斜に構えた記者を描く第一章は素人でも書ける物語。将棋バカの幼い頃のエピソードが語られる第二章は、ちょっと興味深い。第三章以降、二人の生活が絡み合い、そこに美人女将との三人の共同生活が始まる・・・なんて展開だったら、その共同生活のエピソードで盛り上がらんかい!ボケ!と中年読者の評者は思っていたわけで、このまま終わったら、まあ普通の将棋バカ物語やんけと思っていたら・・・最後の最後でハートウォーミングな落ちがきて、評価記号はご機嫌な◎印進呈のことども。デビュー作らしく作者の独りよがりな描写も散見されるが佳作。