「本のことども」by聖月

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2013年 06月 01日

2013年5月に読んだ本のことども

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3296ページ
ナイス数:144ナイス

あの日、パナマホテルで (集英社文庫)あの日、パナマホテルで (集英社文庫)感想
〇ほとんど話題にもならず、ただ読んだ人のみが拾い物と感じるそんな情報を入手し読んでみたが、自分的にはそこまで拾い物感はなかったなあ。ただし、良書。素直な物語。第二次大戦が始まったその後のアメリカの内側の物語を読んだのは初めて。戦争が始まり、中国系二世の主人公ヘンリーと、日経二世のケイコの周りでは、アジア系に対する、日本を憎む動きがじわじわと。結果的にケイコの家族は強制的に収容されるのだが。読後、なんとなく思ったことは、そういえば、日本には基地の街意外に、リトルアメリカみたいなところはないな。関係ないけど。
読了日:5月28日 著者:ジェイミー・フォード
四次元温泉日記四次元温泉日記感想
〇アトラクションや迷路には興味があるが、温泉なんて家風呂とどこが違うのという温泉音痴の作者が、温泉旅館の迷路探求を主目的とした、旅エッセー集である。文章は脱力系。基本的には、温泉行きました。迷路的でした。温泉はよくわかりませんでしたという話の連続なので、この作者に馴染みのない読者は飽きがくるかも。よく、温泉に寝湯っていうのがあるが、自分も家風呂では寝湯なんだよなあ。嫁さんが勿体ないって、湯を浅く張るもんで、狭い湯船に寝転ぶようにしないと身体が浸からないんだよね。で、温泉に行ったら寝湯入る自分が居るのだ。
読了日:5月26日 著者:宮田 珠己
米朝快談米朝快談感想
◎◎嶽本野ばら、天才ですな。最近読んだ文章の中で別格。ただし、野ばら作品をかじり、落語をかじり、前衛的な表現の面白みがわかっていないと、そこまでは楽しめないかもしれない。米朝の落語を語りながら、自分の身辺的エッセーを織り交ぜ、そこに文学を加味した、まさしく天賦の才のなせる快談ここにあり。あと、本書の文章には所々毒もあって、この毒を上手く飲みこめるかが、肝要かな。これは、作者と読者の距離感が関係してくるので、野ばら初読みじゃ、ちと困難かな。しかし、簡単な解説のついた、噛み砕かれた落語の世界は楽しいなあ。
読了日:5月26日 著者:嶽本 野ばら
日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか―グローバル時代を生きるための新・日本人論日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか―グローバル時代を生きるための新・日本人論感想
〇良書だが題名に惑わされるなかれ。東日本大震災に触れていないわけではないが、触れてないのと同じこと。多分、出版社が震災関連本として、少しでも売れるよう「大災害」を強調したのだと思う。実際の内容は、他国と比べ、特異な国土、特異な歴史を歩んできた日本人の本質の、良い部分も悪い部分も構築してきた閉ざされた人間社会の考察本。確かに日本には建国の歴史がない。欧米や、中国や韓国も、近代における建国という概念があるわけで、歴史を水に流すとか、それは過去のお話でしょ、とか、一言で片づけられない背景があるわけなのだな。納得
読了日:5月24日 著者:大石 久和
ガソリン生活ガソリン生活感想
「吾輩は猫である」の主人公は猫ではなく人間社会なわけで、猫の視点を利用しているだけの話で、本書も望月家族が主人公であって、僕=車は語り部なのである。ただ、猫の場合だと、物語を語らせるためにいくらでも移動させられるのだが、車の視点だと、車中もしくは社外の見える範囲でしか語ることができない。のに、ユーモア的ミステリーが完成されているのは、伊坂お見事でござる。でも前半で見せた巧妙な語り口が、後半はやや物語の収斂のために冗長になるのは、少し物足りないかな。あと貨物車の話したこと、帽子の謎が今一つ腑に落ちないかな。
読了日:5月19日 著者:伊坂幸太郎
国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)感想
◎落としどころありきじゃない良書。英独仏なんかでは、地震は想定されていないし、台風は来ないし、豪雪地帯のことは考えなくていいし、氾濫するような日本型の川はないし、高速造るのに日本みたいに長大なトンネルや迂回は必要ないし、そんな国土とは違う日本は、この高度成長の中で、もっともっと手をかけないと、災害は減らせないよというお話をデータを基に諭すお話。著者はそこまで言及していないが「コンクリートから人へ」そんな甘言で、国土に手をかけない政策を打ち出したら、津波をコンクリートでは守れず「コンクリートで人を」なお話。
読了日:5月16日 著者:大石 久和
夜明けのパトロール (角川文庫)夜明けのパトロール (角川文庫)感想
◎◎さすが、ドン・ウィンズロウって感じの軽妙な面白さ。サーフ仲間っていっても、それぞれに職業があるわけで、それぞれの立場を上手く生かし切った、冒頭は軽妙洒脱、後半はノワールな暗き重き罪を暴く展開の物語。本書の味付けの一番はなんといっても、生真面目で「ですます調」で話す美女ペトラ。美人で生真面目ってだけでも面白いのだけど、粗暴な主人公に付かず離れずして、気丈に振る舞うのがどこか可愛い。主人公探偵とは、依頼してきた弁護士事務所の担当者って関係で、責任感ゆえに付いて回る健気さが、付かず離れずの理由なんだけどね。
読了日:5月12日 著者:ドン・ウィンズロウ
最後の証人最後の証人感想
▲「検事の本懐」を先に読み、そして本書を読んだためイマイチ。作家として一作分、稚拙な感じ。いや全体としては、それなりの構成だと思うのだが、日本語の過ちや(編集者が見過ごすのいけないが)、蓋然性のなさがその要因。登場人物たちが実際の場面で、果たしてそのような行動をするだろうか。また、裁判の終盤の展開も、裁判長はそういう判断をするだろうか。そして一番大事なのは、計画を立てた夫婦は、果たして7年前の事件との関連性を疑われることはないと考えうるだろうか?そういうことばかり気になる自分は天邪鬼だろうか(笑)わからん
読了日:5月5日 著者:柚月 裕子
ふるふる感想
▲この作家は、直木賞よりの作品と芥川賞よりの作品と、テイストが分かれる作品を描くのだが、本書は後者。何気ない風景を文章にしたためる的作風なのだが、こういう作品では、作者の素っ頓狂な持ち味が封印されてしまうわけで、結果、面白くはないのである。悪くないが、面白くはないのである。主人公女性、花しすのOL的今と、過去のお話との入れ子構造なのだが、特に入れ子にする必然性はなく、作者の描きたいものが時系列に並べられなかった結果なのかな。活き活きした会話部分も、リアルさより軽さが際立ってイマイチ。男性読者初読には不向き
読了日:5月4日 著者:西加奈子
ふくわらいふくわらい感想
◎◎いつか、直木賞を獲りますね。そんなことを思わせる作品。出だしは、どうなんだろう、面白くなるのかと感じたのも杞憂で、結局、この作者は変な人を描かせたらピカイチで、変な人が出てきた時点で物語は流れるように進んでいく。それも今回は変な人が一人だけじゃなく複数なので尚更なのである。編集者の主人公女性が、実直で変。プロレスラー作家も変。日本人外人の男も変。それぞれの変なところが微妙に重なっていき、全体はとっても優しい物語。難点はカバー絵。もう少し暖かい感じのカバーだったら、物語の温度がひと肌なのがわかるのだが。
読了日:5月3日 著者:西 加奈子

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by kotodomo | 2013-06-01 12:06 | 読書メーター