「本のことども」by聖月

kotodomo.exblog.jp
ブログトップ

<   2014年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧


2014年 08月 06日

2014年7月に読んだ本のことども

2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1877ページ
ナイス数:129ナイス

あのひとは蜘蛛を潰せないあのひとは蜘蛛を潰せない感想
◎◎この作者の紡ぐ物語は静かで巧い。恋愛小説で家族小説で、職場小説、それらが作者の哲学によって色づけされるのだが、その哲学が柔らかい。気を抜けばすぐに傷ついてしまうような登場人物たちを、壊れないように、どこまでも柔らかい哲学で包み込んでいく。物語の展開も、単純なようで、精緻。昔から馴染む兄嫁の雪ちゃん、バファリン依存の来店女性客、蜘蛛を触れない性格、蜘蛛を逃がす性格、潰せる性格、色んな些細なものを巻き込みながら、物語は優しさへ向かっていく。主人公がずっと苦手にしていた母親。結局のところ、優しいのだなあ。
読了日:7月27日 著者:彩瀬まる
東京自叙伝東京自叙伝感想
◎時代を超えた興味深い自叙伝が、色んな人物達から語られるが、その人物達が、基本東京に居るわけで、そういうことで、東京が自らを語ることになり、奇妙なことに、各々の人物達も同じ人物である。奥泉光という著者は、賢い脳みそが入ったような額をして、毎回、面白い小説が書けたと豪語する。面白いときもあれば、そうでないことも。ただし、ジャンルにこだわらず、ただ小説たらんとする。本書も小説。中々に面白い小説。侍小説、戦争小説、バブル小説、原発小説、そして著者の得意な鼠視点小説。そんなジャンルミックスができるのはこの作家だけ
読了日:7月26日 著者:奥泉光
ザ・万遊記 (集英社文庫)ザ・万遊記 (集英社文庫)感想
〇「とっぴんぱらりの風太郎」で、凄いと思い、その後「プリンセストヨトミ」を読み始めたが、途中で飽きて放り投げ、でもエッセイは面白いらしいと知り、2冊読んだら面白く、でも本作3冊目は、まあまあ。連載誌の縛りで、温泉やサッカー、渡辺篤史と建物なんて限られたテーマで書くわけで、そうなると題材が枠にはまってしまって、ユーモアも涸れてくるんだろうな。たまたま、W杯が終わったばかりだったので、この前までは知らなかった、今は知っているサッカー選手の名前もチラホラ。そういえば、アンリやカカ、もう昔の人になったのね。
読了日:7月24日 著者:万城目学
闇の中の男闇の中の男感想
◎訳者柴田元幸のあとがきが秀逸。これを読めば、物語全体が一層腑に落ちる。確かに、正しい選挙の結果、ゴア氏が勝利していたら9.11のない歴史の可能性はゼロではなかったかも知れないし、もし起こっていたとしても、アメリカは今自分たちは何を問われているのか、気付くべき機会になったのかもしれない。その機会はあったのだけど、猿ブッシュが結果と結論を単純にして、父親を真似て戦争に踏み切りたがったために、それを逸したのかも知れない。少なくともイラクのない世界というチョイスは存在した。そういう暗喩を含む社会性と家族の物語。
読了日:7月18日 著者:ポールオースター
巨大訴訟(下) (新潮文庫 ク 23-32)巨大訴訟(下) (新潮文庫 ク 23-32)感想
◎◎愉快なリーガル物語&ひよこ弁護士の成長譚。法廷ゲームには、そう多くの頁を割いていないが、その部分も面白く愉快で興味深い。堅物判事の存在の妙もあり、主人公弁護士が唯一大活躍する部分でもある。あとねえ、主人公のワイフがいいなあ。大事務所を辞めても怒らないし、主人公と一緒にか弱き人々の面倒を見るし、前向きだし。そして、本書を読んでの一番の収穫は・・・「法律事務所」は読んだが、以降ほとんど未読だった過去の著者の作品を、大いに読みたくなったのだよ。「法律事務所」は面白かったが一発屋だと思っていたら、大小説家。
読了日:7月13日 著者:J・グリシャム
枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記枕もとに靴―ああ無情の泥酔日記感想
◎◎脱力系、思弁エッセイ。こりゃいいわ。自分も無駄なことを考えるタイプだが、この作家の無駄な思弁には笑わずにはおれない。こうなりゃ、全著作読むしかないな。中年男が読んでこれだけ面白いのだから、女性読者が読んだら尚更ファンになっちゃうだろうなあ。ただし、5編だけ、創作小説があって、それは頭だけ読んで、エッセイじゃないことに気付いて読み飛ばしたけどね。求めているのは、グダグダなエッセイだからね。この著者と一緒に飲んでみたいとは思ったりするが、多分、散々話を聞かされて圧倒されて疲れるかもしれない。肩をバシとか。
読了日:7月6日 著者:北大路公子

読書メーター

[PR]

by kotodomo | 2014-08-06 13:44 | 読書メーター