!』と同じく4作くらいが妥当だと思うし、ただ前作で高校1年での生活を、本作で高校2年での葛藤を描いたことからすると、3年を描いてシリーズが3作で終わることも考えられるし、現在の主人公が昔の自分を語るスタイル(此岸から彼岸を眺めるような視点)から推測するに、大学編とか社会人編とかフリーター編とか耳偏とか獣偏とか20作くらい続くのかもしれない(とは思わない(-。-)y-゜゜゜)。評者の気持ちとしては、5作くらいは続いてほしい楽しみなシリーズである。

 ところで、シリーズの第一作(前作)の副題が、“合奏と協奏”。音楽科の高校で主人公たちが集い、音楽を通じて高め合い成長していく、そんな意味での副題かと思う。シリーズ2作目の今回の副題は“独奏”。中々言いえて妙な副題といえよう。前半は、前作と同様のテイストで進行していくのだが、後半は一転、主人公の孤独な葛藤を中心に描かれるわけで、そういう意味で独奏なのである。特に本書の終盤あたりは、前作で考えられなかったようなノワール感が広がるので、今後の話がどういう展開になっていくのかが楽しみである。

 『DIVE!!』のシリーズを考えたときに、シリーズ各編で明と暗、挫折と栄光、そんな色合いに分けることが出来るだろう。本シリーズの場合にも、そういう暗転と陽転のタペストリーが考えられるし、暗転、暗黒、破滅への道が続くのかもしれない。というのも、どうも昔を語る現在の主人公の語り口が、苦い過去を振り返るような、そんな印象なのである。評者としては、楽しい学園ライフを、もっともっと描いてほしいのだが。

 前作を読んだとき、“これって青春小説の傑作!音楽小説の傑作!良書読みの押さえ本!である”と評した評者なのだが、もしかすると青春小説だとか、音楽小説だとか、そんな範囲に収まらないシリーズが展開されるのかもしれない。(20090919)


Ⅲは未読。今現在、図書館の順番待ち。
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by kotodomo | 2010-01-23 08:39 | メモる | Trackback | Comments(2)
2010年 01月 21日

◎「インドなんてもう絶対に行くか!!なますてっ!」 さくら剛 PHP研究所 1365円 2009/10

b0037682_12575069.jpg 『さくら剛の本なんてもう絶対に読まない!!ことどもぉ!』と思いたくなるような、マンネリズム溢れるインド旅行記第2弾なんだけど、面白いっちゃあ面白いし、くどいところが魅力だったりして、多分第3弾が出ても読むはずの評者なのである・・・だって、結局、図書館から借りてきてタダだし、買わなくても“インド旅行記 対インド人戦闘日記「ふりむけばインディアン」”という著者のサイトを見ればいつでも読めるわけで、でもネットで読むのも面倒な中年男の評者なので、本というスタイルになって図書館で借りることができるのならば、きっと読むはずなのである。たとえ、それが究極のマンネリだったとしても、町田康のマンネリ奇想エッセイを読み続けるように、こういう文章を読むこと自体が楽しい評者なのである。

 前作◎『インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも』を再読するような感のある本書の内容である。

 前作の書評の中で“とにかく、この本に出てくるインド人たち、可笑しいほどに観光客から金をむしり取ろうとする。自転車タクシーに乗って目的地を告げ、料金交渉をする。100ルピーで話がついて乗り込む。さあ、着いたぞ!ここはどこ?俺の知り合いの絨毯工場だ!なんで?まあ、買わなくてもいいから見るだけ見てってくれ!いやだ、早く目的地に行け!わかった、わかった・・・さあ、着いたぞ!150ルピーだ!なんで?100ルピーだったじゃないか!ゴニョゴニョ・・・そんな風に、いちいち金の話になってしまうのである。こういう話がバリエーションを変え延々と続くので、乗り切らない読者には少し退屈かもしれない。”と書いた評者なのだが、今回も中身は一緒。

 ただ、前回は初めて騙されたわけだけれども、今回は同じ人物に騙されたふりをしたり、前回登場しなかった“風船売りのインド人”の話が出てきたり、少しは違った風味の話も出てくるので・・・でも、全体は大体一緒なので、前回書店で購入し、今回も購入を考えている人は、結局同じ本を2回買うのと同じことなので、俗に言うダブリ買いを厭わなければ、それはそれでその人の勝手かとは思うが。(20100116)

※中身はブログ風、横書き強調文。(書評No936)

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by kotodomo | 2010-01-21 12:58 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 20日

◎◎「ソウル・コレクター」 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 2500円 2009/10

b0037682_1255886.jpg taspoという成人識別カードが出来たとき、ただ煙草を買うという目的のために、何故に人々は顔写真つきのカードの発行を、ただ単に制度だからという理由で申し込むのかと思った評者なのである。どこで、いつ、誰が、煙草を買ったという情報は、いかにも監視されている状態で、いつどこで煙草を買おうが放っておいてくれ、ってな感想を持ったものである。

 なんて評者も、本書『ソウル・コレクター』を読んで、自分の脇の甘さに思い至ったのである。スーパーサラリーマンたる評者は、全国を飛び回るってほどではなくても、出張の回数が、まあパンリーよりは多いわけで、パンリーとはなんど?今、瞬間的に思いついた造語で一般サラリーマンの略なのだが、そういうビジネススタイルだと、カードを使う回数も多いのである。鹿児島から東京までの飛行機チケットをカードで購入し、マイルが貯まるよ♪という誘い文句にANAカードを空港でかざし、新幹線に乗るためにカードを使い、メゾンでスタイリッシュな服を購入する際にカードを使い、要するに警察とかどこかの機関が評者の財布を手に入れ、その財布の中のカード会社に問合せすれば、いつどこでどういう行動を取ったかが、手に取るようにわかる仕組みになっているのである。まあ、評者の場合、悪いことはしていないので、逆にそれが無実の証明になるかもしれんが、じゃあ別に構わないじゃんということにはならないのである。

 悪意のある誰かが、カード会社の仕組みを自由に操れるとしたら、評者を乗っ取ることが出来るのである。カード作成の際に生年月日、引落口座等の基本情報は勿論だが、どういうもの好んで購入し、どういう趣味にお金を使い、どういう行動パターンを取っているかがわかれば、なりすましも可能なのである。

 先日、色んなところでポイントが貯まるという誘惑に負け、Tポイントカードなるものを作ったが、もう使わん、使わないことにしよう。根底には、本好きな評者がBOOK-OFFで使うつもりで作ったものなのだが、ファミマでいつ何を買ったか、TSUTAYAをどのように利用したか監視され、もしくは悪用される可能性はゼロではなく・・・。

 そう、これからは支払いは現金。ポイントやマイルは無視。そういうことにしよう(本当はしない、ははは。マイルはお得だし、ははは)。そうすれば、コンピューターの中に、評者の行動情報が記録されることはない。そうだ、ネット接続もいけない。ネットなんかやめよう。そうそう、携帯も駄目だ!位置情報もわかるし・・・。

 ということで、本書でリンカーン・ライムと一緒になって、悪と立ち向かった評者は、透明人間になることを決めたのであった。嘘だけど。(20100109)

※これだけのハリウッド映画的傑作を紡いでいくこのディーヴァーという作家は、もしスタッフを抱えずにここまで描きあげているのならば、天才的なエンターテイナーだと思うのことども。(書評No935)

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by kotodomo | 2010-01-20 12:55 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 16日

私的ご報告

b0037682_16462365.jpg聖月様の同級生が見てくれていることを前提に・・・

下の娘が中学受験。
第一志望(上の娘の中学)
第二志望
ともに合格しました。

いやあ、よかったよかった。

夏休みまでは、地元の公立に行くようなノホホンとした生活を送っていたのだけれど、
急に私立に行く、お姉ちゃんと一緒の中学は無理かもしれないけど、
せめて第二志望の中学には入りたいと言って猛特訓の4カ月。

無理かなあ・・・と思って見ていたけど、パパをしていて一番嬉しかったことのことども。041.gif
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by kotodomo | 2010-01-16 09:45 | メモる | Comments(8)
2010年 01月 15日

総括2009年に読んだ本のことども№4(9月~12月)

2009年の読書メーター
読んだ本の数:92冊
読んだページ数:27890ページ

1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 1
◎◎
読了日:12月29日 著者:村上 春樹
プリズン・トリックプリズン・トリック
◎リーダビリティは高く、ご都合主義にも目を瞑り、まあ合格点でしょうなあ。結局、物語自体は破たんをはらんでおり、表紙の絵が示すような成り立たない構成かと。最期の一文は、破たんした構成を、自ら肯定するような、作者の意思表示とも思えるのだが。
読了日:11月29日 著者:遠藤 武文
独居45独居45
〇行間に色んな要素が詰め込まれた文芸作品。結局、屋敷の中で、何が行われていたのか等、沿革の描写しかないのだけど、読者は色んなことを想像してしまうわけで、単純にエログロのみをとって、好悪を判断する作品にはあらず。ジャンルを問わず、こういうパワーのある本は評価に値するのことども。
読了日:11月26日 著者:吉村 萬壱
洋梨形の男 (奇想コレクション)洋梨形の男 (奇想コレクション)
◎日本の読者が耐えられる面白さの翻訳短編集と言えるのではないかな。ちゃんと、オチとかサスペンス度とかがはっきりしていて、凡百の海外物と一線を画す物語集のことども。
読了日:11月21日 著者:ジョージ・R・R・マーティン
初恋ソムリエ初恋ソムリエ
〇説明不足の序盤を作り、終盤にかけて説明を風呂敷で包みこんでいくような手法の青春小説でございます。そういう意味で、読みやすい文体ながら、序盤は理解しにくいところから入るのが難点。まあ、全体的には及第点でしょう。
読了日:11月18日 著者:初野 晴
学問学問
▲評価している作家なのだが、本作は余芸で書き上げたような感じ。物語を紡ぎだしたというよりは、単に時系列を積み重ねていったようなそんな作風。どこを見ても高い評価にでくわすのだが・・・まあ、人それぞれの自分は少数派ということも、たまにはあるということのことども。
読了日:11月16日 著者:山田詠美
悪党が見た星悪党が見た星
◎◎今年一番リーダビリィティが高い?そう思わせるテンポはピカイチ。置き去りにされるかと思われたピースのたたみ方も安易ながらグッドでした。
読了日:11月09日 著者:二郎 遊真
線
〇取材で得た話で長編を紡ぐことなく、短編に細切れに収めた感。深く人物に入り込まず、人も戦争も風景として切り取った本書は、それはそれで忘れてはならない戦争文学なのかもしれない。
読了日:11月05日 著者:古処 誠二
幻想小品集幻想小品集
▲極めて性的、悪魔的な小品集。野ばら的技巧も内在するが、乙一、平山由愛明テイストが好きならの作品群であるのことども。ただし睡眠導入剤に対する描写は秀逸。
読了日:11月01日 著者:嶽本 野ばら
デウスの棄て児デウスの棄て児
〇最期の心境が切なく温かい。ここだけ、野ばら節。それ以外は新境地として読むべし。
読了日:11月01日 著者:嶽本 野ばら
ツインズ―続・世界の終わりという名の雑貨店 (小学館文庫 た 1-5)ツインズ―続・世界の終わりという名の雑貨店 (小学館文庫 た 1-5)
▲こういう選択をする生き方を理解するのがやはり困難。白石和文『一瞬の光』でもそう思ったのだが、なぜ日陰に惹かれるのかなあ。ただ、ロジックは正当なんだけどさあ。
読了日:10月30日 著者:嶽本 野ばら
八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
◎江戸人情本、料理本として、まあこれは良質の物語・・・そんな程度に思って読んでいたら・・・ググッときましたのことども。
読了日:10月29日 著者:高田 郁
変身変身
◎ワンアイディア作品ながら、この人は巧いね。特に「おーい、ゲロ子」的な現在の心境の吐露部分は秀逸。ただ、最後のほうの心境は、そうなるかなあ?って部分もありますが。
読了日:10月27日 著者:嶽本 野ばら
さよなら、愛しい人さよなら、愛しい人
〇旧訳の『長いお別れ』しか読んでいないのだけど、マーロウ、随分と違う感じですね。中年の悲哀みたいのがまだないですね。
読了日:10月20日 著者:レイモンド・チャンドラー
カフェー小品集カフェー小品集
◎単純な課題短編集のように見えるけど、文学性抜群。“ずうずうしい”の言葉は、いつかどこかで使いたいのことども。
読了日:10月12日 著者:嶽本 野ばら
リボルバー (光文社文庫 さ 11-7)リボルバー (光文社文庫 さ 11-7)
〇初期、最近も含め、雰囲気で読ませる佐藤正午。しかし、この物語は展開の妙のテクニックを試したかったような、そんな展開を楽しむ物語。時期は前後するけれど、佐藤正午版「ドミノ」恩田りく、それもミニ版ってとこでしょうか。
読了日:10月07日 著者:佐藤 正午
鳳凰の黙示録鳳凰の黙示録
〇妖術のオンパレード集・・・といっても、ほとんど妖獣使いのオンパレ。ほほお、面白いと思ったのは、誰にでも正体を変えられる妖術の部分のみでした。
読了日:10月01日 著者:荒山 徹
ハピネスハピネス
〇下妻以外、短編・中編の多い作家なのだが、評者にとっては久々の長編(といっても、中編に近いのだが)。普通の小説でした。なんか、彼女の描写が元気のいいキャバ嬢って感じで、いい感じなんだけど、いい感じ過ぎみたいなことども。
読了日:10月01日 著者:嶽本 野ばら
エミリーエミリー
◎◎「エミリー」も「コルセット」もいいのだけど、「レディメイド」のようなあんな凄い短編を書ける著者に脱帽。短さの中に作品の完成度が詰まっていますな。
読了日:09月23日 著者:嶽本 野ばら
ミシンミシン
〇表題作「ミシン」より、「世界の終わり~」のほうが冒険があっていいですな。村上春樹と一緒で、この作家には冒険を求めまっす。
読了日:09月21日 著者:嶽本 野ばら
船に乗れ!(2) 独奏船に乗れ!(2) 独奏
◎◎眼に見えない音楽を小説で読める素晴らしさは前回並み。並みって書いたけど、その筆力に脱帽。ただ、終盤ノワールな雰囲気が漂うわけで、作者がそれを何巻目でどう治めるのかが今後の注目。とにかくⅡまでは青春小説の傑作。藤谷治版『DIVE』なり(*^^)v
読了日:09月19日 著者:藤谷 治
TVピープルTVピープル
▲村上春樹も、若かった時代があったことを発見。「ゾンビ」なんて、Mジャクソンの映像に頼った文章だし、若かったんだなあ。
読了日:09月18日 著者:村上 春樹
荒地の恋荒地の恋
▲何も内容を知らないで読み始めるというのも善し悪しで、半分くらいまでは気付かなかったのだが、本書って実在した詩人の、ほぼノンフィクションに近い小説だったのですね。いやに平板な物語だと思っていたら、エピソードに薄い味付けしただけみたいな。ただ、最後の最後でメタミステリー的な落とし所もあって、フィクションっていえばフィクションなんだけど。全然知らない人だと思っていたら、北村太郎って『夢果つる街』の訳者さんでした。
読了日:09月17日 著者:ねじめ 正一
ロリヰタ。ロリヰタ。
◎◎今まで下妻系しか読んだことがなかった・・・上手だとは思っていたが・・・本書を読んで唸るほど巧い作家であることを認識しましたのことども。
読了日:09月15日 著者:嶽本 野ばら
当マイクロフォン当マイクロフォン
一人のアナウンサーを通して描いた昭和史とも言える。読みながら、もしくは読後、名アナウンサー中西龍の生声を聴きたくなったのことども。欠点は、中西のエピソードを拾いすぎて、散りばめ過ぎて、少し的が散ってしまったところかな。
読了日:09月13日 著者:三田 完
下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件
〇前作ほどの目新しさはないけど、イチゴ(ヤンキーちゃん)の単純さは快調。殺人事件は起こるんだけど、まあお飾り程度のミステリー部分。気軽な物語としてはお薦め。
読了日:09月08日 著者:嶽本 野ばら
日本人の知らない日本語日本人の知らない日本語
◎◎エピソードも凄く面白いのだけど(猫印の缶詰に大笑い)、それをデフォルメして描く漫画の力も秀逸。漫画にしてこその笑いどころ満載。
読了日:09月01日 著者:蛇蔵&海野凪子

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by kotodomo | 2010-01-15 13:49 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 08日

総括2009年に読んだ本のことども№3(6月~8月)

『赤めだか』立川談春が抜群に、『灰色の嵐』パーカーが意外に面白かったのことども。

身の上話身の上話
▲佐藤正午版『シンプルプラン』スコット・スミス風味。ノワールに軽妙という表現は妥当ではないかもしれないが、軽妙なノワール。ただ、行き当たりばったりの女性の行動様式が中心に据えられているので、あの透明感のある佐藤節は封印(多分、わざと)。そこが、かねてよりの佐藤正午読みには不満。手法は買うんだけどさ。
読了日:08月31日 著者:佐藤正午
螻蛄螻蛄
◎◎待ってましたのシリーズ第4弾。しかし、なんで桑原は二宮を使うのか?もっとユースフルなやつを使いそうなのだが(笑)いつも以上の面白さ痛快度ながら、今回の裏事情は少し込み入っていたような。
読了日:08月31日 著者:黒川 博行
ミステリー通り商店街ミステリー通り商店街
▲小説としてではなく、新喜劇と思って眺めなさいって感じかな。途中、素人書評家に対する批判、警告的な部分があるが、本書自体が評価されるべきレベルにないと、自己矛盾をはらんでしまうのだなあ。
読了日:08月30日 著者:室積 光
新世界より 下新世界より 下
△上巻で気づくべきだったが、よくよく考えてみると、本書はSF少女小説漫画風なわけで・・・なんか読書した、読破したという気がしなかったことども。
読了日:08月19日 著者:貴志 祐介
新世界より 上新世界より 上
〇想像力はあるんだけど、冗長さは否めない。あと、登場人物たちの行動パターン、思考パターンもちょっと理解しずらいなあと思いながら、下巻へ突入。
読了日:08月12日 著者:貴志 祐介
遠い響き遠い響き
△暴風雨の中で出会った男の問わず語りの「冒険譚=愚かな生きざま」を読まされるわけで、単独の小説としては・・・藤谷治版安部公房小説と読めば、新たな文学の抽斗としての評価も可能?
読了日:08月09日 著者:藤谷 治
任天堂 “驚き”を生む方程式任天堂 “驚き”を生む方程式
◎子供のために買ったWiiフィット。凄いコンテンツなのだなあ。最近子供たちもやっていないし、早速やるべ。それにしても、任天堂の方程式のない方程式は凄いとしかいいようがない。無借金経営に、開発費を惜しまない体質・・・蛇足だが、マジックハンドとか、レーザー光線銃とか、子供の時憧れていたあれも任天堂だったことにびっくり。
読了日:08月05日 著者:井上 理
恋文の技術恋文の技術
◎終盤のお誘い合戦。なんでそうなるの?なんで同じ日付の手紙?そう思った方は、少し読み間違い注意報。
読了日:07月31日 著者:森見 登美彦
この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下 (3)この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下 (3)
◎◎本書の場合、各所に知的雑学が散りばめられており、そこのところも評者の好み。粗筋は、あるようでないような・・・出版社に勤める主人公の人生力学、ライフバランスを描いた作品である。普通でいえば、危うい主人公の生き方。それを通してのフィロソフィーが、多分読者を選ぶのかもしれない。著者自身、文藝春秋に身を置き、パニック障害で退社した過去があるので、ある意味、自己投影色の強い作品なのかもしれない。
読了日:07月26日 著者:白石 一文
この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (1)この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (1)
◎◎白石一文フリークの評者としては、早く読まねばならん!などと思っていたら、第22回山本周五郎賞を受賞、評価が固まったのかと思って色んなところを覗いてみると、やはり好悪が分かれているようで、白石一文の哲学をどう楽しめるかで読書人の評価が違うようである。評者は好き
読了日:07月20日 著者:白石 一文
レイチェル・ウォレスを捜せ (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)レイチェル・ウォレスを捜せ (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
◎スペンサーとレイチェルの肌の合わない会話が魅力のサスペンス。スペンサーシリーズは、ミステリーじゃないほうが面白いようだ。初秋とかさ、本書とかさ。
読了日:07月19日 著者:ロバート・B. パーカー,Robert B. Parker
灰色の嵐 (ハヤカワ・ノヴェルズ)灰色の嵐 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
◎始まりはダイハード風味。そして結末は、ちょびっとセンチで初秋風味なのだなあ。
読了日:07月12日 著者:ロバート・B・パーカー
赤めだか赤めだか
◎◎ビジネス書、人生指南としても読める面白一気本。やはり談志は凄いのだなあ。
読了日:07月04日 著者:立川 談春
やんごとなき読者やんごとなき読者
〇やんごとなき”という言葉の意味も色々あるのだが、本書の場合は“地位や家柄等が一流である高貴な”読者という解釈が一番合いますかな。だって、英国女王なんだから。特に読書に喜びを見出していない人物が本にのめり込んでいく面白さ、超上流階級ならではの束縛と自由さのバランス、そんなところが本書の読みどころ。ただ、巷の評判ほどにはリーダビリィティがなかったのことども。
読了日:07月04日 著者:アラン ベネット
商人商人
◎◎ミステリーとかは年末に総括されるので、おおよそ面白い本の読み逃しはないのだけれど、この手のノンジャンルな普通小説は旬を過ぎると中々総括されないので、そういう意味で、評者的には今年の押さえ本だよと言っておこう。ノンジャンルとは書いたが、あえていうなら時代小説・・・江戸時代、鰹節の商人の次男として生まれた主人公の、鰹節ライフを描いた物語である。ただそれだけである。それだけなのに、読ます、読ます、読ます!人によっては書き込みに深みを感じないかもしれないが、逆に淡々とした筆の運びがいいのです。
読了日:07月03日 著者:ねじめ正一
昔日 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)昔日 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
◎妻の浮気を疑う依頼人の登場で幕開け・・・意外に謎は深まらず、ただ今回の一連の背景と、かつて主人公スペンサーとスーザンとの関係に亀裂が入ったことの背景が、被るのか被らないのかよくはわからないが、いちいち結びつけるスペンサーとその仲間たち・・・最後は、またしてもスペンサーがお仲間ガンマンたちに集合をかけての大団円。う~む、このシリーズ、評者の未読本はたくさんあるのだが、今回のこの一冊は新味のない一冊と断言していいのかもしれない。
読了日:07月01日 著者:ロバート・B・パーカー
ミレニアム2 下 火と戯れる女ミレニアム2 下 火と戯れる女
◎前作にあった終盤のカタルシスが本作には不在。前作と同じくらいの長さの上下巻本ながら、長過ぎの嫌いも。
読了日:06月28日 著者:スティーグ・ラーソン
ミレニアム2 上 火と戯れる女ミレニアム2 上 火と戯れる女
◎『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』で活躍した主人公ミカエルと刺青女リスベットの擦違い小説。前作の事件からずっと会わずにいた二人。基本的にはリスベットがミカエルを避けているわけだけど、そのリスベットが序盤に殺人の罪で指名手配され、そのまま潜伏するわけで、とにかく“出会えない二人”を描いた物語なのである。
読了日:06月20日 著者:スティーグ・ラーソン
ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
◎ストイックな探偵とその哲学。謎の先にある謎の先にある謎たち。そして真相の果てに・・・ただなあ、あの奥さん可哀そうだなあ。いや依頼人の妻じゃなくて、最後あんなことになっちゃう、あの男勝りの体格の奥さん、可哀そうだなあ。
読了日:06月14日 著者:ロバート・B. パーカー,Robert B. Parker
「師匠!」「師匠!」
◎師匠と弟子の関係も、落語の世界を描いたら必ず出てくるモチーフなのだが、本書はそこのところを少しばかり中心に据えた短編集。泣き笑いなんでしょうか、苦労話なんでしょうか・・・読んでいると面白い、それでいて意外に余韻をひかない落語の世界の噺のことども
読了日:06月07日 著者:立川 談四楼
真相[予定価格] (ハヤカワ・ノヴェルズ)真相[予定価格] (ハヤカワ・ノヴェルズ)
〇スペンサーシリーズ、これで4冊目の評者なのだが、冒頭の展開は相変わらず一緒。シリーズすべてが全部こんな感じと推測していいのかどうかは未だわからないが、逆水戸黄門と呼びたくなってきたぞ。水戸黄門の場合は、物語の最後に印籠とお定まりなのだが、スペンサーシリーズのほうは、冒頭で美女依頼人が登場し、依頼をしたのはいいが、最後には墓穴を掘ることになるというところがお定まりなのである。
読了日:06月05日 著者:ロバート・B・パーカー

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by kotodomo | 2010-01-08 10:09 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 06日

総括2009年に読んだ本のことども№2(4月~5月)

やっぱ、『ミレニアム』1に尽きますな。『ディスカスの飼い方』大崎善生は、私の好きな大崎作品(*^^)v

ポットショットの銃弾 (ハヤカワ・ノヴェルズ)ポットショットの銃弾 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
〇難点は会話の口調。会話の口調。スペンサーや、その他大勢のタフガイたちが“~なのだ。”と会話を締めくくるのだが、あまりの多用にバカボンのパパが大勢で会話しているようでいただけない(笑)。特に7人が集合してからの後半部分では、7人が一堂に会して“~なのだ”と喋ってしまうので、誰が喋っているのか判然としない部分があるし、みんなでバカボンのパパごっこをしているのですか?と本に向かって問いかけてしまいたくなるほどなのである。
読了日:05月31日 著者:ロバート・B. パーカー
ばかものばかもの
〇絲山秋子。好きな作家だが、性的な描写が出てくる作品は、どうもいまひとつ面白くない。結局、性的な描写が物語全般と結びつかないからだろう。作家として、こんなシーンもドロドロに描けますという主張にしか思えなく、本当のこの作家らしさからかけ離れているように思えるからである。
読了日:05月26日 著者:絲山 秋子
中国初恋中国初恋
〇題名とは全然違った内容。著者が女の子絡みで中国に行こうと思い立ち、ただ中国に行くのも芸がないなあなんて思って、南アフリカから中国まで向かうという、なんともお馬鹿な企画ノンフィクションである(笑)
読了日:05月25日 著者:さくら 剛
こうふく みどりのこうふく みどりの
◎あとがきによると、著者は本書『こうふくみどりの』を執筆しているときに別の着想を得、並行しながら対になる『こうふくあかの』を書き上げたらしい。らしい、というのも、普通西加奈子ファンなら読む前に知っていそうなことだが、最近、読書家とも呼べなくなってきた評者の読書周辺のアンテナはヘタレで、本書もただ図書館に並んでいたから借りてきただけで、読み終えてから気づいた話なのだが、まあそんなの知らんでも、本書は充分面白かったのことども。
読了日:05月20日 著者:西 加奈子
ミスター・ミー (海外文学セレクション)ミスター・ミー (海外文学セレクション)
〇書痴という言葉を、本書の紹介記事で初めて目にしたが、本書『ミスター・ミー』は、本狂い(書痴)の80歳代の好々爺物語である。だけではなく、作中作と言える二人のお馬鹿な転書屋(翻訳屋)の物語と、もうひとつジャン・ジャック・ルソーに傾倒する大学教授の物語の、3つの要素からなっている。
読了日:05月19日 著者:アンドルー クルミー
ラジ&ピースラジ&ピース
◎◎題名は、独身主人公女性の受け持ちのラジオ番組名。主人公は、いわゆるパーソナリィティってやつですな。皆さんのお便り読んで、感想言ったり励ましたり、恋の作法を伝授したり・・・でも、素顔の本人は、随分と人嫌い。そんな材料でも、絲山秋子にかかると、こんな素敵で人間味のあるドラマに・・・まあ、読んでみなさい。
読了日:05月18日 著者:
初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
◎◎主人公のスペンサーはハードボイルドな(というかタフな)探偵である。今回は探偵業が話の発端になってはいるが、中身の多くは探偵話には割かれていない。スペンサーというタフな男と、ポールというヤワな少年との心の交流(最初通いあわないものが、最後にはという、いかにものパターンだが)が、物語の中心を成しているのである。
読了日:05月17日 著者:
ドリームガール (ハヤカワ・ノヴェルズ)ドリームガール (ハヤカワ・ノヴェルズ)
◎◎多分、パーカー好きの読者には、同じシリーズの中でも出来、不出来みたいな評価があるとは思うのだが、とにかく初めて出会ったスペンサーの生き方に惚れぼれした評者なのである。決定(^O^)/スペンサーシリーズ読破を目標に生きていこう。生き延びていこう。老眼が進もうとも、外人さんの名前が区別しづらくなったとしても、読む手が震えるようになったとしても、何としてもこのシリーズは読破するぞ!・・・と、今は思うのことども。
読了日:05月06日 著者:ロバート・B・パーカー
ディスカスの飼い方ディスカスの飼い方
◎◎本書『ディスカスの飼い方』で、大崎善生の村上チャイルド系譜はお終いで卒業と評者は評価したい。大崎節の完成である。多分、大崎善生は直木賞に縁のない作家だと思うのだが、こういう完成された物語に受賞してもらい、多くの人に読んでほしい、そんな作品に仕上がっているのである。
読了日:05月05日 著者:大崎 善生
運命の日 下 (3) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)運命の日 下 (3) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
◎◎本書の一番の魅力は・・・心底、嫌な奴が2名登場することじゃないだろうか。黒人を人間とは思っていない警官が一人と、末端の警官のことを全く理解しない警察組織の本部長と合わせて二人。いやあ、読んでいて、嫌で嫌で仕方なかった評者なのである。でも、この二つの障碍が物語全体のリーダビリティを支えているのである。ルヘイン、天晴れである。
読了日:05月04日 著者:デニス・ルヘイン
インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかもインドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも
◎とにかく、この本に出てくるインド人たち、可笑しいほどに観光客から金をむしり取ろうとする。自転車タクシーに乗って目的地を告げ、料金交渉をする。100ルピーで話がついて乗り込む。さあ、着いたぞ!ここはどこ?俺の知り合いの絨毯工場だ!なんで?まあ、買わなくてもいいから見るだけ見てってくれ!いやだ、早く目的地に行け!わかった、わかった・・・さあ、着いたぞ!150ルピーだ!なんで?100ルピーだったじゃないか!ゴニョゴニョ・・・そんな風に、いちいち金の話になってしまうのである。こういう話がバリエーションを変え延々
読了日:04月29日 著者:さくら 剛
運命の日 上 (1) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)運命の日 上 (1) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
◎◎本書はこのミスランクイン作品だが、決してミステリーではない。また、作者が得意とする、ハードボイルドを前面に押し出したジャンルの作品でもない。ジャンルは・・・小説である。例えば、日本の作家でいえば伊集院静とか、宮本輝とか、小説家が小説を書こうと思って書いた、そんな小説である。コグリン家という警察一家を中心に、時代を描いた時代小説ともいえる。スペイン風邪、警察のストライキ、共産狩り、禁酒法、膚の色、そんな時代の風景を見事に収めきった佳作なのである。
読了日:04月26日 著者:デニス・ルヘイン
そうか、もう君はいないのかそうか、もう君はいないのか
◎◎ボロボロ泣きながら読む自分を想像していたが、さにあらず。ただ、ただ、いい文章を読みましたという余韻のみ。思い出を綴り、思い出を語り、思いを綴っただけの文章なんだけど、いいんだなあこれが。
読了日:04月23日 著者:城山三郎
幼なじみ (Coffee Books)幼なじみ (Coffee Books)
▲デニス・ルヘインの『運命の日』上下巻二段組みを読んでいたら、読書が全然進まず、それもそのはず毎晩毎夜飲み続けながらの合間読書なので仕方なく、ならってんで薄そうな佐藤正午の本書『幼なじみ』でコーヒーブレイクと手に取ったら、な、な、なんと!15分で読み終わったではないか!っていうか、これ絵本だぞ!まあ内容的には子供が読みそうな物語ではないが、大人の絵本には間違いない。要するに、薄くて絵が多いわけで、15分で読めるわけだ。そんなのも知らずに、佐藤正午の最新刊♪と積読してたのだけど・・・う~む、コストパフォーマ
読了日:04月23日 著者:佐藤 正午,牛尾 篤
風の影〈上〉 (集英社文庫)風の影〈上〉 (集英社文庫)

読了日:04月16日 著者:カルロス・ルイス サフォン
卵の緒卵の緒
◎ということで、やっと皆様お薦めの、瀬尾まいこのデビュー作を読みました。その後の作品ばかり読んで、今やっとデビュー作を読み、それを持ってこの作家の方向性を今更ながら語るのもおかしな話なのだが、結局、この瀬尾まいこという御嬢さんは“いい男の子”を描くのが得意と見た!!!って、さっきも書いたように、後の作品を読んでわかっているのだが、あえてもう一度言おう。この作家は“いい男の子”を描くのが得意と見た!!!
読了日:04月14日 著者:瀬尾 まいこ
黒百合黒百合
〇普通の小説として読むと、青春小説としてその静謐な文体が心地よい小説なのだが、過去と現在が織りなすミステリー小説としては???である。終盤驚くよという情報は仕入れて読み始めたので、騙されるように素直な気持ちで読んでいって、そろそろ騙される頃合いかな?なんてところで種明かしされて、それが自分の想像していたものと違ったとき、人は驚愕するものなんだろうけど、ああそうですか、そうだったんですか、だから?みたいな感想を持ったのは、評者が天の邪鬼だからでしょうか?
読了日:04月12日 著者:多島 斗志之
シャレのち曇り (ランダムハウス講談社文庫 た) (ランダムハウス講談社文庫)シャレのち曇り (ランダムハウス講談社文庫 た) (ランダムハウス講談社文庫)
◎将棋界の大崎善生、落語界の立川談四楼といったところだろうか。とにかく文章が上手い。また、その世界に散らばっているエピソードを、多岐に、そして過去に遡って拾い上げていくのだが、その羅列の仕方が絶妙である。う~む、と唸ってしまうくらい巧みなのである。
読了日:04月11日 著者:立川 談四楼
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下
◎◎もう一度、終盤の収斂について触れるが、同様の終盤のテイストを持つ小説としては、最近では『数学的にありえない』アダム・ファウアーが挙げられるし、古いところでは『夏への扉』ロバート・A・ハインラインが挙げられるだろう。途中の何気ない伏線が、一気に収束していくあの快感である。評者的には、次回のこのミス海外編の1位はこれで決まりである。これからも、どんどん面白い作品が出てくるとは思うのだが、他の作品が面白いからといって、比較して本書が下位にくるというような薄っぺらな小説ではないのである。本書の面白さは、本書の
読了日:04月05日 著者:スティーグ・ラーソン
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上
◎◎登場人物たちにヘンリック・ヴァンゲル、エディット・ヴァンゲル、リカルド・ヴァンゲル、ゴットフリード・ヴァンゲル、イザベラ・ヴァンゲル、マルティン・ヴァンゲル、ハリエット・ヴァンゲル、ハラルド・ヴァンゲル、イングリッド・ヴァンゲル、ビリエル・ヴァンゲル、セシリア・ヴァンゲル、アニタ・ヴァンゲル、グレーゲル・ヴァンゲル、イェルダ・ヴァンゲル、アレクサンデル・ヴァンゲル、グスタヴ・ヴァンゲルなんてのが出てくるわけで、どこかの感想を読むと“誰が誰だかわからない”なんて書いてあったが、心配することはない。途中で
読了日:04月01日 著者:スティーグ・ラーソン
 
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by kotodomo | 2010-01-06 11:55 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 05日

総括2009年に読んだ本のことども№1(1月~3月)

『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』愛川晶に、『船に乗れ!Ⅰ合奏と協奏』藤谷治、『三国志男』さくら剛が、とっても良かったのことども。

三国志男 (SANCTUARYBOOKS)三国志男 (SANCTUARYBOOKS)
◎◎大爆笑、お気楽冒険記である。評者は、数多くの本を読んで大笑いしてきたが、本書ほど笑いが爆発した記憶がない。最初は、何ベタな笑いを誘う文章を書いてんの、くらいの感じで読み始めたが、途中から、こいつの文章やっぱ面白れえ!!!グハハってな感じで、箇所によっては20秒くらい笑いを押さえきれず、腹捩れ読書体験となったのである。とにかく事実に即しては書いているのだが、甚だしい誇張、妄想、自分に都合の良い解釈、そんなののオンパレードなのである。とにかく、この面白さを理解してもらうには、読めとしかいいようがない。読む
読了日:03月22日 著者:さくら 剛
オケ老人!オケ老人!
○本書で肝心なのは面白いかどうかもそうなのだけど、あの荒木源の作品だということが肝心なのである。あの荒木源とは、あの『骨ん中』という中々骨太のミステリーを書いた荒木源のことで、今度はどんなミステリーなの?なんて思って読み始めると、あらら、ということになるからである。つまり、本書『オケ老人!』は全然骨太でなく、お気楽物語なのである。どちらかというと軽薄なのである。あの『骨ん中』の作者が、ふ~ん、こんなの書くんだなあなのである。
読了日:03月21日 著者:荒木 源
チェーン・ポイズンチェーン・ポイズン
▲多分このミスランクインでしょう
読了日:03月16日 著者:本多 孝好
神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件
◎ミステリー風味に加え、SF風味、形而上風味、ハードボイルド風味、怪奇風味、男色風味他、色々なものが混ざり合った風味なんだけど、結局は、この作家、芥川賞受賞作家なわけで、なんだかんだいっても文学風味なのである。
読了日:03月16日 著者:奥泉 光
神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件
◎やはり、平成の夏目漱石と評者が勝手に呼んでいる奥泉光という作家は、高踏的に余裕的に巧い。知的なユーモアを内包した文章に、既存の文体に固執しない自由な筆遣いが心地良いのである。何箇所か、評者もウププと笑ったくらいである。
読了日:03月07日 著者:奥泉 光
希望ヶ丘の人びと希望ヶ丘の人びと
◎◎本書『希望ヶ丘の人びと』は、母親が小学校、中学校時代を過ごした団地に、主人公である父親と、中学の娘、小学生の息子が移り住んでくる物語である。母親は既に亡くなっているのだが、母親の思い出が残る団地に、残された家族が思い出を偲ぶ意味も含めて移り住むわけである。でも、随分と様変わりしているようなのだが。で、これが面白い。久々に、重松清を楽しんだ評者なのである。元々、重松清読みじゃない評者なので、この面白さは『いとしのヒナゴン』以来である。肩の凝らないコミカルで人情溢れる重松節である。
読了日:02月25日 著者:重松 清
一回こっくり一回こっくり
◎◎内容も何も知らず、なんとなく図書の棚から借りて、なんとなく読み出し、1章から5章まであることに気付き、第1章の「弟」を読んで噺家の書いた人情話(しんみり哀しいほうの人情話)の連作短編集だと決め付け、4章まで読み進んでいたとこまではまだ人情話短編集だと思ったままだったのだが、4章の終わりにかけて鳥肌が立ってきた。そして、鳥肌の予告通りの第5章が始まる・・・。
読了日:02月23日 著者:立川 談四楼
老検死官シリ先生がゆく (ヴィレッジブックス F コ 4-1)老検死官シリ先生がゆく (ヴィレッジブックス F コ 4-1)
○テイストは、ほのぼのハードボイルドであり、構造は、色んな事件が最後にはピタリと収斂するモジュラータイプのミステリーであり、舞台は、共産国家ラオスの1970年代を紹介した珍しい小説でもある。ただねえ・・・気の利いた会話が、共産国家ラオスという読み慣れない舞台ということもあって、時々ピンと来なかったりするのがタマにキズなのかなあ。それでも面白い文庫本の拾い物である。このミス2009年版海外編でも、結構支持票が入っているので、興味ある方は読み逃しなく。
読了日:02月22日 著者:コリン コッテリル
暗闇のヒミコと暗闇のヒミコと
○事件の裁判事例を通して、作者が読者に問いかけるものは、『死亡推定時刻』と同じで、捜査や裁判を通じての日本司法における自白の偏重性にある。だから、くれぐれも、これを読んでいる皆様方におかれましては、たとえ不在証明ができなくても、たとえ罪を犯していたとしても、たとえ取調べがいかにきついからといっても、ユメユメ自白などなさらぬように。
読了日:02月20日 著者:朔 立木
蜘蛛の糸蜘蛛の糸
○黒川博行が最近こんな話を書いていたんだと思ったら大間違い。一番古い作品の「尾けた女」が1992年の作品で、多くの作品が1990年代もしくは2000年代初頭に書かれたものであり、“この15年くらいの間にこんなものも書いていました作品集”みたいな位置づけである。
読了日:02月17日 著者:黒川博行
船に乗れ! 1 (1)船に乗れ! 1 (1)
◎◎本書の中で、作者は音楽とかオーケストラというものに真剣に向かい合っている。多分、元々そちら方面に造詣は深いと思うのだが、それを作中に取り入れて、一般読者に読んでもらうためには、作家としての相当な技量が要求されるわけだが、本書ではそれを見事にやってのけている。そして・・・傑作である。
読了日:02月16日 著者:藤谷 治
真説・外道の潮騒真説・外道の潮騒
◎◎とにかく、どうでもいいようなことがダラダラダラダラ書かれていて、それでいて手垢のついていないような表現で思弁を手玉に取る、町田康という作家は凄いとしかいいようがない。ハマる人には大いにハマり、ハマらない人には、何これ?駄作?ってな感じなんだけど、評者的には聖月様的には大ハマりの久々のマーチダ爆笑節である。
読了日:02月15日 著者:町田 康
ダイイング・アイダイイング・アイ
◎悪くない。完成度の高い東野作品として読むと綻びだらけなのだが、読んでいて面白い。何が面白いかって、何を読まされているかわからないところが面白いのである。多分、このミス国内20位ランクインの作品たちとリーダビリティーでは遜色ないと思うわけで、そういう意味で東野作品としては完成度は低いけど、今の国内ミステリーの中では、まあまあの出来というのが評者の個人的印象のことども。
読了日:02月12日 著者:東野 圭吾
サーカス象に水をサーカス象に水を
◎◎そして何より、最後の最後がいいのである。サーカスを観に行った93歳の主人公と、サーカスの責任者との会話・・・さりげないやりとりなんだけど、泣くところではないのだけど、映画のクライマックスシーンのように心に沁みてくるのである。良書読みを自負する方、押さえ本であるのことども。読むべし、であるのことども
読了日:02月08日 著者:サラ グルーエン
傍聞き傍聞き
◎本書には、表題作「傍聞き」を含め、4編の短編が収められている。それぞれに共通するのが、まずこの傍聞きのようなひとつのお題が与えられており、そのお題に沿ってミステリー部分が構築されているところである。そして、もうひとつ共通する要素に二段オチになっていることがあげられる。賢い読者は、お題から考えて、ああこういうオチなんだと一旦は気付く。だが、その先に、読者が気付かないオチがあるという妙味があるのである
読了日:02月04日 著者:長岡 弘樹
荒野のホームズ〔ハヤカワ・ミステリ1814〕 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1814)) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)荒野のホームズ〔ハヤカワ・ミステリ1814〕 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1814)) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

読了日:02月01日 著者:スティーヴ・ホッケンスミス
おっさんは世界の奴隷か―テースト・オブ・苦虫〈6〉おっさんは世界の奴隷か―テースト・オブ・苦虫〈6〉
○馬鹿話にお付き合いしたい人にお薦めの一冊、っていうか、もうシリーズ6作目。評者は、全部お付き合いしてきたのことども。おっさんで世界の奴隷なので、そのくらいの息抜きがなきゃ、人生は因果かも、うくく。
読了日:01月31日 著者:町田 康
シートン(探偵)動物記シートン(探偵)動物記
○中身は連作短編集であり、その一つ一つにメインとなる動物たちが登場する。表紙からもわかるように、カラスだったり、クマだったり、オオカミだったり。その動物と謎がうまく絡み合い、その謎をシートンが明かして、新聞記者の主人公が綴る、そんな構成になっている。謎も深くなく、ミステリー色もそこまで強くないが、作者の構成が上手で、お手軽な読書にはもってこいというところかな。
読了日:01月25日 著者:柳 広司
草祭草祭
◎◎それぞれの短編は、いつもの恒川ワールド。どこか隣に存在しそうなパラレル空間と日常、そういったものを組み合わせた不思議な物語たちなのである。こういう作品に直木賞や本屋大賞やランキング1位を飾ってもらって、多くの人に読んで欲しいなあと思うのは、多分評者だけじゃないんじゃないかな。そういう良書なのです
読了日:01月25日 著者:恒川 光太郎
退出ゲーム退出ゲーム
▲全体に悪くはないと思う。悪くはないと思うが、このミス投票直前の2008/10に発行されて、うんこりゃオモロイと慌てて投票するほどの作品でもない
読了日:01月20日 著者:初野 晴
のぼうの城のぼうの城

読了日:01月19日 著者:和田 竜
芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)芝浜謎噺 (ミステリー・リーグ)
◎◎ 前作がすこぶる面白かったので、本作にも期待したが、期待通り、もしくは期待以上。中でも、表題作の『芝浜謎噺』が感涙物と聞いていたので、感涙、感涙、感涙したいな♪と思っていたら、やはり感涙したのでこれも期待通り。読むべし、読むべし、べし、べしべし!!!の落語薀蓄ミステリーなり。
読了日:01月15日 著者:愛川 晶
道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ] (ミステリー・リーグ)道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ] (ミステリー・リーグ)
◎◎ ネット書評を始めて8年以上経つが、こんなに完璧なミステリー、好奇心を満たしてくれる作品は初めてである。要するに、8年間読んだ本の中で、ミステリー+好奇心という切り口でいえば№1の本である。
読了日:01月06日 著者:愛川 晶
1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)
◎まず、序盤だが、とにかく読んでいて気持ちがいい。これまでの初野作品は、どんよりとしたどこか地下の暗闇あたりにそのテイストが置かれていたが、今回は青空に置かれているようなそんな感じである。主人公はアーチェリー部の主将を務める女子高生。その彼女が、サファイアという騎士に学内で出会うまでの序章なのだが、ハードボイルドでコミカルな語り口が微妙によろしいのである。ニヤリとする箇所もチラホラ。実は図書館に予約した本書であったのだが、表紙が余りにも乙女チックなので、読まずに返したろかい、薩摩男児としては、なんて思って
読了日:01月03日 著者:初野 晴

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by kotodomo | 2010-01-05 16:56 | 読書メーター | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 03日

「1Q84 BOOK3」のことども

b0037682_6324583.jpg今朝の朝刊に、村上春樹『1Q84』の新作続編BOOK3が4月に刊行と
新潮社から発表があったとのことども。

ということは、年末にBOOK1を読み終え、一旦休憩的に他の本を読んで、
それからBOOK2へと思っていた聖月様の計画には変更はないけれでも、
多少の修正が必要なのかな。

1月中には2を読もうと思っていたが、記憶の持続性を考えたとき、2月くらいがいいのかもと。

12月にBOOK1

2月にBOOK2

4月にBOOK3

どうだ!完璧だと思わないか?青豆に天吾よ!004.gif
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by kotodomo | 2010-01-03 06:33 | メモる | Trackback | Comments(0)
2010年 01月 02日

◎◎「1Q84 BOOK1」 村上春樹 新潮社 1890円 2009/5

b0037682_96158.jpg お誕生日してあげるよ♪と言われ、何が食べたい?と聞かれ、鹿児島でもフランス料理の美味い店があるならそんなとこ、なんて答え、実際には誕生日から1ヶ月後の6月にワインなどを召し上がりながら、おずおずと差し出された誕生プレゼントが本書『1Q84』のBOOK1と2のセットなのである。

 なにゆえに「おずおず」のプレゼントかと言えば、先方は聖月様が本読み野郎ということは承知しており、このブログも覗かないわけじゃないので村上春樹を満更でもなく思っていることもわかっているわけで、貰った当時は本書バカ売れ品薄状態で、聖月様が持っていなかったら多分大いに喜ぶプレゼントになるし、既に入手していたらプレゼントは引っ込めることになるし、そういう賭けの上のプレゼントだったので「おずおず」と相成ったであるのことども。

 いやあ、持ってませんでした。読みたかったでした。欲しかったでした。ニコニコのありがとうでした・・・なんていいながら、中々読み始めない聖月様。これが図書館で一等賞に借りてきたのなら速攻読むタイプの読書人なのだが、手元にあると安心して図書館本の消化から入るタイプの読書人でもあるので、というのが一つの理由。

 もう一つの理由が、大事に読みたい、時間のあるときに一気にゆっくり堪能したいという気持ちがあったので、お盆の休みあたりに読もうなんて決めてたわけで、でも今年のお盆はいつにも増して体たらくな過ごし方をして・・・で、年末年始休暇ということで、やっと読んだのでした、がはは。

 で、その中身であるが・・・ファンが期待し想像するような、従来のタイプの村上春樹はそこにはいなかった。確かに、『海辺のカフカ』のカフカとナカタさんのパートを交互に織り交ぜる手法は、今回も青豆と天吾という二人の登場人物の、それぞれのパートを交互に繰り返すという形で踏襲されている。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』も同様であったように。

 また、いつもの村上春樹節も健在である。“やれやれ”とかに始まる傍観的な描写とか、英訳的な形容詞の使い方だとか(冬眠から覚めた熊のように?)、小気味よいハードボイルドタッチの会話だとか。

 でも、今回の村上春樹はタイプというより、タッチが従来と違うのである。わかりやすく言えば伊坂幸太郎的にテンポがいいのである。テンポのいい村上春樹?読む前には想像し難い村上春樹なのである。それが嬉しい聖月様なのである。

 例えば、個人的に大傑作だと思っている『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』にしても、“ハード”のパートはテンポよく楽しめるのだが、“終り”のパートは少々退屈しながら読み進めた記憶があるし、個人的に力作だと思っている『ノルウェイの森』にしても陰鬱なスローテンポに“やれやれ”と思いながら消化したのも否めないのである。

 ところが本書は全パートが小気味よく、テンポのよさに退屈しないのである。確かに、本書の中にはそれなりの冒険があり、“あの村上春樹が戻ってきた”という言い方も出来ないわけではないが、これはこれで、新しい村上春樹と言ってもいいだろう。

 テンポはいいが、物語の展開という部分に関しては遅々としていて、そういう意味で言えば本書BOOK1は『1Q84』の序章ということになるだろう。さてBOOK2での展開や如何に?(20091229)

※BOOK2に行く前に、やはり図書館本の消化も大事なので(^^ゞジェフリー・ディーヴァーの『ソウル・コレクター』やら嶽本野ばら『祝福されない王国』に寄り道予定。(書評No934)

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by kotodomo | 2010-01-02 09:06 | 書評 | Trackback(2) | Comments(0)