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2013年 03月 10日

2013年2月に読んだ本のことども

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2560ページ
ナイス数:110ナイス

空白を満たしなさい空白を満たしなさい感想
〇さすが、平野啓一郎。死んだ人が再び蘇るというSF的な設定ながら、どこまでも現実的で哲学的で、意味深く、考えさせられる。ケン・グリムウッド「リプレイ」と同じ系譜で、なぜ蘇るのかというところには力点を置かず、何が起きるのかという作用点を描くのである。大きな設定とは別に、隙間を埋める展開や人物たちも唸るほどに秀逸に描かれていて、特に警備員佐伯の独りよがりの論法に、こちらも頷きそうになるくらいである(笑)死んだはずの人々が、ある日戻ってきたら・・・別々の場所で、それぞれの現れ方で。設定は簡単だが、中身は重量級。
読了日:2月25日 著者:平野 啓一郎
残り全部バケーション残り全部バケーション感想
◎◎伊坂流伊坂節全開、といっても、伊坂節には種類があるわけで、ユーモアなおとぼけな軽妙さが満載と言ったらわかりやすいかな。連作短編集なんだけど、伏線が丁寧に刈り取られ、最後は希望が持てるような映画のラストシーンで伊坂ファンにはたまらない。当たり屋的裏稼業を中心にして、でもほのぼのとした感じで進んでいく、なんというか途中のズレた会話も楽しく、そういうことだったのかという箇所も満載で、いやはや、やってくれましたな。この作品なら伊坂が直木賞獲っても、再度本屋大賞とっても誰も文句は言わないでしょう。読むべし!!!
読了日:2月20日 著者:伊坂 幸太郎
墓場への切符―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)墓場への切符―マット・スカダー・シリーズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)感想
〇1991年の作品を今頃読んだのは、このシリーズの最新作が昨年好評を得たからで、その昔、古本を買うのが趣味だった自分の場合、倒錯三部作だけは蔵書していたからである。何が倒錯?なんて思って読み始める。全体に普通の探偵ハードボイルドなのだが、なるほで悪敵が倒錯的。自分の本名はモリユウスケなのだが、自分を殺してやりたいと考える敵が、ユースケサンタマリアを殺して、森進一を殺して、どうだ!お前は最後に殺してやる!というような考えをするのは、かなり倒錯しているわけで、好きだから殺して食べた的に猟奇的で倒錯的なのである
読了日:2月19日 著者:ローレンス ブロック
噂の女噂の女感想
◎◎連作短編集の体裁を借りた長編と呼ぶのが正解なのかも知れない。確かに雑誌で連載されていたものだが、最初の短編を読んだ時の中途半端さに驚き、読み進めるうちに、なるほど全体構成がわかってきて、最後の2頁の挿絵で、なるほど食虫花と餌食になる憐れな虫の物語、悪女とその周辺の物語だと腑に落ちる次第なのである。東野「白夜行」や桂「嫌な女」みたいな物語の流れなのだが、なんだか悪女たる女性が魅力的で憎めないのは、その二作品とは異なる。別の見方をすれば、中古車販売店の事務員の出世成長物語。その転身ぶりに潔さを感じるのだ。
読了日:2月17日 著者:奥田 英朗
湿地 (Reykjavik Thriller)湿地 (Reykjavik Thriller)感想
〇アイスランドミステリー。コルブルンやエーリンボルグが女性の名前っていうのが肌に合わずいちいち引っかかるが、全体的にはサクサク読める面白小説。章立てというか、短い場面が程よく切り替わり、読み込む必要もなく物語は展開していく。ただ、可笑しいのは、なんだかんだ言っても主人公の当てずっぽう推理で物語が進行し、その当て推量が当たってしまうところ。決してユーモア小説ではなく、どんよりとした灰色小説なんだけど、そういう展開のベースがユニーク。主人公の息子が一度も出てこないが、シリーズ三作目ということで、何処かに登場?
読了日:2月17日 著者:アーナルデュル・インドリダソン
ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)感想
〇なるほど、世間に疎いような青年実業家が、ワインを耽溺、倒錯的愛情を注ぐ男にどうしてなっていったかに筆を重ねるのは至難の業だが、ワインで身を滅ぼすようになった男の過去の出来事を、時系列を遡りながら積み重ねていくと、行間を埋めるような構成になるわけですね。「イエメンで鮭釣りを」と同様に、ギクシャクした夫婦間の描写っていうのがあまり好きではないが、結局、あちらも本書も不器用な男の物語なので、どうしてもそういうことになってしまうのであろう。財をなし、ワインに傾倒し、倒錯し、耽溺し、アル中合併症、そんな男の物語。
読了日:2月11日 著者:ポール トーディ
雪と珊瑚と雪と珊瑚と感想
△うーむ、若い母親と赤ちゃんと、それを預かる優しい女性の機微を丁寧に描きだす滑り出しに、この作家巧いと思ったものの、序盤を過ぎると一気に登場人物が多くなり、結局朝ドラ的、素人のカフェ開店奮闘記に転じて、物事の運びもラノベになってしまって非常に残念無念。途中からは読み飛ばしながらの読了。メニューの名付けに何ページも費やす部分も欠伸が出るし、てんやわんやすったもんだで、予定調和的ゴールに向かうだけのお話になってしまったのは、やはり連載物だからでしょうか?母子小説かと思ったら、赤ちゃんは成行きのための脇役でした
読了日:2月3日 著者:梨木 香歩

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by kotodomo | 2013-03-10 07:40 | 読書メーター