2009年 11月 19日
今年読んだ小説の中で、一番リーダビリィティが高かったのではないかな。デビュー作のメフィスト賞を受賞した『マネーロード』は未読の評者。どんな作風かも知らずに読み始めたのだが、テンポの良さにまずは満足。そして、終盤の二転三転、散りばめられたピースの収斂に、少し安易さは感じながらも、その丁寧な姿勢に満足感を覚え、久々の◎◎評価の読書であったのことよ。 まずは主人公。服役中に、脳神経にある細工をされた極道である。その主人公が、ある誘拐事件に絡み、その身代金6000万を横取りしようと画策するのが、物語の大筋。また、その誘拐事件(結局は狂言なのだが)を起こした劇団の真意が、本気だったのか、単なる頼まれ実験だったのか、そんなところがサイドの物語。結局、全体像のはっきりしない狂言誘拐事件の合間に、身代金がすり替えられるわけで・・・。 とにかく何よりテンポのいい物語。最初のうちは、底の浅いライトノベルな感じも否めないが、途中からは先への展開への興味が勝る、チャッチャッチャッとした舞城デビュー作『煙か土か食い物』を彷彿させる機関銃連射が小気味いい物語なのである。 今年さほど国産ミステリーを読んでいない評者なのだが、レベル的にこのミスランクイン問題なしの作品評価である。デビュー作を読むかどうかはわからないが、この作家の今後の作品は、2、3作は読み続けるだろうなのことども。(20091109) ※久々にメフィスト賞作家の本を読んだらグッドだったのことども。(書評No928) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2009-11-19 08:43
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