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「本のことども」by聖月

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2009年 02月 13日

◎「ダイイング・アイ」 東野圭吾 光文社 1680円 2007/11

◎「ダイイング・アイ」 東野圭吾 光文社 1680円 2007/11_b0037682_1055527.jpg 久々の東野圭吾である。図書館にポツリと置いてあったので、『赤い指』以来2年ぶり?なんて思いながら(実は『使命と魂のリミット』も借りた記憶があるが、途中まで読んでやめたのことども)借りた評者なのである。最近の東野圭吾は、前にも増して大人気作家であり、『赤い指』(『使命と魂のリミット』)以降の新作を図書館の棚で久々に発見したわけである。

 借りてきたあとで、このミスをめくる。2008年版で何位にランクインかなと思ったら、2007/11出版なので2009年版に該当なわけで・・・全然圏外じゃん。誰か票を入れたのかどうかそこまで調べはしなかったが、誰も支持していないようである。はてさて、その中身は・・・。

 悪くない。完成度の高い東野作品として読むと綻びだらけなのだが、読んでいて面白い。何が面白いかって、何を読まされているかわからないところが面白いのである。最初で、29歳の女性が自動車事故で死んでしまう。主人公男性が、瀕死の重傷を負う。犯人は、自己で死んだ女性の旦那。その旦那も・・・あんまり続けると粗筋のネタバレになるのでもうやめるが、犯人は?トリックは?動機は?そんな話ではなく、なんでこんなことに主人公が巻き込まれてしまっているのか、結局、周りで何が起こっているのか、そこらへんが読者の興味となるのである。

 ただ、最後にきての、全体像、伏線の真相、動機、そういったものは突飛な感じが否めない。主人公の部分的な記憶喪失というのもご都合主義だし、被害者と加害者の結びつきもあんな感じになることはあり得ないし、金銭の絡みも突飛過ぎるし、死んだ女性があんなかたちで甦るのもなんだかなあなのである。

 でも、読みながら、そこそこ面白かったし、多分、このミス国内20位ランクインの作品たちとリーダビリティーでは遜色ないと思うわけで、そういう意味で東野作品としては完成度は低いけど、今の国内ミステリーの中では、まあまあの出来というのが評者の個人的印象のことども。(20090212)

※結局、10年前に連載された小説なので、今の東野圭吾の作品ではないことは事実。(書評No862)

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by kotodomo | 2009-02-13 10:56 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from ぱんどらの本箱 at 2009-02-13 11:54
タイトル : 東野圭吾【ダイイング・アイ】
バーテンダーの雨村慎介は、閉店後に帰宅しようとしたところを何者かに殴られて重傷を負い、幸いにも命を取りとめた。 慎介を襲った男は死体となって発見された。警察の話では、男は慎介が一年前に起こした事軒..... more


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