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2008年 12月 08日
2008年の今年、初めて買った新刊本である。どうも、最近は図書館に頼る傾向にある評者で、予約した本が中々ゲットできなくて待たされたり、2冊しか借りたい本がないのに5冊まで枠があるので、そこまで興味のない本を3冊借りてきて、読まずに返すのが勿体無くて、積読本があるのに借りてきたほうを優先して読んでしまったり、どうも計画性がなく、老い先短いことを考えると(現在46歳ながら死亡広告が気になるお年頃のことども)改善せないかんなあと思う今日この頃である。これからは、触覚を働かせ、間違いなく面白い本は購入し、ちょっと冒険みたいな場合とか、過去に出版された評価の高い未読本は図書館で借りる、そういう風に生活を改めていこうと私は思うのです。ご清聴ありがとうございました。 嫁さんが、“今度の土日、下の娘を連れて、東京に行って欲しいんだけど”と言ったのが今年の10月末。“なんど?”と評者。“オーディションがあるのよ”と嫁さん。 実は、5年生の娘、サンミュージックアカデミーなるタレント学校の研修生である。これまで、鹿児島の地方版のCMには3本くらい出演したことがあったのだが、関東のほうのオーディションは声がかかっても、飛行機代が高くて(オーディションがありますという案内は4日くらい前にならないと来ないので、安いチケットは取れないし、結局、親も同伴しなきゃいけないので、宿泊費込み格安チケットで10万はかかるのだなあ)みたいな理由で断り続けていたのである。 なのになんで今回は?と嫁さんに問うと、“思い出作りよ♪”とのことである。“あのとき、○○ちゃんや△△くんは東京のオーディションに行かせてもらったのに、私だけ行かせてもらえなかったぁ(ToT)”なんて、30歳になっても46歳になっても62歳になってもくよくよ思い返すくらいなら、一度くらいは行かせてあげたいという親心なのである。 で、なんで俺が?なのである。娘と二人きりで5時間以上過ごしたことがない俺がなんで?なのである。嫁さんが答える。“11月1日、土曜日なんだけど、オーディションが神楽坂であるの。翌日は、原宿と渋谷に行きたいんだって。でも、私、神楽坂も原宿も渋谷もどこにあるかわからないの♪”ということで、連休じゃん!宿泊今から取れるんかいな?とネット【検索】したら、なぜか銀座で一部屋ツインが空いていて、それも1万3000円と割安で、ということで娘と二人で1泊2日東京の旅の始まり始まり~なのである。 空港で、まず困る。オーディションで、娘は自己アピールのためにバトンを使用するのだが、そのバトンが機内持込可能かどうかパパ評者にはわからない。下手にミステリーばかり読んでいるので、バトンも凶器になり得る(評者の友人はハサミ持込禁止ということで鼻毛鋏を取り上げられた!誰が鼻毛鋏でハイジャックができるというのか!)とも考えるわけで、まあ手っ取り早く係の職員に尋ねてみた。“これは、立派な凶器です!!!”とは言わずに、メジャーを取り出し“ああ、60センチ超えているんで預けてください”・・・なんだそんなことか。そいでもって、羽田空港、父娘でバトン一本が回る寿司のように流れてくるのをじっと待っていた構図は、なんとも微笑ましく周りに映ったことか。 羽田から神楽坂のオーディションまで、2時間ほど時間の余裕があり、どうしようかと考えることもなく、出掛けに嫁さんに言われた通りにする評者。“この子は、本屋に連れて行きさえすれば、時間潰せるから♪”ほなら、ということで、乗換駅の東京駅の丸善へゴー。困った、困った、困ったちゃん。鹿児島の本屋の多くは、コミックをビニール封していないのに、ここはどの本もビニ本状態。結局、コミックを一冊買ってあげたのだ。なんか、少女コミックなのに『桜欄高校ホスト部』なんて名前で、こんなの5年生に買っていいの?そのときに、ついでに久々買った新刊が本書『モダンタイムス』なのである。 が、話は続く。オーディションも終わり、銀座の宿泊先へ。1万3000円のツインは、なんとも素敵な部屋。カーテンは自動、有線つき、テレビはCATVで未成年が見ちゃいけないチャンネルも無料・・・なんかホテル違いのようなサービスだが、ビジネスホテルタイプである。そんでもって、夜のイルミネーション銀ブラして、寿司屋へ。“パパ、回る寿司でいいよ♪”“いやいや、パパはネットで調べたんだ。この辺りには回る寿司屋さんはないんだ。でも、手頃な店知ってるから、そこに行こう”中トロやらイクラ食べて、そして今回の旅路ではパパは飲酒禁止になっているので、二人の飲み物はオレンジジュースとコーラ、全部で4200円なり。“ほら、回らなくても高くないだろうと”言いながらの帰路、回転寿司を2軒も発見!!!ネットでの【検索】結果は、一体なんだったんだべ? [本書『モダンタイムス』のキーワードに【検索】がある。人はわからないときは何をすればいいのか?【検索】するのである。銀座にそこまで詳しくない評者がとった行動も【検索】である。“銀座”と“寿司”で【検索】した評者である。そういえば、東京のホテルどっか空いてないかな、と思ったときも【検索】したわけだ。本書では、その【検索】が【監視】に繋がるのがミソ] ![]() 翌日は、原宿三昧に渋谷109。5年生の娘と散々歩く。気が付くと、色んなところにタバコの自販機があるわけで、当然タスポがないと買えない仕組みになっている。評者は、前から感じていたのだが、タスポカードを作るのは【監視】してくださいということになるんじゃないかと。免許証とか、保険証とか、パスポートとかと、タスポは明らかに違う。タバコを吸う人間として登録され、どこの自販機で買ったか【監視】されてしまうわけで、そんな制度に参加していいの?と思うわけである。 あ、そうそう、その昔、評者は原宿でバイトしていたことがあったのだが、その時知り合った仲間に、プロのスタジオミュージシャンがいた。ベーシストである。細切れにしか仕事がないので、バイトもやっていたのだが、その彼から面白い話を聞いたのだった。ある日、仕事の依頼あり、スタジオに出向き譜面を渡され、自分のベース部分を録音。レコーディングはうまくいったのだが、渡された譜面がベース部分のみで、全体のメロディとか、何に使われるのか、わからないまま帰ってきたらしいのである。しばらくして、部屋の点けっぱなしのテレビから、彼のベースラインが耳に入ってきて、“あっ!これこの前の俺のやつじゃん!”と気付き、テレビに目をやったら「おそ松くん」のアニメのテーマソングに使われていたのである。 [本書『モダンタイムス』の中には、“そういう仕組み=システム”という伊坂の哲学が挿入されている。例えば【監視】というシステムの中で、個々はそれぞれのパートを仕事としてこなしているだけで、全体の悪意を個は気付かない、それがシステムみたいな考え方である。「おそ松くん」のアニメテーマソングも、皆が同時に曲を楽しみながらレコーディングしているように思えるが、結局、パーツとしての仕事の集合なのである] しかし、原宿&渋谷散策は疲れたぞな。自分の興味ない街、興味ない店、子供がいなくならないかも大いに心配して、お蔭様で帰りの飛行機の中でグッスリのパパ評者なのであった。ホテルでは、娘に“パパ、シャワー浴びないと汚いよ”と叱られた評者の冒険の旅。(20081207) ※同じ◎◎評価の『ゴールデンスランバー』よりは、評者の好みは本書のほうである。伊坂流の伏線(ルームサービスとか)や、オモロイキャラ(妻の佳代子や拷問猛)とか、小道具の占いメールとか本書のほうが楽しい、絶対。(書評No846) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-12-08 16:40
| 書評
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