「本のことども」by聖月

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2014年 11月 26日

2014年10月に読んだ本のことども

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1728ページ
ナイス数:77ナイス

スタープレイヤー (単行本)スタープレイヤー (単行本)感想
◎◎この本を作者名を知らされずに読んだら、自分は「嶽本野ばら」と答えるかもしれない。ロリータ抜きの野ばら。決して、恒川恒太郎とは答えない。考えてみれば、いつもと同じように、ここではない何処か、ここと隣り合わせの世界を描いているのは、この作者の得意とするところだが、語り口がユーモアたっぷり、笑わせてくれるのである。地球と似たどこかに飛ばされて、10の願いが叶うようになった女性主人公。最初のうちは、チンケな願いばかりだったのが、地図が広がり交流が広がり願いは崇高なものへ。ロジックもしっかり、キャラ立ちまくり。
読了日:10月18日 著者:恒川光太郎
君を憶えてる君を憶えてる感想
▲ふむ、いい中年になってからチョイスする本ではなかったかな。この物語で触れられている「リプレイ」も「夏への扉」も既読で傑作で、では本書とどこが大いに違うかというと、わかりやすく言えば、余韻であり、作者の込めた哲学である。タイムループもの。その設定自体がリアルではない中で、いかにリアルに蓋然性を持って物語を進めていくかという作者の熟考なのである。前向きに評価するなら、この作者も、オールタイム傑作の二作をしっかり消化した上で本書に挑み、オリジナルなループは完成させたということか。キャラでは千鶴叔母が、いい味。
読了日:10月12日 著者:牧村一人
低地 (Shinchosha CREST BOOKS)低地 (Shinchosha CREST BOOKS)感想
〇紙面で「傑作である」という書き出しの書評に出会い本書を手にとったのだが、傑作ではなかった。ラヒリは好きな作家で「その名にちなんで」は自分にとっての傑作ではあったが、本書は「さすがにラヒリ」とは思っても、それ以上のものではなかったのである。途中のエピソードが、100頁以上あとで収斂をみせたり、果たして物語全体をどこから見下ろして書き進めているのか、そんな手腕はノーベル文学賞もの。ただ、なんだか指し示すような展開がないところが物足らない。殺された弟には、お腹に子を持つ妻が。その女性と結婚してのちの人生の話。
読了日:10月12日 著者:ジュンパラヒリ
愛なんて嘘愛なんて嘘感想
◎短編集。相変わらず巧い。作品には「愛なんて嘘」という題名はなく、全作品に通底する、愛の底に潜んでいる本当を描きだした作品集。この作家の作品には、黒いものと白いものとあるが、題名に反して、実際のドロドロ感に反して、本質的には白だろう。特に最初の作品なんて、形而上的な生き方を描きながら「颯爽」とした終わり方が余韻を持たせる。結局は「恋愛」ではなく、「結婚」を重点に、各々の心の裡を詳らかに描き出しているのだな。久々の短編集。やはりこの作家は巧いし、成長し続けている。直木賞受賞後、裏切らない作家のひとりである。
読了日:10月1日 著者:白石一文
虚ろな十字架虚ろな十字架感想
〇まあまあ。白夜行のような、シリアスでミステリーでない物語を期待して読み始めたのだが、完全なミステリーで、そのための物語は風呂敷を畳むための構造になっているのが残念。死刑制度の問題も、どこか中途半端な提議をしたまままのだが、普段考えることのない読者には、新鮮に映った面もあるのかも知れない。娘を殺された夫婦。圧倒的な事件のようだが、読む進めるうちに、なんだか風化してしまって、結局、娘を殺され、元妻も殺されることになった男の感情というものが、探偵の目でしかなくなって、深みが損なわれているのが残念。大衆小説。
読了日:10月1日 著者:東野圭吾

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by kotodomo | 2014-11-26 13:22 | 読書メーター