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「本のことども」by聖月

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2009年 01月 29日

◎「のぼうの城」 和田竜 小学館 1575円 2007/12

◎「のぼうの城」 和田竜 小学館 1575円 2007/12_b0037682_9484594.jpg 1月11日に指宿菜の花マラソン10キロコースに参加した評者である。今回は、大会史上最も多い1万8千人超の参加申込ということであったが、結果的に参加者は1万7千人超、内フルマラソン1万5千人、10キロ2千人という内訳であって・・・で、何が言いたいのかというと、同じ時間帯に同じ場所に1万7千人も集まると、みんな走りに来たのか、うんこしにきたのかわからない状態になるということである。少なくとも、走る前におしっこに行かない人はいないわけで、つまり1万7千しっこは確実だし、多分3千うんこくらいは記録したのじゃないかと思う。勝手な推測であるが、とにかくトイレの行列具合からして。

 昨年は、生まれて初めて京都旅行なるものに行った評者。二条城を見て回りながら思ったものである。いやあ、でかいでかい。でかいのはいいが、トイレは厠はいくつぐらいあったのだろうと・・・どうも、評者の尺度の単位のひとつにトイレがあるようなのである。

 本書『のぼうの城』を読んだときも、1000人を超える城下の人々の籠城という箇所で、“トイレどうすんの?”と考えてしまったわけである。50便器あったとして、1000人が使用するなら1便器あたり20回使用されるわけで、一人あたり5分として100分の間使用中なわけで、評者のように朝2回以上の者が城下に多数いたならば、兵糧攻めにあわずとも、厠でできなかった者が庭やはては廊下の隅でしてしまったり、量的なものを考えても自分たちの糞尿に参ってしまい降参なんてことにはならないのだろうかと。ということを考えてしまう馬鹿な評者なのである。

 本書『のぼうの城』は、“石田三成水攻め作戦”対“でくのうぼう籠城作戦”の時代小説である。先に読んだ『忍びの城』でもそうだったように、多くの登場人物があっけなく死んでいったりするのだが、当時の死生観、命の軽重がそのまま反映されたような文体に、悲壮感などは感じず、逆にシンプルなその世界観に長閑さを感じてしまうような物語なのである。

 物語の構造は実にシンプルではあるが、両者の思惑がわからず、そこらへんにミステリーマインドがくすぐられるところが、本書の妙味でもある。水攻めにあい、にっちもさっちもいかなくなったところで、でくのぼうが城から小船で出でて、敵の前で田踊りを披露する件(くだり)・・・果たして、でくのうぼうは本当の馬鹿者なだけだったのか・・・。まあ、読んでみるべし。(20090119)

※読む前は勘違いしていたが、本書には『忍びの国』ような忍者は登場しないのことども。(書評No854)

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by kotodomo | 2009-01-29 09:48 | 書評 | Trackback(2) | Comments(0)
Tracked from ぱんどらの本箱 at 2009-01-29 11:39
タイトル : 和田竜【のぼうの城】
織田信長が本能寺で討たれてから8年後、関白となった豊臣秀吉は天下統一を期して、関東の覇者・北条氏を倒すべく小田原城に向け出陣。その一方で石田三成に、北条の支城である忍城(おしじょう)を攻め落とすよぎ..... more
Tracked from 粋な提案 at 2009-01-31 14:53
タイトル : のぼうの城 和田竜
装幀は山田満明。装画はオノ・ナツメ。城戸賞受賞脚本の小説化。 天下統一を目指す秀吉配下、石田三成は武州・忍城へ。 やむを得ず降伏の意向に反して使者に戦を宣言したのは応対者。 大柄醜男、何をやらせぎ..... more


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