「本のことども」by聖月

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2010年 01月 20日

◎◎「ソウル・コレクター」 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 2500円 2009/10

b0037682_1255886.jpg taspoという成人識別カードが出来たとき、ただ煙草を買うという目的のために、何故に人々は顔写真つきのカードの発行を、ただ単に制度だからという理由で申し込むのかと思った評者なのである。どこで、いつ、誰が、煙草を買ったという情報は、いかにも監視されている状態で、いつどこで煙草を買おうが放っておいてくれ、ってな感想を持ったものである。

 なんて評者も、本書『ソウル・コレクター』を読んで、自分の脇の甘さに思い至ったのである。スーパーサラリーマンたる評者は、全国を飛び回るってほどではなくても、出張の回数が、まあパンリーよりは多いわけで、パンリーとはなんど?今、瞬間的に思いついた造語で一般サラリーマンの略なのだが、そういうビジネススタイルだと、カードを使う回数も多いのである。鹿児島から東京までの飛行機チケットをカードで購入し、マイルが貯まるよ♪という誘い文句にANAカードを空港でかざし、新幹線に乗るためにカードを使い、メゾンでスタイリッシュな服を購入する際にカードを使い、要するに警察とかどこかの機関が評者の財布を手に入れ、その財布の中のカード会社に問合せすれば、いつどこでどういう行動を取ったかが、手に取るようにわかる仕組みになっているのである。まあ、評者の場合、悪いことはしていないので、逆にそれが無実の証明になるかもしれんが、じゃあ別に構わないじゃんということにはならないのである。

 悪意のある誰かが、カード会社の仕組みを自由に操れるとしたら、評者を乗っ取ることが出来るのである。カード作成の際に生年月日、引落口座等の基本情報は勿論だが、どういうもの好んで購入し、どういう趣味にお金を使い、どういう行動パターンを取っているかがわかれば、なりすましも可能なのである。

 先日、色んなところでポイントが貯まるという誘惑に負け、Tポイントカードなるものを作ったが、もう使わん、使わないことにしよう。根底には、本好きな評者がBOOK-OFFで使うつもりで作ったものなのだが、ファミマでいつ何を買ったか、TSUTAYAをどのように利用したか監視され、もしくは悪用される可能性はゼロではなく・・・。

 そう、これからは支払いは現金。ポイントやマイルは無視。そういうことにしよう(本当はしない、ははは。マイルはお得だし、ははは)。そうすれば、コンピューターの中に、評者の行動情報が記録されることはない。そうだ、ネット接続もいけない。ネットなんかやめよう。そうそう、携帯も駄目だ!位置情報もわかるし・・・。

 ということで、本書でリンカーン・ライムと一緒になって、悪と立ち向かった評者は、透明人間になることを決めたのであった。嘘だけど。(20100109)

※これだけのハリウッド映画的傑作を紡いでいくこのディーヴァーという作家は、もしスタッフを抱えずにここまで描きあげているのならば、天才的なエンターテイナーだと思うのことども。(書評No935)

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by kotodomo | 2010-01-20 12:55 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 19日

◎◎「悪党が見た星」 二郎遊真 講談社 1575円 2009/2

b0037682_8424383.jpg 今年読んだ小説の中で、一番リーダビリィティが高かったのではないかな。デビュー作のメフィスト賞を受賞した『マネーロード』は未読の評者。どんな作風かも知らずに読み始めたのだが、テンポの良さにまずは満足。そして、終盤の二転三転、散りばめられたピースの収斂に、少し安易さは感じながらも、その丁寧な姿勢に満足感を覚え、久々の◎◎評価の読書であったのことよ。

 まずは主人公。服役中に、脳神経にある細工をされた極道である。その主人公が、ある誘拐事件に絡み、その身代金6000万を横取りしようと画策するのが、物語の大筋。また、その誘拐事件(結局は狂言なのだが)を起こした劇団の真意が、本気だったのか、単なる頼まれ実験だったのか、そんなところがサイドの物語。結局、全体像のはっきりしない狂言誘拐事件の合間に、身代金がすり替えられるわけで・・・。

 とにかく何よりテンポのいい物語。最初のうちは、底の浅いライトノベルな感じも否めないが、途中からは先への展開への興味が勝る、チャッチャッチャッとした舞城デビュー作『煙か土か食い物』を彷彿させる機関銃連射が小気味いい物語なのである。

 今年さほど国産ミステリーを読んでいない評者なのだが、レベル的にこのミスランクイン問題なしの作品評価である。デビュー作を読むかどうかはわからないが、この作家の今後の作品は、2、3作は読み続けるだろうなのことども。(20091109)

※久々にメフィスト賞作家の本を読んだらグッドだったのことども。(書評No928)

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by kotodomo | 2009-11-19 08:43 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 09月 25日

◎◎「エミリー」 嶽本野ばら 集英社文庫 440円 2002/4

b0037682_16175795.jpg 三島賞候補にもなった表題作「エミリー」。悪くはないのだが、この作品で三島賞を受賞して、もう少し多くの一般的読者に読まれていたなら、どうだったんだろう?いじめ、ホモセクシャル、弱者同士の連帯、そういうものがあまりにも痛々しく描かれているので、あまり一般受けしなかったのじゃないだろうか。そういう意味では、再度候補に挙がった「ロリヰタ」あたりだったら、新機軸の作風として、是非受賞して、多くの人に読まれてもよかったんだろけど、こちらも結局は受賞まではいたらなかったわけで、まあ下妻物語あたりが本も映画もヒットしたからいいのではないでしょうか、賞なんかもらわなくても、などと勝手に思っている、娘の「ピチレモン」という少女ファッション雑誌を眺めるようになった最近の評者なのである。

 「エミリー」は、まあ読んでみんなまし。痛々しい映像が想起されるので、これだけ読んだら、嶽本野ばらを敬遠したくなる読者は多いかもしれない。が、色んなところに作者の巧さが出ているわけで、舞城王太郎の『阿修羅ガール』が三島賞を受賞したことを考えれば、独特の技巧の光るこの作品での受賞もアリかなである。

 本書には「レディメイド」短編、「コルセット」中編、そして表題作「エミリー」中編の順に3編の作品が収めれているのだが、「レディメイド」には感服、「コルセット」には非常に嶽本野ばららしさが出ていて大満足。3編併せた全体としては、読むべし、読むべしのお薦め野ばら本である。

 とにかく短編としての「レディメイド」の完成度が素晴らしい。落ちのあるショートショートとか、雰囲気短編などとは一線を画し、手垢のついていない構成で読ませ、評者的にはこんな短編だったら、何作でも読みたいと思わせる作風なのである。女性主人公と、同じ職場の恋愛対象となるべき男性の会話を中心とした短編ながら、その中身は濃い。美術論、絵画論、観賞論とおよそ評者には日頃まったく関心のない事柄をモチーフに纏っているのに、これが実に読ませるわけで、理解してもいないのに、う~む、この作者のセンスには舌を巻く、みたいな読後感なのである。まあいいから、騙されたと思って読んでみてください。

 そして「コルセット」は、これいつもの野ばら流野ばら節。キミと僕が出逢って冒険し、ファッション流儀の設定が微妙に心地よい作品なのである。僕は少し精神が参ってしまって、精神科の病院に通うのだが、ついでに言えば近々自殺する予定だし、どうせなら死ぬ前に気になる受付の女性とデートでもしちゃえ、誘っちゃえ!そんなところから、この恋の冒険の物語は始まるのである。そして、この人の作品の中でよくある風景で、評者の好きな場面であるところの、女性に似合うファッションの一品を見立てて買ってあげるところあたりがよろしいのである。

 などと書きながら、実に最近は嶽本野ばらに嵌っている評者などは、「ピチレモン」を眺めていたら、娘に“パパってそんなの読んだら変態だよ!”と言われながら、なるほど女学生に人気のデッキシューズローファーはHIROTAかあなんて、知識を付けつつあるのことども。(20090923)

※次は『ハピネス』あたりを読もうかしら。(書評No916)

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by kotodomo | 2009-09-25 16:18 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 09月 23日

◎◎「船に乗れ!Ⅱ 独奏」 藤谷治 ジャイブ 1680円 2009/7

b0037682_6141359.jpg 評者はこのシリーズを藤谷治版『DIVE!!』(森絵都)だ!と、前作を読んだとき言いきったわけで、そう考えるとシリーズが何作まで続くのかが気になるところである。

 『DIVE!!』と同じく4作くらいが妥当だと思うし、ただ前作で高校1年での生活を、本作で高校2年での葛藤を描いたことからすると、3年を描いてシリーズが3作で終わることも考えられるし、現在の主人公が昔の自分を語るスタイル(此岸から彼岸を眺めるような視点)から推測するに、大学編とか社会人編とかフリーター編とか耳偏とか獣偏とか20作くらい続くのかもしれない(とは思わない(-。-)y-゜゜゜)。評者の気持ちとしては、5作くらいは続いてほしい楽しみなシリーズである。

 ところで、シリーズの第一作(前作)の副題が、“合奏と協奏”。音楽科の高校で主人公たちが集い、音楽を通じて高め合い成長していく、そんな意味での副題かと思う。シリーズ2作目の今回の副題は“独奏”。中々言いえて妙な副題といえよう。前半は、前作と同様のテイストで進行していくのだが、後半は一転、主人公の孤独な葛藤を中心に描かれるわけで、そういう意味で独奏なのである。特に本書の終盤あたりは、前作で考えられなかったようなノワール感が広がるので、今後の話がどういう展開になっていくのかが楽しみである。

 『DIVE!!』のシリーズを考えたときに、シリーズ各編で明と暗、挫折と栄光、そんな色合いに分けることが出来るだろう。本シリーズの場合にも、そういう暗転と陽転のタペストリーが考えられるし、暗転、暗黒、破滅への道が続くのかもしれない。というのも、どうも昔を語る現在の主人公の語り口が、苦い過去を振り返るような、そんな印象なのである。評者としては、楽しい学園ライフを、もっともっと描いてほしいのだが。

 前作を読んだとき、“これって青春小説の傑作!音楽小説の傑作!良書読みの押さえ本!である”と評した評者なのだが、もしかすると青春小説だとか、音楽小説だとか、そんな範囲に収まらないシリーズが展開されるのかもしれない。(20090919)

※未だに題名の“船に乗れ”の意味がわからないので、それがわかったあたりで、物語は収束するのかもしれない。(書評No914)

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by kotodomo | 2009-09-23 06:15 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 09月 18日

◎◎「ロリヰタ」 嶽本野ばら 新潮文庫 420円 2004/1

b0037682_1130415.jpg 嶽本野ばら作品については、なんとなく自分に合いそうにないかな?なんて勝手に思い込んでいた節があり(節がありなんて自分で言うのもなんだけど(笑))、それでも最近になって、やっぱ『下妻物語』が気になっていたことなんかを思い出して、それでもって読んだら面白かったわけで、下妻続編もそれなりに面白かったわけで、なんで面白いと感じるのかというと、設定も面白いんだけど、やっぱ繰り出す文章が上手いわけで、ロリータカリスマ作家なんて呼ばれるけど、文章とってもお上手じゃん、などということが、最近になっての嶽本野ばらに対する、所謂、いい印象だったことどもの評者なのである。

 で、下妻巻末の著者の略歴を眺めていたら、『エミリー』や本書『ロリヰタ』が三島賞候補になったといことで、つうことは下妻テイストとはまた違った風味の作品なんだろうと想像し、味わうべく図書館の本棚から“このオヤジ、ロリータ趣味かよ!”なんて隣の女子高生から偏見を持たれることも厭わずに借りてきた本書『ロリヰタ』なのである。

 いやはや、脱帽。まったくもって、唸るほど巧い。文学である。村上春樹、町田康(この二人は実は本書の文中にも出てくるので、嶽本野ばら自身、良き読者なのであろう)、阿部和重、綿矢りさ姫なんかと初めて出逢ったときの印象を思い出す。さりげなく、なにげなく、そして深い静謐な筆致なのである。

 内容は、自己投射的なロリータに造詣の深い主人公の周辺を描いた物語。正統ロリータ論から始まり、モデルの娘との出会いがあり、そして苦悩の世界が冒険的に広がりを見せ始める。筆の巧さは、こりゃ作家になるべくして生まれてきたものの持つ才能ですわ。決してロリータなんたら作家なんかじゃなく、作家の中の作家なのですわ。嶽本野ばら未読の方は、是非本書を読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!の名作なのである。

 あと本書には「ハネ」という小品も一緒に収められているのだけど、こちらもノスタルジックな巧さが冴えわたってグッド。一緒に通う高校の彼氏を交通事故で失った少女の物語という、いかにもの設定ながら、嶽本野ばらが描くと、ふ~ん、こういう風になるのねえ、と腕組みしながら唸るばかりなのである。

 こうなったら、嶽本野ばら作品は全部読むと決めた評者は、いずれはファッションも正統派ロリータで決めるかもしれない。(20090915)

※次は、『ミシン』か『エミリー』の予定。(書評No911)

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by kotodomo | 2009-09-18 11:30 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
2009年 09月 11日

◎◎「螻蛄」 黒川博行 新潮社 1995円 2009/7

b0037682_10135285.jpg いやあ、二宮(建設コンサルタント:一応主人公)と桑原(イケイケ経済ヤクザ)のコンビのこのシリーズ、相変わらずの面白さ。それと、毎回パターン化してきているのが、この二人が北朝鮮や沖縄を舞台になんて、都度場所を変えてのお話なのだが、今回は・・・東京(二人は大阪在住)。で、可笑しいことに、あのイケイケの桑原が、これまで東京に行ったことがない!というわけで、誰でも知っている東京で、二人の未知の冒険が繰り広げられた・・・かなあ?(笑)。なんか、場所はどこでもよかったような気がするなあ(笑)。・・・まあ、大阪や、京都や東京でドタバタするお話なのです。

 しかし、毎回思うのだが、桑原ともあろう場馴れしたヤクザのお方が、なんで二宮のようなヘタレ男とつるもうとするのかがわからない。もっと、役に立つユースフルなヤツが居そうな気もするのだが・・・まあ、二宮がヘタレだから、このシリーズ面白いんだけどさ。

 今回は、お寺さん、坊主、宗教紛争、お寺さんのお宝さん、そんなのを題材にしながら物語が進んでいくのだが、いつもに比べて謎が少しだけディフィカルトなので、そこが少し難点かな。(20090831)

※『疫病神』『国境』『暗礁』そして本書『螻蛄』へと続くこのシリーズ、読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!(書評No907)

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by kotodomo | 2009-09-11 10:14 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
2009年 08月 20日

◎「任天堂 “驚き”を生む方程式」 井上理 日本経済新聞出版局 1785円 2009/5

b0037682_10191376.jpg かねがね任天堂って凄いなと思っていた評者なのである。京都の花札屋だったものが、今や世界のゲームメーカーである。凄い転身・・・と思っていたら、本書を読むと、いきなりの転身でないことがわかる。

 花札屋と書いたが、トランプも作っていたわけで、日本で初めてのプラスティックトランプを作り大ヒットさせたのも任天堂である。覚えてます。覚えてます。これまでのトランプは、すぐよれよれになったり、中にはクセがついて何のカードかすぐわかるようになってしまったりで、そんな中で初めて手にしたプラスティックトランプは画期的でしたなあ。

 レーザー光線銃を大ヒットさせたのも任天堂・・・覚えてます。覚えてます。近所の友達が持っていて羨ましかったもの。勿論、遊ばせてももらいましたが。

 遠くのものが取れるウルトラハンドも任天堂。名前は忘れたけど、家の中でピンポン型バッティングセンター装置、あれも任天堂だったのですね。懐かしいなあ。

 ということで、ずっと子供を見てきた任天堂の凄さを書いた本書。最近では奥様をターゲットにしてるって、ホントに驚き。確かに我が家にもWii Fitがあるけれど、他のゲームと違って、嫁さんも楽しんでいるものなあ。(20090805)


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※勉強になりました。我が社も大変身せんやろか。(書評No903)
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by kotodomo | 2009-08-20 10:19 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 08月 19日

◎◎「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」上下 白石一文 講談社 上下各1680円 2009/1

b0037682_11442596.jpgb0037682_11443855.jpg 白石一文フリークの評者としては、早く読まねばならん!などと思っていたら、第22回山本周五郎賞を受賞、評価が固まったのかと思って色んなところを覗いてみると、やはり好悪が分かれているようで、白石一文の哲学をどう楽しめるかで読書人の評価が違うようである。評者は好き♪

 また、本書の場合、各所に知的雑学が散りばめられており、そこのところも評者の好み。粗筋は、あるようでないような・・・出版社に勤める主人公の人生力学、ライフバランスを描いた作品である。普通でいえば、危うい主人公の生き方。それを通してのフィロソフィーが、多分読者を選ぶのかもしれない。

 著者自身、文藝春秋に身を置き、パニック障害で退社した過去があるので、ある意味、自己投影色の強い作品なのかもしれない。(20090726)

※構成の妙に唸るものがありまっせ。(書評No901)


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by kotodomo | 2009-08-19 11:44 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 08月 19日

◎◎「灰色の嵐」 ロバート・B・パーカー 早川書房 1995円 2009/6

b0037682_10152454.jpg スペンサーとスーザンが出席することとなった、とある島での結婚式。そこが灰色の男(グレイマン:シリーズで過去2回登場したらしいが、評者はその作品は未読)率いる戦闘服軍団に乗っ取られ、おまけに都合のいいことに嵐も吹きすさび、文字通り絶海の孤島でのダイハードが始まる緊張の前半。

 花嫁がさらわれ、その背景をスペンサーが探りだす、中だるみの中盤。

 そして『初秋』のような何か温かな光が感じられる終わり方・・・。

 結局、最初と最後が読ませるならば、いい本だったなあと感じさせるお手本のような物語。今年のこのミスでランクインもありかと・・・でも、パーカーだからなあ。このミスの世界では、あまりファンがいなさそうだし・・・。(20090711)

※前作『昔日』よりはワンランク上。(書評No899)


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by kotodomo | 2009-08-19 10:17 | 書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 08月 19日

◎◎「赤めだか」 立川談春 扶桑社 1400円 2008/4

b0037682_9474135.jpg 噂に違わない面白本の一気読み体験(^.^)立川流に入門した談春のこれまでを自ら綴っただけの話なのだが、さすが立川流、毎日が面白おかしく厳しくて、楽しいながらに真剣さひたむきさが伝わってくるのことども。

 立川談四楼の本を何冊か読んできた評者なので、立川流の内幕は知っていたのだが、筆を談春が握って描けば、そこはまた別の一面が浮かんでくる。

 とにかく読んでくれとしかいいようがない・・・そういう一気読み本なのである。(20090704)

※立川流、弁も立つが筆も立つねえ。巧いねえ。(書評No898)


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by kotodomo | 2009-08-19 09:48 | 書評 | Trackback | Comments(0)