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2009年 12月 30日

〇「独居45」 吉村萬壱 文藝春秋 1700円 2009/9

b0037682_8175345.jpg 行間に色んな要素が詰め込まれた文芸作品。

 結局、屋敷の中で、何が行われていたのか等、沿革の描写しかないのだけど、読者は色んなことを想像してしまうわけで、単純にエログロのみをとって、好悪を判断する作品にはあらず。

 ジャンルを問わず、こういうパワーのある本は評価に値するのことども。(20091126)

※(書評No932)

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by kotodomo | 2009-12-30 08:18 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 12月 30日

〇「初恋ソムリエ」 初野晴 角川書店 1680円 2009/9

b0037682_756914.jpg 説明不足の序盤を作り、終盤にかけて説明を風呂敷で包みこんでいくような手法の青春小説でございます。そういう意味で、読みやすい文体ながら、序盤は理解しにくいところから入るのが難点。まあ、全体的には及第点でしょう。(20091118)

※ちなみに『退出ゲーム』の続編です。(書評No930)

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by kotodomo | 2009-12-30 07:56 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 18日

〇「線」 古処誠二 角川書店 1680円 2009/8

b0037682_9494056.jpg 多分、この作家、大戦末期シリーズ(『ルール』以降の作品を、評者は勝手にそう読んでいるのだが)を書き続けるために、色んなところで取材を重ねていると思うのだが、本書は、そういう中で拾い集めてきたネタを、ひとつの長編にまとめずに、短編に収めていった統一テーマ連作短編集ということができる。

 テーマとしては、敗色濃厚の終戦末期、パプアニューギニアを舞台にした疲弊兵たちを場面として切り取った物語ということができる。長編のように、一人一人の登場人物たちの心情に深く立ち入ることをせず、敗残兵+戦場を、ひとつの風景として切り取った物語たちなのである。

 ということは・・・ある意味、味気ない。ということは・・・ある意味、文藝色が強い。つまるところ、感じ入る人には沁み入るし、物語読みには淡白に映るような作品群なのである。

 評者的には、全体、まあまあといったところか。深く心に残った作品もなければ、駄作だと感じる作品もなかったわけで、ただ古処作品群の中では、少し表面的過ぎる感は否めないなあというところである。(20091105)

※文学、文芸として読むべき作品集。(書評No927)

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by kotodomo | 2009-11-18 09:50 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 11日

〇「デウスの棄て児」 嶽本野ばら 小学館文庫 500円 2003/7

b0037682_9144418.jpg 評者が嶽本野ばら本で初めて読む時代物。今は単に、嶽本野ばらをもっと読もう、もう少し読んでみようと思って読み重ねている最中で、期せずして時代物を読むはめになってしまったのである。

 場所は島原(天草)、基督教が禁教として迫害されている時代。で、主人公の名前が四朗なわけで、何の話かは推して知るべし。

 ふ~む、歴史上の事実も嶽本野ばらが描くとこうなるのですね。なんていう物語の紡ぎ部分は読めばわかりますよなのだが、本書には結構な知識も含まれているのも事実。当時の基督教の迫害の状況、ポルトガルの時代考証、悪魔崇拝のイロハ、そういうものへの知識の希求があって初めて本書は成り立つわけで、そういう意味で、嶽本野ばらは調べるべきものは調べて書く(もしくは元々知識の深い)作家なのでした。ということが、認識できた評者なのである。

 嶽本野ばらを読み重ねてきてわかったのだが、この方、ファッションだけでなく、基督教とか悪魔崇拝も結構モチーフに使っているんですねえ。先日読んだ『ツインズ』もそうだったし。

 そういう底辺は一緒でも、本書は野ばら作品の中でも、時代物という一風変わった存在ですね。(20091101)

※次は『幻想小品集』でござる。(書評No925)

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by kotodomo | 2009-11-11 09:14 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 05日

〇「さよなら、愛しい人」 レイモンド・チャンドラー 早川書房 1785円 2009/4

b0037682_8411575.jpg 勿論、村上春樹新訳ということで手に取ったわけで、清水俊二訳『さらば愛しき女よ』を未読の評者としては、その新訳の妙味を語ることは叶わないが(いや、読めば叶うのはわかっているんだけど、新訳と旧約とふたつも読む気力は聖書といえどもない私です)、本書より後に描かれたマーロウ物『長いお別れ』清水俊二訳は読んでいるので、そこのところでの違いを感じて語ることはできる。

 『長いお別れ』のほうのマーロウは、中年の悲哀みたいなものを身に纏い、多くを語らず、信念をあまり表面に出さずに行動していたが、本書のマーロウはまだ青臭い感じがする。自分の利得を考えずに行動する根幹の部分は変わらないのだが、事件自体を自分の脇の甘さで複雑にしてしまったり、思いつき的行動が多かったり、女性に対する距離感がぶれたりと、ハードボイルドながら、まだ自分のハードボイルドスタイルを作り上げていない感じがするのである。

 結局あれですね。マーロウが、冒頭、あの店の中に入らなかったら、何も問題は起きなかったかもしれないわけで、そういう意味では真の犯人は罪作りな主人公なのかもしれないのことども。(20091020)

※村上春樹が、この作品に惚れ込んだから訳したわけで、評者からすると本書のどこがそこまで素晴らしいの?と思ったりもするのだが、訳したい本を訳せる村上春樹は素晴らしいし、長編を執筆しながら気分転換的にこういう作業ができるライフスタイルも素晴らしい。(書評No921)

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by kotodomo | 2009-11-05 08:41 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 03日

〇「リボルバー」 佐藤正午 光文社文庫 560円 1985/11

b0037682_6514189.jpg 4作目くらいまでは(調べてみたら、本書は3作目・・・記憶が遠くなったなあ、20年以上も前の話だもんなあ)、佐藤正午の本が出るたびに読んでいた20代前半の評者だったのだが、その後、読書とは縁遠くなった時期もあり、最近ではまた佐藤正午読みとして復活してきた評者は、読んでいなかった時期の佐藤正午本を今になって読む、という行為を大事にしている。というか大切にしているので、暇を見つけて一気に完全制覇するのが勿体なく、読書生活に清涼感が足らないような時期に、埋めるようにして読んでいるのである。今回も、そんな感じで手に取った評者なのである。

 初期、最近も含め、雰囲気で読ませる佐藤正午。しかし、この本書『リボルバー』で描かれる物語は、作者自身が展開の妙のテクニックを試したかったような、そんな技巧を楽しむ物語である。時期は前後するけれど、
佐藤正午版「ドミノ」恩田りく、それもミニ版ってとこでしょうか。

 ひとつのリボルバーを中心に、高校生の男女、元警官、遊び人のコンビ、そんな登場人物たちが、長崎から北海道へ向かっていく仕掛けを楽しむ物語なのである。

 評者としては、いつもの静謐な佐藤正午の文章が溢れていたならば、もっと楽しめていたと思うのだが。少し退屈。(20091006)

※もう、24年も前の作品なのだなあ。(書評No919)

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by kotodomo | 2009-11-03 06:52 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
2009年 11月 02日

〇「鳳凰の黙示録」 荒山徹 集英社 1575円 2009/7

b0037682_1423363.jpg 久々の荒山節妖術炸裂!!!・・・と言いたいところなのだけど、どうもその妖術の出し方がワンパターンなのが、読んでいて途中から退屈しちゃうのだなあ。

 物語の舞台は、その大半が朝鮮半島。そこに妖術使いたちが、これでもかと出てくるのはいいが、チームを組んでおり“ここは私の出番”てな感じで、一人ずつ技を繰り出しては効果を出し、そして最後にはその甲斐なく敗れ死んでいくわけで、まあ、なんというか、忘年会で“では、私が(^O^)/”なんて出てきては合格点取れず引き下がり、はい次の人、はい次の人・・・そんな感じの余興大会が続くと、だんだん退屈になってくるのである。

 全体は、勿論いつもの荒山徹である。朝鮮半島と、朝鮮との関係を模索する争乱期の日本を舞台に、歴史の虚実を織り交ぜての大きな物語なのである。でも、評者的には、この作家、初期の朝鮮三部作を超えられないでいるのだなあ。(20091001)

※最新作『徳川家康(トクチョンカガン)』が出ているが、そういうわけで評判を見定めてから読もうと思っている聖月様なのである。(書評No918)

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by kotodomo | 2009-11-02 14:02 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 12日

〇「ハピネス」 嶽本野ばら 小学館 1365円 2006/8

b0037682_1175663.jpg 彼女とのデートで、いきなり“私、あと1週間で死んじゃうし・・・”と朗らかに言われるところから、この物語は始まるのです。

 彼女も僕も高校生で、でも僕の両親は海外に居て、彼女の両親は娘の最後の1週間を思うままに過ごさせたいわけで、そういう二人の1週間の物語なのです。

 今まで躊躇っていたロリータデビューをし、好きなカレーを食べて、二人でお泊りして・・・。
と、珍しく、粗筋をわりと丁寧に書いてみた評者なのだが、そうでもしないと間が持たないというか、結局、この物語は最後の1週間の過ごし方の物語でしかないわけで、大枠を語って、こういう本ですとしかいいようがないのである。

 ただし、感想を言わせてもらえば、他の嶽本野ばら作品と比べて、少し冗長。言葉を選び、文章を練りこみ、静謐な物語に仕上がってはいるのだが、1週間物語だけで傑作を描くのは中々困難な話のわけで、読みながら、少し退屈な感じがするのである。

 あっ!これだけは、読みながら思った!高校生は、もう少し勉学に励む姿勢が大事です。若い時に、こんな大喪失感恋愛物語を体験したら、その後の人生はおまけになってしまいますよ。(20090929)

※次の野ばら作品は、多分『カフェー小品集』(書評No917)

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by kotodomo | 2009-10-12 11:08 | 書評 | Trackback | Comments(2)
2009年 09月 17日

〇「当マイクロフォン」 三田完 角川書店 1785円 2008/6

b0037682_11455282.jpg 一人のアナウンサーを通して描いた昭和史とも言える。読みながら、もしくは読後、名アナウンサー中西龍の生声を聴きたくなったのことども。欠点は、中西のエピソードを拾いすぎて、散りばめ過ぎて、少し的が散ってしまったところかな。(20090913)

※我が都市、鹿児島にも赴任していたんですなあ。(書評No910)

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by kotodomo | 2009-09-17 11:46 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 09月 16日

〇「下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件」 嶽本野ばら 小学館 1470円 2005/7

b0037682_11295732.jpg 前作ほどの目新しさはないけど、イチゴ(ヤンキーちゃん)の単純さは快調。殺人事件は起こるんだけど、まあお飾り程度のミステリー部分。気軽な物語としてはお薦め。(20090908)

※上手な作家ではある。(書評No909)

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by kotodomo | 2009-09-16 11:30 | 書評 | Trackback | Comments(0)