「本のことども」by聖月

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2012年 06月 30日

◎◎「川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川」 宮本輝 筑摩書房 840円 1986/1

b0037682_11301312.jpg◎◎宮本輝の原点というより、小説の原点がここにありって感じの小説、川三部作。いや、全然別個の小説で、独立し、部分ではないので、三部作とは言い難いが作者も三部作と言っているのだから、まあいいか。個人的には「泥の川」のガヤガヤとした熱気が好きなのだけど、「蛍の川」の青年期的な青臭さも好きだし、「道頓堀川」の一人ひとりの個性の描き方も巧いなあと唸らされるし、とにかく良い読書のための良い小説たちなんだな。ただただ小説で在り続けるための小説たち。ミステリも意外性もサスペンスも何もなくても、小説は小説であることの見本のような作品集。読むべし!
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by kotodomo | 2012-06-30 11:30 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 24日

〇「ビブリア古書堂の事件手帳」 三上延 メディアワークス文庫 620円 2011/3

b0037682_12132619.jpgそれなりに面白いのだが、主人公の「本の読めない体質」っていうのには、かなり無理があるし、連作短編の最初の2編も、物語の構造的に随分と無理があって、とにかく安楽椅子探偵を構築しようとする著者があがいた作品のような感じがする。でも論理学入門は、シンプルではあるが、キャラが立った佳作だし、晩年で色んな伏線を収斂させるやり方は中々に面白い。確か実家にあった太宰の晩年。文庫本だけど、今度読み返してみましょう。あと、自分でも感じていた、新潮文庫にだけ、紐の栞=スピンが付いているのは、やはり今では新潮文庫だけなんだ。
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by kotodomo | 2012-06-24 12:13 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 22日

◎「キネマの神様」 原田マハ 文藝春秋 1850円

b0037682_20545284.jpg普段映画は観ないのだが、本書を読むとやはり映画を観たいななんて思うわけで、「フィールド・オブ・ドリームス」なんかは、まだ色々と映画を観ていた若い時期に観たわけで、何気なくシーンを憶えていて、そうしたら、本書に出てくるその他の映画も観たくなってくるわけだ。まあ、どういう話かっていうと、映画に関わるお仕事の女性主人公。映画キチガイだけどギャンブル狂いのその父親。そんな二人の関係に、ベタな周りのドラマが動き始め、そして結末もなんとなくベタなんだけど、やはり巧い作家が描くと面白いのである。題名はベタ過ぎるけど。
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by kotodomo | 2012-06-22 20:55 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 22日

◎「日本全国津々うりゃうりゃ」 宮田珠己 廣済堂出版 1575円 2012/4

b0037682_19271255.jpg毎度お馴染みの脱力系エッセイ。今回は日本の迷所廻り。初っ端の名古屋編を読んだときには、笑いどころもなく、ただふざけた文章を読むだけの退屈さに放り投げようかとも思ったが、次の秋山郷を読んでオモロ。結局全体にオモロイ旅エッセイでした。笑かせるだけなので、特にその場所に行きたいとは思わないのだが、唯一行ってみたいなと思ったのが、しまなみ海道。瀬戸内の満潮干潮が作りだす海の流れの妙。観てみたいものである。テレメンテイコ女史にも会いたいものである。しかし、この作者を読んだことのない読者だったら初読には向かないか。
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by kotodomo | 2012-06-22 19:27 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 17日

〇「花々」 原田マハ 宝島社 1260円 2009/3

b0037682_1532624.jpg「カフーを待ちわびて」の他人主人公サイドストーリー。明青も幸もカフーも名前は出てくるが・・・ただねえ、傑作は傑作だけで終わらせたほうが良かったような気がするなあ。花をモチーフにした短編集で、それぞれに味わいはあるのだけど、カフーに寄るところも大きく、カフー未読の人にはどうなんだろう。そして、最後に語られるニュース。やっぱりいらないような気がするなあ。「千と一枚のハンカチ」・・千と一枚っていうのが、この作者の感性のウォーミングなところだろう。あと「鳳仙花」「ねむの花デイゴの花」「さがり花」「花だより」収録
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by kotodomo | 2012-06-17 15:03 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 17日

◎◎「バイ貝」 町田康 双葉社 1260円 2012/3

b0037682_11036.jpgようやっと「きれぎれ」「夫婦茶碗」の町田康が帰ってきた感じで、日本語の操りも町田らしくキレがあり、最近の短編集のような手抜き感がない。じゃあ、どんだけ面白いのかというと、基本的には思弁的な男が家の中で野菜炒め作って写真を撮るだけ、要するにいつもの作品と同様、色々述べたけど結局は何もないよ、みたいな作品なので、まあ町田康初心者は、先述の二作あたりを読んで好悪を判断してから読みましょう。文章や言葉を舐めるように読んだが、それに耐えられる新しい日本語の表現のオンパレード。結局、題名の意味はわからなかったが。
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by kotodomo | 2012-06-17 11:00 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 16日

〇「スナフキンの午睡」 麦生郁 幸福の科学出版 1365円 2009/12

b0037682_1484694.jpgユートピア文学賞の佳作「愛しき日々」と翌年の入選作「りふれいん」という短編が2編と、そしてその後大賞を受賞した中編の表題作が収められた中短編集。この作家、最初の頃は、人情物を描いていたのですね。そして「スナフキンの午睡」でユーモア小説の作法が花開き、近著「雨宮経理課長の憂鬱」で炸裂したわけですね。しかし、これだけいい作品を描くのに、名前が売れていないのは、幸福の科学の文学賞で、幸福の科学出版だから?とにかく未読の方は、まず「雨宮経理課長の憂鬱」を読むべし。そして、今後の活躍に期待すべし!
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by kotodomo | 2012-06-16 14:08 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2012年 06月 14日

〇「地下の鳩」 西加奈子 文藝春秋 1260円 2011/12

b0037682_1771735.jpg飲み屋街が題材なだけに、猥雑で切ない感じが拭えないが、まあわかったことは西加奈子は巧いということ。あのチーフ。生真面目で結局辞めちゃったけど、話の本筋には全くと言っていいほど影響力を持たないキャラの配置に技量が伺える。表題作と「タイムカプセル」という中編が2本収められた本書。2作品ともに舞台や登場人物が重なり、どこか頽廃的な生活を送っている人々を描いた文芸作品で、評価云々ではなく、西加奈子の本を図書館で見かけたら、とにかく借りるし、面白くないときは返せばいいわけで、評者はそのくらいには著者のファンである。
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by kotodomo | 2012-06-14 17:07 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
2012年 06月 14日

西加奈子のことども


  ▲ 『あおい』
◎◎ 『さくら』
  ◎ 『きいろいゾウ』
  ◎ 『通天閣』
  ▲ 『しずく』
  ◎ 『こうふくみどりの』
  ◎ 『こうふくあかの』
  ◎ 『うつくしい人』
  ◎ 『きりこについて』
  △ 『炎上する君』
  〇 『地下の鳩』

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by kotodomo | 2012-06-14 16:20 | メモる | Trackback(5) | Comments(0)
2012年 06月 14日

◎「花のようする」 藤谷治 ポプラ社 1575円 2012/3

b0037682_13222123.jpg久々の藤谷治による安定感のあるそこはか恋愛小説。色んな小説描いて、時々大外れを出す作家だけど、今回は安定度抜群。それなりに世の中がわかっている男女の恋愛なので、ハラハラもドギマギもしないところが、安心して読めるところ。投資世界の寵児と、若き時代は過ぎても、今でも安定して女優業を続けている二人の、出逢いから今まで。少し不思議な世界(予言的な力や夢の中のセールスマン)も織り交ぜて、少し人生哲学も織り交ぜて、結局のところ普通に楽しめる恋愛小説の出来上がりといったところ。最後は、バラと昔の映画のオンパレで終了。
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by kotodomo | 2012-06-14 13:22 | 書評 | Trackback | Comments(0)